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本編
会計様が笑った
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「ど、どうかしましたか?」
俺の手を握り、どこかに進んでいく湊人様の後ろ姿にこえをかけるが、湊人様からの返事はない。
コツコツと足音だけが廊下に響く中、僕と湊人様が出会った、あの教室へとやってきていた。
座ってと言われ、湊人様の向かい側に座らされた。僕は黙って湊人様を見つめ、湊人様も僕を見つめる。
「俺はね。瑠衣くんが悪い人だなんて1ミリも思ってないよ。」
急にそう言われ僕は、はぁっと気の抜けた返事をする。
「瑠衣くんは前、俺の仕事手伝ってくれたし、いい人ってのは分かってる。」
俺はなんの反応も示さず、ただ湊人様を見つめる。
「瑠衣くんの事を疑った俺を許して欲しい。」
ごめんっと謝る湊人様。それを見て僕は不思議な気持ちになる。
湊人様は何に対して謝っているのだろうか。
「.......湊人先輩は正常じゃないですか?」
「.......へ?」
僕がボソリと呟く。
「え、逆に湊人先輩に聞きますけど、片手で数えるくらいしか話した事のない後輩を信じるのって凄くないですか?」
「.......え?だってそれは瑠衣くんが.......。」
「そう!そうなんですよ!!僕も自分に驚いてます!僕は湊人先輩を見てきたけれど湊人先輩は僕に全く興味が無かったのに頼れなんて強要してしまって申し訳ないと今更ながら思ってまして.......。僕こそすみません。」
「ふふ、あはははは!!結局なんなんだっけ?」
僕が軽くぺこりとお辞儀をすると頭上から笑い声が聞こえた。
なんだろう。久しぶりに聞いた.......というよりこんな笑い方初めて聞いた。
あまりに湊人様が笑うから、僕もおかしくなって、くすくすと笑い出す。
2人でめいっぱい笑った後、僕は真剣に湊人先輩と向き合った。
「今は僕のこと信用しなくていいです。これから、湊人先輩に頼られるような後輩になるので、楽しみに?しててください!!!」
「.......ははっ。うん。よろしくね。瑠衣。」
初めて呼び捨てで呼ばれ、僕は呆然とした。にこりとさわやかに笑う湊人先輩はどこかスッキリとしていた。
話し込んでいると、外はどんどん暗くなり、7時手前になっていた。
「さて。帰ろうか。」
「そうですね。」
2人で寮への帰路を歩く。
コツコツと歩く音だけが響き、会話などほとんどしなかったが、何故か心地よかった。
「じゃあ。また明日。」
「はい!!また明日!!」
バイバイと手を振る湊人先輩に僕は背を向け、2年生の寮塔へと向かおうとすれば、後ろからおーいっと声が聞こえた。
「そういえばさ~!」
「なんですか?」
「.......瑠衣くん、俺を見ていたって言ってたけどなんで?」
そう言われ、ピシッと固まってしまう。
そ、そうだ。僕は言ってしまっていた。
「それ.....それはその、。」
「生徒会役員としてってこと?俺、そんな目立ってた??」
そう問いかけられ、僕はホッとすると共に僕の貪欲な心がフツフツと湧き上がるのを感じた。奥底に閉じ込めていた恋心と言うやつだ。気づけば声に出してしまっていた。
「..............僕にも.......僕にも下心ってやつがあるんですよ、、!」
僕は自分の頬がかぁっと赤くなるのを感じつつも寮へと走り出した。言い逃げというやつだ。この言葉だけで湊人先輩が気づいてくれるのかなんて正直分からないが、僕にとっての精一杯の言葉だった。
俺の手を握り、どこかに進んでいく湊人様の後ろ姿にこえをかけるが、湊人様からの返事はない。
コツコツと足音だけが廊下に響く中、僕と湊人様が出会った、あの教室へとやってきていた。
座ってと言われ、湊人様の向かい側に座らされた。僕は黙って湊人様を見つめ、湊人様も僕を見つめる。
「俺はね。瑠衣くんが悪い人だなんて1ミリも思ってないよ。」
急にそう言われ僕は、はぁっと気の抜けた返事をする。
「瑠衣くんは前、俺の仕事手伝ってくれたし、いい人ってのは分かってる。」
俺はなんの反応も示さず、ただ湊人様を見つめる。
「瑠衣くんの事を疑った俺を許して欲しい。」
ごめんっと謝る湊人様。それを見て僕は不思議な気持ちになる。
湊人様は何に対して謝っているのだろうか。
「.......湊人先輩は正常じゃないですか?」
「.......へ?」
僕がボソリと呟く。
「え、逆に湊人先輩に聞きますけど、片手で数えるくらいしか話した事のない後輩を信じるのって凄くないですか?」
「.......え?だってそれは瑠衣くんが.......。」
「そう!そうなんですよ!!僕も自分に驚いてます!僕は湊人先輩を見てきたけれど湊人先輩は僕に全く興味が無かったのに頼れなんて強要してしまって申し訳ないと今更ながら思ってまして.......。僕こそすみません。」
「ふふ、あはははは!!結局なんなんだっけ?」
僕が軽くぺこりとお辞儀をすると頭上から笑い声が聞こえた。
なんだろう。久しぶりに聞いた.......というよりこんな笑い方初めて聞いた。
あまりに湊人様が笑うから、僕もおかしくなって、くすくすと笑い出す。
2人でめいっぱい笑った後、僕は真剣に湊人先輩と向き合った。
「今は僕のこと信用しなくていいです。これから、湊人先輩に頼られるような後輩になるので、楽しみに?しててください!!!」
「.......ははっ。うん。よろしくね。瑠衣。」
初めて呼び捨てで呼ばれ、僕は呆然とした。にこりとさわやかに笑う湊人先輩はどこかスッキリとしていた。
話し込んでいると、外はどんどん暗くなり、7時手前になっていた。
「さて。帰ろうか。」
「そうですね。」
2人で寮への帰路を歩く。
コツコツと歩く音だけが響き、会話などほとんどしなかったが、何故か心地よかった。
「じゃあ。また明日。」
「はい!!また明日!!」
バイバイと手を振る湊人先輩に僕は背を向け、2年生の寮塔へと向かおうとすれば、後ろからおーいっと声が聞こえた。
「そういえばさ~!」
「なんですか?」
「.......瑠衣くん、俺を見ていたって言ってたけどなんで?」
そう言われ、ピシッと固まってしまう。
そ、そうだ。僕は言ってしまっていた。
「それ.....それはその、。」
「生徒会役員としてってこと?俺、そんな目立ってた??」
そう問いかけられ、僕はホッとすると共に僕の貪欲な心がフツフツと湧き上がるのを感じた。奥底に閉じ込めていた恋心と言うやつだ。気づけば声に出してしまっていた。
「..............僕にも.......僕にも下心ってやつがあるんですよ、、!」
僕は自分の頬がかぁっと赤くなるのを感じつつも寮へと走り出した。言い逃げというやつだ。この言葉だけで湊人先輩が気づいてくれるのかなんて正直分からないが、僕にとっての精一杯の言葉だった。
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