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第164話 ゴブリンと戦うための
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「ったく…あんな話をあそこでしやがって。全員怯えているぞ。」
「言えって言ったのはそっちですよ。俺は二人っきりで話す予定でした。」
フィーフィリアルの案内のもと厳重に情報が漏れないように魔法を施された別室に移動した。ことの重大性を理解したフィーフィリアルと二人っきりで話すことができた。
「それで…その情報の正確さを確かめたい。神話級モンスターなんてそんな簡単に信じられない。」
「まあそれもそうでしょう。なのでこの映像をどうぞ。」
見せたのは使い魔が記録したゴブリンの巣の映像。それからエルフの長老の話、そして森の大精霊の話だ。フィーフィリアルにとってどれも衝撃の映像だったらしく表情が面白いことになっている。そして追加で森の大精霊による簡単なゴブリン達の戦力分析まで見せた。
『ゴブリンの女皇から生まれたばかりのゴブリンの強さはA級下位と言ったところだが、生まれて1週間でA級中位、1月もすればA級上位からS級と言ったところだ。ジェネラルクラスでSS級、キングになるとSSS級、そして最も恐ろしいのがカイザー、ゴブリンキングを束ねる存在になるとSSSS級、魔神クラスの実力を持つ。』
「おいおい…嘘だろ…魔神クラスって…だが森の大精霊の言葉なら信用できる。」
『だが真に恐ろしいのはそんなモンスターを量産できるゴブリンの女皇…戦闘力は一切ないが、血肉さえあれば無限にゴブリンを生み出せる。放っておけばゴブリンカイザーが数体は出現する。かつては10を超えるゴブリンカイザーが出現した。当時の魔神たち全員で戦い、なんとか倒せたが魔神も半数以上が死んだ。』
そんな化け物を生み出したと言われる妖精皇帝は妖精神としてかなりの実力があったらしい。そして人を憎しみすぎたあまり自身の命を使ってそのゴブリンを生み出した。ある意味妖精皇帝の憎しみは成就されたと言えるかもしれない。
ここまで全ての情報を得たフィーフィリアルは頭を抱えている。何か話しかけた方が良いかと思ったがどうやらその必要はない。すでに今後の作戦を考えているようだ。
「おい、ミチナガと言ったな。ちょっとこの部屋から出ていろ。ああ、どうせだからお前の連れのところまで案内してもらえ。しばらくしたら俺も行く。」
その言葉に従い、部屋を出て執事の人に案内してもらう。するとマックたちにマクベスも夕食をとっていた。そういえば俺もまだ何も食べていなかった。とりあえずホッとして食事をとっているとフィーフィリアルがやってきた。
「待たせたな。今我らの王に連絡を取った。明日の昼までには討伐隊が編成される。ただ念には念を入れるから…討伐開始まで1週間はかかるだろうな。それまでミチナガ、お前たち全員をここで預かる。情報漏洩の観点からだ。誰かに知らせてはないか?」
「ユグドラシル国のリカルド様に知らせました。当面はあの辺りに近づかないように冒険者ギルドに忠告するように言ったので冒険者ギルドのギルドマスターも知っているかもしれません。」
「それは賢明な判断だな。じゃあそのことも王に伝えておく。他に何か得ている情報はあるか?」
「うちの使い魔が未だに内部に潜入しているので情報は逐一更新されていきます。内部の地形もある程度はわかります。」
「…実に優秀だな。俺のところで雇いたいくらいだ。なんなら雇っても良いが…そう言った感じじゃないな。」
「一応商人なので。ただ勇者神様のところの貴族として推薦してもらえたらなんて…」
「ああ、あれ受けるのか。わかった、推薦くらい安いもんだ。まあその前に内部の情報を知りたい。紙かなんかに書けるか?」
そのくらい簡単なので書けるというとすぐに巨大な紙が用意された。なので俺はその紙に事細かに情報を書き込んでいく。まあマップアプリに記録されていることをそのまま書けば良いだけだ。ただ俺だけだと時間がかかるので使い魔にも手伝ってもらった。
俺が書いている様子を見ていたフィーフィリアルはその精巧さに目を丸くする。まあ地形の高低差にセンチ単位で書き込まれる距離、確認できたゴブリンたちの数なども全て書き込んでいるからな。まあ俺はそこまで詳しくやるつもりはなかったのだが、使い魔たちがハマってしまった。
「こいつはすごいな…これがあるだけでかなり変わるぞ。」
「まだ探索範囲が狭いらしいです。勝手な予想ですが…この数倍はある可能性がありますね。現在確認できたゴブリンの総数は6万、そのうちジェネラルクラスが5000。キングか…カイザーと思われるものが数体…女皇、ゴブリンエンプレスは1体、大きさは20m以上です。森の大精霊の話によるとまだ大きくなるとか。」
「おまけに武器まで作れる…か。討伐隊は最低でも魔王クラス以上で固めないとな。いや…
そうなると取り逃がすのが出てくるか。まあ編成は王に任せよう。しかし一体くらい素体が欲しいな。実物を見ないとわからないこともあるからな。」
まあ確かに肉眼で見たのはマックとケックと使い魔だけだ。実物を見て、なんなら解剖したらさらに戦いに有利になれるだろう。まあそんな悠長なことをしている暇もないだろうけど。
『ポチ・あ、ちょっと待って…ボス、届いたよ。』
「は?届いたって何が…」
スマホを確認してみると何やらあるような気がする。まさかと思い部屋の隅にシートをひいてから取り出して見た。するとそこには映像で見たゴブリンの死体が現れた。
「え?え?どういうこと?」
『ポチ・ムーンがナイトに話したら面白そうだからって倒しに行ったみたい。他のゴブリンにはバレないようにやったから気がつかれていないと思うよ。』
おい…面白そうって。まさかとは思うけど乗り込むなんて真似はしないよなと思ったらさすがに数が多いから俺が増援を用意できるまでは周辺の偵察だけで済ませるとのことだ。ただ確認用に一体は必要だろうと言って用意してくれたらしい。
「ミチナガ、お前最高だ!こいつからかなり情報を得られるはずだ。敵情報の入手、周辺の環境情報の入手、内部の地図まである。これ以上の功績はないぞ。おい、早速解剖してくれ!解析班を呼べ!」
なんだか騒がしくなってきた。俺らも何か手伝おうと思ったら俺らは疲れているだろうから今日はこのまま城で泊まることが決定した。マックたちはそれを聞いて感激している。マクベスも興奮している。まあ物語にもなっている人の城に泊まれるのだからそうもなるのか。
そして1週間が経った。討伐隊が編成されフィーフィリアルもそこに加わった。12英雄中6人が参戦するらしい。しかしこれはあくまで表向きは合同演習ということになっている。下手に人々の不安を煽りたくないという勇者神の考えだ。
それからフィーフィリアルには俺の使い魔が2人ついていった。内部に潜入中の使い魔と周辺を警戒しているナイトの情報を逐一伝えるためだ。そして俺はというとこのゴブリン討伐は国家機密ということになったため情報の秘匿を約束された。
それからゴブリンの討伐が完了したら報酬を内密に渡してくれるということだ。しかし俺がやれることはここまで。あとは使い魔たちとナイトがどうするかになる。これ以上俺自身はこの件には関わらない。
なんだかここから俺が活躍してゴブリンをなぎ倒し英雄として担ぎ上げられる、なんてことがあり得そうな気もしたがまあ現実はこんなものだ。あくまで俺は発見者止まり。物語の脇役としてひっそりと現れてひっそりと消えていくのだ。
まあ十分仕事はしただろう。俺としてはやりきった感がある。それよりも世界貴族への出馬表明がもうすぐ始まるらしい。それまでに中央国に移動しなければならない。年に2回書類選考をしてくれるらしい。今を逃すと今度は秋なので急がないとな。
「言えって言ったのはそっちですよ。俺は二人っきりで話す予定でした。」
フィーフィリアルの案内のもと厳重に情報が漏れないように魔法を施された別室に移動した。ことの重大性を理解したフィーフィリアルと二人っきりで話すことができた。
「それで…その情報の正確さを確かめたい。神話級モンスターなんてそんな簡単に信じられない。」
「まあそれもそうでしょう。なのでこの映像をどうぞ。」
見せたのは使い魔が記録したゴブリンの巣の映像。それからエルフの長老の話、そして森の大精霊の話だ。フィーフィリアルにとってどれも衝撃の映像だったらしく表情が面白いことになっている。そして追加で森の大精霊による簡単なゴブリン達の戦力分析まで見せた。
『ゴブリンの女皇から生まれたばかりのゴブリンの強さはA級下位と言ったところだが、生まれて1週間でA級中位、1月もすればA級上位からS級と言ったところだ。ジェネラルクラスでSS級、キングになるとSSS級、そして最も恐ろしいのがカイザー、ゴブリンキングを束ねる存在になるとSSSS級、魔神クラスの実力を持つ。』
「おいおい…嘘だろ…魔神クラスって…だが森の大精霊の言葉なら信用できる。」
『だが真に恐ろしいのはそんなモンスターを量産できるゴブリンの女皇…戦闘力は一切ないが、血肉さえあれば無限にゴブリンを生み出せる。放っておけばゴブリンカイザーが数体は出現する。かつては10を超えるゴブリンカイザーが出現した。当時の魔神たち全員で戦い、なんとか倒せたが魔神も半数以上が死んだ。』
そんな化け物を生み出したと言われる妖精皇帝は妖精神としてかなりの実力があったらしい。そして人を憎しみすぎたあまり自身の命を使ってそのゴブリンを生み出した。ある意味妖精皇帝の憎しみは成就されたと言えるかもしれない。
ここまで全ての情報を得たフィーフィリアルは頭を抱えている。何か話しかけた方が良いかと思ったがどうやらその必要はない。すでに今後の作戦を考えているようだ。
「おい、ミチナガと言ったな。ちょっとこの部屋から出ていろ。ああ、どうせだからお前の連れのところまで案内してもらえ。しばらくしたら俺も行く。」
その言葉に従い、部屋を出て執事の人に案内してもらう。するとマックたちにマクベスも夕食をとっていた。そういえば俺もまだ何も食べていなかった。とりあえずホッとして食事をとっているとフィーフィリアルがやってきた。
「待たせたな。今我らの王に連絡を取った。明日の昼までには討伐隊が編成される。ただ念には念を入れるから…討伐開始まで1週間はかかるだろうな。それまでミチナガ、お前たち全員をここで預かる。情報漏洩の観点からだ。誰かに知らせてはないか?」
「ユグドラシル国のリカルド様に知らせました。当面はあの辺りに近づかないように冒険者ギルドに忠告するように言ったので冒険者ギルドのギルドマスターも知っているかもしれません。」
「それは賢明な判断だな。じゃあそのことも王に伝えておく。他に何か得ている情報はあるか?」
「うちの使い魔が未だに内部に潜入しているので情報は逐一更新されていきます。内部の地形もある程度はわかります。」
「…実に優秀だな。俺のところで雇いたいくらいだ。なんなら雇っても良いが…そう言った感じじゃないな。」
「一応商人なので。ただ勇者神様のところの貴族として推薦してもらえたらなんて…」
「ああ、あれ受けるのか。わかった、推薦くらい安いもんだ。まあその前に内部の情報を知りたい。紙かなんかに書けるか?」
そのくらい簡単なので書けるというとすぐに巨大な紙が用意された。なので俺はその紙に事細かに情報を書き込んでいく。まあマップアプリに記録されていることをそのまま書けば良いだけだ。ただ俺だけだと時間がかかるので使い魔にも手伝ってもらった。
俺が書いている様子を見ていたフィーフィリアルはその精巧さに目を丸くする。まあ地形の高低差にセンチ単位で書き込まれる距離、確認できたゴブリンたちの数なども全て書き込んでいるからな。まあ俺はそこまで詳しくやるつもりはなかったのだが、使い魔たちがハマってしまった。
「こいつはすごいな…これがあるだけでかなり変わるぞ。」
「まだ探索範囲が狭いらしいです。勝手な予想ですが…この数倍はある可能性がありますね。現在確認できたゴブリンの総数は6万、そのうちジェネラルクラスが5000。キングか…カイザーと思われるものが数体…女皇、ゴブリンエンプレスは1体、大きさは20m以上です。森の大精霊の話によるとまだ大きくなるとか。」
「おまけに武器まで作れる…か。討伐隊は最低でも魔王クラス以上で固めないとな。いや…
そうなると取り逃がすのが出てくるか。まあ編成は王に任せよう。しかし一体くらい素体が欲しいな。実物を見ないとわからないこともあるからな。」
まあ確かに肉眼で見たのはマックとケックと使い魔だけだ。実物を見て、なんなら解剖したらさらに戦いに有利になれるだろう。まあそんな悠長なことをしている暇もないだろうけど。
『ポチ・あ、ちょっと待って…ボス、届いたよ。』
「は?届いたって何が…」
スマホを確認してみると何やらあるような気がする。まさかと思い部屋の隅にシートをひいてから取り出して見た。するとそこには映像で見たゴブリンの死体が現れた。
「え?え?どういうこと?」
『ポチ・ムーンがナイトに話したら面白そうだからって倒しに行ったみたい。他のゴブリンにはバレないようにやったから気がつかれていないと思うよ。』
おい…面白そうって。まさかとは思うけど乗り込むなんて真似はしないよなと思ったらさすがに数が多いから俺が増援を用意できるまでは周辺の偵察だけで済ませるとのことだ。ただ確認用に一体は必要だろうと言って用意してくれたらしい。
「ミチナガ、お前最高だ!こいつからかなり情報を得られるはずだ。敵情報の入手、周辺の環境情報の入手、内部の地図まである。これ以上の功績はないぞ。おい、早速解剖してくれ!解析班を呼べ!」
なんだか騒がしくなってきた。俺らも何か手伝おうと思ったら俺らは疲れているだろうから今日はこのまま城で泊まることが決定した。マックたちはそれを聞いて感激している。マクベスも興奮している。まあ物語にもなっている人の城に泊まれるのだからそうもなるのか。
そして1週間が経った。討伐隊が編成されフィーフィリアルもそこに加わった。12英雄中6人が参戦するらしい。しかしこれはあくまで表向きは合同演習ということになっている。下手に人々の不安を煽りたくないという勇者神の考えだ。
それからフィーフィリアルには俺の使い魔が2人ついていった。内部に潜入中の使い魔と周辺を警戒しているナイトの情報を逐一伝えるためだ。そして俺はというとこのゴブリン討伐は国家機密ということになったため情報の秘匿を約束された。
それからゴブリンの討伐が完了したら報酬を内密に渡してくれるということだ。しかし俺がやれることはここまで。あとは使い魔たちとナイトがどうするかになる。これ以上俺自身はこの件には関わらない。
なんだかここから俺が活躍してゴブリンをなぎ倒し英雄として担ぎ上げられる、なんてことがあり得そうな気もしたがまあ現実はこんなものだ。あくまで俺は発見者止まり。物語の脇役としてひっそりと現れてひっそりと消えていくのだ。
まあ十分仕事はしただろう。俺としてはやりきった感がある。それよりも世界貴族への出馬表明がもうすぐ始まるらしい。それまでに中央国に移動しなければならない。年に2回書類選考をしてくれるらしい。今を逃すと今度は秋なので急がないとな。
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