婚約者を奪われたけど、イケメン騎士団長が私を選んでくれました

マミナ

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第7話全てを失った者たち

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「何だと…?」
レオンは、今まで見たことのないほど驚愕の表情を浮かべていた。眼前に広がるのは、彼が築き上げたすべてが音を立てて崩れ去る瞬間だった。目の前で、王国の大臣たちが次々と彼に背を向け、王としての地位が奪われていくのを感じた。

「レオン様…どうして、どうしてこんなことに…?」
リリアはその隣で震えていた。聖女としての称号を失い、民からの信頼も地に落ちた彼女は、もはや自分を支えるものが何も残っていないことを実感していた。今や二人は、かつての栄光から一転して、崖っぷちに立たされている。

「アリス…アリスの仕業だ!この女狐め…!」
レオンは怒りに任せて叫び、拳を震わせた。だが、その怒りも虚しく響くだけだった。

「レオン、まだそんなことを言うの?」
アリスの冷静な声が部屋に響いた。彼女はレオンとリリアの前に立ち、その美しい瞳には冷徹な光が宿っていた。かつて裏切られ、踏みにじられた女性とは思えないほどの堂々たる姿だ。

「どうして…どうして私たちにこんなことをするの?」
リリアは涙を堪えながら、アリスに問いかけた。しかし、彼女の言葉にはもはや力がない。かつての聖女としての高慢さは完全に消え去り、ただ哀れな敗者の姿がそこにあった。

「リリア、あなたは何もわかっていないのね。私があなたたちにしたことなんて、あなたたちが私にしたことに比べれば、些細なものよ」

アリスは冷たく微笑みながら、リリアに語りかけた。その言葉は、まるで彼女を突き刺すように響いた。

「あなたたちは私を裏切り、私の未来を奪った。でも、私はそれでも諦めなかった。あなたたちがどれだけ私を踏みにじろうと、私は絶対に屈しなかった。そして今、私はあなたたちからすべてを取り返したのよ」

レオンはその言葉に怒りを抑えきれず、アリスに詰め寄った。

「くそっ、アリス!お前は俺を侮辱するつもりか!?俺は王国の王子だぞ、こんなことをして済むと思っているのか!」

アリスは冷ややかな笑みを浮かべたまま、レオンを見据えた。

「レオン、あなたはもう王子でも何でもないわ。あなたが守ろうとしたものは、もうすでに崩れ去ったの。王国の民は、私の味方よ。あなたの偽りの正義も、リリアの聖女の威厳も、すべて崩壊したわ」

エドガーもまた、冷ややかに微笑みながら言葉を続けた。

「レオン、リリア。君たちはすでに敗者だ。これ以上何を言おうと、誰も君たちを信じない。王国は新たな秩序を必要としている。そして、それを導くのはアリスだ」

その言葉に、レオンは完全に言葉を失った。彼の中で、これまで築いてきたものが一瞬にして瓦解していく感覚があった。

「そんな…そんな馬鹿な…」

リリアは崩れ落ちるように床に座り込んだ。彼女の瞳には涙が溢れていたが、それを拭う手もない。彼女のプライドは完全に打ち砕かれ、聖女としての立場も、レオンとの未来も、すべてを失ったのだ。

「リリア、レオン。これがあなたたちに相応しい結末よ」

アリスはそう言い放つと、勝利の笑みを浮かべながら、エドガーと共にその場を去っていった。彼女の後ろ姿を見つめる二人には、もはや何の力も残っていなかった。

全てを失ったレオンとリリア。彼らはもう二度と、かつての栄光を取り戻すことはなかった。

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