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この箪笥
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「この箪笥、どうするの?」とお母さんが尋ねた。
「もう大分古くなって埃が目立つようになっているがまだ大丈夫そうだし、勿体ないから使えるうちに使おう。」
とお父さんが答える。
その夜、家族が寝静まった頃、箪笥の引き出しが少しずつ開き始めた。
ギィ―――ッ、ギィ―――ッ
箪笥を引きだす音が家中に響き渡り、私は目を覚ます。
恐る恐る部屋を出てから音のする方向へと向かった。
「なんの音…?」
私は心の中で呟く。
箪笥の前に立つと、引き出しの中から何故か冷たい風が吹き出してくる。
「寒い…。」
私は寒さで震えた手を伸ばして引き出しを閉めようとしたけど、その瞬間になにかが私の手を掴んだ。
「えっなに!?」
驚いた私は急いで手を引っ込めたけど、引き出しの中からなにかがにゅっと白い手が伸びてきた。
「助けて!お父さんお母さん!」
私の前になにかが這い出てくる。
ギィ――ッズッズッズッズッズッ
「えっなに…嘘でしょ…なんで箪笥の中から人が出てくるの…!?」
一人の女性が私の前に近付いてくる。
なにかがの正体は女性であり、病的なまでに真っ白な顔で、虚ろな目をしていた。
「私の箪笥を返して、さもないと…」
女性は私をじろりと睨みつけながら呟く。
私は「助けてお願い!!」と必死で叫ぶ声が聞こえたのか、お父さんが「どうしたんだ!!なにがあったんだ!!」
と心配してお母さんと一緒に駆けつけてくれた。
「箪笥の中から女の人が…」
私は泣きながら必死で説明した。
「この箪笥は昔ここに捨てられたものとそっくりなんだ。あの時も、持ち主が奇妙な体験をしたと言っていたんだ。」
「そんな…」
お父さんの話を聞いたお母さんと私は青ざめて呟いた。
私たち家族はこの箪笥により強く恐怖を感じるようになった。
その後、すぐに箪笥を処分したけど、しばらくの間は不気味な気配を感じ続けた。
「もう大分古くなって埃が目立つようになっているがまだ大丈夫そうだし、勿体ないから使えるうちに使おう。」
とお父さんが答える。
その夜、家族が寝静まった頃、箪笥の引き出しが少しずつ開き始めた。
ギィ―――ッ、ギィ―――ッ
箪笥を引きだす音が家中に響き渡り、私は目を覚ます。
恐る恐る部屋を出てから音のする方向へと向かった。
「なんの音…?」
私は心の中で呟く。
箪笥の前に立つと、引き出しの中から何故か冷たい風が吹き出してくる。
「寒い…。」
私は寒さで震えた手を伸ばして引き出しを閉めようとしたけど、その瞬間になにかが私の手を掴んだ。
「えっなに!?」
驚いた私は急いで手を引っ込めたけど、引き出しの中からなにかがにゅっと白い手が伸びてきた。
「助けて!お父さんお母さん!」
私の前になにかが這い出てくる。
ギィ――ッズッズッズッズッズッ
「えっなに…嘘でしょ…なんで箪笥の中から人が出てくるの…!?」
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「箪笥の中から女の人が…」
私は泣きながら必死で説明した。
「この箪笥は昔ここに捨てられたものとそっくりなんだ。あの時も、持ち主が奇妙な体験をしたと言っていたんだ。」
「そんな…」
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