失われた愛と偽りの婚約〜復讐の令嬢が選ぶのは冷酷な隣国王子か？

第15話不安と決意

リリーは深い夜、静かな城の廊下を歩きながら、自らの心に問いかけていた。ゼロスとカイル、二人の男性の間で揺れる気持ちは次第に彼女を苦しめ始めていた。しかし、カイルの言動にどこか不信感を抱いている自分にも気づいていた。

「このまま、誰かに頼ってばかりじゃ何も変わらない…。」

心の中でリリーは呟く。これまでの自分は、ただ周りの状況に流されていたに過ぎない。しかし、今は違う。ゼロスが言っていたことも、カイルが自分に隠していることも、自分で確かめなければならないと強く感じていた。

「私、一人でもできるはず…！」

その決意を胸に、リリーはカイルの行動を探るために密かに動き出すことを決めた。カイルの不自然な動き、特に最近頻繁に行われている秘密の会合。彼が何かを隠していることは明らかだった。

夜が更け、リリーはカイルが向かう場所をこっそりと追いかけた。そこは城の地下にある暗い部屋。リリーは遠くからその様子を窺い、カイルが何者かと密談していることを目撃する。

「これは一体…？カイル、一体何をしているの？」

不安と疑念が彼女の胸を掻き立てる。リリーはその場を去ることを決めるが、足音が近づいてくるのに気づき、慌てて陰に隠れる。

「もうすぐ計画は進行する。リリーに悟られぬよう注意するんだ。」

カイルの冷たい声が響く。その言葉にリリーは思わず体を強張らせた。

「やっぱり…彼は何か隠している…！」

彼女の胸に浮かんだのは、裏切られたかもしれないという恐怖と怒り。しかし、今は動揺している暇はなかった。リリーは冷静さを保ちながら、カイルの計画を暴くために何ができるかを考え始める。