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第4話
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翌日も放課後、俺はいつもの図書館の窓際にいた。だが、今日はなんだか緊張していた。昨日の出来事が頭から離れない。真央に「話すのが楽しい」なんて言われたことで、俺は彼女のことを今まで以上に意識してしまっている。
「佐々木君、今日もここだね」
また真央が現れた。彼女が来るたびに、俺の心臓はドキドキしてしまう。
「あ、ああ…いつもここだからな」
無理やり平静を装って返事をするが、どうにも落ち着かない。
「今日はね、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ」
彼女が少し照れくさそうに言う。珍しい。真央が照れているなんて、何か特別な話題なのか?
「何だよ、改まって…」
俺もつい興味が湧いてしまう。いつもクールな彼女が、こんな風に言い出すなんて、なんだか新鮮だ。
「実はね…この間、クラスの男子に告白されたんだ」
「……は?」
一瞬、脳が処理できなかった。告白? クラスの男子が? 俺以外の誰かが…?
「それで、どうしたんだ?」
自分の声が思ったより冷静だったのが不思議だ。内心ではすごく焦っているのに、どうやら顔には出ていないらしい。
「断っちゃった。まだ誰かと付き合うとか、そういう気持ちじゃなかったから」
真央は少し照れたように笑った。その笑顔が胸に刺さる。ほっとしたような、でもなんだかモヤモヤする。
「そ、そうなんだ…」
「でも、ちょっと驚いたの。自分がそんな風に見られてるって思ってなかったから」
真央は机に肘をついて、ふわりと笑う。その表情が、なんとも微笑ましいけど、少し切ない。
「そりゃ、真央は目立つし、可愛いし…告白されてもおかしくないだろ」
言ってから、俺は自分の言葉に気づいた。
「えっ、今なんて…?」
「……!!」
俺は思わず手で口を塞いだ。なんで言っちゃったんだ、俺!? 冗談でも、こんなことを口にするなんて、完全に俺の失敗だ。
「佐々木君が、そんなこと言うなんて、ちょっと意外だな」
真央は驚いたような、それでいて少し照れたような顔をしている。
「ち、違う! 俺はただ、事実を言っただけで…その、深い意味はないというか…」
声がどんどん裏返る。どうして俺はこうもテンパってしまうのか。こんな時、もっと冷静でいられたらいいのに。
「ふふ、ありがとうね。でも、なんだか嬉しかったよ」
真央がそう言って、ふわりと微笑む。俺はどう返せばいいのか全くわからなかった。顔が赤くなってるのは確実だし、これ以上言葉を発するのが怖かった。
「これからも、こうして一緒に話してくれるかな?」
真央が少し上目遣いで俺を見上げて言った。
「……もちろん、これからも」
言いながら、俺の胸はドキドキと音を立てていた。恥ずかしさと微笑ましさが入り混じった空気の中で、俺たちはまた、静かな時間を過ごすことになった。
★★☆☆★★
「佐々木君、今日もここだね」
また真央が現れた。彼女が来るたびに、俺の心臓はドキドキしてしまう。
「あ、ああ…いつもここだからな」
無理やり平静を装って返事をするが、どうにも落ち着かない。
「今日はね、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ」
彼女が少し照れくさそうに言う。珍しい。真央が照れているなんて、何か特別な話題なのか?
「何だよ、改まって…」
俺もつい興味が湧いてしまう。いつもクールな彼女が、こんな風に言い出すなんて、なんだか新鮮だ。
「実はね…この間、クラスの男子に告白されたんだ」
「……は?」
一瞬、脳が処理できなかった。告白? クラスの男子が? 俺以外の誰かが…?
「それで、どうしたんだ?」
自分の声が思ったより冷静だったのが不思議だ。内心ではすごく焦っているのに、どうやら顔には出ていないらしい。
「断っちゃった。まだ誰かと付き合うとか、そういう気持ちじゃなかったから」
真央は少し照れたように笑った。その笑顔が胸に刺さる。ほっとしたような、でもなんだかモヤモヤする。
「そ、そうなんだ…」
「でも、ちょっと驚いたの。自分がそんな風に見られてるって思ってなかったから」
真央は机に肘をついて、ふわりと笑う。その表情が、なんとも微笑ましいけど、少し切ない。
「そりゃ、真央は目立つし、可愛いし…告白されてもおかしくないだろ」
言ってから、俺は自分の言葉に気づいた。
「えっ、今なんて…?」
「……!!」
俺は思わず手で口を塞いだ。なんで言っちゃったんだ、俺!? 冗談でも、こんなことを口にするなんて、完全に俺の失敗だ。
「佐々木君が、そんなこと言うなんて、ちょっと意外だな」
真央は驚いたような、それでいて少し照れたような顔をしている。
「ち、違う! 俺はただ、事実を言っただけで…その、深い意味はないというか…」
声がどんどん裏返る。どうして俺はこうもテンパってしまうのか。こんな時、もっと冷静でいられたらいいのに。
「ふふ、ありがとうね。でも、なんだか嬉しかったよ」
真央がそう言って、ふわりと微笑む。俺はどう返せばいいのか全くわからなかった。顔が赤くなってるのは確実だし、これ以上言葉を発するのが怖かった。
「これからも、こうして一緒に話してくれるかな?」
真央が少し上目遣いで俺を見上げて言った。
「……もちろん、これからも」
言いながら、俺の胸はドキドキと音を立てていた。恥ずかしさと微笑ましさが入り混じった空気の中で、俺たちはまた、静かな時間を過ごすことになった。
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