上 下
19 / 48
コーヒーは美味しいモノ

05 コーヒーのススメ

しおりを挟む
「こちらは私の趣味なんです!
飲み方によってはとても美味しくて、眠気を抑えて頭をはっきりさせるのにとてもいいものなんですよ!これから色々とメシュリー様から教えて頂くに当たって、その方が宜しいかと思いまして。効能はメシュリー様はご存知ないですか?」

ぐっとつまるメシュリー様。
そりゃそーだ。
殿方の趣味程度の認識だものな。
豆はピンキリだが、貴族の方々が嗜むレベルはお高い豆。つまり所詮『お金のかかる嗜好品』女のお茶会の茶葉はよくても男のコーヒーは何故か要らない贅沢品の認識だが、『わかってやれるいい女』の為に目をつぶってやってる感覚が強い。

「そう、それは知らなかったわ。意外と博識でいらっしゃったのね?折角だから教えて下さらない?あなたが淹れたコーヒーとやらを飲みながら。」

よし、掛かった!
心のうちでにやりと笑う。

「かしこまりました。準備をしてまいります。」

そう言って寝室まで戻り、メモを書く。
そしてバハナへ渡す。
「これを持ってきておいて!
みんなを驚かせちゃおう!」

顔の横に人差し指を構えてぱちっとウインク。

なんでこういう仕草か勝手にでてきちゃうのかな?

またスチルのタイミングなのかな?

たのんだよ。バハナ。

粉はさっき挽いてもらった。
お湯も大丈夫。
器具も問題なし。

カップは…ティーカップだけど仕方ないか。
軽く暖めておく。

バハナも秘密兵器を持ってきてくれた。

準備は揃った。
さぁいくよ!

「メシュリー様。これから始めるのでよろしくお願いします。」

「ええ、殿方の気を引く以外の何かを見せて頂戴な。勉強の為に口にしたことがありましたが、私には合いませんでしたのよ。」

さっきのように手順を踏んで…
モコモコとふくれる豆をみて驚いてる驚いてる。

カップに注いで…
やるぞー!秘密兵器!

取り出したのは小さなヘラとしっかりと角をたてた生クリーム。
すっすっと生クリームでバラを型取る。
それをそっとカップに浮かべて…

「はい、出来上がり!」
キラリーン☆
だから、エフェクトいらないって。

トレイにコーヒー、シュガーポット、ミルクを乗せてメシュリー様へ。

「まぁ、なんて素敵なんでしょう。」
「お好みで溶かしてお飲みください。また、お砂糖もこちらに。必要無いかもしれませんが、こちらにミルクも置いておきますね。」

ほう…と見つめてから、ゆっくりとスプーンで溶かしててカップを口に運ぶ。

あ、眉をしかめてる。

「少し、苦いですね。まろやかにはなりましたけど…」
そういいながら、シュガーポットのふたを開けた。
「あら?」

シュガーポットの中身はザラメ。
見慣れないだろうなぁ。

「そちらは、ザラメといってコクが深いお砂糖になります。白いお砂糖よりもコーヒーには合うんです。」

「これが、砂糖…食べてみても?」
「どうぞ。そのままでも美味しいですよ。」

そういいながら、小さなスプーンに少し掬いとって渡す。

口に含んで…カッ!と目が見開いた。

「な、なんですのこれ。砂糖とは違った深みがありますわ!」

あー、茶色い砂糖なんてお嬢様のとこにはあがらないもんねー…

「どうぞ、コーヒーにもいれてみて下さい。量は多くても大丈夫ですのでお好みで。」

「え、ええ…」

いくらか入れて納得したようでゆっくりカップを傾けているメシュリー様。
あれ?この人何しに来たんだっけ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

侯爵令嬢の置き土産

ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。 「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

【完結】死がふたりを分かつとも

杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」  私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。  ああ、やった。  とうとうやり遂げた。  これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。  私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。 自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。 彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。 それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。 やれるかどうか何とも言えない。 だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。 だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺! ◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。 詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。 ◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。 1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。 ◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます! ◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。

【完結】夫は王太子妃の愛人

紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵家長女であるローゼミリアは、侯爵家を継ぐはずだったのに、女ったらしの幼馴染みの公爵から求婚され、急遽結婚することになった。 しかし、持参金不要、式まで1ヶ月。 これは愛人多数?など訳ありの結婚に違いないと悟る。 案の定、初夜すら屋敷に戻らず、 3ヶ月以上も放置されーー。 そんな時に、驚きの手紙が届いた。 ーー公爵は、王太子妃と毎日ベッドを共にしている、と。 ローゼは、王宮に乗り込むのだがそこで驚きの光景を目撃してしまいーー。 *誤字脱字多数あるかと思います。 *初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ *ゆるふわ設定です

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

悪役令嬢はあらかじめ手を打つ

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしは公爵令嬢のアレクサンドラ。 どうやら悪役令嬢に転生したみたい。 でもゲーム開始したばかりなのに、ヒロインのアリスに対する攻略対象たちの好感度はMAX。 それっておかしすぎない? アルファポリス(以後敬称略)、小説家になろうにも掲載。 筆者は体調不良なことが多いので、コメントなどの受け取らない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。

【完結済】悪役になりきれなかったので、そろそろ引退したいと思います。

木嶋うめ香
恋愛
私、突然思い出しました。 前世は日本という国に住む高校生だったのです。 現在の私、乙女ゲームの世界に転生し、お先真っ暗な人生しかないなんて。 いっそ、悪役として散ってみましょうか? 悲劇のヒロイン気分な主人公を目指して書いております。 以前他サイトに掲載していたものに加筆しました。 サクッと読んでいただける内容です。 マリア→マリアーナに変更しました。

処理中です...