怖い日常

マミナ

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消える防犯映像

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「松田さん、ちょっといい?」
コンビニの事務室で働くOLの三浦美沙は、防犯カメラの映像を再生しながら後輩のサラリーマン、松田和也を呼び止めた。

「どうしました?」
松田が振り向く。美沙はモニターに映る不可解な映像を指さす。

「この映像……なんか変じゃない?」
そこには深夜の店内を歩き回る奇妙な客の姿。無造作に棚を漁り、レジの前で止まり、ふとカメラを見上げて不気味な笑みを浮かべている。

「うわ……なんか嫌な感じしますね。顔……これ、どうなってるんですか?」
松田が画面に顔を近づける。客の顔は歪み、肌がただれているように見えた。

「でもね、これだけじゃないの。ほら……」
美沙は別の日の映像を再生する。そこには、同じ時間帯、同じ動きをする「客」の姿があった。

「まったく同じ人……いや、同じ動き? 服装まで一緒ですよ。」
松田の声が震える。

「そうなの。でね、この映像、上に報告しようとしたら……次の日には消えてたの。」
「消えるって、誰が? 会社が勝手に消したとか?」
「分からない。でも、これ見てたら背中が寒くなるの。何か……何かおかしい。」

その時――バチッというノイズ音とともに映像が乱れた。画面が一瞬暗転し、次の瞬間、モニターいっぱいに先ほどの「客」が映し出された。

「な、なんで!? 映像止めたはず……」
美沙の声が裏返る。「客」はじっとカメラを見つめたまま、不気味な笑みを浮かべる。

「……見てる……」
松田がかすれる声でつぶやいた。

「な、何言ってるのよ?」
「見てるんだよ、俺たちを……」

その瞬間、事務室の照明が**パチン!**と音を立てて消えた。

「うわっ! 電気!? 松田くん、懐中電灯持ってきて!」
美沙が叫ぶ。しかし松田は動かない。代わりに、闇の中からかすかな声が聞こえてきた。

「……た、すけて……」
「松田くん!? どこ!?」
暗闇の中で美沙は手探りで机を叩く。その時――背後で、**カサ……カサ……**と床を這う音がした。

「……ひ……ろ……わないで……」

美沙が振り返ると、そこにはただれた顔で笑う「客」が立っていた。

「やっと会えたね……」
低く湿った声が耳元でささやく。

「君もこっちにおいでよ……冷たくて、静かで、気持ちいいよ……」

ギギギ……バチッ! 照明が一瞬だけ点滅し、目の前には倒れた松田が引きずられるように動いていた。松田の喉からは奇妙な音だけが漏れる。

「次は君だよ……僕たちを見てしまった罰さ。」
「や、やめて……やめて!!」

美沙の叫び声が響くが、次の瞬間――画面は暗転した。

翌朝、事務室に人の姿はなかった。ただ、防犯カメラの映像には、松田と美沙がレジの前で無表情に立ち尽くし、どこかへ歩き去る姿が映っていた。その画面の端に、「客」が微笑む姿が、ぼんやりと映り込んでいた。
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