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第347話 小休憩
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「はぁ~……緊張した」
「お疲れ、ゲイネス。大役に選ばれてしまったな」
そうロムロスは笑いながら、審判者に選ばれて戻って来たゲイネスに声を掛けた。
「笑い事じゃないよ。名前呼ばれて心臓止まるかと思ったんだぞ」
「まぁ確かに、審判者の五人中二人だけ第2学年でそのうちの一人だったしな。俺なら辞退してたかもね」
「いやいや、そんな事言える雰囲気じゃないでしょ。でもまぁ、オービン寮長が自分が思った方に投票してくれればいいって言ってくれたし、エメル寮長やワイズ副寮長も気楽でいいと言われたから思った方に投票してきただけなんだが。何かどっと疲れたよ」
その頃、中央舞台では第二競技で使われた物が片付けられ始めていた。
「まさか他の寮の審判者として関わる事があるとは、驚きだよ。本当にお疲れ。にしても、審判者を見物人から選ぶとは面白い事をするな、オービン寮は。うちもやってみるか?」
「何言ってんだよ。うちの決め方はああいう競技的な物じゃないんだが、審判者とかいらないだろ」
「分かってるよ。ちょっとしたジョークだよ。何か刺激されて、新しい事したくなっただけだ」
「気持ちは分かるが、寮長選挙以外にしてくれよロムロス」
二人はそんな会話をしていると、そこへ突然マルロスが声を掛けて来た。
「マ、マルロス副寮長!?」
「悪い、驚かせてしまったか」
「どうしたんですか急に」
「いやな、ゲイネスが選ばれているのを見ていてな」
「見てたんですね。俺は大した事してないですけどね」
「マルロス副寮長が居るって事は、イルダ寮長も何処かにいるんですか?」
そうロムロスが問いかけると、マルロスは視線を競技場内ではなく客席の方へと向けた。
「あいつは、あっちで見ているよ。眠さと戦いながらな」
「そうだったんですね。昨日も依頼で出てましたもんね」
「あぁ。で、話は変わるがゲイネスはどっちに投票したんだ?」
突然のマルロスからの問いかけに驚いてしまうが、ロムロスもそれは気になっていたのか乗っかって来た。
「ロムロスまで……ここだけですよ」
そう言うとゲイネスは、二人を呼び寄せ小声で答えた。
「俺は、ヴァンに入れました。魔力腕比べの時の実力も知ってますし、あのドラゴンの彫刻は間近で見ると圧倒的だったんですよ」
「なるほど。腕比べに出ていたゲイネスが言うならそうなんだろうね。自分も遠目から見ても凄い彫刻だと思っていたからね」
「そうなると、ノルマに入れたのは誰なんだ?」
ロムロスの呟きにゲイネスは軽く首を横に振った。
「さすがに俺にもそれは分からないな。投票自体は各自で書いてオービン先輩に渡したし」
と、小声で話している時だった突然中央舞台から何か破壊する音が聞こえて来て、一斉に視線を向けるとそこでは、先程のヴァンが創った彫刻を本人が壊していたのだった。
まさかの光景に、皆も言葉を失っていた。
――何故こんな事になっているかというと、遡る事、五分前である。
中央舞台で彫刻作品を皆で片付始めた時であった。
私も片付けに参加しており、皆で彫刻作品を一時的に舞台から降ろす事になったのだが運ぶのが大変だと話していた。
「いや~マジで近くで見ると凄いなこのヴァンの彫刻」
「確かにな」
「クリスにも出来るんじゃないのか? ほら、魔力腕比べで代表勝ち取ったくらいなんだしよ」
「さすがに、これは俺にも無理だな」
「またまた~そんな事言って出来ちゃんじゃないのか?」
私がマックスとそんな会話をしていると、ケビンがいち早く彫刻の土台部分を持って声を掛けて来た。
「おい二人とも、早く持ってくれよ。片付けないといけないんだからさ」
「はいはい、分かってるよケビン」
そのままマックスは土台部分へと近付いて行き、私も同じ様に土台を持つために近付くとそこへヴァンが皆に声を掛けて来た。
「そんなに大事に運ばなくていいぞ、それ。大した物じゃないしよ。て言うか、邪魔だろそれ。壊した方が運びやすいし、壊すか」
「……はぁ? ちょ、何言ってるんだよヴァン」
私は突然そんな事を言い出したヴァンを止める様に声を掛けたが、ヴァンは冗談でなく真面目に言っていた。
所詮は競技用に創った彫刻だし、創った本人が壊すと言っているのだから止めるなと反論されてしまった。
確かにそうかもしれないけど、これを壊すって……え!?
私はヴァンの行動に理解出来ず困惑していると、スッと彫刻へと近付くと躊躇なく自分の彫刻作品を破壊し始めのだった。
そうして先程の状況に至るのだ。
私以外のマックスもケビンも驚きの行動に声を掛けられずいると、そこへトウマが慌てて声を掛けたのだった。
「ななな、何してんだよヴァン。何でそれ壊してるんだよ! 凄い彫刻なのによ」
「別に。邪魔だろ、これ。これが終わった後どうせ置き場所に困るんだし、壊した方が楽だろ。それに俺はこれを二度と創れない訳じゃないしな」
そう答え、彫刻を壊し続けあっという間にドラゴンの彫刻は粉々になるのだった。
「ふー、何かスッキリするな。ほら、これで片付けやすいだろ。さっさと運ぶぞ」
ヴァンはそのまま運びやすくなった岩を掃除し始めるのだった。
「はぁ~まぁ、ヴァンがそれでいいならいいけど。一言くらい相談しろよな。別に保管場所なんて寮の何処かに置けるだろうし、皆ももっと見たいと思ってたかもしれないだろ?」
「……確かに独断で決めたのは悪かったよ。運ぶのが大変だと思ったからさ」
「お前が皆の事を考えているのは分かるが、口に出さないと変に受け取られるから気を付けろよ。俺も人の事言えないけどよ」
「あ、ああ。気を付けるよ」
その直後だった、ノルマがトウマを呼びトウマはノルマの元へと戻り、彫刻を一緒に片付けている皆と話していると急に慌ただしくなる。
そしてノルマはリーガやライラックを振り切って、ヴァン同様に彫刻を破壊するのだった。
するとノルマはヴァンに笑顔を向けると、ヴァンは小さく笑うのだった。
そんな光景を、オービンは笑って見つめているのだった。
その後跡形もなくなった彫刻の元を、私たちは運び出し中央舞台を片付け終えるのだった。
それからオービンが小休憩を挟んだ後に、最終競技を行うと宣言し各自派閥事に固まるのだった。
見物人たちも一度中央舞台から離れて盛り上がっていた。
私は特にする事がなかったので、中央舞台から離れた所で待機していると、ある人物が声を掛けて来た。
「やぁ、クリス。久しぶり」
「レオン」
「お疲れ、ゲイネス。大役に選ばれてしまったな」
そうロムロスは笑いながら、審判者に選ばれて戻って来たゲイネスに声を掛けた。
「笑い事じゃないよ。名前呼ばれて心臓止まるかと思ったんだぞ」
「まぁ確かに、審判者の五人中二人だけ第2学年でそのうちの一人だったしな。俺なら辞退してたかもね」
「いやいや、そんな事言える雰囲気じゃないでしょ。でもまぁ、オービン寮長が自分が思った方に投票してくれればいいって言ってくれたし、エメル寮長やワイズ副寮長も気楽でいいと言われたから思った方に投票してきただけなんだが。何かどっと疲れたよ」
その頃、中央舞台では第二競技で使われた物が片付けられ始めていた。
「まさか他の寮の審判者として関わる事があるとは、驚きだよ。本当にお疲れ。にしても、審判者を見物人から選ぶとは面白い事をするな、オービン寮は。うちもやってみるか?」
「何言ってんだよ。うちの決め方はああいう競技的な物じゃないんだが、審判者とかいらないだろ」
「分かってるよ。ちょっとしたジョークだよ。何か刺激されて、新しい事したくなっただけだ」
「気持ちは分かるが、寮長選挙以外にしてくれよロムロス」
二人はそんな会話をしていると、そこへ突然マルロスが声を掛けて来た。
「マ、マルロス副寮長!?」
「悪い、驚かせてしまったか」
「どうしたんですか急に」
「いやな、ゲイネスが選ばれているのを見ていてな」
「見てたんですね。俺は大した事してないですけどね」
「マルロス副寮長が居るって事は、イルダ寮長も何処かにいるんですか?」
そうロムロスが問いかけると、マルロスは視線を競技場内ではなく客席の方へと向けた。
「あいつは、あっちで見ているよ。眠さと戦いながらな」
「そうだったんですね。昨日も依頼で出てましたもんね」
「あぁ。で、話は変わるがゲイネスはどっちに投票したんだ?」
突然のマルロスからの問いかけに驚いてしまうが、ロムロスもそれは気になっていたのか乗っかって来た。
「ロムロスまで……ここだけですよ」
そう言うとゲイネスは、二人を呼び寄せ小声で答えた。
「俺は、ヴァンに入れました。魔力腕比べの時の実力も知ってますし、あのドラゴンの彫刻は間近で見ると圧倒的だったんですよ」
「なるほど。腕比べに出ていたゲイネスが言うならそうなんだろうね。自分も遠目から見ても凄い彫刻だと思っていたからね」
「そうなると、ノルマに入れたのは誰なんだ?」
ロムロスの呟きにゲイネスは軽く首を横に振った。
「さすがに俺にもそれは分からないな。投票自体は各自で書いてオービン先輩に渡したし」
と、小声で話している時だった突然中央舞台から何か破壊する音が聞こえて来て、一斉に視線を向けるとそこでは、先程のヴァンが創った彫刻を本人が壊していたのだった。
まさかの光景に、皆も言葉を失っていた。
――何故こんな事になっているかというと、遡る事、五分前である。
中央舞台で彫刻作品を皆で片付始めた時であった。
私も片付けに参加しており、皆で彫刻作品を一時的に舞台から降ろす事になったのだが運ぶのが大変だと話していた。
「いや~マジで近くで見ると凄いなこのヴァンの彫刻」
「確かにな」
「クリスにも出来るんじゃないのか? ほら、魔力腕比べで代表勝ち取ったくらいなんだしよ」
「さすがに、これは俺にも無理だな」
「またまた~そんな事言って出来ちゃんじゃないのか?」
私がマックスとそんな会話をしていると、ケビンがいち早く彫刻の土台部分を持って声を掛けて来た。
「おい二人とも、早く持ってくれよ。片付けないといけないんだからさ」
「はいはい、分かってるよケビン」
そのままマックスは土台部分へと近付いて行き、私も同じ様に土台を持つために近付くとそこへヴァンが皆に声を掛けて来た。
「そんなに大事に運ばなくていいぞ、それ。大した物じゃないしよ。て言うか、邪魔だろそれ。壊した方が運びやすいし、壊すか」
「……はぁ? ちょ、何言ってるんだよヴァン」
私は突然そんな事を言い出したヴァンを止める様に声を掛けたが、ヴァンは冗談でなく真面目に言っていた。
所詮は競技用に創った彫刻だし、創った本人が壊すと言っているのだから止めるなと反論されてしまった。
確かにそうかもしれないけど、これを壊すって……え!?
私はヴァンの行動に理解出来ず困惑していると、スッと彫刻へと近付くと躊躇なく自分の彫刻作品を破壊し始めのだった。
そうして先程の状況に至るのだ。
私以外のマックスもケビンも驚きの行動に声を掛けられずいると、そこへトウマが慌てて声を掛けたのだった。
「ななな、何してんだよヴァン。何でそれ壊してるんだよ! 凄い彫刻なのによ」
「別に。邪魔だろ、これ。これが終わった後どうせ置き場所に困るんだし、壊した方が楽だろ。それに俺はこれを二度と創れない訳じゃないしな」
そう答え、彫刻を壊し続けあっという間にドラゴンの彫刻は粉々になるのだった。
「ふー、何かスッキリするな。ほら、これで片付けやすいだろ。さっさと運ぶぞ」
ヴァンはそのまま運びやすくなった岩を掃除し始めるのだった。
「はぁ~まぁ、ヴァンがそれでいいならいいけど。一言くらい相談しろよな。別に保管場所なんて寮の何処かに置けるだろうし、皆ももっと見たいと思ってたかもしれないだろ?」
「……確かに独断で決めたのは悪かったよ。運ぶのが大変だと思ったからさ」
「お前が皆の事を考えているのは分かるが、口に出さないと変に受け取られるから気を付けろよ。俺も人の事言えないけどよ」
「あ、ああ。気を付けるよ」
その直後だった、ノルマがトウマを呼びトウマはノルマの元へと戻り、彫刻を一緒に片付けている皆と話していると急に慌ただしくなる。
そしてノルマはリーガやライラックを振り切って、ヴァン同様に彫刻を破壊するのだった。
するとノルマはヴァンに笑顔を向けると、ヴァンは小さく笑うのだった。
そんな光景を、オービンは笑って見つめているのだった。
その後跡形もなくなった彫刻の元を、私たちは運び出し中央舞台を片付け終えるのだった。
それからオービンが小休憩を挟んだ後に、最終競技を行うと宣言し各自派閥事に固まるのだった。
見物人たちも一度中央舞台から離れて盛り上がっていた。
私は特にする事がなかったので、中央舞台から離れた所で待機していると、ある人物が声を掛けて来た。
「やぁ、クリス。久しぶり」
「レオン」
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