ある姉弟の関係

A.Y

文字の大きさ
上 下
14 / 15

再婚式2

しおりを挟む
ー 数日後…

龍ヶ崎家は、ビジネスホテルの小さな部屋を使って、再婚式を行った…。

式場の予定の都合等から再婚式は7月下旬となり、徹や麗奈が夏休みに入った頃を見合わせて行われた。
式には身内や、両親達の知り合い関係が詰めかけて華やかな賑わいを見せていた。麗奈もクラスメイトの女子達を招き、華やかに賑わっていた。

会場内はバイキングの料理が用意されて、皆…楽しそうに料理を食べながら賑わっていた。両親達の中でも特に親しい関係者達が集う中、麗奈を見ている男性に徹は気付く。

「ねえ、さっきから、こっちを見ている人がいるよ」

徹の言葉に麗奈も男性に気付いた。

「ああ…あれは、倉山弁護士だ。前の母との親権をどちらにするか決めるのに、父の方に私を決めさせてくれたのだ」
「そう…なんだ」

(全ては彼の判断ミスの結果なんだな…⁈)

そう思った時、ハッと麗奈を見ると、ジッとこちらを睨んで居る様に見えた。

「ど…どうしたの?」
「ん?いや…別に、ただ…私の今の会話で彼が唯一の判断ミス等と…考えていたら。許さんと思っただけでな…」

それを聞いた徹は、ゾクッと悪寒を感じた。

「ハハハ…そ、そんな事考える訳ないよ…」

徹は冷や汗を掻きながら愛想笑いして答える。

「そうか…なら良し。そうだ…!せっかくのバイキングだから、何か食べたい物はあるか?よそって来てやる」
「そうだね…」

徹はチラッとローストビーフに目が行く。

「ローストビーフを取って来てくれるかな?」
「分かった」

麗奈は素直に返事してローストビーフを取に行ってくれた。

(なんだ、やけに素直だな?)

徹は素直に返事して動く麗奈が逆に不安に感じる。

「持ってきたぞ、さあ食え」

と、彼女が持ってきたのは、ローストビーフの塊が乗った大皿だった。麗奈は大皿を彼等が座るテーブルの上にドンと置く。更に塊の上に大きなフォークを数本串刺した状態で徹の前に差し出して来た。

「ねえ、君って僕を嫌がらせるのが趣味なの?」
「お前が食いたいと言うから、持ってきたのだ。良かったら口を開ければ、肉を放り投げてやるぞ」
「いや…結構です。自分で食べやすい大きさに切って食べます」
「何だ、随分控えめだな」
「君の良識が想定外過ぎるだけだよ」
「こんな事では野戦場で生き残れないぞ」

(何故、再婚式の場で野戦場の話を持ち出して来るんだ!)

麗奈は適当に肉を切って、それを持ち構える。

「さあ…お口を、あ~んして」
「結構です。お前の相手をしてたら、命が幾つあっても足りないから」

そんな2人のやり取りを見ながら「失礼」と、声を掛ける人の姿があった。麗奈が教えてくれた「倉山弁護士」と、言う人物だった。

「始めまして、弁護士の倉山です。ちょっと別件の予定が入ったから、麗奈ちゃんと少し話をしたいのだけど、良いかな?」
「あ…はい」

麗奈は、倉山に誘われて式場を出て行く。
徹はむしろ、そのまま式が終わるまで、麗奈を預かって貰いたいと思った。
彼は適当な大きさにローストビーフを切って、残りを並べてあった場所に戻した。
徹がローストビーフを食べ出した時、麗奈が戻って来た。

「早いお帰りだね」
「大した話では無かったから…」
「そう…」

徹は横目でチラッと麗奈を見た。特に何か気にしている様子は無さそうだった。

「ところで何か他に欲しい物は無いのか?」
「そうだね…」

徹はデザートに目が行く。
「ケーキを食べやすい大きさに切って、持って来てくれるかな?」
「分かった」

そう返事をして麗奈は、ケーキをホールごと持って来て、徹の前に置く。ケーキの真上にはフォークが串刺した状態だった。

「さあ食え」
「君は、どうしても、それがやりたいのだね…」

徹は呆れた表情で麗奈を見る。

その日…和やかな雰囲気の中、再婚式は幕を降ろした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】

うすい
恋愛
【ストーリー】 幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。 そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。 3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。 さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。 【登場人物】 ・ななか 広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。 ・かつや 不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。 ・よしひこ 飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。 ・しんじ 工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。 【注意】 ※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。 そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。 フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。 ※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。 ※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

セックスの練習をお願いしたら、幼馴染みに快感責めされちゃう女の子のお話

まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*) 「後腐れなく出来るから、初エッチの相手をして!」と幼馴染みに迫ったら、がっつり執着系だった幼馴染みに、快感責めにされて、身体から落とされちゃう女の子のお話です。

処理中です...