村石君の華やかな憂鬱 Remake

A.Y

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帰宅編

第30話 鬼頭家邸②

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沙耶の意外な発言に周囲が驚いた。

「え…でも、勝手に君の家へ入って大丈夫なの?」
「私の家は大きくて、空き部屋が幾つもあるの…事前に説明して置けば大丈夫よ」
「そうか…それなら助かる、では…これを持って鬼頭さんの家で頑張って来てくれ」

柳沢はコンドームとそれを入れる容器を皆の前に出す。
全ての話が終わって皆が立つ時に竜也のスマホが鳴り出した。
着信を見て竜也は顔を青ざめながら電話に出る。

「ハイ…もしもし…」
「ちょっと貴方…今、何処に居るのよ!」

スマホの電話口から大声で相手のキーキー声が響く。
それを見ていた絵里と沙耶は、竜也が誰かに叱られているのだと感じた。

「ご…ゴメン美穂、今日はちょっと帰りが遅くなるかもしれない…」
「出掛ける時は場所を連絡してと言ったでしょ!とにかく今は何処に居るか場所を教えて、私が直ぐにそっちに迎えに行ってあげるから!」
「そんな…」

竜也が戸惑って居るのを見て沙耶が「貸して」と、竜也からスマホを奪う。

「あ…ちょっと…」
「もしもし…」
「誰よ貴女、もしかして新しい女?」
「さあね…誰でしょう、ただ…申し訳無いけど…竜也さんは、貴女の居る場所へは戻らないので…それだけは肝に命じといて」

「どう言う意味よ、ソレ…ちょっと竜也に変わりなさい。彼としっかり話をしたいから!」
「貴女と話をするだけ時間の無駄だから辞めさせるわ、どうしても彼を自分の場所に連れ戻したいなら…実力で彼を奪い返し来る事ね。まあ…それよりも貴女が彼を夢中にさせてしまう位の魅力的な女性になるのが懸命な判断かもしれないわね」
「どう言う意味よ一体?とにかく彼を返しなさい、竜也は私だけの恋人なのよアナタなんかに渡してやるものですか!」

「残念だけど…それは出来ないわ。失礼だけど切るわね」
「あ…チョ…」

沙耶は美穂の話を聞かずに電話を切ると同時にスマホの電源を切り落とす。

「もう…このスマホは使わない方が良いわね、新しい番号を登録してそっちを使う方が良いわね」
「ゴメン…何か助けて貰って…」
「構わないわ、イヤだったのでしょ…?」
「まあね…」

それを見た柳沢が少し前に出て話し掛ける。

「竜也君、申し訳無いが…この子達と少しだけ話をさせてくれないか?」
「ハイ」

そう返事をして竜也は1人応接間の外に出る。
約30分程して絵里と沙耶が柳沢と一緒に応接間から出て来た。

「じゃあ…今から私の家に行くけど…熊切さんは直接家に来る?」
「貴女の家が何処なのか分からないけど…」
「私の家は霜方町だけど…」
「そうすると逆方向になるわね」
「そう…じゃあ、貴女の送迎用の車を1台用意するわ、竜也さんは私と一緒に家に向かいましょうか?」
「分かった…ただ、着替えが無いけど…」

それを聞いた沙耶が竜也を見て言う。

「着替えなんて私の方で用意するわ、今…貴方が自分の居た場所に戻れば2度と外出が出来なくなるかもしれないわよ」
「まあ…そうだね…」

沙耶はスマホを使って家に電話を掛けた。
彼等の話を聞いていた柳沢が竜也に話し掛ける。

「すまないが…今、君が着ているシャツを脱いで、こちらの未使用のシャツに着替えてくれ。奥の着替え室を使って構わないよ。脱いだシャツは箱の中に入れて置いて欲しい」
「はい」

竜也は着替え室でシャツが着替えて戻ると、研究所の外で迎えの車を待っていた沙耶が施設内に戻って来て「来たわよ」と皆に言う。

全員が外に出ると高級セダンの車が2台並んでいて、それぞれの車に黒色のスーツを着た男性が立っていた。

「随分派手な送迎だね…」
柳沢が呆れた表情で言う。

「そうかしら…?」
沙耶が笑いながら答える。

「じゃあ…車を使わせて貰うわね」

絵里は沙耶に言う、そして竜也に向かって「また後でね」と、手を振って車に乗り込む。
絵里を乗せた車は走り出して研究所から見えなくなった。

「私達も行きましょうか…」

そう言って沙耶は竜也を車に乗せる。
出発前に柳沢が窓ガラス越しに

「今夜は2人相手だが頑張るのだぞ」
と、竜也に向かって言う。

「はい…」
竜也は少し浮かない顔で答える。

2人を乗せた車は研究所を後に出発した。
走行した車内で竜也は先ほどから気になっていた事を沙耶に問い詰める。

「柳沢さんとは何を話していたの?」
「貴方に付いての事よ…聞きたい?」
「話してくれるのなら…」
「じゃあ…話すわ」

沙耶は柳沢と話していた内容を詳しく語り始める。

~数十分前…

2人を応接間に残した柳沢が絵里と沙耶に向かって話し始める。

「君達に言うが…私の見立てでは彼はセックスに付いて少し嫌気を感じて居ると思うのだ…」

それを聞いた絵里と沙耶は少し驚いた表情を見せる。

「女性が無理矢理、男性のエッチな行為を嫌がるのは分かりますが…男性が嫌がるのは始めて聞きますね」
「男の人って、女性の裸を見れば何時でも飛び付いて来るのでは無いですか?」

「竜也君も最初は、そうだったかもしれないが…彼は病院に入院中の時から、必ず誰かの性行為の相手をしていて、自分が望んで居なくても相手が現れる…と言う日々だったようだ。ポルノの世界で言うならば、手足を縛られて無理矢理イキ地獄に遭わされるのと同じだ。退院すれば少しは落ち着くと思っていたら、彼に惚れた女がアパートに現れて監禁見たいな生活をさせようとして彼はココに来たのだよ」

「つまり…私達がいきなり彼に抱き着く様な行為はしない方が良いのね」
絵里が言う。

「エッチしていて、多少物足りなさがあっても竜也君が終わりにしたいと思ったら終わりにさせるのが良いと思う」

柳沢は2人に向かって言う。

「そうなの…まあ仕方ないわね…」
絵里が少し残念そうに言う。

「そっか、フフ…」
絵里が沙耶が何か考えているのに気付き

「貴女…今、何か考えたでしょ?」
「え…別に…何も…」
「言いなさい」

絵里が沙耶を捕まえて言う。

「ちょっと物足りない時は、おやすみ前とおはようの時に、彼のモノをしゃぶろうかと思って…」
「アンタって意外にエッチなのね」
「貴女だってその位考えて居るでしょ?」
「私は…おはようと、ただいまと…おやすみの時は裸でチュウをする程度にしか考えていないわよ」
「同じじゃない」
「一緒にしないでくれる?」

2人が言い合っている中、柳沢が2人に話しを続ける。

「あと…彼に付いて、これから本格的な研究を行うが…その間に何が起きても受け入れる様にして欲しい」
「それって…どう言う意味ですか?」

沙耶が柳沢を見て言う。

「君達も分かっていると思うが…彼が街に出れば、彼に惚れてしまう女性が現れると思う…そう言った女性が現れても決して彼を責めたりせず、相手を受け入れて欲しい。あと…女性に無理矢理連れて行かれてしまう事も起こりかね無いので、その辺も承知して欲しい」

「大丈夫、何かあったら私が彼を守って見せるわ」
絵里が言う。

「私も竜也さんを守るわ」
沙耶がガッツポーズで言う。

「頼もしいね」

(本来なら、男性が女性に言うべき言葉なのだが…)

柳沢は扉の向こう側にいる竜也を見て思う。

~現在…

話の一部始終を聞かされた竜也は顔を俯いて居た。

「僕って、そんなに頼り無く見られていたんだ…」

竜也の側に手を当てて沙耶が言う。

「心配しなくても、私が竜也さんを守ってあげるから大丈夫よ」

(自分より年下の女子中学生に守られる自分って一体…)

竜也は少し自分の存在が悲しくなって来た。

「大した才能も無い自分が少し悲しいな…」
「才能ならあるじゃない、素晴らしい才能が…」
「え…?」
「女性を一瞬で惚れさせてしまう才能が…」
「それって才能なの?って言うか…君も惚れてしまった…と実感があるのだね」
「そうね…貴方を見た時に、私には…もうこの人しかいない…と感じたわ」

そう言いながら沙耶は竜也の手に自分の手を重ねて、ジッと上目遣いで竜也を見て、空いている片方の手で竜也の股間を優しく撫でる。

「私ね…ずっと我慢しているのよ…」
「さっき柳沢さんの話してた事…覚えている?」
「フフ…大丈夫、しっかり頭の中に叩き込んでいるわ」

そう言いながら沙耶は竜也のズボンのジッパーを開けて、下着の中に隠れている陰経を掴んで起こす。

「これ…君の家の車の中だよ」
「平気よ、少しくらい汚しちゃっても大丈夫」

沙耶は既に竜也の陰経に夢中だった。沙耶が竜也の陰経に顔を近付けようとした時、車が停車した。

「お嬢様、屋敷に到着しました」

運転手がミラー越しに沙耶を見て言う。

「残念…お楽しみは家の中ね…」

竜也は助かった…と一安心する。
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