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第233話 西のエルフからの感謝
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「まあまあまあミチナガ様、もう一杯どうぞ。」
「ああ、これはどうも族長様。」
あれから3日後、この西のエルフの国では毎日宴会騒ぎだ。国中がお祭りムードで球樹の復活を喜んでいる。まあ復活というよりかは変貌といったほうが正しい気もするのだが、そんな些細な問題はどうでも良い。とにかく騒ぎたおしたいのだ。
そしてこの状況を引き起こしたミチナガはもうこの国の王なんじゃないかと思うほどの歓待だ。この国の国民すべてがミチナガの元まで赴き挨拶をしている。ミチナガは挨拶疲れでヘトヘトであるが、それでも一言お礼を言いたいというエルフは後をたたない。
「長らくお付き合いさせてしまい申し訳ありません。どうしてもという者達が後をたたず……しかし先ほどのものでどうやら最後ですのでこれでゆっくりできると思います。それから我らの命の恩人であるミチナガ様になんとかお礼をしたいと…」
「も、もう十分ですよ。うちの国と貿易協定を結ぶどころか同盟まで結んでいただきましたし。それにこの国で商会を立ち上げることまで許していただきました。これ以上を望むというのは…」
「何をおっしゃいますか。この程度はお礼のうちにも入りません。ちゃんとしたお礼がしたいのです。そうでなければ私が皆から責められることになるでしょう。」
そういうと族長は人を呼び大量の木材を運んで来た。どれも形は様々で建材には使えないだろう。正直見た目からして、ただの薪にしか見えないのだが、部屋の中まで運ばれてくると何かほのかに良い香りがしはじめた。
「これはこの国に伝わる香木でございます。火をつけて香りを楽しむものでこの国では最高の娯楽になります。是非ともお喜びいただければと。」
「こ、これが全て香木ですか。聞いたことはありましたが現物を見るのは初めてです。これは貴重なものを…大切に使わせていただきます。」
香木。その名の通り香りのする木のことだが、最上級の伽羅という香木は1gで数万円の価値がある。とても貴重なものでその入手は困難だ。この世界ではまだ香木というもの自体あまり広まっていないため、その価値はわからないがうまく利用すればかなりの稼ぎになる。
余談ではあるが時折海岸などで香木が漂着物として見つかることがある。うまくいけば拾った香木で家が建つ、なんてこともありえるかもしれない。
そんな香木を大量に貰ったミチナガはどうやってお金に変えようかということで頭がいっぱいである。ミチナガ自身が使うということも考えたが、アロマ趣味はないので特に興味はないのだろう。
香木を嬉しそうに受け取ってくれたミチナガを見たエルフ達も恩返しができたと喜んでいる。これでミチナガに対するお礼の話はお終い、と思ったその時、数人のエルフの子供達がやって来た。ドロドロな子供達は大事そうに何かを抱えている。
しかし大人達はそんな子供達のことを、ミチナガを汚したらいけないと思い追い払おうとする。だがその前にミチナガは子供達を見るとすぐに、子供達へと近づき腰を下ろして目線を合わせた。そして穏やかな表情で子供達と会話を始めた。
「あの!僕たちお礼がしたくて…これ!山の中で取れたんです!とっても美味しいからきっと喜んでくれると思って……その…」
「ありがとう。随分と長くて大きいね。これを掘り起こすのは大変だったでしょ。」
「うん!みんなで頑張ったんです!折らずに採るのは大変だけど喜んでもらえたらって頑張ったんです!」
「そっか。こんなに立派な自然薯を見たのは初めてだ。俺はこの自然薯が大好きなんだよ。今から食べてもいいかい?」
子供達が大切に持って来たもの。それは自然薯だ。山芋の一種であるが自然薯は日本にしかない、日本固有種だ。一般的に出回る山芋は中国から渡来して来たもので栽培のしやすさや、大きさなどの理由から日本で大きく普及している。
しかし自然薯の美味しさはそんな山芋とはまるで比べ物にならない。自然薯のとろろご飯は高級料亭で出されるほどだ。近年畑で栽培することが可能になったが、かつては一本掘り出すのに1時間以上かけるほど手間がかかった。
エルフ達の話を聞くとすりおろしたものを鍋に入れて食べるのが一般的らしいがミチナガは生で食べたい。芋を生で食べるということを聞いたエルフ達はあまり良い顔をしなかった。なぜそんなことを思うのかと不思議に思うが、考えてみれば生で食べる芋など山芋くらいなものだ。
ミチナガはすぐにシェフに麦飯を炊くように指示を出して、自身は自然薯を綺麗に洗い、ひげ根を火であぶる。これで下準備は完了だ。下準備を終えた自然薯をすり鉢でゆっくりとおろす。すり鉢で細かく細かくおろしていくことでより粘り気が増すのだ。
すりおろした自然薯をさらにすりこぎで練っていく。手間はかかるが、せっかくの自然薯をより美味しくするためにミチナガは努力を惜しまない。練った自然薯にシェフ特製のタレを入れて混ぜ合わせ、それを麦飯の上にかける。極上のとろろご飯の完成だ。
「や、やばぁ…これは…うっまぁ…最高だわ。麦飯お代わり。これ何杯でもいける。」
「そ、そんなにお好きなのですか?先ほどの香木の時よりも……」
「あ、す、すみません。その…元々庶民の出なのでこういったものが大好きなんです。それにこれは本当に美味しいですよ?」
元々庶民の出、なんと便利な言葉なのだろう。いざという時はこの言葉を出せばなんでもうまくいく気がするほど便利な言葉だ。しかしこのとろろご飯は先ほどの香木よりもミチナガにとっては嬉しいものだ。そしてミチナガが非常に喜んでいる姿を見て子供達も喜んでいる。
ミチナガのとろろご飯のお代わりは何度も続き、とろろが全て無くなるまで続いた。ミチナガの表情は非常に満足そうでありつつももう少し食べたいというもの欲しさが滲み出ている。
「まさかそこまでこの芋がお好きだったとは…明日にでも村の者に言って採らせましょう。」
「いえいえそんな大変なことをさせるわけには…2~3本で十分です。」
そこまでしなくても良いと言うつもりであったが、この自然薯の美味しさにやられた。それに自然薯が2~3本も入手できれば使い魔達が増やしてくれそうだ。ミチナガはこれから定期的に自然薯が食べられそうだと口元がニヤついている。
翌日、ミチナガは子供達に連れられ国中を案内させられている。この国についてからと言うもの行動に制限がかけられたままだったのでこうしてこの国を探索するのは初めてだ。子供達はミチナガを右に左にと連れ回しているが、ミチナガは満足そうだ。
子供達の視点というのは大人とは違い独特で面白い。子供達の秘密基地や綺麗な川の水が湧く場所、この国の中で一番景色が良い場所など実に楽しい時間を過ごした。すると子供達は怖い場所に連れていくと言い、一軒の怪しい店まで連れて来た。
「ここには意地悪な魔女が住んでいるんだ。風邪をひくといっつも苦い薬ばかり飲ませるの。本当は味変えられるのにしてくんないんだ。」
「へぇ、薬師の店か。ちょっと覗いてってもいいか?」
「えぇ~…良いけど…あのババア話長いんだもん。じゃあ僕たち一回家に戻ってご飯食べてくる。また後で案内するね。」
そういうと子供達は家に帰っていった。子供達と別れたミチナガは薬師のいる建物の中に入っていく。中に入ると鼻につくような様々な匂いがそこら中から漂ってくる。薬品や薬草の匂いなのだろうが、これだけ混ざり合うとただの刺激臭だ。
「こんな時間に誰だい?…おや、あんたはミチナガ様じゃないか。こんなところにどうしたんだい?病気かい?怪我かい?」
「いえ、単純に興味を持ちまして…少し見させてもらっても良いですか?」
「構やしないよ、いくらでも見ていっておくれ。ああ、どうせなら色々持って来てあげよう。」
そういうと薬師の老婆は奥の部屋から様々な液体を運んで来た。そして一つ一つ説明を始めてしまった。子供達が言う通り話が長くなりそうだ。
「この緑色のポーションは植物系の毒に対してよく効く解毒剤だよ。神経毒ならすぐに治る。こっちの紫色のは動物系、モンスター系の毒によく効くね。融解毒に効果てき面だよ。ただ体が溶ける前に使う必要があるから鎧なんかに染み込ませておくと良い。こっちは普通のポーション。怪我なんかにはバッチリだよ。良いポーションは青水晶のように透き通った綺麗な青になる。」
「へぇ~…こんなに綺麗なポーションは初めて見ました。よく見るのは油絵の絵の具のようなべっとりとした粘性のあるポーションだったので。」
「簡単に作れるのはそんなのだよ。だけどそれはまだ余分な成分が多く入っている。余分なものを取り除いていけば…このくらい綺麗なポーションが出来上がる。よかったら作るとこ見ていくかい?」
「それは嬉しいです。是非ともお願いします。」
老婆は満足そうにミチナガを奥へ案内する。そしてすぐポーション作成が始まる。そこにはこのエルフの国独自に進化した製薬技術の全てがあった。これには使い魔のヤクも興味津々だ。このポーション作成は英雄の国にもない技術で行われている。
正直見るだけでは何が何だかわからない。特殊な魔道具がいくつも点在しており、それを用いることでポーションはどんどん変質していく。そして30分ほど経った頃に、先ほど見せられた青水晶のような透き通る綺麗なポーションが完成した。
「お見事です。これほどのものを見られるとは…良い経験をさせていただきました。」
『ヤク・誠に見事な腕前!このヤク、感服しました!是非とも私を弟子にしてください!!』
「おや、なんだか可愛らしい子がいるじゃないか。弟子になりたいのかい?いいよ、その代わりこのばばあの話し相手になってもらうからね。」
ヤクはそんなことならお安い御用だと老婆の条件を飲む。こうしてヤクは老婆の元へ弟子入りした。現在、ミチナガ商会は質の良いポーション作成ができないため、ポーションに関しては外部から委託された分のみを販売していた。しかし今後はミチナガ商会のポーション産業参入も夢ではなさそうだ。
「ああ、これはどうも族長様。」
あれから3日後、この西のエルフの国では毎日宴会騒ぎだ。国中がお祭りムードで球樹の復活を喜んでいる。まあ復活というよりかは変貌といったほうが正しい気もするのだが、そんな些細な問題はどうでも良い。とにかく騒ぎたおしたいのだ。
そしてこの状況を引き起こしたミチナガはもうこの国の王なんじゃないかと思うほどの歓待だ。この国の国民すべてがミチナガの元まで赴き挨拶をしている。ミチナガは挨拶疲れでヘトヘトであるが、それでも一言お礼を言いたいというエルフは後をたたない。
「長らくお付き合いさせてしまい申し訳ありません。どうしてもという者達が後をたたず……しかし先ほどのものでどうやら最後ですのでこれでゆっくりできると思います。それから我らの命の恩人であるミチナガ様になんとかお礼をしたいと…」
「も、もう十分ですよ。うちの国と貿易協定を結ぶどころか同盟まで結んでいただきましたし。それにこの国で商会を立ち上げることまで許していただきました。これ以上を望むというのは…」
「何をおっしゃいますか。この程度はお礼のうちにも入りません。ちゃんとしたお礼がしたいのです。そうでなければ私が皆から責められることになるでしょう。」
そういうと族長は人を呼び大量の木材を運んで来た。どれも形は様々で建材には使えないだろう。正直見た目からして、ただの薪にしか見えないのだが、部屋の中まで運ばれてくると何かほのかに良い香りがしはじめた。
「これはこの国に伝わる香木でございます。火をつけて香りを楽しむものでこの国では最高の娯楽になります。是非ともお喜びいただければと。」
「こ、これが全て香木ですか。聞いたことはありましたが現物を見るのは初めてです。これは貴重なものを…大切に使わせていただきます。」
香木。その名の通り香りのする木のことだが、最上級の伽羅という香木は1gで数万円の価値がある。とても貴重なものでその入手は困難だ。この世界ではまだ香木というもの自体あまり広まっていないため、その価値はわからないがうまく利用すればかなりの稼ぎになる。
余談ではあるが時折海岸などで香木が漂着物として見つかることがある。うまくいけば拾った香木で家が建つ、なんてこともありえるかもしれない。
そんな香木を大量に貰ったミチナガはどうやってお金に変えようかということで頭がいっぱいである。ミチナガ自身が使うということも考えたが、アロマ趣味はないので特に興味はないのだろう。
香木を嬉しそうに受け取ってくれたミチナガを見たエルフ達も恩返しができたと喜んでいる。これでミチナガに対するお礼の話はお終い、と思ったその時、数人のエルフの子供達がやって来た。ドロドロな子供達は大事そうに何かを抱えている。
しかし大人達はそんな子供達のことを、ミチナガを汚したらいけないと思い追い払おうとする。だがその前にミチナガは子供達を見るとすぐに、子供達へと近づき腰を下ろして目線を合わせた。そして穏やかな表情で子供達と会話を始めた。
「あの!僕たちお礼がしたくて…これ!山の中で取れたんです!とっても美味しいからきっと喜んでくれると思って……その…」
「ありがとう。随分と長くて大きいね。これを掘り起こすのは大変だったでしょ。」
「うん!みんなで頑張ったんです!折らずに採るのは大変だけど喜んでもらえたらって頑張ったんです!」
「そっか。こんなに立派な自然薯を見たのは初めてだ。俺はこの自然薯が大好きなんだよ。今から食べてもいいかい?」
子供達が大切に持って来たもの。それは自然薯だ。山芋の一種であるが自然薯は日本にしかない、日本固有種だ。一般的に出回る山芋は中国から渡来して来たもので栽培のしやすさや、大きさなどの理由から日本で大きく普及している。
しかし自然薯の美味しさはそんな山芋とはまるで比べ物にならない。自然薯のとろろご飯は高級料亭で出されるほどだ。近年畑で栽培することが可能になったが、かつては一本掘り出すのに1時間以上かけるほど手間がかかった。
エルフ達の話を聞くとすりおろしたものを鍋に入れて食べるのが一般的らしいがミチナガは生で食べたい。芋を生で食べるということを聞いたエルフ達はあまり良い顔をしなかった。なぜそんなことを思うのかと不思議に思うが、考えてみれば生で食べる芋など山芋くらいなものだ。
ミチナガはすぐにシェフに麦飯を炊くように指示を出して、自身は自然薯を綺麗に洗い、ひげ根を火であぶる。これで下準備は完了だ。下準備を終えた自然薯をすり鉢でゆっくりとおろす。すり鉢で細かく細かくおろしていくことでより粘り気が増すのだ。
すりおろした自然薯をさらにすりこぎで練っていく。手間はかかるが、せっかくの自然薯をより美味しくするためにミチナガは努力を惜しまない。練った自然薯にシェフ特製のタレを入れて混ぜ合わせ、それを麦飯の上にかける。極上のとろろご飯の完成だ。
「や、やばぁ…これは…うっまぁ…最高だわ。麦飯お代わり。これ何杯でもいける。」
「そ、そんなにお好きなのですか?先ほどの香木の時よりも……」
「あ、す、すみません。その…元々庶民の出なのでこういったものが大好きなんです。それにこれは本当に美味しいですよ?」
元々庶民の出、なんと便利な言葉なのだろう。いざという時はこの言葉を出せばなんでもうまくいく気がするほど便利な言葉だ。しかしこのとろろご飯は先ほどの香木よりもミチナガにとっては嬉しいものだ。そしてミチナガが非常に喜んでいる姿を見て子供達も喜んでいる。
ミチナガのとろろご飯のお代わりは何度も続き、とろろが全て無くなるまで続いた。ミチナガの表情は非常に満足そうでありつつももう少し食べたいというもの欲しさが滲み出ている。
「まさかそこまでこの芋がお好きだったとは…明日にでも村の者に言って採らせましょう。」
「いえいえそんな大変なことをさせるわけには…2~3本で十分です。」
そこまでしなくても良いと言うつもりであったが、この自然薯の美味しさにやられた。それに自然薯が2~3本も入手できれば使い魔達が増やしてくれそうだ。ミチナガはこれから定期的に自然薯が食べられそうだと口元がニヤついている。
翌日、ミチナガは子供達に連れられ国中を案内させられている。この国についてからと言うもの行動に制限がかけられたままだったのでこうしてこの国を探索するのは初めてだ。子供達はミチナガを右に左にと連れ回しているが、ミチナガは満足そうだ。
子供達の視点というのは大人とは違い独特で面白い。子供達の秘密基地や綺麗な川の水が湧く場所、この国の中で一番景色が良い場所など実に楽しい時間を過ごした。すると子供達は怖い場所に連れていくと言い、一軒の怪しい店まで連れて来た。
「ここには意地悪な魔女が住んでいるんだ。風邪をひくといっつも苦い薬ばかり飲ませるの。本当は味変えられるのにしてくんないんだ。」
「へぇ、薬師の店か。ちょっと覗いてってもいいか?」
「えぇ~…良いけど…あのババア話長いんだもん。じゃあ僕たち一回家に戻ってご飯食べてくる。また後で案内するね。」
そういうと子供達は家に帰っていった。子供達と別れたミチナガは薬師のいる建物の中に入っていく。中に入ると鼻につくような様々な匂いがそこら中から漂ってくる。薬品や薬草の匂いなのだろうが、これだけ混ざり合うとただの刺激臭だ。
「こんな時間に誰だい?…おや、あんたはミチナガ様じゃないか。こんなところにどうしたんだい?病気かい?怪我かい?」
「いえ、単純に興味を持ちまして…少し見させてもらっても良いですか?」
「構やしないよ、いくらでも見ていっておくれ。ああ、どうせなら色々持って来てあげよう。」
そういうと薬師の老婆は奥の部屋から様々な液体を運んで来た。そして一つ一つ説明を始めてしまった。子供達が言う通り話が長くなりそうだ。
「この緑色のポーションは植物系の毒に対してよく効く解毒剤だよ。神経毒ならすぐに治る。こっちの紫色のは動物系、モンスター系の毒によく効くね。融解毒に効果てき面だよ。ただ体が溶ける前に使う必要があるから鎧なんかに染み込ませておくと良い。こっちは普通のポーション。怪我なんかにはバッチリだよ。良いポーションは青水晶のように透き通った綺麗な青になる。」
「へぇ~…こんなに綺麗なポーションは初めて見ました。よく見るのは油絵の絵の具のようなべっとりとした粘性のあるポーションだったので。」
「簡単に作れるのはそんなのだよ。だけどそれはまだ余分な成分が多く入っている。余分なものを取り除いていけば…このくらい綺麗なポーションが出来上がる。よかったら作るとこ見ていくかい?」
「それは嬉しいです。是非ともお願いします。」
老婆は満足そうにミチナガを奥へ案内する。そしてすぐポーション作成が始まる。そこにはこのエルフの国独自に進化した製薬技術の全てがあった。これには使い魔のヤクも興味津々だ。このポーション作成は英雄の国にもない技術で行われている。
正直見るだけでは何が何だかわからない。特殊な魔道具がいくつも点在しており、それを用いることでポーションはどんどん変質していく。そして30分ほど経った頃に、先ほど見せられた青水晶のような透き通る綺麗なポーションが完成した。
「お見事です。これほどのものを見られるとは…良い経験をさせていただきました。」
『ヤク・誠に見事な腕前!このヤク、感服しました!是非とも私を弟子にしてください!!』
「おや、なんだか可愛らしい子がいるじゃないか。弟子になりたいのかい?いいよ、その代わりこのばばあの話し相手になってもらうからね。」
ヤクはそんなことならお安い御用だと老婆の条件を飲む。こうしてヤクは老婆の元へ弟子入りした。現在、ミチナガ商会は質の良いポーション作成ができないため、ポーションに関しては外部から委託された分のみを販売していた。しかし今後はミチナガ商会のポーション産業参入も夢ではなさそうだ。
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