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第205話 卒業生研究発表資料室
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「どうしてここに居るんですか、エメル寮長?」
「たまたま通りかかっただけさ。そしたら、鼻息を荒くしてぶつぶつと独り言を言うお前を見つけたって訳」
私はとてつもなく恥ずかしくなり、咄嗟にエメルから視線を外し反対方向を向いた。
は、恥ずかしー! そんな所を見られた上に、自分でも無意識で周りが見えてなかったのが辛い……
「それで、研究発表に興味があるのか?」
「は、はい。先輩たちがどう言う研究してるのかって基本的に知る機会がないですし、こんな機会に色々と視野を広げたいと言いますか、ただ単に興味があると言いますか」
「ははは! お前思っていたより面白い奴だな。中々研究発表に興味がある奴なんていないぞ。相当なもの好きな奴くらいだ」
「そ、そうなんですか?」
私が少し首を傾げていると、エメルは笑い続けた。
そんなに笑う事言ったかな? でも、前にも話した時からエメル寮長って思っていたより話しやすい人かも。
エメルとは最初に話したのが、大運動会での大戦時と言う事もありそこから、凄い先輩だけど少し変な所がある印象から大きく変わっていた。
「あ~悪い悪い。馬鹿にしてる訳じゃないんだ。下の世代にはあんまり研究発表に興味を持つ奴がいなくて、嬉しかったんだよ」
「そうなんですか? まぁ、自分の研究をしている人もいますし、先輩のを見たりすると影響されるとか思うからじゃないですかね?」
「そう言う考え方もあるが、単純につまらないんだよ。ただ先輩の話を聞くだけだし、興味がないものだったら時間の無駄だろ? 学院生の時間だって無限にある訳じゃないし、出来れば楽しい事をしたいだろ」
確かに、私も今興味がある研究発表のものしか見てなかったしな。
私はエメルの言葉に頷いて反応した。
「でも、お前みたいに研究自体に興味を持ってくれることは普通に嬉しいし、大人たちよりも近い世代に聞いてもらった方が僕はやりがいもあるし、やる気も出るからいいけどな」
「あ、あのエメル寮長。1つ訊きたいんですけどいいですか?」
「ん? まぁ、答えられるものなら答えるぞ」
「え~っと、この研究発表の時って資料みたいのってもらえたりするんですか?」
私のその問いかけにエメルは一瞬固まると、直ぐに堪えていた笑いを小さく噴き出した。
私は何か変な事をまた訊いてしまったのかと思い、動揺してしまう。
「あははは! お前は研究熱心だな~研究者にでもなりたいのか?」
「いや、研究者にはなりたいわけじゃないですよ。ただ、色んな知識に触れて目標へ手が届く様に、可能性を広げたいんです!」
「へぇ~なるほどね。ちなみに目標ってのは何か教えてくれたりしてくれるか?」
「あっ……え~と、そのですね……あの~……」
「急に歯切れが悪くなったな。まぁ別に無理にとは言わないからいいよ、わざわざ人に言う様な事でもないしな」
「いや、言えない訳じゃなくてですね……その、月の魔女を目標としていて……」
するとエメルは、急に黙ってしまう。
私は、子供っぽい目標だと思われてしまったと思い、つい勢いで言ってしまった事を後悔した。
「月の魔女か。かなり大きい目標だな」
「えっ……子供っぽいとか、変な目標とか思わなかったんですか?」
「はぁ? 何、今嘘言ったのか?」
私は勢いよく首を横に振って答えた。
「あのな、僕は人が決めた目標とかを馬鹿にする趣味はねぇんだよ。てか、お前自身がそう思ってるからそんな風に思っちまうんだよ。後ろめたいものじゃねぇんだから、もう少し堂々と言え」
「は、はい!」
「言いふらす物でもないけども、もしお前の目標を訊いて来て馬鹿にする奴がいたら、そんな奴放っておけ。人の目標を馬鹿にする奴なんてろくな奴じゃねぇからな」
そう言ってエメルは何かを思い出したのか、小さくため息をついた。
「で、何だったけ? まぁ話がズレたが、目標に向かって頑張ってるならとことんやりきれ。さっきも言ったが、時間は有限じゃない。後悔がない様に全てやり切る事を、俺はおすすめするよクリス」
「はい! ありがとうございます、エメル寮長。俺、必ず目標を達成して見せます!」
「あ、それとさっきの質問だけど。人によって資料はあるなしがあるから、必ずとは言えないな。ちなみに、僕のは簡易的なメモの様な物だけだ」
「そうなんですね。わざわざ答えて頂きありがとうございます」
すると、遠くの方からエメルの名を呼ぶ声が聞こえてくる。
「げぇ、あいつまた僕の事を探してるのか」
「この声って確か、スニーク副寮長ですよね?」
「そう。たぶん出し物の件で僕を探してるんだよ」
「へぇ~エメル寮長のクラスで出し物するんですね。何するんですか?」
私が興味本位で訊くと、エメルは物凄い嫌な顔をしながら答えて来た。
「演劇……だとよ」
「な、何でそんな嫌な顔で答えるんですか? 多数決とかで決まったんじゃないんですか?」
「あぁそうだよ。俺以外全員賛成でな」
「なるほど~……」
何の演劇をやる事になったんだろう? 凄く気にはなるけど、それを今口にしても不機嫌なエメル寮長は絶対に答えてくれないだろうな……
するとエメルは大きくため息をついた。
「スニークに捕まると面倒だから、僕はもう行くよ」
そう言って、その場から立ち去ろうと歩き始めたエメルだったが、途中で足を止めて私の方を再び向いて来た。
「そうだ、そんなに研究発表に興味があるなら、学院祭の日だけ特別に解放される卒業生研究発表資料室へ行く事を進めるよ」
「卒業生研究発表資料室ですか?」
「詳しくは、オービンにでも訊くといい。詳しく教えてくれるだろう。それじゃな、クリス」
エメルはそれだけを言いうと、その場から少し急ぎ足で立ち去って行った。
それか数分後に、スニークが私の元にやって来てエメルの行方を訊いて来たので、私は見てないと答えてその場から離れた。
その後も学院内をうろちょろとしてから寮へと戻った。
そして次の日、オービンを学院内で捕まえてエメルから訊いた、卒業生研究発表資料室について質問した。
卒業生研究発表資料室と言うのは、学院祭の時のみ解放される部屋であり、基本的にはこれまでの学院の卒業生たちが行って来た研究発表の資料な物などが保管されている部屋であると言う。
大図書館にも、冊子として資料は一部あるが、細かい事に関してまでは載っておらず、資料室の方に全てが保管されているらしい。
学院生徒とは言え、大切な研究資料なので盗難や悪用などされては困る為、基本的は解放もされいない部屋である。
だが、学院祭には卒業生も来たりするので学院祭の2日間のみは教員が立ち合いの下解放しており、その日は在学生も入れ資料などを閲覧する事が出来るのだとオービンは教えてくれた。
「確か卒業生研究発表資料室は、学院祭1日目の午後から解放だったと思うから、興味があるなら行ってみるといいよ。そんなに人もいないと思うし、実際に手に取って資料も見られるから面白いと思うよ」
「ありがとうございます、オービン先輩。急にこんな事訊いたのに、ここまで親切に教えてくれて本当にありがとうございます」
「いいよ。それじゃ、俺は行くね。また何かあれば訊いてくれていいから」
そう言ってオービンは私に軽く手を振った後、歩いて行ってしまった。
卒業生研究発表資料室か……もしかしたら、月の魔女もこの学院に居たって言うし、もしかしたらその時の資料とか月の魔女その人の研究発表もあるかもしれないな。
うぉ~何かそう考えるだけで、胸が躍るな~早く学院祭にならないかな~
私は少し浮かれながらその日は教室へと戻り、学院祭へ向けた最終確認をクラスで行った。
そして週末、遂に待ちに待った学院祭当日を迎えた。
「たまたま通りかかっただけさ。そしたら、鼻息を荒くしてぶつぶつと独り言を言うお前を見つけたって訳」
私はとてつもなく恥ずかしくなり、咄嗟にエメルから視線を外し反対方向を向いた。
は、恥ずかしー! そんな所を見られた上に、自分でも無意識で周りが見えてなかったのが辛い……
「それで、研究発表に興味があるのか?」
「は、はい。先輩たちがどう言う研究してるのかって基本的に知る機会がないですし、こんな機会に色々と視野を広げたいと言いますか、ただ単に興味があると言いますか」
「ははは! お前思っていたより面白い奴だな。中々研究発表に興味がある奴なんていないぞ。相当なもの好きな奴くらいだ」
「そ、そうなんですか?」
私が少し首を傾げていると、エメルは笑い続けた。
そんなに笑う事言ったかな? でも、前にも話した時からエメル寮長って思っていたより話しやすい人かも。
エメルとは最初に話したのが、大運動会での大戦時と言う事もありそこから、凄い先輩だけど少し変な所がある印象から大きく変わっていた。
「あ~悪い悪い。馬鹿にしてる訳じゃないんだ。下の世代にはあんまり研究発表に興味を持つ奴がいなくて、嬉しかったんだよ」
「そうなんですか? まぁ、自分の研究をしている人もいますし、先輩のを見たりすると影響されるとか思うからじゃないですかね?」
「そう言う考え方もあるが、単純につまらないんだよ。ただ先輩の話を聞くだけだし、興味がないものだったら時間の無駄だろ? 学院生の時間だって無限にある訳じゃないし、出来れば楽しい事をしたいだろ」
確かに、私も今興味がある研究発表のものしか見てなかったしな。
私はエメルの言葉に頷いて反応した。
「でも、お前みたいに研究自体に興味を持ってくれることは普通に嬉しいし、大人たちよりも近い世代に聞いてもらった方が僕はやりがいもあるし、やる気も出るからいいけどな」
「あ、あのエメル寮長。1つ訊きたいんですけどいいですか?」
「ん? まぁ、答えられるものなら答えるぞ」
「え~っと、この研究発表の時って資料みたいのってもらえたりするんですか?」
私のその問いかけにエメルは一瞬固まると、直ぐに堪えていた笑いを小さく噴き出した。
私は何か変な事をまた訊いてしまったのかと思い、動揺してしまう。
「あははは! お前は研究熱心だな~研究者にでもなりたいのか?」
「いや、研究者にはなりたいわけじゃないですよ。ただ、色んな知識に触れて目標へ手が届く様に、可能性を広げたいんです!」
「へぇ~なるほどね。ちなみに目標ってのは何か教えてくれたりしてくれるか?」
「あっ……え~と、そのですね……あの~……」
「急に歯切れが悪くなったな。まぁ別に無理にとは言わないからいいよ、わざわざ人に言う様な事でもないしな」
「いや、言えない訳じゃなくてですね……その、月の魔女を目標としていて……」
するとエメルは、急に黙ってしまう。
私は、子供っぽい目標だと思われてしまったと思い、つい勢いで言ってしまった事を後悔した。
「月の魔女か。かなり大きい目標だな」
「えっ……子供っぽいとか、変な目標とか思わなかったんですか?」
「はぁ? 何、今嘘言ったのか?」
私は勢いよく首を横に振って答えた。
「あのな、僕は人が決めた目標とかを馬鹿にする趣味はねぇんだよ。てか、お前自身がそう思ってるからそんな風に思っちまうんだよ。後ろめたいものじゃねぇんだから、もう少し堂々と言え」
「は、はい!」
「言いふらす物でもないけども、もしお前の目標を訊いて来て馬鹿にする奴がいたら、そんな奴放っておけ。人の目標を馬鹿にする奴なんてろくな奴じゃねぇからな」
そう言ってエメルは何かを思い出したのか、小さくため息をついた。
「で、何だったけ? まぁ話がズレたが、目標に向かって頑張ってるならとことんやりきれ。さっきも言ったが、時間は有限じゃない。後悔がない様に全てやり切る事を、俺はおすすめするよクリス」
「はい! ありがとうございます、エメル寮長。俺、必ず目標を達成して見せます!」
「あ、それとさっきの質問だけど。人によって資料はあるなしがあるから、必ずとは言えないな。ちなみに、僕のは簡易的なメモの様な物だけだ」
「そうなんですね。わざわざ答えて頂きありがとうございます」
すると、遠くの方からエメルの名を呼ぶ声が聞こえてくる。
「げぇ、あいつまた僕の事を探してるのか」
「この声って確か、スニーク副寮長ですよね?」
「そう。たぶん出し物の件で僕を探してるんだよ」
「へぇ~エメル寮長のクラスで出し物するんですね。何するんですか?」
私が興味本位で訊くと、エメルは物凄い嫌な顔をしながら答えて来た。
「演劇……だとよ」
「な、何でそんな嫌な顔で答えるんですか? 多数決とかで決まったんじゃないんですか?」
「あぁそうだよ。俺以外全員賛成でな」
「なるほど~……」
何の演劇をやる事になったんだろう? 凄く気にはなるけど、それを今口にしても不機嫌なエメル寮長は絶対に答えてくれないだろうな……
するとエメルは大きくため息をついた。
「スニークに捕まると面倒だから、僕はもう行くよ」
そう言って、その場から立ち去ろうと歩き始めたエメルだったが、途中で足を止めて私の方を再び向いて来た。
「そうだ、そんなに研究発表に興味があるなら、学院祭の日だけ特別に解放される卒業生研究発表資料室へ行く事を進めるよ」
「卒業生研究発表資料室ですか?」
「詳しくは、オービンにでも訊くといい。詳しく教えてくれるだろう。それじゃな、クリス」
エメルはそれだけを言いうと、その場から少し急ぎ足で立ち去って行った。
それか数分後に、スニークが私の元にやって来てエメルの行方を訊いて来たので、私は見てないと答えてその場から離れた。
その後も学院内をうろちょろとしてから寮へと戻った。
そして次の日、オービンを学院内で捕まえてエメルから訊いた、卒業生研究発表資料室について質問した。
卒業生研究発表資料室と言うのは、学院祭の時のみ解放される部屋であり、基本的にはこれまでの学院の卒業生たちが行って来た研究発表の資料な物などが保管されている部屋であると言う。
大図書館にも、冊子として資料は一部あるが、細かい事に関してまでは載っておらず、資料室の方に全てが保管されているらしい。
学院生徒とは言え、大切な研究資料なので盗難や悪用などされては困る為、基本的は解放もされいない部屋である。
だが、学院祭には卒業生も来たりするので学院祭の2日間のみは教員が立ち合いの下解放しており、その日は在学生も入れ資料などを閲覧する事が出来るのだとオービンは教えてくれた。
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「ありがとうございます、オービン先輩。急にこんな事訊いたのに、ここまで親切に教えてくれて本当にありがとうございます」
「いいよ。それじゃ、俺は行くね。また何かあれば訊いてくれていいから」
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卒業生研究発表資料室か……もしかしたら、月の魔女もこの学院に居たって言うし、もしかしたらその時の資料とか月の魔女その人の研究発表もあるかもしれないな。
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