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第532話 北極点
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「さすがに寒くなってきたな…服を用意しておくか。」
航海から数日後、起床したミチナガは艦内の気温が日に日に下がっていることに気がついた。そしてさすがに耐えきれず服を一枚多めに着込む。軍艦内の暖房設備はもう少し拡充した方が良いようだ。
そんなミチナガは朝食を取り始める。連日各国との連絡の取り合いで起床時間が遅く、朝昼兼用になることが多かったが、ひと段落ついた今ならばゆっくりと朝食をとることもできる。
「おお、ミチナガ。今日は早いな。」
「仕事が終わったからな。もう何も気にする必要はない。とはいえ…もう明日には目的地に着くけどな。」
「ついたらすぐに始めるのか?」
「いや、まだ早い。予定は3日後だ。」
そう言って食事をとり終えたミチナガはゆっくりすると言って軍艦内にある風呂へと向かった。ここ最近はゆっくり湯船に浸かることもできなかった。久しぶりにゆっくりと浸かる風呂は格別のようで思わず声が漏れる。
「あ゛~~…これはしみるわぁ…窓から見える景色も格別…いや、軍艦だらけで威圧感すごいな。と言うか軍艦にガラス窓は危険じゃないか?」
浴槽の真横にある巨大なガラス窓からは広大な海と大量の軍艦が見える。すでにこの船団に集まった軍艦は100を軽く超える。ただガラスの強度はたかが知れている。万が一のことを考えればガラス窓を取り付けるべきではない。
『ポチ・窓にはかなりの防御魔法込めているから大丈夫だよ。それに…目には見えないけど金属繊維やらモンスター素材を混ぜ込んであるからヒビは入っても貫通することはまずないよ。』
「それなら安心だぁ~…あ~~やっぱ風呂はいいなぁ…」
安全性を確かめられたミチナガはゆっくりと風呂に浸かり英気を養った。そしてそれから2日後、予定より少し遅くなったが、ミチナガたちは目的地である北極へとたどり着いた。
季節的にはまだ夏のはずだが、気温的には冬に近い。そしてミチナガの目指す北極点に行くためにはこれ以上船で行くことは無理だ。ここからは巨大な氷の大陸を渡らなければならない。
「ここからは装甲車で行こう。全軍艦にはその場で待機するように命じてくれ。」
『ポチ・りょーかい。海氷にぶつからないように少し下がらせておくね。』
「では我々もお供する準備を…」
「いや、イシュディーン。ここからは俺一人で行く。お前たちとはここでお別れだ。」
一人服を着込むミチナガはきっぱりとそう告げた。しかしそれに食い下がろうとするイシュディーン。だがそれをクラウンが止めた。
「ミチナガ頼む…俺たちの思いを…無念を晴らしてくれ……」
「ああ、もちろんだ。クラウン。今後はミチナガ商会の手伝いを頼む。それからイシュディーン…セキヤ国を、みんなを守ってやってくれ。」
「ミチナガ様一体何を…あなたは何をするつもりなのですか?」
「なぁーに…ちょっと野暮用だ。これから…世界を獲ってくる。」
笑顔を見せるミチナガ。そしてものの数分後には魔動装甲車に乗り、北極の氷の上を走り出した。その背後では多くの軍艦と3人の友がその姿を見送っていた。
氷の上を走る魔動装甲車。すでにタイヤからキャタピラに変えられているので氷の上でも何の問題もなく走る。ただ地面と比べると速度はかなり落ちる。
「思えばこいつには世話になったな。一回ドロドロに溶かされたけど。」
『ポチ・一応これはもう7代目なんだよね。改良に改良を加えているから最初に乗っていたものとは別物だよ。』
「そうだとしても…俺にはこいつも大切な相棒なんだよ。」
『ポチ・そうだね。っと、予定時刻まであと24時間切ったよ。途中休憩ないから今のうちにやっておこうか。』
「そういや忘れてたな。それじゃあ頼む。あんまり揺らすなよ?」
魔動装甲車の中で物々しい準備が始める。ミチナガの体に心電図が取り付けられ、体に異常がないか念入りに検査される。
『ヤク・問題ありません。ですが一応この薬を服用してください。世界樹製の薬ですので効果は抜群です。』
『社畜・それじゃあ始めるのである。両腕両足、それから脊髄にも2回ずつ。計10回の注射を行うのである。今飲んだ薬には鎮痛効果もあるのでそこまで痛くはないのである。』
「全部お前らに任せる。さあ…始めてくれ。」
安静にした状態でミチナガに注射が打たれて行く。一本打つごとに事細かに問題がないかチェックされ、10本全て打つのに数時間の時を要した。
『社畜・これで終わりである。しばらくは絶対安静なのである。そのまましばらく寝るのが良いのである。』
「そうか。それじゃあそうさせてもらおう。」
そう言って目を閉じるミチナガ。しかし心臓の脈打つ音がうるさくなかなか寝付けない。だがそれでも3時間も目を閉じていればなんとか眠りにつくことができた。
そして目を覚ますと魔動装甲車は動きを止めていた。どうやら目的の場所にたどり着いたらしい。時間を確認すると10時間以上も眠りについていたことがわかった。
『ポチ・随分ぐっすり眠っていたね。ご飯の準備できているよ。』
「ああ、頼む。随分腹が減っているみたいなんだ。」
ミチナガの言葉通りいつもの倍もの食事をとる。ぐっすり寝て、満足いくまで食事をとったミチナガのコンディションはここ数年で最高だ。そして後は予定の時間まで待機するだけ。
そしてミチナガが予定している時間の十数分前に魔動装甲車の外から音が聞こえた。モンスターの襲撃かとも思ったがそうではない。あらかじめ声をかけておいた2人が集まったのだ。
ミチナガは服を着込むとその二人を迎えにいくために外へと出た。だがあまりの寒さにすぐにでも魔動装甲車の中へ戻ろうとする。しかしすぐに魔道具が起動され、風と寒さが随分と軽減された。
「これならここまで厚着する必要もないかな?お前は上着いるか?イッシン。」
「大丈夫ですよ。それよりも…フェイの方が見ていて寒そうだけど…」
「全然寒くないのだ!なんなら雪合戦するか?」
「…やめておく。勝てる自信がないしな。それよりも来てくれてありがとうな。」
ミチナガがあらかじめ声をかけていた二人とは神剣イッシンと神魔フェイミエラルの二人だ。ここに3人の魔神が集った。後は時間を待つだけだ。
「しかしこんなところに呼び出してなんの用事だ?」
「もしかして戦うのか!?」
「二人相手に戦おうなんてそんなアホなことしないわ。いや…俺とは戦わないが戦いはするか。ちょっとやばい奴が相手でな。二人の力が必要なんだ。多分…このままの3人が集まっても勝てる見込みは低い。」
「へぇ…面白そうだね。」
「おお!戦うのか!!ご飯もいっぱい食べて来たからすっごく戦えるぞ!」
「それは頼もしいな。さて…そろそろ時間かな。」
ミチナガは時間を確認する。そして呼吸を整えると気合を入れた。そしてミチナガは最後の戦いに赴く。
航海から数日後、起床したミチナガは艦内の気温が日に日に下がっていることに気がついた。そしてさすがに耐えきれず服を一枚多めに着込む。軍艦内の暖房設備はもう少し拡充した方が良いようだ。
そんなミチナガは朝食を取り始める。連日各国との連絡の取り合いで起床時間が遅く、朝昼兼用になることが多かったが、ひと段落ついた今ならばゆっくりと朝食をとることもできる。
「おお、ミチナガ。今日は早いな。」
「仕事が終わったからな。もう何も気にする必要はない。とはいえ…もう明日には目的地に着くけどな。」
「ついたらすぐに始めるのか?」
「いや、まだ早い。予定は3日後だ。」
そう言って食事をとり終えたミチナガはゆっくりすると言って軍艦内にある風呂へと向かった。ここ最近はゆっくり湯船に浸かることもできなかった。久しぶりにゆっくりと浸かる風呂は格別のようで思わず声が漏れる。
「あ゛~~…これはしみるわぁ…窓から見える景色も格別…いや、軍艦だらけで威圧感すごいな。と言うか軍艦にガラス窓は危険じゃないか?」
浴槽の真横にある巨大なガラス窓からは広大な海と大量の軍艦が見える。すでにこの船団に集まった軍艦は100を軽く超える。ただガラスの強度はたかが知れている。万が一のことを考えればガラス窓を取り付けるべきではない。
『ポチ・窓にはかなりの防御魔法込めているから大丈夫だよ。それに…目には見えないけど金属繊維やらモンスター素材を混ぜ込んであるからヒビは入っても貫通することはまずないよ。』
「それなら安心だぁ~…あ~~やっぱ風呂はいいなぁ…」
安全性を確かめられたミチナガはゆっくりと風呂に浸かり英気を養った。そしてそれから2日後、予定より少し遅くなったが、ミチナガたちは目的地である北極へとたどり着いた。
季節的にはまだ夏のはずだが、気温的には冬に近い。そしてミチナガの目指す北極点に行くためにはこれ以上船で行くことは無理だ。ここからは巨大な氷の大陸を渡らなければならない。
「ここからは装甲車で行こう。全軍艦にはその場で待機するように命じてくれ。」
『ポチ・りょーかい。海氷にぶつからないように少し下がらせておくね。』
「では我々もお供する準備を…」
「いや、イシュディーン。ここからは俺一人で行く。お前たちとはここでお別れだ。」
一人服を着込むミチナガはきっぱりとそう告げた。しかしそれに食い下がろうとするイシュディーン。だがそれをクラウンが止めた。
「ミチナガ頼む…俺たちの思いを…無念を晴らしてくれ……」
「ああ、もちろんだ。クラウン。今後はミチナガ商会の手伝いを頼む。それからイシュディーン…セキヤ国を、みんなを守ってやってくれ。」
「ミチナガ様一体何を…あなたは何をするつもりなのですか?」
「なぁーに…ちょっと野暮用だ。これから…世界を獲ってくる。」
笑顔を見せるミチナガ。そしてものの数分後には魔動装甲車に乗り、北極の氷の上を走り出した。その背後では多くの軍艦と3人の友がその姿を見送っていた。
氷の上を走る魔動装甲車。すでにタイヤからキャタピラに変えられているので氷の上でも何の問題もなく走る。ただ地面と比べると速度はかなり落ちる。
「思えばこいつには世話になったな。一回ドロドロに溶かされたけど。」
『ポチ・一応これはもう7代目なんだよね。改良に改良を加えているから最初に乗っていたものとは別物だよ。』
「そうだとしても…俺にはこいつも大切な相棒なんだよ。」
『ポチ・そうだね。っと、予定時刻まであと24時間切ったよ。途中休憩ないから今のうちにやっておこうか。』
「そういや忘れてたな。それじゃあ頼む。あんまり揺らすなよ?」
魔動装甲車の中で物々しい準備が始める。ミチナガの体に心電図が取り付けられ、体に異常がないか念入りに検査される。
『ヤク・問題ありません。ですが一応この薬を服用してください。世界樹製の薬ですので効果は抜群です。』
『社畜・それじゃあ始めるのである。両腕両足、それから脊髄にも2回ずつ。計10回の注射を行うのである。今飲んだ薬には鎮痛効果もあるのでそこまで痛くはないのである。』
「全部お前らに任せる。さあ…始めてくれ。」
安静にした状態でミチナガに注射が打たれて行く。一本打つごとに事細かに問題がないかチェックされ、10本全て打つのに数時間の時を要した。
『社畜・これで終わりである。しばらくは絶対安静なのである。そのまましばらく寝るのが良いのである。』
「そうか。それじゃあそうさせてもらおう。」
そう言って目を閉じるミチナガ。しかし心臓の脈打つ音がうるさくなかなか寝付けない。だがそれでも3時間も目を閉じていればなんとか眠りにつくことができた。
そして目を覚ますと魔動装甲車は動きを止めていた。どうやら目的の場所にたどり着いたらしい。時間を確認すると10時間以上も眠りについていたことがわかった。
『ポチ・随分ぐっすり眠っていたね。ご飯の準備できているよ。』
「ああ、頼む。随分腹が減っているみたいなんだ。」
ミチナガの言葉通りいつもの倍もの食事をとる。ぐっすり寝て、満足いくまで食事をとったミチナガのコンディションはここ数年で最高だ。そして後は予定の時間まで待機するだけ。
そしてミチナガが予定している時間の十数分前に魔動装甲車の外から音が聞こえた。モンスターの襲撃かとも思ったがそうではない。あらかじめ声をかけておいた2人が集まったのだ。
ミチナガは服を着込むとその二人を迎えにいくために外へと出た。だがあまりの寒さにすぐにでも魔動装甲車の中へ戻ろうとする。しかしすぐに魔道具が起動され、風と寒さが随分と軽減された。
「これならここまで厚着する必要もないかな?お前は上着いるか?イッシン。」
「大丈夫ですよ。それよりも…フェイの方が見ていて寒そうだけど…」
「全然寒くないのだ!なんなら雪合戦するか?」
「…やめておく。勝てる自信がないしな。それよりも来てくれてありがとうな。」
ミチナガがあらかじめ声をかけていた二人とは神剣イッシンと神魔フェイミエラルの二人だ。ここに3人の魔神が集った。後は時間を待つだけだ。
「しかしこんなところに呼び出してなんの用事だ?」
「もしかして戦うのか!?」
「二人相手に戦おうなんてそんなアホなことしないわ。いや…俺とは戦わないが戦いはするか。ちょっとやばい奴が相手でな。二人の力が必要なんだ。多分…このままの3人が集まっても勝てる見込みは低い。」
「へぇ…面白そうだね。」
「おお!戦うのか!!ご飯もいっぱい食べて来たからすっごく戦えるぞ!」
「それは頼もしいな。さて…そろそろ時間かな。」
ミチナガは時間を確認する。そして呼吸を整えると気合を入れた。そしてミチナガは最後の戦いに赴く。
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