怖い日常

マミナ

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首のない心霊写真

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 北海道のとある滝の近く、夏の終わりのある日。

 大学生のグループが、有名な心霊スポットで観光を楽しんでいた。

「ここ、本当に幽霊が出るのかな?」

 ユウタ合宿カメラを構えながら言った。

「噂によるとここの滝には首無しの暴走族の霊が出るらしいぜ」

 アキラが答える。

「まあ、信じるか信じないかはこの目で確かめてみないとね。そもそもここに来たのもそれが目的だし」

 サヤカは笑いながら言った。

 他のメンバーも同意する。

 彼らは滝の前で写真を撮り、その場の興奮に酔いしれていた。

 しかし、家に帰って写真を確認すると、バイクに乗った首のない透明な人影が写っている。

 しかも、かなりくっきりと。

「これ、マジで何?!」  

 ユウタが画面を指を差して叫ぶ。

「冗談じゃねえぞ、何なんだよこれ…」

 アキラが青ざめる。

「皆、落ち着いて。これが何かの間違いである可能性だってあるんじゃないの…」

サヤカは冷静を保とうとするが、彼女の口元は震えている。

その夜、ユウタの窓が突然開き、エンジンの轟音が聞こえてくる。

彼は目を覚まし、何かがおかしいと感じる。

窓の外を見ると、滝の前で写真を撮った場所に似た霧が立ち込めていた。

「誰かいるのか?」

ユウタが声を震わせるながら尋ねる。

窓の外から、首のない暴走族の声が聞こえてきた。

「俺の首…どこだ…?」

ユウタは恐怖で身動き取れなくなり、その場に崩れ落ちた。

翌朝、彼は自分の部屋で首のない姿で発見された。

それ以外、彼らが訪れた滝はさらに恐ろしい心霊スポットとして知られるようになる。

夜が明けていく中、アキラとサヤカも同じような体験をする。

アキラは自宅のガレージでバイクの整備をしていたが、不意に工具が自分の意志とは無関係に動きだし、壁に叩きつけられてしまう。

次の瞬間、バイクのエンジンが勝手に始動し、轟音を立てながら暴走し始めた。

アキラは逃げ出そうとしたが、バイクが彼を追いかけ、ガレージの外へと吹き飛ばされた。

サヤカは自宅で一人、写真の謎を解明しようとしていた。

彼女は写真をじっと見つめて、何か手がかりを見つけようとしている最中だった。

しかし、突然、部屋の中に冷たい風が吹き込み、写真が空中に舞い上がってしまう。

「ちょっとなにこれっ…急に風が冷たくなって…それに写真もどっか行っちゃうし…え…まさか…これって…」

サヤカは恐怖に震えながら、写真の首のない霊に声を震わせながら話しかけた。

「あ…あなたは何を望んでいるの?」

霊は答える。

「俺のバイク…俺の命…それが欲しい…」

霊の声は酷く冷たく、激しく殺気だっていた。

"これはヤバイ!!"

サヤカはその場から逃げ出そうとするが、部屋のドアがガチャンッと勝手に閉まり、彼女は閉じ込められてしまった。

翌朝、アキラはガレージの外で、サヤカは自宅のドアの前で、首のない姿で発見された。

この出来事から数日後、滝の近くで首のない暴走族の霊が目撃されるようになり、地元の人々はその場所を避けるようになった。

そして、その心霊スポットは「首なしライダーの滝」として恐れられるようになったのだった。

    
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