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学園生活
13 わたくしは認めない。
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翌朝、メシュリー様がやってきた。
「さぁ!まいりますわよ!」
あの、朝食もまだですが。
どうやら、バハナには連絡が行っていた様子。
普通に送り出されてしまった。
メシュリー様と馬車乗り場へ連れだって歩く。
今日は二人とも制服だ。
「昨晩は良くお休みになれまして?」
「ええ、しっかりと。」
そうなのよ。もう、帰宅と同時にぐったりでね…気力でお風呂に入ったらあとはもう、バハナにおまかせ。気がついたらベットで寝ていたわ。
「そう、回復しているなら良かったわ。回復していなかったら…」
ゴゴゴゴゴ…と黒いメシュリー様が顔を覗かせてます。
「なかったら?」
「伯父様にちょっとお仕置きしていたかもしれませんわ…」
フフフ…と扇を閉じたまま口元にあてて笑うメシュリー様。
怖いです。というか、理事長をお仕置きて…
「ほ、ほら、私は元気ですし!」
「そうね、良かったわ。」
黒いのが消えてにっこりメシュリー様が戻ってきました。
馬車乗り場へ到着すると、いつもと違う馬車がやってきた。
「今日は一緒に食堂で朝食をとりますわ!」
そう言って、お乗りくださいと先に乗せられてしまった。
カッチャン
内鍵がしまり、ゆっくりと馬車が動き出す。
「あの後、伯父様からお話をお伺いしましたのよ?大変でしたのね。それと、クエストクリア、おめでとうございます。」
対面のメシュリー様が手を取ってにっこり。
「ありがとうございます。偶然と運が良かったのだと思います。その…メシュリー様は?」
メシュリー様はゆっくりと首を左右に降り
「私はまだ何も。
いずれ挑戦したいとは考えておりますの。」
そう言ってにっこり笑った。
うん、なんだか申し訳ない。
「ところで、お伝えしたものは持って来ましたの?」
一言で言うと私が作ったもの一式。
どれも、今までになかった発想らしくて…
ただのリサイクルなんですが…
「ええ、一応ひととおり。」
「念のため、ギルドへ登録しておきましょう。どう言うものであれ、発案者という形は取っておいた方がよろしいですわ。」
そういうものなのか。
■□■
あさごはん!
ホットケーキプレートがあったので喜んで注文。
ベリー類が添えてあり、粉砂糖にバター。
ポットには、ハチミツとメープルシロップにチョコレートソースと選べるようについていた。
さて、まずはそのまま…
ふわっとやわらかな食感に温かな香り。
記憶通りの味に満足して、メープルシロップに手を伸ばす。
ホットケーキの端に少し掛けて、切り出したホットケーキに浸して食べる。
「!」
食べた瞬間、衝撃が走った。
ここって、貴族が使うとこだよね?
なんでっ…なんでっ…
メープル「風」シロップなのよっ!
きちんとしたメープルシロップであれば独特の鼻に抜ける風味があるというのに、これにはない。ホットケーキミックス等に一緒に入っていたりする、『なんちゃってメープルシロップ』である。
「あら、どうかしましたの?」
目の前で同じメニューを食べているメシュリー様が不思議そうな顔をしてこちらを見ている。
あまりの衝撃に一瞬我を忘れました。ゴメンナサイ。
「いえ、あの…お、美味しいなぁと…」
ご、誤魔化そう。
「でしょう?ここのホットケーキは美味しいんですの。特にメープルシロップを掛けて食べるのが好きですの。」
メープルシロップは最高ですわ~
と言いながら上機嫌でお食事を続けていらっしゃる。
「わたくしはコレを完成品とは認めない!」
思わずがたっと立ち上がってしまった。
やってしまった。
ポカーンとこちらを見上げるメシュリー様。
ぽろりとフォークからホットケーキのかけらが落ちた。
「さぁ!まいりますわよ!」
あの、朝食もまだですが。
どうやら、バハナには連絡が行っていた様子。
普通に送り出されてしまった。
メシュリー様と馬車乗り場へ連れだって歩く。
今日は二人とも制服だ。
「昨晩は良くお休みになれまして?」
「ええ、しっかりと。」
そうなのよ。もう、帰宅と同時にぐったりでね…気力でお風呂に入ったらあとはもう、バハナにおまかせ。気がついたらベットで寝ていたわ。
「そう、回復しているなら良かったわ。回復していなかったら…」
ゴゴゴゴゴ…と黒いメシュリー様が顔を覗かせてます。
「なかったら?」
「伯父様にちょっとお仕置きしていたかもしれませんわ…」
フフフ…と扇を閉じたまま口元にあてて笑うメシュリー様。
怖いです。というか、理事長をお仕置きて…
「ほ、ほら、私は元気ですし!」
「そうね、良かったわ。」
黒いのが消えてにっこりメシュリー様が戻ってきました。
馬車乗り場へ到着すると、いつもと違う馬車がやってきた。
「今日は一緒に食堂で朝食をとりますわ!」
そう言って、お乗りくださいと先に乗せられてしまった。
カッチャン
内鍵がしまり、ゆっくりと馬車が動き出す。
「あの後、伯父様からお話をお伺いしましたのよ?大変でしたのね。それと、クエストクリア、おめでとうございます。」
対面のメシュリー様が手を取ってにっこり。
「ありがとうございます。偶然と運が良かったのだと思います。その…メシュリー様は?」
メシュリー様はゆっくりと首を左右に降り
「私はまだ何も。
いずれ挑戦したいとは考えておりますの。」
そう言ってにっこり笑った。
うん、なんだか申し訳ない。
「ところで、お伝えしたものは持って来ましたの?」
一言で言うと私が作ったもの一式。
どれも、今までになかった発想らしくて…
ただのリサイクルなんですが…
「ええ、一応ひととおり。」
「念のため、ギルドへ登録しておきましょう。どう言うものであれ、発案者という形は取っておいた方がよろしいですわ。」
そういうものなのか。
■□■
あさごはん!
ホットケーキプレートがあったので喜んで注文。
ベリー類が添えてあり、粉砂糖にバター。
ポットには、ハチミツとメープルシロップにチョコレートソースと選べるようについていた。
さて、まずはそのまま…
ふわっとやわらかな食感に温かな香り。
記憶通りの味に満足して、メープルシロップに手を伸ばす。
ホットケーキの端に少し掛けて、切り出したホットケーキに浸して食べる。
「!」
食べた瞬間、衝撃が走った。
ここって、貴族が使うとこだよね?
なんでっ…なんでっ…
メープル「風」シロップなのよっ!
きちんとしたメープルシロップであれば独特の鼻に抜ける風味があるというのに、これにはない。ホットケーキミックス等に一緒に入っていたりする、『なんちゃってメープルシロップ』である。
「あら、どうかしましたの?」
目の前で同じメニューを食べているメシュリー様が不思議そうな顔をしてこちらを見ている。
あまりの衝撃に一瞬我を忘れました。ゴメンナサイ。
「いえ、あの…お、美味しいなぁと…」
ご、誤魔化そう。
「でしょう?ここのホットケーキは美味しいんですの。特にメープルシロップを掛けて食べるのが好きですの。」
メープルシロップは最高ですわ~
と言いながら上機嫌でお食事を続けていらっしゃる。
「わたくしはコレを完成品とは認めない!」
思わずがたっと立ち上がってしまった。
やってしまった。
ポカーンとこちらを見上げるメシュリー様。
ぽろりとフォークからホットケーキのかけらが落ちた。
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