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第344話 普通な男の大舞台
しおりを挟む「それでは、定刻になりましたのでこれよりオービン寮次期寮長選挙『三番勝負』第二競技を開始します。第二競技は『彫刻対決』です」
オービンはそのまま『彫刻対決』の説明をし始めた。
競技出場者は互いに一名ずつで、舞台に置かれた二つの凸凹した大きな岩の塊を魔力を使い彫刻を行い、判定を行い勝者を決める競技である。
制限時間は四十五分間であり、より緻密に精確であり美しい物や圧倒される物、目が離せない物だったりと細かい判断は審判者次第とオービンは口にした。
「オービン先輩、それで審判者は今回は誰なんですか? 俺は知らないですけど」
そうトウマは話して、ルークの方へと視線を向けるとルークも軽く首を横に振った。
ルークも審判者が誰かは知らなかったのである。
競技ルールなどは全て事前にオービンとミカロスを含めて決めていたが、審判者に関してはオービンとミカロスの方で選ぶとなっていた。
第一競技については、前日に審判者を教えられていたが第二競技と最終競技については、当日に知らせるという風に伝えられていたのだった。
「審判者は、判定時に紹介しますのでそれまではお気になされず」
オービンは笑顔でそう答え、そのまま話を進めた。
「では早速、第二競技出場者は互いに前へ」
すると先にルーク側から出て来たのは、ヴァンであった。
「オービン先輩、僕の雄姿見ていてください!」
ヴァンは派閥の皆に何か言うのではなく、いち早くオービンに声を掛ける。
「しっかりと見ているから、大丈夫だよヴァン君」
「オービン先輩に声を掛けてもらえるなんて、光栄過ぎる! もうこれは勝ったな。やる前に分かる。これは勝った」
興奮しながらヴァンは軽く頷きながら、そう口にしているとニックが後ろから声を掛けた。
「油断するなよ、ヴァン」
「誰に言ってるんだ、ニック。この僕だぞ? しかもオービン先輩に応援もされていたら、もう負けはない!」
「いや、今のは応援じゃないだろ?」
と、ニックは口にするがヴァンの耳には聞こえていなかった。
ヴァンは勝手に盛り上がってテンションが上がっていた。
「おいおい、本当に大丈夫なのかヴァンの奴?」
「う~ん、ヴァンの実力的に大丈夫だと思うけど、どうアルジュ?」
「シンリの言う通り、実力からすれば問題はないだろう。が、憧れのオービン先輩が近くにいて声まで掛けてもらったヴァンが、いつも通りの力が出せるかは僕にも分からない」
「ケビンはどう思うよ」
マックスにそう問いかけられると、ケビンは眼鏡を軽く上げてから答えた。
「ヴァンはクリスが来るまでは、魔力技量ではクラス一だしな。クリスが中立派であれば、この競技で負ける相手はいないはずだ。しかもオービン先輩がいる前で、無様な姿は見せはしないだろうから大丈夫だろう」
「ケビンにしては、まともな回答だな」
「どう言う意味だよ、マックス!」
「悪かったよ。もっとシンプルな返事が来ると思ってたんだ」
と、ニックの後ろの方でルーク派閥の皆が話していた。
するとトウマ側から、競技出場者として前に出て来た人物はノルマであった。
「よろしく、ヴァン」
「ノルマか。僕としては意外だったな」
「そうだよね。自分で言うのもあれだけど、俺って普通の奴だからね」
ノルマは苦笑いをすると、ヴァンは腕を組んだ。
「別に卑下しているわけじゃないぞ。ノルマはこういう場には、前に出てこないと思っていただけだ」
「確かに、俺はあんまり目立ちたくない人だからね。でも今回は、皆かの推薦だったからそこまでされたら断るわけにもいかないなと思ってさ」
その言って、ノルマが振り返るとトウマを筆頭に大きく声援を送っていた。
「頑張れよ、ノルマ!」
「お前なら出来る! 普通とか言われてるけど、お前の普通は普通じゃないんだから!」
「自分の筋肉を信じていけ!」
「やっちまえノルマ! ヴァンに負けるんじゃねぇぞ!」
「ノルマなら大丈夫!」
「自分を信じて!」
「最悪負けても大丈夫だぞ~気楽に行けよ」
それを聞き、ノルマは再びヴァンの方へと視線を向けた。
「この競技はヴァンの得意分野かもしれないけど、俺なりに全力を尽くさせてもらうよ」
「僕も手は抜かない! なんてったてオービン先輩が見ているからね! 全力で最高の作品を創らせてもらうぞ」
両者が意気込みし終えた所で、オービンが競技に関して二人に異論はないかと再度確認すると二人は頷いた。
「それでは、両者岩の前へ。これより制限時間四十五分の『彫刻対決』を開始します。始め!」
オービンの合図と共に両者が同時に作業を開始する。
同時に周囲の見物人たちも盛り上がり始める。
ヴァンはすぐさま凸凹をならし始めそのまま魔力技量で彫刻をし始めた。
イメージはあるのか、迷うことなく作業を進めて行く。
一方でノルマも、ヴァン程のスピードではないが同じくまずは表面の凸凹をなくし始めた。
そして一度綺麗になった所で手を止めて岩の周囲を周り始め、どの様な彫刻するのかを考える様な態度をとる。
暫く考えた後、ゆっくりと慎重に魔力技量を使い彫刻を開始した。
その時点でヴァンはある程度形が見え始めていたが、そこでオービンがヴァンの周囲を周りから見えない様にした。
突然の事に驚くが、ヴァンは声など出さず集中しているのかそのまま中から彫刻の作業を続けている音が聞こえた。
「完成までお楽しみということで、暫くお待ちください。ノルマ君の方も同様に、形が見え始めた頃で隠すので気にせずに続けてください」
「は、はい」
その後ノルマの方も次第に形が見え始めると、ヴァン同様に周囲から見えない様にオービンが魔法で囲った。
そして両者囲われ、外の皆もどうなっているのか分からずざわつき出すと、宙に彫刻本体が見えない様に中の様子が映し出された。
映像を見続けているとあっという間に四十分が経過した。
すると、ヴァンが囲われた中から出て来て完成の宣言をし、皆が一気に盛り上がる。
その後制限時間ギリギリでノルマも出て来て完成の宣言をすると、終了の合図が鳴り響くのだった。
「両者共に、制限時間内に完成お疲れ様でした。では、これより審査に入りますが、その前に伝えていた通り今回の勝負の審判者を紹介します」
オービンがそう口にすると皆が周囲を見回しだし、何処から現れるのかと探していると思わぬ答えが返って来るのだった。
「今回の審判者は、見物人の皆様です」
「「……はぁ!?」」
オービンはそのまま『彫刻対決』の説明をし始めた。
競技出場者は互いに一名ずつで、舞台に置かれた二つの凸凹した大きな岩の塊を魔力を使い彫刻を行い、判定を行い勝者を決める競技である。
制限時間は四十五分間であり、より緻密に精確であり美しい物や圧倒される物、目が離せない物だったりと細かい判断は審判者次第とオービンは口にした。
「オービン先輩、それで審判者は今回は誰なんですか? 俺は知らないですけど」
そうトウマは話して、ルークの方へと視線を向けるとルークも軽く首を横に振った。
ルークも審判者が誰かは知らなかったのである。
競技ルールなどは全て事前にオービンとミカロスを含めて決めていたが、審判者に関してはオービンとミカロスの方で選ぶとなっていた。
第一競技については、前日に審判者を教えられていたが第二競技と最終競技については、当日に知らせるという風に伝えられていたのだった。
「審判者は、判定時に紹介しますのでそれまではお気になされず」
オービンは笑顔でそう答え、そのまま話を進めた。
「では早速、第二競技出場者は互いに前へ」
すると先にルーク側から出て来たのは、ヴァンであった。
「オービン先輩、僕の雄姿見ていてください!」
ヴァンは派閥の皆に何か言うのではなく、いち早くオービンに声を掛ける。
「しっかりと見ているから、大丈夫だよヴァン君」
「オービン先輩に声を掛けてもらえるなんて、光栄過ぎる! もうこれは勝ったな。やる前に分かる。これは勝った」
興奮しながらヴァンは軽く頷きながら、そう口にしているとニックが後ろから声を掛けた。
「油断するなよ、ヴァン」
「誰に言ってるんだ、ニック。この僕だぞ? しかもオービン先輩に応援もされていたら、もう負けはない!」
「いや、今のは応援じゃないだろ?」
と、ニックは口にするがヴァンの耳には聞こえていなかった。
ヴァンは勝手に盛り上がってテンションが上がっていた。
「おいおい、本当に大丈夫なのかヴァンの奴?」
「う~ん、ヴァンの実力的に大丈夫だと思うけど、どうアルジュ?」
「シンリの言う通り、実力からすれば問題はないだろう。が、憧れのオービン先輩が近くにいて声まで掛けてもらったヴァンが、いつも通りの力が出せるかは僕にも分からない」
「ケビンはどう思うよ」
マックスにそう問いかけられると、ケビンは眼鏡を軽く上げてから答えた。
「ヴァンはクリスが来るまでは、魔力技量ではクラス一だしな。クリスが中立派であれば、この競技で負ける相手はいないはずだ。しかもオービン先輩がいる前で、無様な姿は見せはしないだろうから大丈夫だろう」
「ケビンにしては、まともな回答だな」
「どう言う意味だよ、マックス!」
「悪かったよ。もっとシンプルな返事が来ると思ってたんだ」
と、ニックの後ろの方でルーク派閥の皆が話していた。
するとトウマ側から、競技出場者として前に出て来た人物はノルマであった。
「よろしく、ヴァン」
「ノルマか。僕としては意外だったな」
「そうだよね。自分で言うのもあれだけど、俺って普通の奴だからね」
ノルマは苦笑いをすると、ヴァンは腕を組んだ。
「別に卑下しているわけじゃないぞ。ノルマはこういう場には、前に出てこないと思っていただけだ」
「確かに、俺はあんまり目立ちたくない人だからね。でも今回は、皆かの推薦だったからそこまでされたら断るわけにもいかないなと思ってさ」
その言って、ノルマが振り返るとトウマを筆頭に大きく声援を送っていた。
「頑張れよ、ノルマ!」
「お前なら出来る! 普通とか言われてるけど、お前の普通は普通じゃないんだから!」
「自分の筋肉を信じていけ!」
「やっちまえノルマ! ヴァンに負けるんじゃねぇぞ!」
「ノルマなら大丈夫!」
「自分を信じて!」
「最悪負けても大丈夫だぞ~気楽に行けよ」
それを聞き、ノルマは再びヴァンの方へと視線を向けた。
「この競技はヴァンの得意分野かもしれないけど、俺なりに全力を尽くさせてもらうよ」
「僕も手は抜かない! なんてったてオービン先輩が見ているからね! 全力で最高の作品を創らせてもらうぞ」
両者が意気込みし終えた所で、オービンが競技に関して二人に異論はないかと再度確認すると二人は頷いた。
「それでは、両者岩の前へ。これより制限時間四十五分の『彫刻対決』を開始します。始め!」
オービンの合図と共に両者が同時に作業を開始する。
同時に周囲の見物人たちも盛り上がり始める。
ヴァンはすぐさま凸凹をならし始めそのまま魔力技量で彫刻をし始めた。
イメージはあるのか、迷うことなく作業を進めて行く。
一方でノルマも、ヴァン程のスピードではないが同じくまずは表面の凸凹をなくし始めた。
そして一度綺麗になった所で手を止めて岩の周囲を周り始め、どの様な彫刻するのかを考える様な態度をとる。
暫く考えた後、ゆっくりと慎重に魔力技量を使い彫刻を開始した。
その時点でヴァンはある程度形が見え始めていたが、そこでオービンがヴァンの周囲を周りから見えない様にした。
突然の事に驚くが、ヴァンは声など出さず集中しているのかそのまま中から彫刻の作業を続けている音が聞こえた。
「完成までお楽しみということで、暫くお待ちください。ノルマ君の方も同様に、形が見え始めた頃で隠すので気にせずに続けてください」
「は、はい」
その後ノルマの方も次第に形が見え始めると、ヴァン同様に周囲から見えない様にオービンが魔法で囲った。
そして両者囲われ、外の皆もどうなっているのか分からずざわつき出すと、宙に彫刻本体が見えない様に中の様子が映し出された。
映像を見続けているとあっという間に四十分が経過した。
すると、ヴァンが囲われた中から出て来て完成の宣言をし、皆が一気に盛り上がる。
その後制限時間ギリギリでノルマも出て来て完成の宣言をすると、終了の合図が鳴り響くのだった。
「両者共に、制限時間内に完成お疲れ様でした。では、これより審査に入りますが、その前に伝えていた通り今回の勝負の審判者を紹介します」
オービンがそう口にすると皆が周囲を見回しだし、何処から現れるのかと探していると思わぬ答えが返って来るのだった。
「今回の審判者は、見物人の皆様です」
「「……はぁ!?」」
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