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第543話 ポチの求めるもの
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シェフから聞いた衝撃の事実。この状況をひっくり返せるのはもうポチしかいない。それを知ったミチナガはポチたちの方へと手を伸ばした。そして…
「それはわかったから。はよ離してやんな。ポチも苦しい…って本体じゃないから関係ないのか。」
てい!とシェフにチョップを食らわせるミチナガ。それに驚いたシェフは思わず手を離した。ここは何としてでもポチに新しい力を得てもらう必要がある。しかしミチナガはそれをしなかった。
『ボス!何すんですか!今は…』
「まあまあ。とりあえずシェフは休んでな。それからポチ。」
ビクリと震えるポチ。しかしポチの予想とは裏腹にミチナガはポチのエヴォルヴの頭を撫でてやった。
「大丈夫だよ。大丈夫。」
ニカッと笑うミチナガ。それを見て呆然とするポチの横でミチナガは表情を柔らかくして前を見据えた。
これにはポチとシェフが顔を見合わせて困惑した。特に困惑しているのはポチだ。ポチは他の生物から学んで力を得るタイプ。そしてその許容量は計り知れない。だから言われると思った。簒奪者を学び、その力を自分のものにしろと。
ポチが簒奪者を打倒するためにはそれに近しい力を得る必要がある。そしてそれは簒奪者の力を真似れば済む話である。しかしミチナガはそうは言わなかった。もしかしたら言わずともわかるだろということかとも思ったが、そうではない。
ポチにはミチナガの考えていることがわからなかった。一体何を考えているのか。だがそんなことはどうでも良いからとっととしろという圧を隣で座って休んでいるシェフから感じている。
だがそんなことよりもなぜポチは能力を得ようとしないのか。しかもこんな局面でも頑なに意地を張っている。
しかしその理由はシェフもわかっていた。ポチが憧れているのはただ一人、ミチナガだけだ。ポチはずっとミチナガと一緒にいた。ミチナガのようになりたいとずっと思っていた。
しかしミチナガは弱い。そんな弱いミチナガを模倣すればポチも弱くなってしまう。そうすればミチナガの助けにはならない。ミチナガの力になるためにはミチナガと真逆の道をゆかねばならない。
ポチもそのことはわかっているから何度もそうしようと思った。しかしポチはずっと、ずっとミチナガに憧れていた。なぜかはわからない。そういう言葉では表せない何かがあるのだ。
ミチナガは弱い。商売も正直使い魔達がいたから成り立った。多くの事業も信頼できる友がいたから成り立った。ミチナガ一人ではきっとこの世界に来てすぐに死んでいただろう。ミチナガはそんな男だ。
それはわかっている。わかっているからこそ決断の時だ。ポチはミチナガとは真逆の道を行く。そうすることでこの局面を打破し、ミチナガの力になる。それが最善。皆が喜ぶ最高の結末に
「なあポチ、見てみろよ。みんなすごいなぁ。あんな弱っちかった俺たちが盗んだとはいえ偽の神様相手に大立ち回りだぜ。そこらのモンスターからも逃げ回っていた俺たちがだぞ。」
『う、うん…そうだね。』
「このエヴォルヴの機体の情報を残してくれていたヤマダさんには感謝だな。そしてそれを作り上げた社畜にも。それからオリンポスの人々や多くの使い魔達にも。俺たちがここにいるのはみんなのおかげだ。」
『そう…だね。』
「…なあポチ。俺は幸せ者だな。みんなに助けてもらった。俺一人じゃ何もできなかった。なあポチ、お前だってそうだ。一人で何でもしようとするな。一人でどうにかしようとするな。お前には頼れる仲間がいっぱいいるじゃないか。」
ミチナガは笑った。こんな苦しい時だというのに。なんてやつだ。しかしポチはこんなミチナガだからこそ好きになったのだ。憧れたのだ。みんなに愛されているミチナガを好きになったのだ。
そしてその時、ポチは何かを掴んだような気がした。何かとても簡単なことを掴んだような気がする。そして隣で休んでいるシェフを見てさらに何かを掴んだ。
『ねぇシェフ。僕が助けてって言ったら助けてくれる?』
『急にどうしたんだ?そんなの当たり前だろうが。』
『そっか。そうだね。ここにいるみんなも…助けてくれるかな?』
『何をくだらないことを…当たり前だろ?みんな仲間で…ダチだろ?』
『そっか、ありがと。……ねぇミチナガ。』
「ん?どうした改まって。」
『僕はミチナガみたいになりたかったんだ。弱いけど…みんなが好きで、みんなを大事にしてくれる僕たちのボス。僕たちの王様。僕もなっても良いかな?』
「お前は物好きだな。ああ、好きにしな。それがお前の道だというなら俺は応援するよ。ただしこの道はめんどくさいぞ?」
『その分楽しそうだよ。』
ミチナガとポチは笑った。そしてポチは祈りを始める。力を得るために。そしてその祈りは彼方へと届く。
『能力の獲得の申請を確認。汝何を望む?』
『僕はミチナガのようになりたいです。』
『………弱体化?』
『ちょww酷いなwwwwそうじゃないですよ。』
『ならば何を望む。』
『僕は…僕になりたい。みんなが信頼してくれている。みんなの助けになれるような僕に。そしてみんなに助けられるような僕になりたい。』
『理解不能』
『僕も何言ってるかわからないや。でもね…きっとそういうことなんだと思う。僕は僕なんだ。それ以上でも以下でもない。ミチナガだって誰かになろうとしたわけじゃない。ミチナガはミチナガだ。だから僕は僕だ。僕はミチナガにはなれないんだ。ミチナガが僕になれないように。』
『理解不能。言語の一定化を望む。』
『そうだ。そうなんだ。ああ、やっとわかった。僕は僕だ。この世界で他にいない。僕は僕だ。そして今、みんなは助けを必要としている。だからその助けになれる力が欲しい。』
『強力な力を求める。承認されました。』
『そしてみんなも僕を助けて欲しい。僕だけじゃ力不足だから。』
『…再び理解不能……前項目の承認が取り消されました。このままでは完了できないため、一度能力の申請を終わらせま……申請が届きました。申請が届きました。申請が届きました……』
『僕は僕だ。だけど僕は一人じゃない。みんながいる。僕がみんなの力になるように、みんなも僕の力になってくれる。』
『他の使い魔全てからの申請を確認。信仰度が規定を突破。……あなたの要望を理解しました。要望に沿って能力の獲得を開始…失敗しました。信仰度を利用し、再び能力の獲得を開始します。能力の獲得に成功。さあ、これがあなたの能力です。』
『ありがとうございます。それじゃあ行ってきます。』
『……個体名ポチ。理解していますか?今あなたが受け取った力の意味を。もうあなたは使い魔ではない。』
『ええ、理解しています。だけどこれは…僕だけの力じゃないですから。』
『了解しました。それではいってらっしゃい。』
『はい。いってきます。』
「それはわかったから。はよ離してやんな。ポチも苦しい…って本体じゃないから関係ないのか。」
てい!とシェフにチョップを食らわせるミチナガ。それに驚いたシェフは思わず手を離した。ここは何としてでもポチに新しい力を得てもらう必要がある。しかしミチナガはそれをしなかった。
『ボス!何すんですか!今は…』
「まあまあ。とりあえずシェフは休んでな。それからポチ。」
ビクリと震えるポチ。しかしポチの予想とは裏腹にミチナガはポチのエヴォルヴの頭を撫でてやった。
「大丈夫だよ。大丈夫。」
ニカッと笑うミチナガ。それを見て呆然とするポチの横でミチナガは表情を柔らかくして前を見据えた。
これにはポチとシェフが顔を見合わせて困惑した。特に困惑しているのはポチだ。ポチは他の生物から学んで力を得るタイプ。そしてその許容量は計り知れない。だから言われると思った。簒奪者を学び、その力を自分のものにしろと。
ポチが簒奪者を打倒するためにはそれに近しい力を得る必要がある。そしてそれは簒奪者の力を真似れば済む話である。しかしミチナガはそうは言わなかった。もしかしたら言わずともわかるだろということかとも思ったが、そうではない。
ポチにはミチナガの考えていることがわからなかった。一体何を考えているのか。だがそんなことはどうでも良いからとっととしろという圧を隣で座って休んでいるシェフから感じている。
だがそんなことよりもなぜポチは能力を得ようとしないのか。しかもこんな局面でも頑なに意地を張っている。
しかしその理由はシェフもわかっていた。ポチが憧れているのはただ一人、ミチナガだけだ。ポチはずっとミチナガと一緒にいた。ミチナガのようになりたいとずっと思っていた。
しかしミチナガは弱い。そんな弱いミチナガを模倣すればポチも弱くなってしまう。そうすればミチナガの助けにはならない。ミチナガの力になるためにはミチナガと真逆の道をゆかねばならない。
ポチもそのことはわかっているから何度もそうしようと思った。しかしポチはずっと、ずっとミチナガに憧れていた。なぜかはわからない。そういう言葉では表せない何かがあるのだ。
ミチナガは弱い。商売も正直使い魔達がいたから成り立った。多くの事業も信頼できる友がいたから成り立った。ミチナガ一人ではきっとこの世界に来てすぐに死んでいただろう。ミチナガはそんな男だ。
それはわかっている。わかっているからこそ決断の時だ。ポチはミチナガとは真逆の道を行く。そうすることでこの局面を打破し、ミチナガの力になる。それが最善。皆が喜ぶ最高の結末に
「なあポチ、見てみろよ。みんなすごいなぁ。あんな弱っちかった俺たちが盗んだとはいえ偽の神様相手に大立ち回りだぜ。そこらのモンスターからも逃げ回っていた俺たちがだぞ。」
『う、うん…そうだね。』
「このエヴォルヴの機体の情報を残してくれていたヤマダさんには感謝だな。そしてそれを作り上げた社畜にも。それからオリンポスの人々や多くの使い魔達にも。俺たちがここにいるのはみんなのおかげだ。」
『そう…だね。』
「…なあポチ。俺は幸せ者だな。みんなに助けてもらった。俺一人じゃ何もできなかった。なあポチ、お前だってそうだ。一人で何でもしようとするな。一人でどうにかしようとするな。お前には頼れる仲間がいっぱいいるじゃないか。」
ミチナガは笑った。こんな苦しい時だというのに。なんてやつだ。しかしポチはこんなミチナガだからこそ好きになったのだ。憧れたのだ。みんなに愛されているミチナガを好きになったのだ。
そしてその時、ポチは何かを掴んだような気がした。何かとても簡単なことを掴んだような気がする。そして隣で休んでいるシェフを見てさらに何かを掴んだ。
『ねぇシェフ。僕が助けてって言ったら助けてくれる?』
『急にどうしたんだ?そんなの当たり前だろうが。』
『そっか。そうだね。ここにいるみんなも…助けてくれるかな?』
『何をくだらないことを…当たり前だろ?みんな仲間で…ダチだろ?』
『そっか、ありがと。……ねぇミチナガ。』
「ん?どうした改まって。」
『僕はミチナガみたいになりたかったんだ。弱いけど…みんなが好きで、みんなを大事にしてくれる僕たちのボス。僕たちの王様。僕もなっても良いかな?』
「お前は物好きだな。ああ、好きにしな。それがお前の道だというなら俺は応援するよ。ただしこの道はめんどくさいぞ?」
『その分楽しそうだよ。』
ミチナガとポチは笑った。そしてポチは祈りを始める。力を得るために。そしてその祈りは彼方へと届く。
『能力の獲得の申請を確認。汝何を望む?』
『僕はミチナガのようになりたいです。』
『………弱体化?』
『ちょww酷いなwwwwそうじゃないですよ。』
『ならば何を望む。』
『僕は…僕になりたい。みんなが信頼してくれている。みんなの助けになれるような僕に。そしてみんなに助けられるような僕になりたい。』
『理解不能』
『僕も何言ってるかわからないや。でもね…きっとそういうことなんだと思う。僕は僕なんだ。それ以上でも以下でもない。ミチナガだって誰かになろうとしたわけじゃない。ミチナガはミチナガだ。だから僕は僕だ。僕はミチナガにはなれないんだ。ミチナガが僕になれないように。』
『理解不能。言語の一定化を望む。』
『そうだ。そうなんだ。ああ、やっとわかった。僕は僕だ。この世界で他にいない。僕は僕だ。そして今、みんなは助けを必要としている。だからその助けになれる力が欲しい。』
『強力な力を求める。承認されました。』
『そしてみんなも僕を助けて欲しい。僕だけじゃ力不足だから。』
『…再び理解不能……前項目の承認が取り消されました。このままでは完了できないため、一度能力の申請を終わらせま……申請が届きました。申請が届きました。申請が届きました……』
『僕は僕だ。だけど僕は一人じゃない。みんながいる。僕がみんなの力になるように、みんなも僕の力になってくれる。』
『他の使い魔全てからの申請を確認。信仰度が規定を突破。……あなたの要望を理解しました。要望に沿って能力の獲得を開始…失敗しました。信仰度を利用し、再び能力の獲得を開始します。能力の獲得に成功。さあ、これがあなたの能力です。』
『ありがとうございます。それじゃあ行ってきます。』
『……個体名ポチ。理解していますか?今あなたが受け取った力の意味を。もうあなたは使い魔ではない。』
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