村石君の華やかな憂鬱 Remake

A.Y

文字の大きさ
上 下
34 / 84
帰宅編

第32話 思惑

しおりを挟む
 セバスチャンにクズ魔石と鉱石をあるだけ運んでもらうことに。
 今は夜なので追加でいるなら明日にならないとダメだって言うので市場荒らさない程度に仕入れてほしいとお願いした。

 クズ魔石を溶かして魔力を通して、魔導インクを大量に作って、板状の鋼板に魔法陣を書き込んでいく。
 ほんの少しの魔力を入れれば何日かは暖かさが持つはず。
 長く持たせるならもう少し装置を複雑にしないとだけど緊急事態なので許してほしい。
 
 火の魔石を魔法陣の上に置けば威力が増すから室内ならだいぶ良い。

 あとはカイロもどきを一気に量産して。

 ふと気付いてしまった。私が休まないとニーナたちが休めない。

「ニーナ、アラン、ジェイク、明日も大変だろうから休んできて?私もこれが済んだら寝るから」

「みんなが動いてるんで気になさらなくて良いんですよ。リーシャさまはお身体にためにそれが済んだら絶対おしまいですからね」

 のぉ。念押しされちゃった。

「はぁい」

 ニーナに逆らったらダメ。なのでしおらしくしておきます。

 病人がたくさんなので空気清浄機を作っておきたいの。〈洗浄〉〈清浄〉でわりとなんとかなるだろうけど大広間全体は流石に普通の魔力じゃ厳しいはず。

 ウィルスはなくても綺麗な空気の方が衰弱してるなら安心だろうし。

 風魔法と聖魔法の魔法術式を組み込んで鋼板に魔法陣を書き込んで空調っぽい動作ができるように設計。
 流石に大部屋の分だけ大型五台にしておいた。

 アランとジェイクがマジックバッグに入れて運んでくれるので、私も動作確認がしたいので一緒に向かった。

 未だ新たに運ばれてきてるので一向に休まらないだろうなって状態。

 壁沿いに空気清浄機をセットしていきスイッチを入れれば、ちゃんと稼働したので安心。

 寒さに震えてるような人は居なさそうなので循環させるだけで良いかな。

 ちょうどセバスチャンと遭遇したので、カイロもどきとヒーターがわりの鋼板を渡した。

「あれから数時間でこんなに!?体調は!?」
 肩をガシッとされたので「大丈夫だから早くホーンに配ってあげて」って言って逃げた。

 大きな声が聞こえたのでそっちを覗くとまさに出産中なお部屋ならしい。
 マギー先生のドスの聞いた応援?が迫力だ。
 覗くわけにもいかず「無事に生まれて」ってお祈りして離れる。
 お義母さまが侍女長さんと廊下を早足で歩いていたのでお声を掛けると、
「あら、リーシャちゃん、寝てなくても大丈夫?」
 と心配気に頭を撫でられる。未だに栄養失調な私が目に浮かんでるんだろうな。
「はい、お義母さま。私にも何か出来ますか?」
 お義母さまも少し疲労の色が出てるので早く休んでほしいけど、使用人のみんながフル稼働だからそうも言ってられない。

「そうねぇ、多分最低でも一週間はこの状態になるだろうから交代で休まないとなのよねぇ」
 まぁ吹雪が済むまでとその後の生活の立て直しもあるだろうしすぐには帰せないよね。

「明日にはアンゼリカちゃんたちも来てくれるだろうから休むのはそれからにして今は滋養にいい食べ物をルルゥと相談してくれないかしらぁ?」

 私がお役に立ちたい気持ちを汲んでくれてる気がする。

「でもいっぱい魔力を使ったと聞いたわよぉ~?無理だけはしないでねぇ?」

 ぎゅむっとハグをしてくれてお義母さまは別にお部屋に様子を見に行った。

「ニーナ、無理はしないから厨房に行こう」

 流石にこの状況で寝ろとは言えないらしく超渋い顔で一緒に厨房に向かってもらう。

 お肌ツルツルを喜んでたのが嘘みたいな急展開で、今度は目にクマーを飼う話になりそう。

「あら、リーシャちゃん、ちょうど良かったわ。味見てちょうだい」

 渡されたお椀には甘酒の香りがする穀類がトロトロになったスープ。

「ちょっと甘くなっちゃった気がするのよ?」
「ん、優しい味だし、身体がほかほかになりそうだから良いと思うよ。大人にはちょっとこれを混ぜてみたらどうかな」
 
 私は棚に置いてある生姜の塊を指差した。

「ああ~これは良さそうね」

 あとはたまご粥と味噌をミルクに溶かしてスープにしたのを提案してみた。
 お野菜は全部微塵切り。比較的調子がよさそうなら大きい具とお肉も入れて。

 妊婦さんには湯豆腐や豆腐スープも良いかも?メグミもリーシャも経験がないから臨月の人が何食べたいかわかんないなぁ。とにかく寒さにやられた後だから温かいものを!

 鶏白湯がいいなって思いついて、私は邪魔にならないところで若いコックさんを捕まえて鳥の骨の処理を手伝ってもらう。

 アランとジェイクにはしばらくここにいるから交代で仮眠を取るように伝えた。
 最初は渋っていたけど長丁場なので納得してくれた。コックさんたちの仮眠室を使わせてもらうそうだ。
 ニーナにも言ったんだけど、私と一緒にって言われちゃった。

 魔導コンロだと火力が弱いけどとりあえずやってみる。
 骨と野菜と薬草と漢方系の実を一緒に煮込んで薬膳スープにすることにした。

「向こうのコンロ使ってもいいんじゃないですか?」
 コックさんが言ってくれたけど全部フル稼働だから無理に割り込まなくても良い。順番に仕上がって出していけば。

 スープは煮込むのに時間が掛かるから、合間にミートボールを作ることに。ミンチ肉なら消化もいいし食べやすいはず。

 コックさんたちが使ってくれないミンサーに貯蔵室から運んでもらった魔獣肉を入れまくる。
 ハーブと塩胡椒で味付けをしてだんご状にしていくのをコックさんたちが手伝ってくれた。
 こっちのは鳥でこっちは・・・蛇かも!?んであれはオークだっけ。色合いの違いで多少わかるようになった。

 忙しく働いてくれてるうちの人たちにも力付けてもらわないとだからいっぱいミンチにしちゃうんだ。

 ポムたちがなぜが慌ただしくあっちこっちに動き回ってるけど何してるんだろう?







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

処理中です...