俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨

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2章 バイト先で偶然出逢わない

2章17 cracked chemistry ④

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 ガンッと――


 応接室のドアが乱暴に開けられる。


 使用中のその部屋にノックもなしで踏み込んできたのは一人の男だ。


 中に居た者たちが、突然の乱入者に呆気にとられた顔をしている。


 乱入者はそれらの顔を一つずつ無遠慮に見定めて、その中の一人をジッと視た。


 長い黒髪を纏めた清潔感のあるスーツ姿の女性。


 ギョッとしている彼女へ向かって、



「仕事をよこせ――」



 男は――


 弥堂 優輝びとう ゆうきは当たり前のことのように要求をした――





 自宅を出てバイト先に到着した弥堂は、ここの責任者である所長を訪ねてオフィスへ赴いた。

 やたらと慌ただしい様子の事務所内から見覚えのある事務員の女を見つけ、所長の居所を吐くように迫ると、応接室にて接客中であることを聞き出す。


「わかった」と端的に言ってオフィスから出て行く弥堂のことを、事務員さんは『あ、出直してくれるんだ』と判断して見送った。

 そして弥堂は自分の用事を済ませるために、使用中の応接室にシームレスに這入っていったのである。


 そしてそこからの第一声が――


「――仕事をよこせ」

「なっ……、なななな……っ⁉」


――となる。


「び、弥堂君……っ!」


 黒髪のスーツの女――この事務所のオーナーである御影 都紀子みかげ ときこは、自身の子飼いに等しい弥堂のあまりの不作法さに瞠目する。

 まだ20代の半ば程で経営者をしている割には覇気の感じられないその女の顔を、弥堂はくだらないものを見るような眼で視下ろした。


「あ、あの……、弥堂君? 私、いまお客様と大切なお話を――」

「――なんだい? 仕事が欲しい? ってことは空いてる人員が居るんじゃあないかぁ」

「あうあう……」


 都紀子所長がいちいち言われなくても誰でもわかるようなことを注意しようとすると、彼女の向かいのソファに座っている男が話を挿しこんでくる。

 弥堂はその男に眼を向けた。


 仕立てのよさそうなスーツを着た小太りの中年男が人の好さそうな笑みを浮かべている。


「…………」


 弥堂は眼を細め、生え際が大分心許無くなってきている脂ぎったオジさんの額を一度ジッと視て、それからその男の隣に目線を動かす。


 男の隣には少女が座っていた。

 小学生か中学生にも見える年頃だが、身に纏う雰囲気とこちらへ向ける眼つきは子供のそれではない。

 色素の薄い髪に浅黒い肌、獣のように収縮した瞳孔。

 腹部を露出した軽装に大人サイズの軍用ジャケットをダボっと羽織っている。


 メスガキフォームのメロと似たような年頃と服装だが、露出したお腹はメロのようにぷっくりとはしておらず、痩せぎすのように見える。

 だが、浮き出る筋に確かな力強さと野性味が窺えた。

 それら全ての特徴とは不釣り合いに、頭には何故か犬耳のようなカチューシャを着けている。


 ピンっと立った耳の先をジッと視てから、今度はソファの後ろに立つ成人男性を映す。


 スーツを着たそれなりに屈強そうな体格。

 おそらく30代前後の歳で、ボディガードだろう。

 サングラスの下に見える口の形がポカーンとしており、正体不明の不審者を前にして未だ動きを見せていない。


(素人め)


 心中で侮蔑し、目元の険を少し緩めてから、弥堂は自身の雇い主に視線を戻した。


「こいつは依頼人か?」

「こ、こらっ。そんな言葉遣いをしてはいけません! この方はその、依頼と言いますか……」

「オジさんは市役所のオジさんだよぉ」


 所長が言い淀むと、男はフランクな笑みのまま立ち上がる。

 そして弥堂の前まで歩き、名刺を一枚差し出してきた。


「…………」


 弥堂はそれを片手で受け取る。

 だが紙面には見向きもしない。

 その必要が無いからだ。


 この男には見覚えがある。

 それもごく最近。


 名刺に書かれている名前を見るまでもなく。

 その顏――

 その魂のカタチ――

 その全てが記憶の中にキッチリ記録されている。


 だから名刺に眼もくれずに眼を細めてその男をジッと視る。

 だが――


「――東京都 くらしのきよはらい 美景市分室 地質安全課調査係 係長 佐藤 一郎です。はじめまして、弥堂君」


 変わらぬ笑みのまま、佐藤はそう名乗った。


「そうか。初めまして、佐藤。もう知っているようだが、俺は弥堂だ」


 弥堂がそう返すと佐藤は満足げに笑みを深め、そしてソファに座り直した。


「市からの仕事まで受注していたのか?」

「えぇっと、なんて言いますか……」


 所長に尋ねると彼女はまた同様に言い淀む。

 そして、また佐藤の方が答えてくる。

 だから主導権を握れないのだと、弥堂は自身の雇い主に心中で呆れた。


「今回は厳密に言うと国からだね。ボクはその交渉の為の代理人だよ」


 相変わらずトロくさくて使えない女だと彼女を見限り、弥堂は佐藤と話すことにする。


「なるほど。パシリか」

「あはははっ。まったく否定できないねぇ」


 手始めに挑発してみたが佐藤の笑みは1ミリも崩れない。

 パンっと自身の肉厚の太ももを打って、可笑しそうに笑い声をあげた。

 まったくプライドに障ることもないようだ。


 だが――


「――こ、こら、弥堂君……っ!」


 御影所長はまた弥堂の言葉遣いを注意し、佐藤の隣の少女は僅かに眉を寄せ、そして神経質そうなボディガードの男は露骨に怒りを顔や仕草に表した。


 部屋に入って1分足らず。

 情報は少ないが、どうも断りづらい筋からの依頼で、しかし所長は受けたがっていないように見える。


(それなら――)


 弥堂は判断を決めた。


「――いくらだ?」

「え?」

「報酬を言え。その仕事、俺が受けてやる」

「は?」


 ここで初めて佐藤は笑顔を崩し、ポカーンと口を開ける。


 弥堂の提案内容に驚いたわけではない。

 佐藤が驚いたのは、彼のその“速度”だ。


「弥堂君っ⁉」

「うるさい。お前は店先のタヌキの置物のようにただそこに座っていろ」

「私ここの所長なんですけど⁉」

「黙れ、金玉女」

「んなっ――⁉」


 弥堂がキャンキャンと喚く成人女性を適当にあしらうと、その余りの暴言に所長は絶句した。

 そうしている間に、佐藤は気を持ち直す。

 興味関心と共にだんご鼻をぷっくりと膨らませ、ナマコを合わせたような唇で弧を描いた。


「おやおやぁ? キミは今“フリー”なのかなあ?」

「ちょうど空いていた。その仕事をよこせ。当然金額次第だが」

「これはこれは……、素晴らしい廻り合わせだねえ……」


 佐藤は顎の肉に触れて一考しようとするが――


「――お待ちください」


 制止の声が挿しこまれた。


 それを発したのは佐藤の背後に控えていたSPの男だ。

 ソファの後ろから進み出てきて佐藤の横――犬耳カチューシャの少女の前に立つ。

 カチューシャの犬耳が不快そうにピクリと跳ねた。


 SPの男は弥堂の方へ一度忌々しそうな侮蔑の態度を表し、それから佐藤に抗議を始める。


「何を考えているんですか、佐藤さん……⁉」

「おんやぁ……?」


 何を言われているのかわからない――そんな風に佐藤がわざとらしく首を傾げると、男は増々苛立ちを露わにする。


「いくらなんでも相手を選ぶべきです! 空いてさえいれば誰でもいいという訳ではないでしょう……⁉」

「ですです……っ!」


 その主張に何故か御影所長がコクコクと頷いて激しく同調した。

 するとSPの男は、顏の下に握りこぶしを二つ構える二十代女性をキッと睨んだ。


「わ、私は……っ、貴女に助け舟を出したわけではない……っ!」

「す、すみません……」


 決して揶揄ったわけではなかったのだが、怒られてしまったので所長はシュンと肩を縮める。

 その姿に、声を荒らげた男もどこかばつが悪そうにした。


「どうしたんだい? 大山君。そんなに興奮して」


 見かねた佐藤が仕切り直す。

 すると、大山と呼ばれたSPの男は、ズレてもいないネクタイを直して声を落ち着かせた。


「佐藤さん。素人や部外者、それに“ハグレモノ”などに頼るべきではない。我々だけで十分です」

「いやあ、それこそ人手不足だよぉ」


 佐藤が笑いながら軽く答えると、大山は少し言葉に詰まる。

 佐藤の主張が事実なのだろう。


「いっそのこと京都から応援を……」


 苦し紛れに出した意見は最後まで言うことすら出来ない。


「それも厳しいよ。あっちの面子もこっちの面子も両方を立てられるようにって――そんな根回しや手回しをしている時間は、今回はないんだ。だから、ここに来た。さっき庁舎でそう説明して、キミも一度は納得しただろう?」

「そ、それはそうですが、しかし――」


 反論に窮した大山は弥堂を睨みつける。

 どうも外部の人間――それも弥堂のような得体の知れないチンピラに頼むことが、余程彼のプライドに障るようだ。


「――限度があります!」


 大山はサングラスの奥からはっきりと侮蔑の意を弥堂へ向ける。


「ただのチンピラだ。なんのチカラも感じない。外法師ハグレですらない。街の喧嘩屋かよくて傭兵崩れにしか見えません。こんな野良犬がなんの役に立つと? 余所者を雇うにしても最低限のラインは――」

「――なるほどな」


 長ったらしい口上を遮って、弥堂は納得を口にする。

 声を出したことで大山の言葉が止まり、また全員の視線が弥堂に集まった。


 彼らが何者でどういった背景や事情があるのかは、なんとなく想像することは出来るが厳密には理解できない。

 だが、そうする必要もない。

 そんなことは時間の無駄だ。


 それに、正確な状況がわからなくとも――


 この空気感――

 関係性――

 自身の立ち位置――


――それらは弥堂には酷く慣れ親しんだモノだった。


(楽しくなってきたじゃねえか)


 デートなんかより余程心が踊ると――心中で嘯きつつ。

 だがまったく笑いもしない無表情のまま、弥堂は手にしていた名刺を大山の頭の上に落ちるように、指で天井へ向けて弾き飛ばす。


 その侮辱的な行為に表情を歪めた大山のサングラスの中から通る目線が、まず天井付近へ向いて――

 それから落ちてくる名刺が描く放物線をなぞって下りてきた時――


――その時にはもう蹴り上げられたローテーブルが大山の目の前に迫っていた。



 驚いた大山が反射的にテーブルを受け止める為に両腕を上げようとした瞬間、その裏側に弥堂の靴底が叩きつけられる。


「ぐぶぇ――ッ⁉」


 潰れるような声を漏らし、大山はソファを倒しながら背後にぶっ飛んで壁に激突した。


 ローテーブルの上に置いてあったガラス製の灰皿が遅れて落下してきた。

 それを弥堂は左手でキャッチし、一瞬だけ視線を横に遣る。


 そこはソファから少し離れたスペース。


 今の一瞬で佐藤を連れて退避したのか――

 犬耳カチューシャの少女が佐藤を庇ってこちらを睨んでいた。


 威嚇的なその目を一瞥だけして、弥堂は灰皿をオーバースローで投げる。


 直線軌道で飛んで行ったそれは、尻もちをつく大山の顏のすぐ横の壁に激突して派手に砕け散った。


「キャアアァァァァ……ッ⁉」


 その音と惨状に御影所長が一般女性のような悲鳴をあげる。

 灰皿が直撃したわけでもない大山も、耳の近くの破砕音とガラス片を浴びたことで、思わず目を瞑ってしまった。


「素人め――」


 今度はそれを声に出して、そしてその時にはもう弥堂は大山のすぐ間近にいる。


 何が起きているのか、何故自分が攻撃を受けているのか――

 その程度の状況理解すら追い付いていない大山の顔面を足裏で蹴りつける。


「ぐぁ――っ、んな……っ、がぁ……っ⁉」


 制止も問いも一切許さずに、弥堂はただ無言で暴力を奮っていく。


 それらから逃れるために頭を抱えた腕の隙間から、大山は相手の眼を見た。

 この行為に何の感情も抱かない無機質で無貌の黒い瞳を。

 それだけで彼は委縮し、思考も行動も放棄してしまった。


 弥堂はそれに何も思わない。

 これまでも、これからも、何度も繰り返されるただの作業だ。

 それを機械的に行う。


 それから少しの間暴行は続く。

 声のなくなった部屋に人間が打たれる音だけがほぼ一定の拍子で鳴り続けた。
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