村石君の華やかな憂鬱 Remake

A.Y

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交差編

第75話 面接⑤

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「確かに、如何わしい行為ではあり、我々としても君の助けを行いたいが…まず、逮捕するには決定的な証拠が必要になる。何よりも相手の足取りも探さなければならない。それ以上にその人物の顔写真とかも必要だが…」
「証拠ならあります」

凛が佐野に向かって言う。

「相手の名前は鴉取。漢字でカラスと書きます。キッズモデルの編集長を勤めてました。過去に少女を凌辱させた行為が問題となり、現在は退職しているそうですが、経歴を探れば情報が残っていると思われます。そして…彼の顔写真です」

凛は鴉取の写真を見せる。

「必要なら、ヤツがあたしや親に送って来た。モザイクが施されている、あたしを辱めた画像もお見せしましょうか?」
「そこまでしなくて良い」

少し興奮気味の凛に、竜也が言いかける。

「一応、こちらとしては連絡先も掴んで居ます。捜査に協力して頂ければ、直ぐにでもお願いしたい状況ですが」

佐野は少し考え込み、体を起こして彼等に向かって話す。

「相手の現在の居場所等は、把握出て来てますか?」
「相手が電話に出れば、多少の位置関係とかは把握出来ます」

凛の言葉に佐野は少し驚いた。

「彼女は、僕と同じ不思議な能力があり、気になる人物の素性を見抜きますので…捜査し易いかと思います」
「そうでありますか…」

佐野は凛を見た。彼女は署長室に入って来た時から、竜也の腕に抱き着いて離さない格好でいた。

「分かりました。刑事課長をお呼びし、捜査の検討を致しましょう」
「ありがとうございます」
「いえ、礼には及びません。こちこそ貴方のお役に立てる事を光栄に思います。ご存知なのかは不明ですが…貴方に対する特例法も、現在政府が検討されてますよ」
「それは…何ですか?」
「貴方の高度な治癒能力に対して、異性との交わりが許されるのです。つまり…貴方が、何時、何処で、誰と交わっても、それは一切の罪にならないと言う事です」
「そんな法律必要ないわよ」

凛は不服そうに言う。

「とりあえず刑事課長に報告致しますので、2階でお待ちください」
「分かりました」

竜也と凛は、署長に礼を述べると、部屋を出て行く。
2階に降りてフロアで待っていると、体格の良い50過ぎの男性が2人の前に現れた。男性は黒縁眼鏡を掛けていて、貫禄のある顔立ちをしていた。

「君が村石竜也君ですか?」
「はい、はじめまして、宜しくお願い致します」
「はじめまして、刑事課長の大川と言います。え…と、こちらのお嬢様は…?」
「はじめまして鮎川凛と言います」

凛は、大川に向かって頭を下げて挨拶する。

「そうでしたか、まあ…せっかくなので、こちらでお話ししましょう」

彼は室内に竜也と凛を招き、話を聞く事にした。
署長に話した内容と同じ説明を竜也と凛は大川に伝える。内容の一部始終を聞き終えた大川は、「なるほど…」と、頷き彼等を見る。

「話の経緯から未成年者へのわいせつ罪として、彼の身柄確保で動かせて頂きます。ただ…あくまでも身柄確保であり、被疑者が犯行を否認して、証拠が見受けられない場合、釈放される場合もある事を、ご了承下さい」

大川の言葉に少し不快感を竜也は感じた。

「取り敢えず、相手をおびき出し、身柄確保をしましょう。凛ちゃん通話して頂けますか?」
「分かりました」

凛はスマホを置き、スピーカーで鴉取に通話を掛ける。大川は証拠としてボイスレコーダーを横に置いた。

ヴヴー…

スマホのマナーモードの着信に気付いた鴉取は、セミダブルのベッドから、手を伸ばしてテーブルに置いてあるスマホを手に取る。
着信画面に『鮎川凛』と、表示されて彼は起き上がる。隣で寝てた少女は、彼が突然相手が起き上がった事に驚き目を覚ました。

「やあ…おはよう凛、珍しいね…君から僕に電話して来るなんて…」


少し嫌味たらしい口調を感じさせる言い方で相手が電話に出るのを、凛と竜也、大川が聞く。
「お久しぶりね、元気でしたか?」
凛が相手に返事を返す。


「ああ…元気だったとも、勿論僕のムスコもね…。最近会えなくて寂しいよ。また君をメチョメチョにしたくて、僕のムスコが君を欲しがってウズウズしているよ。君の様に強気な子をキャンキャン泣き喚く姿が僕には堪らなく愛おしいよ。君だってそうだろ?つまらん男なんかよりも、僕のテクで腰を振りたいだろ?僕はね…あの時の記念日は今でも最高の思い出だよ。君が大勢の男達のザーメンをぶっ掛けられて真っ白な体に染まった姿。今でも大切に保存してあるよ。君のパパに見せたらどんな顔するんだろうね?」


スピーカー越しに聞こえる鴉取の言葉に、凛は怒りを堪えて震えていた。竜也も気分が悪くなり、鴉取に会ったら一発殴ってやりたかった。


「イヤだ、イヤだと騒ぎながらも、君のアソコはオツユを垂らしていたよね。本当…体って正直だね。嬉しくて気持ち良いのを我慢して、イクのを無理に堪える君の姿が堪らなく可愛いよ。早く君の家に無銭飲食で長期滞在している浮浪者を追い出して、また君と合体したいよ。どうせなら姉妹丼で君達を頂きたいな。ククク…。まあ…どうせ浮浪者は今日が命日だから、これから毎日可愛がってやるよ」


不愉快過ぎる言葉に竜也は、怒りを堪えて居た。ふと…向かい側に顔を向けると、大川も眉間にシワを寄せている事に気付く。
彼は紙にペンで何か書き凛に見せる。

『相手の位置は特定出来る?』

頷いた凛は、ペンで場所を書き込む。

『若い男女が利用するホテル。名前はムーン』

大川はそれを見てスマホで位置情報を確認した。直ぐに場所は特定出来た。

『今日、会う様に話をして』

それを見た凛は頷いて鴉取に会話を行う。

「今日、会えるかしら?」
「ああ…良いとも、何時にする?」

大川は紙にペンで『PM13:00』と、書いた。

「午後13:00、会えるかしら?」
「了解、場所は何処にする?」

『市役所前の公園、噴水がある場所』

「市役所前の公園で、噴水がある場所で大丈夫かしら?」
「公園だな、噴水のある場所か…了解だ」

彼はそう言って、通話を切った。


「ねえ、今の電話誰なの?」
「ルミちゃんは気にしなくて良いよ」
「ズルい!」

ルミと言う少女は、起き上がり全裸の姿で鴉取に抱き着き彼を押し倒した。
彼はまだ未成熟なルミの裸体を全身で感じ取り、少し興奮気味な状態になる。

「声色からして、相手は子供っぽかったけど…」
「ククク…正解、通話の相手はまだ小学生だ」
「どう言う関係なの?」
「大富豪のお嬢様だ。最近浮浪者が、あの家に入り込んだが、それも今日までだ。これからは、僕があの家に住む。君も同居人になれば…一生食うに困らない生活が出来るぞ」
「ふうん…面白そうね」

ルミが面白そうに言う。

「13時か…少し時間に余裕があるな、ゆっくり着替えて出発しよう」

2人はベッドから起き上がり、シャワーを浴びる。


通話を終えると大川は席を立ち、不機嫌そうな表情をしている。

「さっさとこんなクズ、捕まえてブタ箱に送りましょう!」

通話前とは全く違う態度に竜也と凛は驚いて居た。

「私にもね、凛ちゃん…貴女よりも少し年下だが孫娘が居まして…家族を持つ者としての気持ちが良く分かります。こんな輩は野放しにすべきではありません!」
「やはり…身柄確保ですか?」
「いえ、先程の彼の通話を記録に残しましたから、それが証拠になるので、今回は緊急逮捕として身柄の拘束に努めます。準備に少し時間が掛かりますから、待ち合せ時刻まで一時解散とさせて貰います」
「分かりました」

大川はそう言って、刑事課の部署へと戻って行く。大川が居なくなると「フウ…」と、深い溜息を吐いて凛が竜也の肩に顔を乗せる。

「大丈夫?」
「見えない相手の場所を見抜くのは、少し疲れるの…数分だけでもかなりの疲労なの…」
「大変だ…」

そう言っている間に凛は「スウー」と、寝息を立てて、彼の肩の上で眠ってしまう。

「ちょ…ちょっと、せめて警察署を出て寝よう!」

竜也は凛を揺すって起こす。


~PM13:00

少し早めに噴水の近くに来ていた鴉取は、時計の時刻を確認しながらソワソワしていた。

「おかしいな…場所はここの筈だが…」

彼の隣にはセーラー服を着込んだ中学生のルミが居た。

「ねえ…本当に彼女来るの?」
「その筈だけど…」
「それにしても、何か…この辺チョット怪しくない?」
「何が?」
「だって、ここ市街地なのに、さっきから人が通る姿が見られないわよ」

それを聞いて、鴉取は周囲を見渡す。言われてみれば市役所前の公園で、普段でも多くの人が行き交う場所、繁華街の近くで平日でも大勢の人が賑わう場所なのに、まるでゴーストタウンの様に静まり返っている。

(言われてみれば妙に静かすぎる、変だな…)

ふと、そう考えていた彼は…ハッと、ある事に気付き「しまった、罠だ!」と、叫び出して彼はルミを置いて逃げ出す。

「ちょっと、何処へ行くのよ!」
「う…うるさい!」

彼は慌てふためき、周辺で身を隠せる様な場所を探すが…広間で隠れる様な場所が無い事に気付き、焦り出す。

その直後!

複数の警察車両と、パトカーがサイレンを鳴らして、公園の広場付近へと押し寄せて来た。中から防護服を身に纏い、盾を持ち構えた機動隊が数十名一斉に現れて、彼を取り囲んだ。
その機動隊の中から一名、体格の大きい男性が彼の前に現れる。

「鴉取啓介(あとりけいすけ)、未成年者への淫行、及びワイセツ強要罪の容疑で逮捕する!」

大川は彼の手首に手錠を掛けた。

「クソォ…」

彼はふと、機動隊から少し離れた場所を見ると凛が立っている事に気付く。彼女は隣にいる男性と一緒に自分が捕らわれる瞬間を無言の眼差しで見ていた。

(僕を売ったなクソガキめ…)

悔しそうな表情で彼は凛を睨み付ける。
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