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特別編 ミチナガとリリーの結婚式 転
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「おお!これが飛行機というものか。」
とある大陸。そこに国を構える一国の王は巨大なガラス窓から外の景色を眺める。今から1年ほど前に来た一通の手紙。それはかのセキヤ・ミチナガとリリー・ユグドラシルの結婚報告とその結婚式への招待状であった。
まさか自分が呼ばれると思ってもみなかった国王は小躍りして喜んだ。なんせ相手は魔神2人。一国の国王とは権威の格が違う。確かにこの国にもミチナガ商会はあるが、その程度の付き合いしかない。一度も会ったことがないというのに結婚式という晴れの舞台に招待してくれた。
おまけにそれから半年後には空港なるものが必要だということで大規模な空港建設が始まった。説明は受けたがちゃんとは理解していない。ひと月ほど前に完成したが、空港としてちゃんと利用するのは今日が初めてのことだ。
そんな国王の前に人型の機械がやってくる。護衛の騎士達はわずかに身構えるが、すぐに警戒を解かせる。
『初めましてファッテブリンの国王陛下。本日は結婚式の招待を受けていただき感謝いたします。機体の準備ができましたので荷物の運び入れを開始させていただきます。』
「おお、これはかたじけない。おい、今すぐに荷物を運び入れろ。祝いの品も忘れぬようにな。」
「はっ!」
動き出すメイドや執事。騎士達も何人かを残して荷運びを手伝っている。護衛の騎士が周りに十数人残っているが、こんなのは見かけだけで何の役にも立たないだろう。
なんせ今この目の前にいる人型の機械はこの護衛全員束になっても敵わぬほどの実力者だ。何か無礼を働けばどうすることもできずに死ぬだけだ。
『搭乗までまだ時間がかかると思いますのでよろしければ上階へ行きませんか?そこの方が景色はよろしいかと。』
「おお、そうですか。ではお言葉に甘えて…」
案内されるがままついていく。正直傍目から見たら国王としての威厳はどこにもない。しかし相手が相手なのだ。場合によっては靴を舐めるくらいのこともしなければならない。国を守るためならばそのくらいは簡単にできる。
そして案内された場所は屋外の展望デッキだ。そこは確かに景色が良い。そして空を見あげるとこちらへ向かってくる飛行機が見えた。
「おお、これからあれに乗るのか。…ちと怖いな。」
『ご安心ください。到着まで護衛機がつきますから身の危険は一切ございません。ああ、あちらをご覧ください。あれは他国の参列者の方が乗る飛行機です。あのように護衛機がつきます。』
豆粒のようにしか見えない飛行機が連なっている。さらによく見ればその周囲にはゴミのような何かがチラチラと見える。あれが護衛機のようだ。
「小さすぎてよくはわからんが、きっと安全なのだろうな。安心して乗ることにしよう。ああ、祝いの品はどこで渡せばよろしいかな?」
『会場近くに専用の場所を用意してあるのでそこで渡していただければ問題ありません。お気を使わせて申し訳ありません。』
「いやいやそんな…我が国は豊かとは言えないので見目麗しい金銀財宝などではないのです。郷土品などが主で我が国の良いところを知ってもらえたらと…」
『それは楽しみです。我が主人も喜ぶことでしょう。見目麗しい金銀財宝など見飽きておりますから、きっとこの方が喜びます。』
「そうですか。品選びを間違えずに良かった。さすがは世界最高の商会ですな。」
祝いの品選びには招待状を受け取った日からずっと考え続けた。国の宝物庫を全てをくれてやろうかとも思ったが、相手は世界最高の商人にして世界一の大富豪だ。そんな物を貰っても膨大な財産のごくわずかな一部になるだけだ。
ならばと国中から選び抜かれた郷土品の数々を送ろうという奇抜なアイデアに至った。これには多くの大臣達から批判の声が出たが、無理やり押し通した。
それからしばらく待機したのちに飛行機への搭乗を始める。飛行機の内部は国王専用機ということで広々とした作りだ。ただ他の護衛専用機などは一般人にも使えるように座席を多く設置している。
しかしやはりというべきか、国王専用機の飛行機内部の装飾は凝った作りをしている。金のかけ方が段違いだ。正直王城のどこの部屋よりも美しい装飾を施されている。
そして全員が乗り込んだことを確認してから飛行機は発進する。徐々に速度が増し、揺れが大きくなる飛行機に乗り込んだ人々からは悲鳴が聞こえる。そして強い重力を受けた後にふわりと飛び上がる感覚を覚えた。
「おお…飛んだ……」
『これよりしばらくは空の旅となります。到着は明日の昼を予定しておりますので、それまでの間はごゆっくりしてください。』
「明日の昼!そんなに早く着くのか……なんと素晴らしい。」
馬や最近普及してきた魔動車であってもユグドラシル国まで3ヶ月はかかるだろう。舗装されていない道やモンスターの蔓延る森などを通ることも考えたら半年はかかるかもしれない。それがわずか一日足らずというのは驚きだ。
そして気流が安定してきたため、飛行機内部で自由に歩き回れようになった。わずかに揺れを感じる時もあるが、その程度だ。座りっぱなしで体がこり固まる心配はない。
しかしそんなことよりも今は座席に座りながらの映画鑑賞が一番だ。100本以上ある作品の中から好きに選び無料で視聴が可能だ。仕事が忙しくて最近はあまり見られていなかったから今のうちに観られるだけ観る。
そして腹が減ったら一流のシェフによって作られた温かい食事が提供される。このレベルの食事を食べるのは国王であっても初めてのことだ。
「娯楽に最高の食事…そしてこの空の上の絶景!素晴らしい…こんなことなら毎日飛行機に乗っても良いほどだ。」
『ご満足いただけて何よりです。来月からは貴族以上を限定としていつでも利用可能とさせていただく予定です。公務などの際にはご利用いただければと。』
「おお!それは良い。うちの貴族達にも教えてやろう。これは非常に良いものだ。」
満面の笑みを見せる国王はなんとかしてまた休みを取ってどこかへ遊びに行きたいものだと今から予定を立てる。それを見た使い魔も満面の笑みだ。これでこの国王から発信された情報が多くの貴族に出回り、多くの顧客を生むことになる。
そして翌日の昼前、飛行機の外を見た国王はそこにそびえる世界樹の姿を目の当たりにした。本当にもうユグドラシル国へと着いたのだ。
そしてそこには各国からの飛行機を着陸することができる巨大な空港が存在した。絶えず着陸していく飛行機で今回の結婚式の来客数の多さがわかる。
そんな空港へこの飛行機もゆっくりと着陸した。そんな飛行機の内部ではしっかりと身だしなみを整える国王の姿がある。映画の見過ぎと食べ過ぎで少し疲れた顔をしているが、身だしなみを整えれば国王としての威厳が出てくる。
そして飛行機を降りる国王は飛行機の外を見た瞬間に心臓が止まるかと思った。そこにはここまで案内してきた人型の機械と同じものが数百と並んでいたのだ。
「こ…これほどの実力者がこんなにも…なんという軍事力…これがニコカミと呼ばれていた所以か……」
『ファッテブリンからの来賓がご到着です。』
『『『『『ようこそおいでくださいました!!』』』』』
一部のズレのない動きで出迎えるエヴォルヴ達。それを見てより恐怖した。統制され、よく訓練された兵士ほど恐ろしいものはない。
さらに周りをよく見れば他にも来賓を出迎えるエヴォルヴ達の姿がある。こんな兵士が何千、何万といる。さらに飛行機というわずか一日で遠くまで人を輸送できる交通網もある。どこへいてもすぐに駆けつけられる。
「敵わぬな。これは絶対に敵に回してはならない。魔神の中でもやはり彼は別格だ…」
恐怖で震える中、空港がざわつくのを感じた。一体何事かと空を見上げるとそこにはなんとも奇抜な、それでいて目を離せなくなる塗装が施された飛行機の姿があった。
「あれは…」
『メリア様ですね。結婚式の衣装を頼んでいたので少し早く来てもらったんですよ。』
「メリア!?あの美の女帝メリアだと!?そ、そういえばメリアはミチナガ商会の傘下だと…」
『傘下というよりうちの大幹部の一人です。』
メリアが到着したとなると空港は騒ぎになるだろう。その前に招待客をこの場から移動させておきたい。急いで移動用の車を運んでくるとホテルへと向かった。
ミチナガ達の結婚式まで残り一週間を切った。招待客はすでに半分以上がこの地へ来ている。各国の重鎮や国王達が集まっているが、彼らを退屈にさせぬように毎日催し物が行われている。
パレードにカジノ、闘技場に演劇。他にもあらゆる娯楽を用意した。この数日で莫大な金が動いている。これには使い魔達も笑みが浮かぶ。これならずっと結婚式をしなくても良いかもしれない。
そして結婚式の前日。すでに9割以上の招待客が集まっている。残りは当日にやってくるだろう。そして本日最後の招待客がやって来た。その情報を聞きつけた各国の国王達は見物するために集まってくる。
「さ、寒くなって来たな。おい、上着を持て。」
「地面が凍りついて来たな。これがかの氷の女神か」
大気中の水分が凍りつき、ふわりふわりと舞い落ちる。多少暑かった気温が氷点下近くまで下がる。その発生源には氷の騎士達と氷神ミスティルティアがいた。
『ようこそおいでくださいました。我が主人も喜びます。』
「長旅で疲れたわ。先にホテルに案内してくれる?」
『わかりましたそれでは…』
『あら~!ミスティちゃん久しぶり!!』
突如なにもない空間から聞こえる声。しかしそれは一部の人間には見えている。すると誰にでも見えるように自身に可視化の魔法をかけた妖精神ピクシリーが現れる。
「久しぶりねピクシリー。もっと遊びに来てくれても良いのよ?」
『いやよ。あんたのところ寒くって。それに氷ばっかりで面白くないわ。もっと娯楽を増やしなさいよ。』
「最近は増えて来たわよ。観光客も急増しているんだから。」
『そうなの?それじゃあ今度遊びに行くわ。』
和やかな雰囲気で進んで行くミスティルティアとピクシリー。だがその光景は思わず恐怖で体が震える者達がいる。なんせミスティルティアは現在魔神第4位、ピクシリーは魔神第3位だ。
だがこの程度で恐怖していても困る。なんせ招待状は魔神全員に送られているのだから。そしてついにミチナガとリリーの結婚式当日を迎える。
とある大陸。そこに国を構える一国の王は巨大なガラス窓から外の景色を眺める。今から1年ほど前に来た一通の手紙。それはかのセキヤ・ミチナガとリリー・ユグドラシルの結婚報告とその結婚式への招待状であった。
まさか自分が呼ばれると思ってもみなかった国王は小躍りして喜んだ。なんせ相手は魔神2人。一国の国王とは権威の格が違う。確かにこの国にもミチナガ商会はあるが、その程度の付き合いしかない。一度も会ったことがないというのに結婚式という晴れの舞台に招待してくれた。
おまけにそれから半年後には空港なるものが必要だということで大規模な空港建設が始まった。説明は受けたがちゃんとは理解していない。ひと月ほど前に完成したが、空港としてちゃんと利用するのは今日が初めてのことだ。
そんな国王の前に人型の機械がやってくる。護衛の騎士達はわずかに身構えるが、すぐに警戒を解かせる。
『初めましてファッテブリンの国王陛下。本日は結婚式の招待を受けていただき感謝いたします。機体の準備ができましたので荷物の運び入れを開始させていただきます。』
「おお、これはかたじけない。おい、今すぐに荷物を運び入れろ。祝いの品も忘れぬようにな。」
「はっ!」
動き出すメイドや執事。騎士達も何人かを残して荷運びを手伝っている。護衛の騎士が周りに十数人残っているが、こんなのは見かけだけで何の役にも立たないだろう。
なんせ今この目の前にいる人型の機械はこの護衛全員束になっても敵わぬほどの実力者だ。何か無礼を働けばどうすることもできずに死ぬだけだ。
『搭乗までまだ時間がかかると思いますのでよろしければ上階へ行きませんか?そこの方が景色はよろしいかと。』
「おお、そうですか。ではお言葉に甘えて…」
案内されるがままついていく。正直傍目から見たら国王としての威厳はどこにもない。しかし相手が相手なのだ。場合によっては靴を舐めるくらいのこともしなければならない。国を守るためならばそのくらいは簡単にできる。
そして案内された場所は屋外の展望デッキだ。そこは確かに景色が良い。そして空を見あげるとこちらへ向かってくる飛行機が見えた。
「おお、これからあれに乗るのか。…ちと怖いな。」
『ご安心ください。到着まで護衛機がつきますから身の危険は一切ございません。ああ、あちらをご覧ください。あれは他国の参列者の方が乗る飛行機です。あのように護衛機がつきます。』
豆粒のようにしか見えない飛行機が連なっている。さらによく見ればその周囲にはゴミのような何かがチラチラと見える。あれが護衛機のようだ。
「小さすぎてよくはわからんが、きっと安全なのだろうな。安心して乗ることにしよう。ああ、祝いの品はどこで渡せばよろしいかな?」
『会場近くに専用の場所を用意してあるのでそこで渡していただければ問題ありません。お気を使わせて申し訳ありません。』
「いやいやそんな…我が国は豊かとは言えないので見目麗しい金銀財宝などではないのです。郷土品などが主で我が国の良いところを知ってもらえたらと…」
『それは楽しみです。我が主人も喜ぶことでしょう。見目麗しい金銀財宝など見飽きておりますから、きっとこの方が喜びます。』
「そうですか。品選びを間違えずに良かった。さすがは世界最高の商会ですな。」
祝いの品選びには招待状を受け取った日からずっと考え続けた。国の宝物庫を全てをくれてやろうかとも思ったが、相手は世界最高の商人にして世界一の大富豪だ。そんな物を貰っても膨大な財産のごくわずかな一部になるだけだ。
ならばと国中から選び抜かれた郷土品の数々を送ろうという奇抜なアイデアに至った。これには多くの大臣達から批判の声が出たが、無理やり押し通した。
それからしばらく待機したのちに飛行機への搭乗を始める。飛行機の内部は国王専用機ということで広々とした作りだ。ただ他の護衛専用機などは一般人にも使えるように座席を多く設置している。
しかしやはりというべきか、国王専用機の飛行機内部の装飾は凝った作りをしている。金のかけ方が段違いだ。正直王城のどこの部屋よりも美しい装飾を施されている。
そして全員が乗り込んだことを確認してから飛行機は発進する。徐々に速度が増し、揺れが大きくなる飛行機に乗り込んだ人々からは悲鳴が聞こえる。そして強い重力を受けた後にふわりと飛び上がる感覚を覚えた。
「おお…飛んだ……」
『これよりしばらくは空の旅となります。到着は明日の昼を予定しておりますので、それまでの間はごゆっくりしてください。』
「明日の昼!そんなに早く着くのか……なんと素晴らしい。」
馬や最近普及してきた魔動車であってもユグドラシル国まで3ヶ月はかかるだろう。舗装されていない道やモンスターの蔓延る森などを通ることも考えたら半年はかかるかもしれない。それがわずか一日足らずというのは驚きだ。
そして気流が安定してきたため、飛行機内部で自由に歩き回れようになった。わずかに揺れを感じる時もあるが、その程度だ。座りっぱなしで体がこり固まる心配はない。
しかしそんなことよりも今は座席に座りながらの映画鑑賞が一番だ。100本以上ある作品の中から好きに選び無料で視聴が可能だ。仕事が忙しくて最近はあまり見られていなかったから今のうちに観られるだけ観る。
そして腹が減ったら一流のシェフによって作られた温かい食事が提供される。このレベルの食事を食べるのは国王であっても初めてのことだ。
「娯楽に最高の食事…そしてこの空の上の絶景!素晴らしい…こんなことなら毎日飛行機に乗っても良いほどだ。」
『ご満足いただけて何よりです。来月からは貴族以上を限定としていつでも利用可能とさせていただく予定です。公務などの際にはご利用いただければと。』
「おお!それは良い。うちの貴族達にも教えてやろう。これは非常に良いものだ。」
満面の笑みを見せる国王はなんとかしてまた休みを取ってどこかへ遊びに行きたいものだと今から予定を立てる。それを見た使い魔も満面の笑みだ。これでこの国王から発信された情報が多くの貴族に出回り、多くの顧客を生むことになる。
そして翌日の昼前、飛行機の外を見た国王はそこにそびえる世界樹の姿を目の当たりにした。本当にもうユグドラシル国へと着いたのだ。
そしてそこには各国からの飛行機を着陸することができる巨大な空港が存在した。絶えず着陸していく飛行機で今回の結婚式の来客数の多さがわかる。
そんな空港へこの飛行機もゆっくりと着陸した。そんな飛行機の内部ではしっかりと身だしなみを整える国王の姿がある。映画の見過ぎと食べ過ぎで少し疲れた顔をしているが、身だしなみを整えれば国王としての威厳が出てくる。
そして飛行機を降りる国王は飛行機の外を見た瞬間に心臓が止まるかと思った。そこにはここまで案内してきた人型の機械と同じものが数百と並んでいたのだ。
「こ…これほどの実力者がこんなにも…なんという軍事力…これがニコカミと呼ばれていた所以か……」
『ファッテブリンからの来賓がご到着です。』
『『『『『ようこそおいでくださいました!!』』』』』
一部のズレのない動きで出迎えるエヴォルヴ達。それを見てより恐怖した。統制され、よく訓練された兵士ほど恐ろしいものはない。
さらに周りをよく見れば他にも来賓を出迎えるエヴォルヴ達の姿がある。こんな兵士が何千、何万といる。さらに飛行機というわずか一日で遠くまで人を輸送できる交通網もある。どこへいてもすぐに駆けつけられる。
「敵わぬな。これは絶対に敵に回してはならない。魔神の中でもやはり彼は別格だ…」
恐怖で震える中、空港がざわつくのを感じた。一体何事かと空を見上げるとそこにはなんとも奇抜な、それでいて目を離せなくなる塗装が施された飛行機の姿があった。
「あれは…」
『メリア様ですね。結婚式の衣装を頼んでいたので少し早く来てもらったんですよ。』
「メリア!?あの美の女帝メリアだと!?そ、そういえばメリアはミチナガ商会の傘下だと…」
『傘下というよりうちの大幹部の一人です。』
メリアが到着したとなると空港は騒ぎになるだろう。その前に招待客をこの場から移動させておきたい。急いで移動用の車を運んでくるとホテルへと向かった。
ミチナガ達の結婚式まで残り一週間を切った。招待客はすでに半分以上がこの地へ来ている。各国の重鎮や国王達が集まっているが、彼らを退屈にさせぬように毎日催し物が行われている。
パレードにカジノ、闘技場に演劇。他にもあらゆる娯楽を用意した。この数日で莫大な金が動いている。これには使い魔達も笑みが浮かぶ。これならずっと結婚式をしなくても良いかもしれない。
そして結婚式の前日。すでに9割以上の招待客が集まっている。残りは当日にやってくるだろう。そして本日最後の招待客がやって来た。その情報を聞きつけた各国の国王達は見物するために集まってくる。
「さ、寒くなって来たな。おい、上着を持て。」
「地面が凍りついて来たな。これがかの氷の女神か」
大気中の水分が凍りつき、ふわりふわりと舞い落ちる。多少暑かった気温が氷点下近くまで下がる。その発生源には氷の騎士達と氷神ミスティルティアがいた。
『ようこそおいでくださいました。我が主人も喜びます。』
「長旅で疲れたわ。先にホテルに案内してくれる?」
『わかりましたそれでは…』
『あら~!ミスティちゃん久しぶり!!』
突如なにもない空間から聞こえる声。しかしそれは一部の人間には見えている。すると誰にでも見えるように自身に可視化の魔法をかけた妖精神ピクシリーが現れる。
「久しぶりねピクシリー。もっと遊びに来てくれても良いのよ?」
『いやよ。あんたのところ寒くって。それに氷ばっかりで面白くないわ。もっと娯楽を増やしなさいよ。』
「最近は増えて来たわよ。観光客も急増しているんだから。」
『そうなの?それじゃあ今度遊びに行くわ。』
和やかな雰囲気で進んで行くミスティルティアとピクシリー。だがその光景は思わず恐怖で体が震える者達がいる。なんせミスティルティアは現在魔神第4位、ピクシリーは魔神第3位だ。
だがこの程度で恐怖していても困る。なんせ招待状は魔神全員に送られているのだから。そしてついにミチナガとリリーの結婚式当日を迎える。
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