222 / 572
第215話 使い魔とモデル産業の始まり
しおりを挟む
「あ、店長!お疲れ様です!」
『ムーン#1・そっちこそお疲れの様子だねメリア。少し休まないと体壊すよ。』
「な、なんだか毎日楽しくて…それにこんな研究所兼工場まで建ててもらったのに不甲斐ないことなんてできなくて…」
ここはアンドリュー子爵の領地にあるミチナガ商会の化粧品研究所兼工場。随分前から工場建設を始めており、現在60%まで完成している。すでに建設費だけで金貨1億枚をかけている超ビッグプロジェクトだ。
最新の魔道具や機密情報の保護のために様々な防衛魔法を組み込んでいる。この辺りは英雄の国の研究所を参考にさせてもらった。ミチナガ商会の化粧品関連は全てこの研究所で作られている。情報が漏洩すればなかなかの痛手となるため、機密保持に余念はない。
ちなみにメリアはすでにこの研究所と工場の主任を任せられている。部下も数十人いるほどの出世っぷりだ。もうメリア無しにミチナガ商会の化粧品産業は成り立たない。今日も数十種類の化粧品の試作品が完成している。
その1次チェックはメリアの部下たちに任せているが、最終チェックはメリアが行なっている。ちなみに許可が出るのは1%以下の確率だ。ムーンによって妥協は許さないという感覚がメリアに深く根付いている。
「それで店長はどんなご用件ですか?」
『ムーン#1・うん、実は新しい事業を立ち上げるんだ。そこにメリアの力を借りたい。基本的なことは他に任せられる人を育てるつもりだけど間違いなくメリアは関わる。これが書類ね。確認してみて。』
「拝見します。……モデル業ですか。化粧品と服飾の宣伝が目的…映像産業も巻き込んで……すごい。こ、これすごいです店長!ビックプロジェクトじゃないですか!わ、私も関わっていいんですか?」
『ムーン#1・もちろん。むしろ関わらないと成り立たないでしょ。それから部下も数人貸して欲しい。研究所にこもっての研究も大切だけど実地研修も間違いなく役立つでしょ。使えそうな人いる?』
そういうとメリアはどこからか一冊の本を持ってくる。それはこの研究所で働いている従業員全員の名簿だ。そこには事細かに従業員一人一人の能力や普段の行動が書き連ねてある。メリアはそれを見ながら自身の記憶を呼び起こし、役立ちそうな人材を選ぶ。
すぐに十数人を選抜し、呼び出して面接をする。呼び出されたものたちは全員突然のことで緊張して固まっている。中にはクビになるのではと泣き出すものまでいる。しかしそんなことは御構い無しに面接を行い、6人を選抜した。
「まず初めに言っておきます。クビなどではないので落ち着いてください。いい加減泣き止むように。あなたたち6人には新しい事業のために移動してもらいます。そこ、表情を変えない。左遷ではありません。資料があるから全員それを読みなさい。」
メリアは使い魔たちと会っている時とは全く口調が違う。上に立つものらしい堂々とした振る舞いだ。ただ集められた6人のなんとも情けない表情に少し不安げでもある。
6人が書類に目を通している最中もどんどんメリアは説明していく。この事業がどれだけ今後の化粧品産業に関わってくるか、失敗は許されないどれだけ大事な事業であるか。
その一通りの説明を聞いた面々は目の色を輝かせ始める。自分の腕にこの先の化粧品産業の未来が関わっていると知り、不安に陥るものもいる。しかしそれでもやりがいは間違いなくある。
「私からの説明はここまで。ここからは直属の上司となる方々を紹介するわ。それではお願いします。」
『メイ・初めまして。メイク担当のメイです。それからこっちも…』
『メーク・同じくメイク担当のメーク。人手が必要になるのでメイク担当はこの二人になります。』
『ヘア・ヘアスタイリスト担当のヘア。よろしくね。』
『デザ・服飾担当のデザ。誰かしら常にアシスタントについてもらう予定だからよろしく。』
『カメ・アシスタント兼カメラマンのカメです。カメさんって呼んでね。』
突如現れ、直属の上司と紹介されたのが使い魔ということで全員驚きを隠せない。中には笑いそうになるものまでいるが、そこはメリアが目で睨みを効かせる。実はここで働いている人間は使い魔をみたことがほとんどないのだ。
「どう思ったのかはあえて聞きません。しかし言っておきますが彼らはあなたたちよりも優秀です。私の上司も彼らと同じです。失礼なことをすると…私は庇えません。そういう立ち位置にいると知っておきなさい。以上です。ではあとはお願いします。」
選抜された6人はメリアの上司なんて存在すると思ってもいなかった。尊敬する上司の上司となれば6人は動揺と緊張でもう思考回路がおかしなことになる。しかし使い魔たちはそんな彼らを見てすぐに行動に移す。
『メイ・それじゃあとりあえずご飯行こっか。お昼近いしちょうど良いよね。』
「こ、ここってミチナガ商会が最近始めた海の魚を食べられるっていう高級料亭…一食金貨数枚は当たり前っていうところだよな……」
『カメ・ほらほら、早く入って。席はとってあるからすぐに入れるよ。』
メイたちは6人の従業員をミチナガ海鮮料亭へ連れてきていた。まだ先月オープンしたばかりだが、毎日満席になるほどの人気だ。この辺りでは絶対に手に入らない海の幸をふんだんに使った料理を提供する唯一の店ということで周辺の貴族たちはこぞってやってくる。
しかしミチナガ商会の高級路線の料亭だというのに一般庶民もやってくる。値段は高いが、味と品質はミチナガ商会ならば保証できるということで夫婦の記念日などでやってくるのだ。もちろんやってきた客は全員満足して帰って行く。
すでにこのあたりの国や町では人生で一度は食べに行きたい店と思われるようになった、そんな誰もが憧れるこの店をなんとも気軽に連れてきてもらえたことに6人は大いに喜ぶ。店に入るといきなり正面に巨大水槽が現れ、その中で幾種類もの海の魚が泳いでいる。
そんな圧巻の光景に度肝を抜かれていると使い魔たちはどんどん先へ進んで行く。置いて行かれないようについて行くと、案内された部屋は貴族専用の特別室だ。そこの壁一面はまた巨大水槽で食用ではない幾種類もの色鮮やかな魚たちが泳ぎ回っている。
この光景に圧倒され続けながらもなんとか席に座るとすぐに注文を入れるのだが、どうしたら良いのかわからない。おどおどしている6人を見ながら使い魔たちは勝手に注文を行ってしまう。
『メイ・今日は美味しいやつ何が入ってる?』
「はい、本日はクリスタルロブスターとクイーンサーモンが入っております。」
『ヘア・お、いいの入ってるじゃん。じゃあそれお願いしちゃおうよ。』
『デザ・飲み物は白ワインにしようかなぁ…日本酒もいいなぁ…面倒だしどっちもボトルでもらおうか。シェフさんに料理に合うオススメのやつ選んでもらって。みんなもそれでいいよね?』
「え!あ…それでお願いします。」
ある程度おまかせで注文すると続々と料理が届く。どれもこれも普段食べることのできない料理ばかりだ。そんなものを食べるとなると緊張で味もわからなくなる。しかし使い魔たちの無礼講な話し方と接し方、それにお酒も入ったことで6人は徐々に緊張がほぐれ、和やかなムードになってきた。
『カメ・いやぁ…楽しくなってきたね。料理もまだまだあるからどんどん食べてね。お残し厳禁だよ。』
「はい!どんどん食べます!それにしても本当に美味しいですねぇ…」
『デザ・まあミチナガ商会の専属料理人が作ってくれているから。シェフさんっていうんだけど、この店の料理人が育つまではここで働いているんだよ。シェフさんがいる間だからこそ食べられる料理だからしっかり堪能しな。』
「ありがとうございます。しかし…こんなに良い思いをさせてもらっても良いんですか?」
『カメ・今日は顔合わせだからね。みんなで打ち解けることで仕事もうまく行くようになるから。それに今回やるモデル事業にはこういった料理店も関わってくる。例えば美味しい料理を出すお店の女性店員を対象にして撮影を行えば、化粧と衣装のPRの他に料理店のPRにもなる。』
『ヘア・料理店のPRをすれば料理店に通っている人たちも映像を見てくれる可能性がある。さらに映像に人気が出てくればお金を払ってうちに撮影依頼をしてくる店も出てくる。まあうちで取り扱うのはあくまでちゃんとしたお店だけだ。料理のまずい店を紹介すればうちにも悪影響が出る。みんなには今後、店の選定なんかも頼むからね。美味しいものを覚えてもらわないと。』
『メーク・料理店だけじゃないよ。骨董品や魔道具を取り扱う店なんかでも撮影をする。それこそ観光名所で撮影なんかもね。幅広くやらなくちゃダメ。それから専属モデルも雇って行く予定だよ。まあまだ候補もいないんだけどね。』
『メイ・君たちのこれからの仕事は現場での顧客からの情報の収集。研究室ではわからない現場での生の意見だ。そういった意見から有用なものをまとめて研究所に送って商品開発のさらなる向上を促す。君たちが育ってきたら君たち一人一人に部下をつけて組織を大きくする。頑張ってくれよ。』
「「「はい!よろしくお願いします!!」」」
実に元気の良い返事だ。まあそれもそのはずだ。なんせ彼らは今後のミチナガ商会モデル産業の幹部候補なのだ。彼ら自身そのことには十分気がついている。かなりの重役だが、それだけ期待されていると思えば嬉しいものだ。
その後もやりたい放題に飲んで食べて騒ぎまくる。使い魔たちの大盤振る舞いだ。しかしそんなこと、ミチナガはもちろん他の使い魔たちが許すはずもない。酔いが冷めた頃にはメイたち使い魔5人はシェフの眷属によって正座させられていた。
『シェフ#3・それで?飲み食いだけで金貨200枚超えているんだけど。ちょっとやりすぎじゃないかな?どう思う?』
『メイ・こ、これも従業員と打ち解けるためで…立派な仕事と言いますか……』
『メーク・あ、遊んでいたわけじゃないんですよ。仕事なんです。だから……ね?経費で落ちますよね?』
『シェフ#3・落ちるわけないでしょうが。しばらくおやつ抜き。雑用も増やすからね。』
『カメ・そ、そんなぁ……』
『ムーン#1・そっちこそお疲れの様子だねメリア。少し休まないと体壊すよ。』
「な、なんだか毎日楽しくて…それにこんな研究所兼工場まで建ててもらったのに不甲斐ないことなんてできなくて…」
ここはアンドリュー子爵の領地にあるミチナガ商会の化粧品研究所兼工場。随分前から工場建設を始めており、現在60%まで完成している。すでに建設費だけで金貨1億枚をかけている超ビッグプロジェクトだ。
最新の魔道具や機密情報の保護のために様々な防衛魔法を組み込んでいる。この辺りは英雄の国の研究所を参考にさせてもらった。ミチナガ商会の化粧品関連は全てこの研究所で作られている。情報が漏洩すればなかなかの痛手となるため、機密保持に余念はない。
ちなみにメリアはすでにこの研究所と工場の主任を任せられている。部下も数十人いるほどの出世っぷりだ。もうメリア無しにミチナガ商会の化粧品産業は成り立たない。今日も数十種類の化粧品の試作品が完成している。
その1次チェックはメリアの部下たちに任せているが、最終チェックはメリアが行なっている。ちなみに許可が出るのは1%以下の確率だ。ムーンによって妥協は許さないという感覚がメリアに深く根付いている。
「それで店長はどんなご用件ですか?」
『ムーン#1・うん、実は新しい事業を立ち上げるんだ。そこにメリアの力を借りたい。基本的なことは他に任せられる人を育てるつもりだけど間違いなくメリアは関わる。これが書類ね。確認してみて。』
「拝見します。……モデル業ですか。化粧品と服飾の宣伝が目的…映像産業も巻き込んで……すごい。こ、これすごいです店長!ビックプロジェクトじゃないですか!わ、私も関わっていいんですか?」
『ムーン#1・もちろん。むしろ関わらないと成り立たないでしょ。それから部下も数人貸して欲しい。研究所にこもっての研究も大切だけど実地研修も間違いなく役立つでしょ。使えそうな人いる?』
そういうとメリアはどこからか一冊の本を持ってくる。それはこの研究所で働いている従業員全員の名簿だ。そこには事細かに従業員一人一人の能力や普段の行動が書き連ねてある。メリアはそれを見ながら自身の記憶を呼び起こし、役立ちそうな人材を選ぶ。
すぐに十数人を選抜し、呼び出して面接をする。呼び出されたものたちは全員突然のことで緊張して固まっている。中にはクビになるのではと泣き出すものまでいる。しかしそんなことは御構い無しに面接を行い、6人を選抜した。
「まず初めに言っておきます。クビなどではないので落ち着いてください。いい加減泣き止むように。あなたたち6人には新しい事業のために移動してもらいます。そこ、表情を変えない。左遷ではありません。資料があるから全員それを読みなさい。」
メリアは使い魔たちと会っている時とは全く口調が違う。上に立つものらしい堂々とした振る舞いだ。ただ集められた6人のなんとも情けない表情に少し不安げでもある。
6人が書類に目を通している最中もどんどんメリアは説明していく。この事業がどれだけ今後の化粧品産業に関わってくるか、失敗は許されないどれだけ大事な事業であるか。
その一通りの説明を聞いた面々は目の色を輝かせ始める。自分の腕にこの先の化粧品産業の未来が関わっていると知り、不安に陥るものもいる。しかしそれでもやりがいは間違いなくある。
「私からの説明はここまで。ここからは直属の上司となる方々を紹介するわ。それではお願いします。」
『メイ・初めまして。メイク担当のメイです。それからこっちも…』
『メーク・同じくメイク担当のメーク。人手が必要になるのでメイク担当はこの二人になります。』
『ヘア・ヘアスタイリスト担当のヘア。よろしくね。』
『デザ・服飾担当のデザ。誰かしら常にアシスタントについてもらう予定だからよろしく。』
『カメ・アシスタント兼カメラマンのカメです。カメさんって呼んでね。』
突如現れ、直属の上司と紹介されたのが使い魔ということで全員驚きを隠せない。中には笑いそうになるものまでいるが、そこはメリアが目で睨みを効かせる。実はここで働いている人間は使い魔をみたことがほとんどないのだ。
「どう思ったのかはあえて聞きません。しかし言っておきますが彼らはあなたたちよりも優秀です。私の上司も彼らと同じです。失礼なことをすると…私は庇えません。そういう立ち位置にいると知っておきなさい。以上です。ではあとはお願いします。」
選抜された6人はメリアの上司なんて存在すると思ってもいなかった。尊敬する上司の上司となれば6人は動揺と緊張でもう思考回路がおかしなことになる。しかし使い魔たちはそんな彼らを見てすぐに行動に移す。
『メイ・それじゃあとりあえずご飯行こっか。お昼近いしちょうど良いよね。』
「こ、ここってミチナガ商会が最近始めた海の魚を食べられるっていう高級料亭…一食金貨数枚は当たり前っていうところだよな……」
『カメ・ほらほら、早く入って。席はとってあるからすぐに入れるよ。』
メイたちは6人の従業員をミチナガ海鮮料亭へ連れてきていた。まだ先月オープンしたばかりだが、毎日満席になるほどの人気だ。この辺りでは絶対に手に入らない海の幸をふんだんに使った料理を提供する唯一の店ということで周辺の貴族たちはこぞってやってくる。
しかしミチナガ商会の高級路線の料亭だというのに一般庶民もやってくる。値段は高いが、味と品質はミチナガ商会ならば保証できるということで夫婦の記念日などでやってくるのだ。もちろんやってきた客は全員満足して帰って行く。
すでにこのあたりの国や町では人生で一度は食べに行きたい店と思われるようになった、そんな誰もが憧れるこの店をなんとも気軽に連れてきてもらえたことに6人は大いに喜ぶ。店に入るといきなり正面に巨大水槽が現れ、その中で幾種類もの海の魚が泳いでいる。
そんな圧巻の光景に度肝を抜かれていると使い魔たちはどんどん先へ進んで行く。置いて行かれないようについて行くと、案内された部屋は貴族専用の特別室だ。そこの壁一面はまた巨大水槽で食用ではない幾種類もの色鮮やかな魚たちが泳ぎ回っている。
この光景に圧倒され続けながらもなんとか席に座るとすぐに注文を入れるのだが、どうしたら良いのかわからない。おどおどしている6人を見ながら使い魔たちは勝手に注文を行ってしまう。
『メイ・今日は美味しいやつ何が入ってる?』
「はい、本日はクリスタルロブスターとクイーンサーモンが入っております。」
『ヘア・お、いいの入ってるじゃん。じゃあそれお願いしちゃおうよ。』
『デザ・飲み物は白ワインにしようかなぁ…日本酒もいいなぁ…面倒だしどっちもボトルでもらおうか。シェフさんに料理に合うオススメのやつ選んでもらって。みんなもそれでいいよね?』
「え!あ…それでお願いします。」
ある程度おまかせで注文すると続々と料理が届く。どれもこれも普段食べることのできない料理ばかりだ。そんなものを食べるとなると緊張で味もわからなくなる。しかし使い魔たちの無礼講な話し方と接し方、それにお酒も入ったことで6人は徐々に緊張がほぐれ、和やかなムードになってきた。
『カメ・いやぁ…楽しくなってきたね。料理もまだまだあるからどんどん食べてね。お残し厳禁だよ。』
「はい!どんどん食べます!それにしても本当に美味しいですねぇ…」
『デザ・まあミチナガ商会の専属料理人が作ってくれているから。シェフさんっていうんだけど、この店の料理人が育つまではここで働いているんだよ。シェフさんがいる間だからこそ食べられる料理だからしっかり堪能しな。』
「ありがとうございます。しかし…こんなに良い思いをさせてもらっても良いんですか?」
『カメ・今日は顔合わせだからね。みんなで打ち解けることで仕事もうまく行くようになるから。それに今回やるモデル事業にはこういった料理店も関わってくる。例えば美味しい料理を出すお店の女性店員を対象にして撮影を行えば、化粧と衣装のPRの他に料理店のPRにもなる。』
『ヘア・料理店のPRをすれば料理店に通っている人たちも映像を見てくれる可能性がある。さらに映像に人気が出てくればお金を払ってうちに撮影依頼をしてくる店も出てくる。まあうちで取り扱うのはあくまでちゃんとしたお店だけだ。料理のまずい店を紹介すればうちにも悪影響が出る。みんなには今後、店の選定なんかも頼むからね。美味しいものを覚えてもらわないと。』
『メーク・料理店だけじゃないよ。骨董品や魔道具を取り扱う店なんかでも撮影をする。それこそ観光名所で撮影なんかもね。幅広くやらなくちゃダメ。それから専属モデルも雇って行く予定だよ。まあまだ候補もいないんだけどね。』
『メイ・君たちのこれからの仕事は現場での顧客からの情報の収集。研究室ではわからない現場での生の意見だ。そういった意見から有用なものをまとめて研究所に送って商品開発のさらなる向上を促す。君たちが育ってきたら君たち一人一人に部下をつけて組織を大きくする。頑張ってくれよ。』
「「「はい!よろしくお願いします!!」」」
実に元気の良い返事だ。まあそれもそのはずだ。なんせ彼らは今後のミチナガ商会モデル産業の幹部候補なのだ。彼ら自身そのことには十分気がついている。かなりの重役だが、それだけ期待されていると思えば嬉しいものだ。
その後もやりたい放題に飲んで食べて騒ぎまくる。使い魔たちの大盤振る舞いだ。しかしそんなこと、ミチナガはもちろん他の使い魔たちが許すはずもない。酔いが冷めた頃にはメイたち使い魔5人はシェフの眷属によって正座させられていた。
『シェフ#3・それで?飲み食いだけで金貨200枚超えているんだけど。ちょっとやりすぎじゃないかな?どう思う?』
『メイ・こ、これも従業員と打ち解けるためで…立派な仕事と言いますか……』
『メーク・あ、遊んでいたわけじゃないんですよ。仕事なんです。だから……ね?経費で落ちますよね?』
『シェフ#3・落ちるわけないでしょうが。しばらくおやつ抜き。雑用も増やすからね。』
『カメ・そ、そんなぁ……』
10
お気に入りに追加
545
あなたにおすすめの小説
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
好色一代勇者 〜ナンパ師勇者は、ハッタリと機転で窮地を切り抜ける!〜(アルファポリス版)
朽縄咲良
ファンタジー
【HJ小説大賞2020後期1次選考通過作品(ノベルアッププラスにて)】
バルサ王国首都チュプリの夜の街を闊歩する、自称「天下無敵の色事師」ジャスミンが、自分の下半身の不始末から招いたピンチ。その危地を救ってくれたラバッテリア教の大教主に誘われ、神殿の下働きとして身を隠す。
それと同じ頃、バルサ王国東端のダリア山では、最近メキメキと発展し、王国の平和を脅かすダリア傭兵団と、王国最強のワイマーレ騎士団が激突する。
ワイマーレ騎士団の圧勝かと思われたその時、ダリア傭兵団団長シュダと、謎の老女が戦場に現れ――。
ジャスミンは、口先とハッタリと機転で、一筋縄ではいかない状況を飄々と渡り歩いていく――!
天下無敵の色事師ジャスミン。
新米神官パーム。
傭兵ヒース。
ダリア傭兵団団長シュダ。
銀の死神ゼラ。
復讐者アザレア。
…………
様々な人物が、徐々に絡まり、収束する……
壮大(?)なハイファンタジー!
*表紙イラストは、澄石アラン様から頂きました! ありがとうございます!
・小説家になろう、ノベルアッププラスにも掲載しております(一部加筆・補筆あり)。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる