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しゃぶりつくすように

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 快楽に酔った腹の中を、熱い怒張が激しく往き来する。蕩けそうな気持ちよさが脳を叩くようで、士匄しかいは、はひ、はひ、とまぬけな嬌声をあげた。趙武ちょうぶが容赦無く突き上げ、そのたびに士匄の腹が波のようにうねった。汗が浮き出て肌を転がり流れていく。

「も、むりぃ、あ、いく、いった、いった、きもちいいっ、いい、いくっ」

 一度達し、熟れきった肉壺の中を蹂躙されるのである。しかも、へそをいじられ恥じながら劣情に身悶えたのだ。士匄はあられもなく乱れた。

 趙武は容赦なくえぐり、奥も浅い場所も遠慮なく責め立てる。士匄は押し出されるような射精を繰り返しながら、雌の悦びを与えられ、

「あーっ、ああっ、きもちひひ、はひっ、いぐぅっ、あ、あーっ」

 と、絶頂した。趙武が達することなく身を引き離れた。

 未だ腹の奥が疼き、士匄はガチガチと歯を震わせる。くすぶったままのものが全て放たれていない。が、これ以上は無理、という本能が小さく警告を鳴らす。趙武が、静かに士匄の裸体に這い寄り、首筋に口づけした。そこから丁寧に丹念に士匄の体を舐め、口づけし、甘く噛んでいく。そのたびに士匄は体を震わせ、のけぞり跳ねさせた。わきを舐められたときは、ひっ、と悲鳴を上げ身をよじらせた。毛をかきわけてまで、強い臭い漂うそこに顔を埋める趙武など、士匄には理解できない。肌にいまだ興奮する趙武の象徴が当たっていた。

 甘くさざなみのような愛撫を終えると、再び趙武が士匄の中に己の肉を埋めていく。ぐるぐると淫欲がくすぶっていたところを責めたてられ、士匄は即座に高みに突き上げられる。そこからまた、幾度も達し、脳が快楽で麻痺していく。

 今度こそ趙武が吐精したが、離れるとしつこく士匄を愛撫した。汗も皮も全て味わうような、否、肉もこそげ取り骨の髄までしゃぶりつくすように趙武は丹念に士匄を愛していく。それは、何かを確かめているように見える。

 実際、趙武は確かめていた。己の身を士匄にこすりつけ自分のものだと誇示したい、というのは多少あったが、それ以上にひとつひとつ、まるで幼児が触り口に入れて吟味するように、士匄という存在を全身で確認していた。確かめ、貫き、また確かめる。

 繰り返されるそれに、士匄は完全にトんだ。口は開きっぱなし、涎は流れ落ち続け、目は半ば白目を向いている。顔は緩み、白痴かつ淫乱そのものである。

「ひゃ、あひ、はひゃ、あ、ひゃ、ぁ」

 もう、まともに言葉も発せず、快楽に浸かりきった顔を見て、趙武が、ふ、と笑った。

「ね、范叔はんしゅく。もう欒伯らんぱくに会っちゃダメです。遊んじゃダメ、話してもダメ、見てもダメです。わかりました?」

 趙武の言葉に士匄がこくこくと頷いた。その間もひゃ、と喘いでいる。趙武が言葉を続ける。

「私の領地に来て、すごしましょう。温はとても良いとこ。不自由させませんから、ずっと過ごしてください。温から出ちゃダメです」

 士匄がユルユルの顔をしたまま、頷く。その目は色に染まり、理性のかけらもない。趙武は苦く笑った。

「冗談です。あなたは好きにされるのがいい」

 そう、優しく言うと、カスカスの射精をして、息をついた。

 趙武が離れても、士匄はひくひくと痙攣するように震え、あほうのように口を開けたまま、虚空を見つめていた。余韻どころではない。度を超えた快感の連続に、完全に放心している。そのさまを痛ましそうに見ながら、趙武は士匄のいましめを全て解いた。

 強く縛られ、暴れ、うっすらとした擦り傷までできているその手首を、趙武はいたわるようになぞる。

「厄除けなんて、ごまかしです。お仕置きなんて筋違い。しつけとか……私が言う資格なんてない」

 ぽつぽつと口から出てくる言葉が、士匄に通じてるかどうか。

「本当に、八つ当たりなんです。ごめんなさい」

 趙武が身をよじるように顔を伏せた。

 許せなかったのだ。幸せになってほしいくらい大切な宝物を汚されたことも、汚されたことに全く気づかない士匄も、許せなかったのだ。

 趙武は、自分も汚いと、音もなく降る小雨のように泣いた。
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