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第147話 植物展4

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 翌朝、まだ日も登る前の早朝だ。俺は叩き起こされ、そのまま魔動車に乗って移動する。俺はまだ頭もぼんやりした状態で会場入りすることとなった。まさかの日の出とともに会場入りする羽目になるとは。こんなに早く来る必要はないのではと思ったらすでに大勢の人々がやってきていた。

 なんでも植物の見頃で、日の出が最も良いというものが何点かあるらしい。それを見るためにわざわざこの時間に集合しているようだ。とりあえず俺はまだまだ眠いので使い物にならない。そこで使い魔たちを散会させて映像を記録していく。後々これを上映すれば一定数の人間に需要があるだろう。

 とりあえず俺は会場の隅の方で椅子に座りゆっくりと休むことにした。それにしてもみんな生き生きしている。マニアにはたまらないのだろうなぁ。そんなことを思いながら見ていると人を寄せ付けないオーラを出したなんとも疲れている一団を見つけた。というかエルフたちだ。

 昨日遅くまで酒を飲んでいたから二日酔いなのだろう。数名吐きそうになっているがプライドのためなんとか堪えているようだ。全く、後先考えずに飲むからああなるんだよ。

 徐々に目が冴えてきた俺はとりあえず軽食を取る。朝のゆっくり飲むお茶とか美味しいね。そんな風にまったりとしながら見ていると全員の手には紙をくくりつけたボードがしっかりと握られている。どうやら一般投票のようなものもあり、順位付けをするようだ。

 俺は良し悪しがわからないので、ゆっくりと見て目を養おう。椅子から立ち上がった俺はゆっくりと見ていく。展示されている植物を見ていくと大きく2種類に分かれていることがわかった。それは単純に珍しい品種か、展示用に整えられたものかだ。

 例えば今目の前にあるこれは100色バラという改良された品種で、花びらの1枚1枚がすべて異なる色となっている。このバラは自然界には存在せず、この出展者が作り上げた品種らしい。そしてその隣には浮苔という宙に浮く苔へいくつかの植物を植え込んでいる。絶えずくるくると回転しながら展示されるこれは見るものを楽しませてくれる。

 ずっと見ていると撮影をしている使い魔が目に入った。しっかりと頑張っているようで何よりだ。そんな使い魔と目が合うととある方向を指し示した。その方向には一般販売の文字が書かれている。どうやら販売しているものもあるようだ。どうせならそっちも見に行こう。

「おお、すごい熱気だな。こっちの方が目当てみたいな人もいるだろ。」

 そこはもう販売されている植物と人々で空間が埋め尽くされている。なんだろうこの感じ…ああ、コミケの感じだな。売られているものは違うが人々のやる気というかそんなものが似ているように思う。俺も何か買おうかと思うのだが、どれを買ったら良いのかわからない。

「そんなわけでよろしく頼む。欲しいものはどんどん買って良いぞ。」

『ドルイド#3・…思う存分……あれ…』

「ああ、これな。それとこれとこれとこれ…後これか。とりあえずここはこんなもんで良いか?」

 ドルイドの眷属にどんどん買うものを選ばせて買っていく。こういうのは専門家に任せた方が良い。なんか金持ちが手当たり次第に買っているような感じになっている。ちょっと恥ずかしい気持ちもあるが、必要なことなので耐えよう。

 しかしあまりにもどんどん買っていくので俺が来ると出品者の方は揉み手でにこやかに俺を迎え入れる。良い金づるが来たと思っているんだろうな。まあ実際にそうなんだけどさ。しかしあまり俺、というかドルイドの眷属をなめない方が良いぞ。

「いらっしゃいませ、どうですか?うちのものはどれも良いものですよ。他の店でこんなのみたことないでしょ。」

『ドルイド#3・…偽物……薬…』

「え?ここにあるのは全部薬とか魔力で無理やり育て上げたものだからすぐにダメになる偽物なの?見た目良さそうに見えるのにな。じゃあ次のとこ行くか。」

「ちょ!そ、そんなことないですよ!?う、うちは…」

「おい、今の聞いたか…」
「マジかよ、あそこのは買わない方が良いな。」

 ドルイドの目利きの確かさを俺が今まで買ったものから察した幾人かの買い手が俺の後をついて来た。俺の動向を逐一観察して買う店舗を選んでいるようだ。なんともうまくやっているな。まあ分からないのなら誰かに頼るというのは正しい。そんな中、ドルイドが一つの出品者の前で止まった。

『ドルイド#3・…良い……本物…加える…』

「見た目は良くないけど植物が生き生きとしているのか。むしろ手を加えていないからこれから自分で手を加えられる楽しみがあるのか。お前がどれ買うか悩むなんて本物だな。」

「あ、ありがとうございます。そこまでわかってもらえるなんて。うちのはあえて植物に厳しい環境を与えることで植物本来の力強さを生み出しているんです。それをわかってもらえるなんて…今までどんなに説明しても誰も聞いてくれなくて……」

「おお…あそこだな。」
「あそこまで悩ませるとはな。早速買い付けだ。」

 うちが悩んでいると横からどんどんと他の客が買い付けに来た。誰もが大量購入している。ドルイドの眷属も慌てて数点選んだのでそれを買うことにした。そこの出品物はそれから1時間ほどで全て売り切れてしまった。そんな彼は今日の功績によりオリジナルブランドを立ち上げることとなる。

 俺とドルイドはそんなことはまるで知らずにどんどんと買い付けを進めていく。もう金貨100枚は使ったような気がする。そこまで買ったところでもう買うものがなくなり一休みしようとしたところで1人の少年が近づいて来た。

「あ、あの…お願いがあります!どうか僕にお力添えいただけませんか?」

 その少年はとある貴族の使いで主人に頼まれて買い付けに来たらしい。しかし自分ではどれが良いか分からないので助けて欲しいということだ。話はわかったがおかしな点がある。なんでそんな何も分からないこんな少年にそんなことを頼んだんだ?そのことについて聞いてみるとなんとも話しづらそうにしていた少年は辛そうな表情をしながら話してくれた。

「僕は…妾の子で……屋敷でも居場所がなくて…今回のも正妻の息子たちからの嫌がらせというか…だけど、ある意味こんなチャンスはないから。このチャンスをものにしたいんです。」

「ん、そうか。わかった、俺でよければ力を貸そう。とはいえ俺には見極める力はないんだ。この白いのがわかるからこいつを貸そう。ああ、でも通訳も必要か…誰か頼めるかな?」

『プリースト#2・それでしたら私が。ドルイドとはリリー様と一緒に行動していますから。』

「ああ、そうだな。じゃあ頼むわ。じゃあこいつら2人貸すから買い付けちゃいな。大丈夫、こいつらに任せておけば間違いないから。ああ、俺はしばらくここで休んでいるから。終わったらまた合流しようか。」

「ありがとうございます!」

 少年はそういうと使い魔2体を肩に乗せて急ぎ足で買い付けに行ってしまった。元気な少年だ。それに良い子そうだ。あんな少年をいじめているやつの悔しがる顔を想像すればこの程度の人助けはメリットがなくたってやってやろう。

 とりあえず俺は一旦休憩だ。シェフに頼んで緑茶に大福を食べながらゆっくりと休む。そういえばこの催しは3日間続くんだったな。初日からこのペースだともう体がもたないかも。

「ああ、ここにいたのかミチナガ。」

「あれ?リカルドさん。それに主催者の方も。どうしたんです?」

「ちょっと頼みごとだ。実は年々この展示会の規模が小さくなっているんだが…その理由の一つがメリットが少ないというものなんだ。植物好き同士の交流会にはなるが、それくらいしかなくてな。投票して最優秀賞に輝いても白金貨2枚ほどだ。幾人分かの優秀賞に至っては大したものはない。」

 白金貨が出るだけ十分だと思うけどな。しかしそんなものでは一部の人間にしか興味を持たれないらしい。だから俺にスポンサーとなってもらい、何か賞品を贈呈してもらいたいとのことだ。俺にそんなことを求める理由は世界樹を保有しているからだろう。まあ植物関連に関してはチート級だからな。

「だけど出せるものがほとんどないですよ?出せないものならいくつかあるんですけど。」

「ああ、確かにそうか…意外と難しかったか。まあいくつかお前の利になるものを提示できるからなんとかなりそうなら教えてくれ。明後日には受賞が決定して表彰される。だからそれまでに頼む。」

 そういうとリカルドたちはまたどこかに行ってしまった。どうやら色々と忙しいようだ。しかし俺の利になることを提示できるのか。そう聞かされてしまったら何か考えないわけにはいかないじゃないか。

 しかし本当に難しいぞ。俺の持っている珍しいものは世界樹関連だ。それを世に出すわけにはいかない。それ以外に何かあれば良いが、ここに集まっているのは植物好きばかりだ。少し珍しいくらいでは彼らは全く喜ばない。

 そんなことで唸りながら考えていると先ほどの少年が帰って来た。どうやら買い付けはもう終わったらしい。というか俺があまりにも悩みすぎたためそこそこ時間が経過していたらしい。少年は俺にお礼と金銭を払おうとしたが俺はそれを断った。こんな子供からこんなことで金は取れないだろ。

「だ、だけど何もお礼をしないわけにはいかないんです。何もしなかったら…」

「あ~…まあ確かにそうかもな。じゃあちょっと昼飯を一緒に食べないか?少し相談事に乗って欲しいんだよ。お金なんかより今はとっても大事なことなんだ。」

 そういうことならと少年は許諾してくれた。一度会場を後にして近くのゆっくりできそうな飲食店に入る。すると少年は物珍しそうにキョロキョロとしている。ああ、そういえばこの少年は貴族の子供みたいだからこういうところは初めてなんだろうな。適当に注文を済ませると俺は早速少年に先ほどのことを相談する。もちろん世界樹のことは内緒だ。

「そんな大役を…ミチナガ様はすごいんですね!」

「そんな大役なんだけど、叶えられそうにないからすごくはないんだよ。どうしたものか悩んでいるんだけど…悩めば悩んだだけ迷走しちゃってね。何か思いつきそうなものはない?」

 相談された少年は困り顔で悩んでくれている。まあ植物について詳しくないこの少年ではなかなか思い浮かばないだろう。それでも俺としては誰かに相談できるだけでもこの迷走してしまった考えも解決しそうだ。

「ミチナガ様がどんなものを持っているかわからないので、なんとも言い難いのですが…例えば精霊関連のものは喜ばれると思いますよ。自然信仰の方は精霊関連のものは喜ぶと思いますから。それこそ森の大精霊のものなんてとても貴重です。特に大精霊の体に生えている苔なんて言ったら…お父様も飛び跳ねて喜ぶと思います…ってすみません。そんな無茶ばかり言って。」

「へぇ~…いや、ありがとう。お父様ってことは貴族だろ?そんな人が喜ぶ一品なのか。どれだけすごいものなんだ?」

「え、えっとですね…確か……大精霊の力の塊で…えっと…100年は周辺の植物に影響を与えるなんて言われています。ごめんなさい、それ以上の詳しいことはわからなくて。」

 まあなんとなくでもそれだけわかれば十分だろう。そんな簡単に手に入るとは思わないけどドルイドに話を通しておいてもらおう。それからいくつか話をしていくと次第にこの少年の故郷の話になった。

「え!海の向こうから来たの!?というかここまでよく来られたね。雪で移動大変じゃない?」

「はい、なんとか強行して…英雄の国から1月はかかりました。移動が大変だからこの催しも人が集まらないんですよ。だけど今鉄道の整備が始まっていて…来年度からはこの近くまで魔導列車で来られるようになるそうですよ。」

 魔導列車はまだ英雄の国周辺でしか走れていない。しかし徐々にその鉄道を方々へ伸ばしているようだ。魔導列車ができたのは随分と前になるはずだが、その鉄道を伸ばすのは色々と大変なようだ。

 しかしまさかこの少年は海の向こうからわざわざ来ているなんてな。聞いてみると片道だけで3ヶ月ちょっとかかっているらしい。つまり往復で半年…いや日数違うから6ヶ月か、しかしそれだけかかるのか。本来雪さえなければ2ヶ月で来られるらしい。雪の影響がでかいな。

「あれ?でもそうなると買ったものはどうやって運ぶんだ?というか…護衛とかいないのか?」

「え、えっと…いたんですけど…みんな途中でどこかに…」

 お、おう…なんかごめんな。ものすげぇ嫌われているというか居場所がないんだな。運ぶのもなんとか無理やりやるようだったので一つだけ一番良いものを抱えて運ぶ予定だった。本当はもっと買い付けたかったようだがお金ももう厳しいようだ。

「わかった。じゃあ俺が全面的にバックアップしてやる。運ぶのはこいつらに任せな。買い付けたいだけいくらでも買い付けろ。金が足りなきゃ貸してやる。ミチナガ商会がお前の力になる。」

「だ、だけどそんなにしてもらうなんて…だって…だって……」

「気にするな。もう俺とお前は友達だ。お前が困っているならいくらでも助けてやるよ。ああ、もう泣くなって…ほら、また買いに行くぞ。買いたいだけいくらでも買え…って言っても今日はもう売れ残りしかないか。また明日補填するみたいだから明日行くか。お前今どこ泊まってんの?」

「ち…近くの…宿に…泊まって…泊まってます…うぅ…」

「それじゃあ俺の今泊まっているとこ来な。その方が行動しやすいから。ほら、ジュースでも飲むか?」

 少年はずっと泣きながら何かを喋っているがもう何を言っているかわからない。まあ正確にいえばなんとなく感謝されているのはわかる。まあ人生助け合いだ。俺だってアンドリュー子爵に助けられた。それと同じようにこの子を少し助けてやるだけだ。故郷に誰も味方がいないのだから俺ぐらいはこの子の味方でないとな。

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