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第544話 ポチ
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ポチは目を開く。そこは目を閉じる数秒前とは別世界に見えた。世界が全て生まれ変わっているようだ。しかしそれは世界が変わったのではない。ポチ自身が変わったのだ。
「おはようポチ。行けるかい?」
『もちろん。』
ポチは立ち上がって体をそらした。きっと人間ならぼきぼきと良い音がなることだろう。しかしこれはあくまで機械の体。そんな音がなるわけがない。しかし随分と気持ちが爽快そうなポチを見てミチナガは笑みを見せる。
『ねえミチナガ。』
「なんだ?」
『僕は僕にしかなれなかったよ。』
「そりゃそうだろ?お前はお前だ。俺になろうとしてもそれは無理だ。どんなに俺になろうとしてもそれはあくまでお前のままだよ。」
『そりゃそうなのか。そうだよね。』
ポチは笑みを見せる。ポチは確かに自分らしくあろうとした。しかしそれが一番ミチナガのように生きることだと知っている。
ミチナガ自身様々な人からの影響を多く受けた。しかし影響を受けたからといって誰かになろうとしたわけではない。多くの人々の出会いによって自分を成長させたのだ。そしてポチも多くの人々、使い魔達から影響を受けて成長する。
『それじゃあ行ってくるね。……みんなで行ってくる。』
「ああ、頼んだぞ。」
ポチとミチナガは拳を合わせた。合わせた拳からポチへと力強い何かが流れてくるように感じる。ただきっとそれは気のせいだ。ミチナガには魔力はない。ミチナガの気持ちをポチが感じ取っただけだ。
『それじゃあ…シェフ、それにみんなも力を貸してくれるかい?』
『あれをどうにかするならいくらでも貸してやる。頼んだぞ。』
『任せて。……能力を発動するよ。』
ポチは自身に与えられた能力を発動する。まだ手に入れたばかりの力だが、元々持っていたかのようにすんなりと使える。何をすればよいか、何ができるのかがすぐにわかる。そしてポチの脳内に声が響いた。
『個体名ポチの能力を発動します。能力名ザ・ワン。個体名ポチを唯一の個として登録しました。一定量の神力を確認。第二能力ザ・オールを発動。信徒へと通知を出しました。』
『それじゃあみんな…力を貸して。』
その瞬間、全ての使い魔に通知が届いた。そしてその通知に対して全ての使い魔達が許可を出す。そしてこの時より、ポチの能力が完成した。
『よし!それじゃあ行ってくるね!』
『おう、ぶちかましてこい。』
飛び出すポチの背中をシェフが押してやる。勢いよく飛び出したポチは瞬く間に簒奪者の元へとたどり着いた。そしてそれに呼吸を合わせるように先に戦っていたバーサーカーやドルイドたちがその場を離れる。
「また面倒な奴が来たか」「消え失せろ」「面倒な羽虫め」
『羽虫かどうか試してみると良いよ。』
簒奪者の足元でしゃがみこむポチ。そしてそれを見た簒奪者は踏み潰そうとする。だがその時、簒奪者の体が止まった。自身より矮小な存在であるはずのポチから恐怖を感じ取ったのだ。
「なんだ…」「お前は一体…」
『覚えておきな。僕の拳は…みんなの拳だ。』
ポチはしゃがみこんで力を溜めた足で思いっきり地面を蹴った。ポチにより蹴られた地面は大きくひび割れる。そしてロケットのようにポチの体は飛び上がった。
ポチが得た能力は2つある。一つはザ・ワン。これはポチという使い魔を唯一無二の個体として定着させる能力。そしてもう一つがザ・オール。これはポチと一定以上信頼度を構築した全ての個体に干渉する力。
この能力は単体ごとではまるで意味を持たない。しかし能力を合わせることでその真価を発揮する。合成能力、オールフォーワン。ザ・オールの影響下にいる全ての力を借受ける能力。
ポチと一定以上信頼度を構築しているのは使い魔全て。つまりザ・オールの能力対象は使い魔全員に及ぶ。今やポチの力は全ての使い魔を合わせた力と同等になる。そして今ミチナガが保有する使い魔の数はおよそ800万。
これがどういうことかといえばそれはポチの全能力がおよそ800万倍になっているということだ。そんな800万倍のポチの拳を受ければたとえ簒奪者の巨体であろうとも高く高く浮かび上がる。
「バカな」「なんだこの力は」「神であるこの私よりも…」
『神様っていうのはね。みんなの想いの集まりなんだ。人々が大切にし、思いを宿すから付喪神が生まれる。人々が願うから豊穣の神や縁結びの神が生まれる。心なくして神はあり得ない。神の力を奪っただけの君にはわからないだろうね。覚えておきな。僕には865万7193の友の想いが、心が宿っている。』
ポチは能力を獲得したことですでに使い魔ではなくなっている。能力を獲得し、全ての使い魔の想いを、願いを託されたことで神格を得た。ポチは数百万の信徒を得たことで神に成ったのだ。
そして神力を得ただけでなく、神となったポチの一撃は簒奪者には重く突き刺さる。現に今の一撃だけで数十万もの魂が解放された。そして宙に浮かび上がった簒奪者へさらなる追撃を加える。
瞬く間に数千万もの魂を解放させられた簒奪者だが、いつまでもやられているわけにはいかない。すぐに反撃を開始する簒奪者。だがポチはガードをすることなくどんどん攻め込む。
何十発も簒奪者の攻撃を食らうポチ。代わりに100発以上叩き込んだ。だが、未だ無数の魂を保有している簒奪者には全く致命傷になり得ない。逆にポチは簒奪者の攻撃を受けて先に壊れる可能性がある。
だが簒奪者の攻撃を受けたというのにポチの体には傷一つない。簒奪者の攻撃がまるで効いていないのだ。
「一体何をした」「神力を込めた攻撃だぞ」
『全は一のために。全ての使い魔は僕の力になり、そして僕が受けた攻撃は全ての使い魔で分散される。君の攻撃は800万分の1まで減らしたら、かすり傷もつかないほどヘッポコな攻撃なんだよ。』
今やポチは全ての能力は約800万倍になり、そして受けるダメージは800万分の1まで減少する。先ほどまでの簒奪者の神力を持たねば傷一つけられない状態と似て、ポチは800万分の1まで威力を減少させられても問題ないほどの攻撃力を持った攻撃でないと傷一つつかない。
そして簒奪者にはそれだけ減少させられてもポチに通る攻撃は片手で数えられるほどしか存在しない。そして仮にそれを発動させたとしてもピースの能力によって無効化される。
下手に強力な攻撃を無効化されればその分神力が減少する。これ以上の力の現象は簒奪者にとって致命的となる。簒奪者はなすすべな防御に徹することとなった。
「おはようポチ。行けるかい?」
『もちろん。』
ポチは立ち上がって体をそらした。きっと人間ならぼきぼきと良い音がなることだろう。しかしこれはあくまで機械の体。そんな音がなるわけがない。しかし随分と気持ちが爽快そうなポチを見てミチナガは笑みを見せる。
『ねえミチナガ。』
「なんだ?」
『僕は僕にしかなれなかったよ。』
「そりゃそうだろ?お前はお前だ。俺になろうとしてもそれは無理だ。どんなに俺になろうとしてもそれはあくまでお前のままだよ。」
『そりゃそうなのか。そうだよね。』
ポチは笑みを見せる。ポチは確かに自分らしくあろうとした。しかしそれが一番ミチナガのように生きることだと知っている。
ミチナガ自身様々な人からの影響を多く受けた。しかし影響を受けたからといって誰かになろうとしたわけではない。多くの人々の出会いによって自分を成長させたのだ。そしてポチも多くの人々、使い魔達から影響を受けて成長する。
『それじゃあ行ってくるね。……みんなで行ってくる。』
「ああ、頼んだぞ。」
ポチとミチナガは拳を合わせた。合わせた拳からポチへと力強い何かが流れてくるように感じる。ただきっとそれは気のせいだ。ミチナガには魔力はない。ミチナガの気持ちをポチが感じ取っただけだ。
『それじゃあ…シェフ、それにみんなも力を貸してくれるかい?』
『あれをどうにかするならいくらでも貸してやる。頼んだぞ。』
『任せて。……能力を発動するよ。』
ポチは自身に与えられた能力を発動する。まだ手に入れたばかりの力だが、元々持っていたかのようにすんなりと使える。何をすればよいか、何ができるのかがすぐにわかる。そしてポチの脳内に声が響いた。
『個体名ポチの能力を発動します。能力名ザ・ワン。個体名ポチを唯一の個として登録しました。一定量の神力を確認。第二能力ザ・オールを発動。信徒へと通知を出しました。』
『それじゃあみんな…力を貸して。』
その瞬間、全ての使い魔に通知が届いた。そしてその通知に対して全ての使い魔達が許可を出す。そしてこの時より、ポチの能力が完成した。
『よし!それじゃあ行ってくるね!』
『おう、ぶちかましてこい。』
飛び出すポチの背中をシェフが押してやる。勢いよく飛び出したポチは瞬く間に簒奪者の元へとたどり着いた。そしてそれに呼吸を合わせるように先に戦っていたバーサーカーやドルイドたちがその場を離れる。
「また面倒な奴が来たか」「消え失せろ」「面倒な羽虫め」
『羽虫かどうか試してみると良いよ。』
簒奪者の足元でしゃがみこむポチ。そしてそれを見た簒奪者は踏み潰そうとする。だがその時、簒奪者の体が止まった。自身より矮小な存在であるはずのポチから恐怖を感じ取ったのだ。
「なんだ…」「お前は一体…」
『覚えておきな。僕の拳は…みんなの拳だ。』
ポチはしゃがみこんで力を溜めた足で思いっきり地面を蹴った。ポチにより蹴られた地面は大きくひび割れる。そしてロケットのようにポチの体は飛び上がった。
ポチが得た能力は2つある。一つはザ・ワン。これはポチという使い魔を唯一無二の個体として定着させる能力。そしてもう一つがザ・オール。これはポチと一定以上信頼度を構築した全ての個体に干渉する力。
この能力は単体ごとではまるで意味を持たない。しかし能力を合わせることでその真価を発揮する。合成能力、オールフォーワン。ザ・オールの影響下にいる全ての力を借受ける能力。
ポチと一定以上信頼度を構築しているのは使い魔全て。つまりザ・オールの能力対象は使い魔全員に及ぶ。今やポチの力は全ての使い魔を合わせた力と同等になる。そして今ミチナガが保有する使い魔の数はおよそ800万。
これがどういうことかといえばそれはポチの全能力がおよそ800万倍になっているということだ。そんな800万倍のポチの拳を受ければたとえ簒奪者の巨体であろうとも高く高く浮かび上がる。
「バカな」「なんだこの力は」「神であるこの私よりも…」
『神様っていうのはね。みんなの想いの集まりなんだ。人々が大切にし、思いを宿すから付喪神が生まれる。人々が願うから豊穣の神や縁結びの神が生まれる。心なくして神はあり得ない。神の力を奪っただけの君にはわからないだろうね。覚えておきな。僕には865万7193の友の想いが、心が宿っている。』
ポチは能力を獲得したことですでに使い魔ではなくなっている。能力を獲得し、全ての使い魔の想いを、願いを託されたことで神格を得た。ポチは数百万の信徒を得たことで神に成ったのだ。
そして神力を得ただけでなく、神となったポチの一撃は簒奪者には重く突き刺さる。現に今の一撃だけで数十万もの魂が解放された。そして宙に浮かび上がった簒奪者へさらなる追撃を加える。
瞬く間に数千万もの魂を解放させられた簒奪者だが、いつまでもやられているわけにはいかない。すぐに反撃を開始する簒奪者。だがポチはガードをすることなくどんどん攻め込む。
何十発も簒奪者の攻撃を食らうポチ。代わりに100発以上叩き込んだ。だが、未だ無数の魂を保有している簒奪者には全く致命傷になり得ない。逆にポチは簒奪者の攻撃を受けて先に壊れる可能性がある。
だが簒奪者の攻撃を受けたというのにポチの体には傷一つない。簒奪者の攻撃がまるで効いていないのだ。
「一体何をした」「神力を込めた攻撃だぞ」
『全は一のために。全ての使い魔は僕の力になり、そして僕が受けた攻撃は全ての使い魔で分散される。君の攻撃は800万分の1まで減らしたら、かすり傷もつかないほどヘッポコな攻撃なんだよ。』
今やポチは全ての能力は約800万倍になり、そして受けるダメージは800万分の1まで減少する。先ほどまでの簒奪者の神力を持たねば傷一つけられない状態と似て、ポチは800万分の1まで威力を減少させられても問題ないほどの攻撃力を持った攻撃でないと傷一つつかない。
そして簒奪者にはそれだけ減少させられてもポチに通る攻撃は片手で数えられるほどしか存在しない。そして仮にそれを発動させたとしてもピースの能力によって無効化される。
下手に強力な攻撃を無効化されればその分神力が減少する。これ以上の力の現象は簒奪者にとって致命的となる。簒奪者はなすすべな防御に徹することとなった。
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