506 / 572
第487話 彼の名は
しおりを挟む
『ヨウ・ヴァルくんが…ピンチ?』
『白之捌拾捌・名縛りとかいうやつで動けなくて…近くで隠れている使い魔もどうして良いかわからなくて…』
突如知らされた予想もしていなかった事態。ヴァルドールが窮地に陥ることなど誰にも予想できなかった。たとえ肉片になろうとも、髪の毛一本になろうとも、そこから数秒もかからずに復活できるような怪物を誰も心配してはいなかった。
この事態は寝耳に水の知らせだ。しかしヴァルドールで対処できないような事態を使い魔たちだけでなんとかできるとは思えない。ヴァルドールの力になれそうなことを思いつかない。
『ヨウ・しっかりしてくれよ…ヴァルくん……君のことをどれだけの人が待っていると思っているんだい。君が死んだらどれだけの人が悲しむと思うんだい。なんとか…なんとかしてくれよ…』
ヨウは身体を震わせながら無力な自分を嘆く。今や親友であるヴァルドールの窮地であるというのに何もできない自分を嘆く。駆けつけて颯爽と助けることもできない自分を恥じる。ヨウができることと言えば遠く離れたこの地から応援することくらいだ。
『ヨウ・応援?いや…だけどそんな都合の良い……でも可能性があるならやろう!』
ヨウは動き出す。孤軍奮闘する親友ヴァルドールのために今できることをする。
ヨウのいる地はヨーデルフイト王国のVMTランド。そこは今や英雄の国や周辺国の避難場所に認定されている。ヴァルドールが周辺に配置しておいた防衛術式はかなりの敵を退けている。十本指による被害が唯一ない場所でもある。
それ故子供達はいまの戦争が起きている事態を知ってはいるが、危険もなく楽しく過ごせている。そんな中で突如アナウンスが流され、子供たちが一つの施設に集められた。
「みんなー!集まってくれてありがとー!!」
司会の女性の声が聞こえると子供達はより一層盛り上がり、声をあげる。子供達にとってこれは突如始まったイベントの一つに過ぎない。しかしこれはヨウにとって緊急の超重要なことなのだ。
「みんな元気いっぱいだね!そんな元気いっぱいのみんなにお願いがあります。いま、世界中で大変なことが起きています。みんなも知っているよね?それでね。そんな中でみんなも大好きなリッキーくんが大変なことになっているみたいなんだ。リッキーくん今ここにはいないよね?今みんなを助けるためにリッキーくんも頑張っているんだ。」
リッキーくんの着ぐるみは基本的にヴァルドールしか着用しない。それは暗黙のルールであり、着ぐるみ自体がヴァルドールの体に合わせて作られているため、当然と言えば当然である。それにリッキーくんの着ぐるみはヴァルドールがツグナオに会いに行くときに着て行っている。
「リッキーくん頑張ってー!」
「そう!みんなでリッキーくんを応援しよう!みんなが応援してくれれば応援してくれるほどリッキーくんも頑張れるんだ!みんな!大きな声で応援して!」
「「「リッキーくん!!」」」
「「「がんばれぇぇ!!」」」
「「「「「リッキーくん負けないでぇ!!!」」」」」
割れんばかりの大歓声。司会の女性ももっともっとと子供達に頑張るように促す。しかし内心焦っている。司会の女性にはヴァルドールの窮地の情報を伝えられている。それなのにこんな悠長なことをしていて良いのか。たかだか声援一つで状況が変わるとは思えない。
しかしそれでも頼まれた仕事をこなす。それが必要だというのだから。そしてヨウはその様子を直接ヴァルドールの元へと届けた。それが唯一の起死回生の方法だと信じて。
『ヨウ・心技体。技術と肉体は十分なものを持っている。あとは心だ。これまでも十分満たされていたとは思うけど、まだ脆い部分が残っている。ヴァルくん。君が本当に心を満ち溢れさせたその時。君なら全てを覆せると信じているよ。』
そして今ヴァルドールの目にはヨウから送られてきた映像が映っている。数多くの子供たちの声援。彼らは必死に応援している。それは誰のためか。それはリッキーくん、そしてヴァルドールのため。
「なんだこのふざけた雑音は。」
「おい、そこの草陰のやつだ。捕らえろ。」
「人間のガキじゃないか。美味そうだ。奴らの血肉を残らずたいらげてやりたい。」
吸血鬼たちは映像に対しそれぞれの反応を示す。そんな中ヴァルドールはその映像に釘付けになっている。そんな中映像の下にテロップが流れる。それはヨウがとっさに付け加えたもの。それはヨウの本音の叫びだ。
『ヴァルくん。君はもう一人じゃない。』
それを見た瞬間、映像は消えた。映像を投影していた使い魔がやられたのだ。しかしヴァルドールに伝えるべきことは全て伝えられた。そしてヴァルドール自身先ほどまでの殺気が消え、闘争心も消え去り、ボロボロのまま笑い出した。
ヴァルドールの目には涙が流れている。笑いながら泣いているのだ。それを見た吸血鬼たちは気が触れたかと思う。そして笑い声が止み、涙を拭き取るとなんとも清々しい表情をしたヴァルドールの姿があった。
「我ながら情けないことだ。頭に血が上り、思考が停止していた。そうだな…ヨウ殿。我はもう一人ではないな。……やめだやめ。我はもう…闘いには飽きた。」
「闘争とは我ら吸血鬼の本能!人間の血を啜り、人間を家畜として扱うのが我らだ。人間どもよりも上に立つ存在が我らだ!我々に従えぬのなら仕方ない。死ね!*****!!」
ヴァルドールの真名により死を命じられる。その効力は凄まじく、不死の怪物であるヴァルドールの心臓が握られていく。心臓を締め付け、徐々に心拍数が下がっていく。か細い蚊のような心音しか聞こえなくなる。
だがその時、ヴァルドールは再び笑い出した。そして心臓の締め付けが消え、心音が戻ってきた。
「馬鹿な!何をした!いや、そんなのは関係ない。何度でも命ずれば良いだけだ。自ら命を絶て!*****!!どうした*****!」
「我の名はそんな名ではない。そんなくだらぬ名で我を呼ぶな。」
「馬鹿な…ありえない。真名は魂に刻まれた名だ!何があろうと変えることはできない!*****!*****!!」
「くだらぬ名で呼ぶな。我が魂の名ならば他にある。」
ヴァルドールの名縛りの術が解けていく。ヴァルドールの唯一の弱点とされていた名縛りの術が崩壊し、吸血鬼たちが真に求めた究極の存在を目の当たりにする。しかしそれはあまりにも予想だにできぬ姿で、あまりにも目の当たりにしたく無い姿であった。
「僕の名前はリッキーくんだよ!」
「「「……………」」」
吸血鬼たちに沈黙が訪れる。そんな中一人テンションを上げたリッキーくんが歩き回る。
『白之捌拾捌・名縛りとかいうやつで動けなくて…近くで隠れている使い魔もどうして良いかわからなくて…』
突如知らされた予想もしていなかった事態。ヴァルドールが窮地に陥ることなど誰にも予想できなかった。たとえ肉片になろうとも、髪の毛一本になろうとも、そこから数秒もかからずに復活できるような怪物を誰も心配してはいなかった。
この事態は寝耳に水の知らせだ。しかしヴァルドールで対処できないような事態を使い魔たちだけでなんとかできるとは思えない。ヴァルドールの力になれそうなことを思いつかない。
『ヨウ・しっかりしてくれよ…ヴァルくん……君のことをどれだけの人が待っていると思っているんだい。君が死んだらどれだけの人が悲しむと思うんだい。なんとか…なんとかしてくれよ…』
ヨウは身体を震わせながら無力な自分を嘆く。今や親友であるヴァルドールの窮地であるというのに何もできない自分を嘆く。駆けつけて颯爽と助けることもできない自分を恥じる。ヨウができることと言えば遠く離れたこの地から応援することくらいだ。
『ヨウ・応援?いや…だけどそんな都合の良い……でも可能性があるならやろう!』
ヨウは動き出す。孤軍奮闘する親友ヴァルドールのために今できることをする。
ヨウのいる地はヨーデルフイト王国のVMTランド。そこは今や英雄の国や周辺国の避難場所に認定されている。ヴァルドールが周辺に配置しておいた防衛術式はかなりの敵を退けている。十本指による被害が唯一ない場所でもある。
それ故子供達はいまの戦争が起きている事態を知ってはいるが、危険もなく楽しく過ごせている。そんな中で突如アナウンスが流され、子供たちが一つの施設に集められた。
「みんなー!集まってくれてありがとー!!」
司会の女性の声が聞こえると子供達はより一層盛り上がり、声をあげる。子供達にとってこれは突如始まったイベントの一つに過ぎない。しかしこれはヨウにとって緊急の超重要なことなのだ。
「みんな元気いっぱいだね!そんな元気いっぱいのみんなにお願いがあります。いま、世界中で大変なことが起きています。みんなも知っているよね?それでね。そんな中でみんなも大好きなリッキーくんが大変なことになっているみたいなんだ。リッキーくん今ここにはいないよね?今みんなを助けるためにリッキーくんも頑張っているんだ。」
リッキーくんの着ぐるみは基本的にヴァルドールしか着用しない。それは暗黙のルールであり、着ぐるみ自体がヴァルドールの体に合わせて作られているため、当然と言えば当然である。それにリッキーくんの着ぐるみはヴァルドールがツグナオに会いに行くときに着て行っている。
「リッキーくん頑張ってー!」
「そう!みんなでリッキーくんを応援しよう!みんなが応援してくれれば応援してくれるほどリッキーくんも頑張れるんだ!みんな!大きな声で応援して!」
「「「リッキーくん!!」」」
「「「がんばれぇぇ!!」」」
「「「「「リッキーくん負けないでぇ!!!」」」」」
割れんばかりの大歓声。司会の女性ももっともっとと子供達に頑張るように促す。しかし内心焦っている。司会の女性にはヴァルドールの窮地の情報を伝えられている。それなのにこんな悠長なことをしていて良いのか。たかだか声援一つで状況が変わるとは思えない。
しかしそれでも頼まれた仕事をこなす。それが必要だというのだから。そしてヨウはその様子を直接ヴァルドールの元へと届けた。それが唯一の起死回生の方法だと信じて。
『ヨウ・心技体。技術と肉体は十分なものを持っている。あとは心だ。これまでも十分満たされていたとは思うけど、まだ脆い部分が残っている。ヴァルくん。君が本当に心を満ち溢れさせたその時。君なら全てを覆せると信じているよ。』
そして今ヴァルドールの目にはヨウから送られてきた映像が映っている。数多くの子供たちの声援。彼らは必死に応援している。それは誰のためか。それはリッキーくん、そしてヴァルドールのため。
「なんだこのふざけた雑音は。」
「おい、そこの草陰のやつだ。捕らえろ。」
「人間のガキじゃないか。美味そうだ。奴らの血肉を残らずたいらげてやりたい。」
吸血鬼たちは映像に対しそれぞれの反応を示す。そんな中ヴァルドールはその映像に釘付けになっている。そんな中映像の下にテロップが流れる。それはヨウがとっさに付け加えたもの。それはヨウの本音の叫びだ。
『ヴァルくん。君はもう一人じゃない。』
それを見た瞬間、映像は消えた。映像を投影していた使い魔がやられたのだ。しかしヴァルドールに伝えるべきことは全て伝えられた。そしてヴァルドール自身先ほどまでの殺気が消え、闘争心も消え去り、ボロボロのまま笑い出した。
ヴァルドールの目には涙が流れている。笑いながら泣いているのだ。それを見た吸血鬼たちは気が触れたかと思う。そして笑い声が止み、涙を拭き取るとなんとも清々しい表情をしたヴァルドールの姿があった。
「我ながら情けないことだ。頭に血が上り、思考が停止していた。そうだな…ヨウ殿。我はもう一人ではないな。……やめだやめ。我はもう…闘いには飽きた。」
「闘争とは我ら吸血鬼の本能!人間の血を啜り、人間を家畜として扱うのが我らだ。人間どもよりも上に立つ存在が我らだ!我々に従えぬのなら仕方ない。死ね!*****!!」
ヴァルドールの真名により死を命じられる。その効力は凄まじく、不死の怪物であるヴァルドールの心臓が握られていく。心臓を締め付け、徐々に心拍数が下がっていく。か細い蚊のような心音しか聞こえなくなる。
だがその時、ヴァルドールは再び笑い出した。そして心臓の締め付けが消え、心音が戻ってきた。
「馬鹿な!何をした!いや、そんなのは関係ない。何度でも命ずれば良いだけだ。自ら命を絶て!*****!!どうした*****!」
「我の名はそんな名ではない。そんなくだらぬ名で我を呼ぶな。」
「馬鹿な…ありえない。真名は魂に刻まれた名だ!何があろうと変えることはできない!*****!*****!!」
「くだらぬ名で呼ぶな。我が魂の名ならば他にある。」
ヴァルドールの名縛りの術が解けていく。ヴァルドールの唯一の弱点とされていた名縛りの術が崩壊し、吸血鬼たちが真に求めた究極の存在を目の当たりにする。しかしそれはあまりにも予想だにできぬ姿で、あまりにも目の当たりにしたく無い姿であった。
「僕の名前はリッキーくんだよ!」
「「「……………」」」
吸血鬼たちに沈黙が訪れる。そんな中一人テンションを上げたリッキーくんが歩き回る。
10
お気に入りに追加
545
あなたにおすすめの小説
ボッチはハズレスキル『状態異常倍加』の使い手
Outlook!
ファンタジー
経緯は朝活動始まる一分前、それは突然起こった。床が突如、眩い光が輝き始め、輝きが膨大になった瞬間、俺を含めて30人のクラスメイト達がどこか知らない所に寝かされていた。
俺達はその後、いかにも王様っぽいひとに出会い、「七つの剣を探してほしい」と言われた。皆最初は否定してたが、俺はこの世界に残りたいがために今まで閉じていた口を開いた。
そしてステータスを確認するときに、俺は驚愕する他なかった。
理由は簡単、皆の授かった固有スキルには強スキルがあるのに対して、俺が授かったのはバットスキルにも程がある、状態異常倍加だったからだ。
※不定期更新です。ゆっくりと投稿していこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。
カクヨム、小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる