村石君の華やかな憂鬱 Remake

A.Y

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鮎川家編

第45話 恋人奪還作戦③

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電話を切った絵里は身震いをした。

「ねえ…電話の相手って、小学生なのよね?」
「そうだけど…」
「とても怖かったわ…まるでこっちの状況を全て把握している感じだったわ」
「彼女に掛れば、どんな相手も丸裸同然の様に全て見抜かれてしまうわ…」
「彼女の近くに竜也さんがいるの?」
「分からないわね…普段だったら、どんな相手と交際したかを、私達に伝えるけど…今回は無かったわね。もしかしたら…竜也さんは凜と会って一度性行為して逃げた…とも予想は考えられるわ」
「彼は性行為に対しては控えめだからね。私達との初夜も彼は逃げ腰だったしね…」
「そう言う意味では凜には会わない人だと思うけど…」

そう話していると琴美がトイレから出て来た。

「クリちゃん擦り過ぎて、お股がヒリヒリする…」
「オナ二ーし過ぎは注意って、凛さんが言ってたわ」
「う…アイツ電話して来たの?」
「とりあえず、鮎川家を探って見ようと思うわ」

沙耶が立ち上がって言う。

「どうやって探るの?」
「協力者に頼むのよ」
「いるの、協力してくれる人?」
「いるじゃない、昨日電話して来た人が…」

それを聞いて絵里はアッと思い出す。
私は、これから研究所に行って、竜也さんのスマホを取りに行くわ。

「分かったわ、何かあったら連絡してね」

絵里は帰宅準備をする。

「ねえ…凛ちゃんの家に、お兄ちゃんが居た場合はどうするの?」
「その時は、竜也さんを私達の手で助けてやるのよ。凛見たいな女に彼は似合わないから」

沙耶が琴美に向かって言う。

「それにしても、商売敵の相手が…恋敵かもしれない…なんて凄い事ね」
「ええ…本当、厄介よね…出来れば凛ちゃんとは、あまり関わりたくは無いのよ。彼女って見た目の美しさとは裏腹に気の強い性格だからね…」

話しが纏まると沙耶は中澤を読んで外出の準備を始めた。


竜也と凛を乗せた車は市の繁華街から少し離れた穏やか住宅地の奥へと向かう。
車は小高い山道を潜り抜けて、前方に大きな門が現れた。
門を潜った先には大きな屋敷が見えた。眠りから覚めた竜也は前方に巨大な屋敷が現れた事に驚いた。

「また…凄い家に住んでいるのね…」
「先代が民宿見たいな家にしたい…と言って、建てられた家なの」

それを聞いて竜也が家を眺める。確かに…民宿そのものの形を家にした屋敷だった。
車は玄関前まで行くと、停車してドアが開く。

「これから貴方が私達と一緒に暮らす場所よ」
「鬼頭家も大きかったけど…こっちの家もまた…大きいね」

その言葉に凛は驚いた表情で竜也を見る。

「貴方…沙耶さんと知り合いだったの?」
「え…まあ、昨日会ったばかり」

凛は竜也の側へと近寄り

「で、彼女達とは…したのね」
「は…はい」

(彼女達…?)

凛は少し考え込みながら「ふうん…なるほど、そう言う事だったのね…」と、一人頷き何か納得した様子を見せる。

「どうしたの?」

竜也が気になって聞くと…

「ん…何でも無い…」

と、凛は首を横に振った。そして…竜也を見て言う。

「あたしの許可が無い時以外の外出は禁止します。あと、他の女性達の事は一切忘れて私との関係だけを考えてください」
「あ…あの、普段コンビニとかに行く事は?」
「家にいれば大体の物は有りますから、出る必要は無いです。どうしても…と言う場合はあたしの了承を得てから外出ね。それ以外は家の使用人と同行なら許可します」
「はい…」

完全に捕らわれの身になったと感じた竜也は、少し自信なさそうに凜に付いていく事になった。

「じゃあ…家に入りましょうか」

その時、ピュウと風が吹き、凜のスカートが捲り上がる。それを後ろで見ていた竜也が

「お…お尻丸見え」

次の瞬間「このォ!」と、声を高ぶらせ凜は顔を紅く染めながら凄まじい平手打ちを竜也にした。

パシン!

平手打ちをくらい、頬が晴れた状態で竜也は、凛に引っ張れて屋敷の中へと入って行く。
凜が帰宅すると、旅館の女将の様な女性が膝を付いて挨拶をする。

「お嬢様お帰りなさいませ」
「ただいま内藤さん」

内藤と言われた女性は、顔を上げて竜也に気付くと…

「こちらの方は…?」
と、凜に尋ねる。

「あたしの将来の旦那様になって頂く方、村石竜也と言います」
「そうでありますか…」

内藤は竜也の前に立ち

「我等鮎川家に仕える者の一同を代表として、宜しくお願いさせていただきます」
と、深く礼をする。

「あ…ハイ、宜しくお願いします」

竜也も内藤に従って深く礼をする。

「内藤さん…あと、ついでに家の周りを徘徊しているゴミの処理もお願いしといて」
「かしこまりました。つきまして処理方法としては…どの様に?」
「そうね…徹底的な駆除でお願い。家に無断で近付くとどうなるかを相手の身に刻み込む形でね」
「分かりました」

気になった竜也が凜に話し掛ける。

「ゴミの処理って?」
「フフフ…貴方は気になさらなくても大丈夫よ、目障りな存在には消えて頂くだけだから」

クスッと凜は微笑みながら竜也の腕を掴んで家の中へと入って行く。


黒塗りのセダンに乗った数名の男性達はしばらく鮎川家が見える付近で待機していた。
双眼鏡で家を眺めた男性が溜息混じりに呟く。

「ありゃァ…まるで城だよな、玄関から入る事は難しそうだな…」
「裏手から回るか?強行突破しかなさそうだな」
「村石竜也って言う人物一人の為に組が全員で動く必要もなさそうだけど…」
「あいつが家から出て来るのを待つしかなさそうだ」

そう話していると、ヘリの音が近付いて来るのに気付く。

「ん…何だ?」

自分達周辺をヘリが飛んでいる様に思えた時だった。

「お…おい、何だあれは!」

乗っていた一人の男性が、何かに気付き声を上げる。

「どうした?…い!」

前方から特殊部隊と思われる車両が近付いて来た。
黒塗りの大型車両から、大勢の黒服に防弾装備を身に纏った男性達が銃を構えて来る。

「嘘だろ、こんな場所に特殊部隊が出て来るなんて」
「お…おい、これは完全に俺達を狙っているぞ!」
「た…退去だ!」

セダンに乗った男性達は急いで撤退し始める。
市街地に逃れた男性達は、一息付いた様子でいた。

「何であんな場所に特殊部隊が現れるんだ?」
「俺達を完全に狙っていたな…あの行動は…」
「お…おい、あ…アレ!前を見ろ!」

そう言って一人の男性が全方を指すと、大型トレーラーが、反対車線から飛び出して、自分達の乗っている車両に突っ込んで来た。

ガシャァン!

大きな音を立ててセダンの車はフロント部分が大破する。安全装備が付いているおかげで乗っていた男性達全員助かった。

「くそぉ、どんな下手な奴が運転してやがる」

男性が運転席を見ると、ギョッとした。

「これは…いったい…?」
「どうした?」

他の男性が一緒に見に行くとトレーラーは完全に無人の状態で走行していた。

「これって、つまり…俺達を狙って誰かが仕掛けて来たのか?」

唖然とした状態でいると、更に後方から勢い良く大破したセダンに突っ込む車があった。

ドオォン!

「な…何だ一体?」

車は無人走行だった。

「お…俺達完全に狙われているぞ」

恐れを感じた男性達は慌てふためいていた。

その時だった…

ピュウゥ…と、上空から何か落下して来た。

ドオォン!

大きな巨大な銀色の鉄板の様な物体が、全壊仕掛けたセダンの車の屋根に突き刺さる。

「ヒ…イ、な…何だコレは一体…」

恐れを感じた男性達は一目散に走り出す。
全員、慌てふためきながら散り散りに走り出していた。


その状況をモニターで見ていた内藤と、もう1人の年配の男性は、コンピューター管理している男性が「ミッションクリア」の合図を出すと、男性が腕時計を見る。

「開始から約10分て所ですね」
「低コストで即排除としては上出来ね…個人的には、1人くらい負傷者を出して尋問させたかったけど…、お嬢様はその様な行為を望まないでしょうね」
「凛お嬢様に着きましては、1つ気になる事がありますが…」
「古川さん、どうなされました?」

古川と言う人物は、内藤を見て話しをする。

「先程、凛お嬢様が見慣れぬ男性を連れて家に入りましたが…何者でございますか?お嬢様は将来の旦那様とか言っておりますが…自分には、その様な人物には見えませぬ。お嬢様にはそれ相応の相手と一緒になって頂きたいと思います」
「吉川さん…」
「はい」

内藤は睨んだ目付きで吉川を見た。

「凛お嬢様が、理由も無く男性を家に迎える筈がありません…あの子なりにちゃんとした理由があって招き入れたのです。その気持ちを揺るがす行為は私が認めません」
「失礼しました」
「内藤さん・・・吉川さん・・・」

コンピュータールームに凛が入って来た。
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