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1章 魔法少女とは出逢わない

1章53 Water finds its worst level ⑲

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『――なんとかしてよっ!』


 スマホからキャンキャンと響いてくる女の高い声に弥堂はうんざりとする。


「無理だ。諦めろ」

『諦めるわけあるか! なんなのその態度っ!』

「そう言われてもな」

『なんなの⁉ 他人事みたいに!』


『他人事だからな』とは口にせずに、いい歳をして子供のように喚きちらす落ち着きのないクラスメイトをジトっとした瞳で見遣る。


『なにめんどそーな顏してんのよ! ふざけんなっ!』

「……人生色々とある。時にはこんなことも起こるだろう」
『運が悪かったみたいにゆーなっ! 1から10まで全部あんたのせいでしょ⁉』

「1から10まで目盛を埋めているのはお前の乳輪だろうが」
『埋めてないからっ! 違うっつってんでしょ⁉』

「他責思考をしている内は何も変えられない。もっと自分の乳輪に矢印を向けて改善を図れ」
『そんなとこに向けて、なにをどう改善しろっつーのよ⁉ あたしになにが出来たわけ⁉』


 きっとこういった自分で自分をどうにかする気のないタイプの無能が、他人が自分をどうにかしてくれるのが当たり前だと自然に思い込みそう考えてしまうのだろう。

 そして、何も出来るようにならない役立たずのクズの分際で『パワハラをされた』だの『教え方が悪い』だのと会社や上司をSNSに晒し上げて迷惑をかける――そんなモンスターに将来なるのだろうなと考えつつも、一応は彼女を宥めて諭すことにする。

 今の学生の内ならまだ更生のチャンスがあるかもしれないと思ったからだ。


 責任のある大人という立場に立たされるのは辛いものなのだなと、無常さを感じながら希咲へと渇いた無情な瞳を向ける。


「それはお前、アレだ……。乳輪が縮むようにフィジカルトレーニングをしろ」
『どんなトレーニングよ!』

「さぁ? まずはスクワットから始めてみてはどうだろうか」
『ダイエットか! てゆーか、やってるし! それで鍛えられるのはお尻とか太ももじゃん! そこは締まらないでしょ⁉』

「そうか。じゃあもう手術しかないな。切っちまえ」
『イヤよ! じゃなくって! ジッサイはおっきくないってなんべん言わすのよ⁉ あんたの性癖押し付けてくんな! マジキモいっ!』

「俺の性癖じゃない」
『おっきければおっきいほどエッチだとか言ってたじゃんか。クソキモイんだけど』

「あれは然る有識者に聞いたことだ」
『……またヘンタイ部長かよ。あんた部長さん好きすぎじゃない?』

「違う。今回は部長ではない」
『じゃあ誰よ』

「駅前のホームレスだ」
『しねっ!』


 交友関係が著しく不健全な男のいかがわしい価値観に自身の人生が侵食をされたように感じ、希咲は激しく遺憾の意をぶつけた。

 そんな自覚のない無法の谷の住人は変わらずやる気のない態度でどうでもよさそうに聞いている。


『てゆーか! どうにかして誤解を解けってゆってんの! あたしの……をどうにかしろって言ってんじゃないの!』

「誤解か。だが、誤解とは誤解をされる側、誤解を与える側にも問題があるケースも多い。まずは自分自身の言動を振り返ってみてはどうだ? 普段の自分の行動をよく思い出してみろ。必ずあるはずだ。乳輪がデカそうだと思われるような振舞いがなかったか?」

『あるかっ! なによ⁉ 乳輪がデカそうな言動って! 普段人のどこをどう見てどんなこと考えてたら「あ、この人の乳輪おっきそう」とか思っちゃうわけ⁉ 思わないでしょそんなこと! ただのヘンタイじゃん!』

「そうか。どうやら俺では役に立てないようだ。専門家に相談するといい」

『そんなこと専門にしてるヤツがいるわけないでしょ! てゆーか、そもそも――って、コラ! どこ見てんのよ! なんなのそのやる気ない態度っ!』


 話の途中で興味を失ったように目線を周囲へ回す男に希咲は強い怒りを表す。

 その怒鳴り声を聴き流しながら弥堂は教室の生徒達の様子を確認していた。


 希咲の言ったとおり、弥堂はもう彼女の乳輪に一切の関心を持っていない。

 なんなら最早それの答えなどどうでもいいとさえ考えていた。

 既に目的はほぼ達したからだ。


 希咲にセクハラをしてその結果他の者たちの記憶の認知に変化がないかを確認する。

 それが元々の目的だ。


 その為の手段として『彼女の乳輪の直径を聞く』という行動を起こしたのである。

 しかし、それはそうすることによって希咲が性的な刺激を受けたと認知し、その反応として彼女が羞恥するか怒るかをすれば、それを以て成果とすることが出来る。

 そこに質問の答えが返ってくるかどうかという成否は必要なく、ましてや希咲の乳輪に関する正確な情報などは全く重要ではない。


 弥堂とて希咲にそれを訪ねたところで彼女が答えるとは思っていなかった。

 そして実際にそれを聞き出すこと自体は出来ていない。


 素人目にはそれはセクハラを失敗したかのように映るかもしれない。

 だが、それは大きな勘違いだ。


 例えば痴漢なら、実際にこの手で彼女に触れない限りは痴漢――セクハラとはならない。

 スカート捲りならば、スカートに触れるまでセクハラにはならない。

 そして下着泥棒ならば実際にその手に彼女の下着を掴むまでは下着泥棒――セクハラ判定には至らない。


 だが、今回弥堂がとった手法ならば実際に乳輪の直径の数字を入手しなくてもセクハラは可能だ。


 何も特別なことではない。

 今ここで起こったことのように、彼女の乳輪に関してあることないことを誤情報だろうとお構いなしに適当に拡散してやればいい。

 そうすれば御覧のとおり、周囲の者たちが勝手に彼女へ性的な興味を持ち、そのことに言及し、関心の目を向ける。

 そしてその視線を受けた希咲が性的な被虐だと認知すれば、それでセクハラは完成する。


 自分自身の手で性的に加虐をしなくても、周囲の状況や人物を操ることでセクハラを成す――操作系のセクハラ能力でありセクハラの高等テクニックであった。

 やられた本人は自分が何をされたのかもわかっていないだろう。


『――おいこらっ! こっち見ろ! あたしが怒ってんだからちゃんと話聞きなさいよ!』

「なんだ」

『なにそのナマイキな態度。あのさ。あたしのがおっきいわけじゃないし、あたしがそういう風に誤解させたわけでもないし、あんたがそう誤解させるように仕向けたんでしょって。だからあんたが責任もってどうにかしてって、そう言ってんの!』

「それは誤解だ」

『誤解じゃないし! なんでここまで話すのにこんなに時間かかるわけ⁉ あんた絶対わざとやってるでしょ!』

「それも誤解だ」

『誤解じゃないし。こうやってヘンなことして、あたしが皆にヘンに思われたりとかエッチな目で見られるようにしたんでしょ!』

「誤――」

『――解じゃないしっ! あんたこないだも似たようなことしたじゃん! 黒パンツだと思われたくないならパンツ見せろとか! 他にもえっちなこと言わせたりとかして! そんであたし変態どもにヘンな目で見られたじゃんか! ちゃんと前科があんのよっ! 回りくどくって手の込んだややこしいセクハラすんなっ! あんたセクハラのスキルアップに余念なさすぎっ!』

「……誤解だ」


 やられたご本人はしっかりと自分が何をされたのか理解していたようで、都合が悪いので弥堂はスッと眼を逸らした。


『ヨソ見すんな! こっち見てろ!』

「お前ほんとにうるせえな」

『うるさくない! 正当な抗議よ!』

「チッ、しつけえな」


 悪意を見抜かれた男は完全に居直る。その横柄な態度によって希咲の怒りにますます拍車がかかる。


『なに逆ギレしてんのよ!』

「してない」
『してんじゃん!』

「してねーつってんだろ。大体お前、普段から胸がデカく見えるように色々と小細工を――」
『――殺すぞ』

「…………」
『で?』

「…………普段からバストサイズにストイックで様々な努力をしているじゃないか」
『言い方の問題じゃなくってそこに言及すんなって言ってんのよ! あたしの胸に関心をもつなっ! てか、だからどうしたってのよ』

「だから。デカイと思われて何が不満なんだよ。むしろ印象操作に協力してやったんだ。感謝をしろ」
『するかっ! あたしが、その……、アレしてるのは全体的なことでしょ⁉ そこの部分だけおっきいって思わせてどうすんのよ! なんにもいいことないじゃん! むしろ地獄なんだけど⁉ 謝ってよっ!』

「チッ、悪かったな」
『なにフテってんのよ? あんたのせいなんだからあんたがどうにかするべきって、当たり前のことしか言ってないでしょ?』

「ふぅ……、いい加減にしてくれ。俺はお前の男じゃないんだ。あまり聞き分けのないことを言われても困る」
『なんであたしがワガママ言ってるみたいになんのっ! あんたが悪いんでしょ⁉ あたしの方が困ってるし! 大体あんたさ――』

「――ななみちゃん、ななみちゃん」


 恒例となりつつある平行線の罵り合いが続きそうになっていたが、すっかり希咲の映ったスマホを持つ係になってしまった水無瀬さんから声がかかる。

 ここまでずっと大人しくしていたように、彼女は無意味に人の会話を遮ってまで積極的に話に入ってこようとするような子ではない。

 なので、これはお話を聞いてあげなきゃと希咲は表情と声色をコロっと変えた。


『なぁに? どうしたの愛苗』

「あのね? もしかしてなんだけど、ななみちゃん困ってるの?」


 もしかしなくてもずっとそういう話をしているのだが、もちろん七海ちゃんは大好きな親友の愛苗ちゃんにそんなツッコミはしない。

 むしろ愛苗ちゃんに心配をしてもらえたことで一気にテンションが上がった。


『そうなの! このバカのせいで困ってるの! あたしのこと騙したりエッチなことしたりヒドイこともいっぱい言われたの!』


 そして殊更に大袈裟な様子で被害を訴える。


『みんなにヘンに思われちゃうようなウソばっか言ってさ! このままじゃあたし嫌われちゃうかも!』

「乳輪がデカくても別に嫌われはしねえだろ」

『うっさい! 今あたしが愛苗と喋ってんの! あんたは黙っててよ!』


 ジト目で他人事のように茶々を入れてくる男を希咲がガーっと怒鳴りつける中、彼女の証言を「うんうん」と頷いて聞いていた水無瀬が口を開く。


「そうなんだ。やっぱり困ってたんだね。うん、私に任せて」
『え?』

「私、みんなに言ってあげるね? ななみちゃんのはおっきくないよって」
「おい待て」


 なにやら問題解決に乗り出す旨を表明した水無瀬を、希咲が何かを言うよりも早く、ほぼ反射的に弥堂は止めた。


 先述の通り、弥堂にとってはもう希咲の乳輪のサイズがどうのという話はどうでもよくなっていた。

 既にセクハラをすることには成功したので、後はそれによって周囲の人々にどんな影響が出たかを確認するフェーズに遷ったと判断していた。

 なので、希咲のその実寸については全く重要な情報ではなく、無論そんな些末なものをいちいち聞き出す必要もないので、彼女がそれを喋るかどうかなどに最早関心などなかった。


 しかし、ここで水無瀬に入って来られることによって、何か自身にとって都合の悪い展開になるのではと直感したのだ。


 今彼女が申し出たように、希咲の乳輪についての誤解が解かれてしまっては面白くない。


 現在は弥堂の工作によって希咲には『乳輪直径10cmオーバー』の疑惑がかかっている。

 その疑いは確かめようがないので晴らされることはなく、「まさかそんなに……」「まさか彼女が……」といった噂話が真しやかに囁かれ、大衆からの好奇と好色の視線が希咲に降り注ぎ、それを以てセクハラと成している。


 そこへ真実を知る者が現れ誤解を解いてしまい、それによって愚かな民衆どもが「な~んだそうだったのかぁ」と納得をしてしまえば、その後は誰も希咲の乳輪に関心を持たなくなるだろう。

 今は10cmオーバーという脅威の数字によってこれだけの興味を集められているが、実際の数字が「まぁ、そんなもんだよな」というありふれたものであったら人々は見向きもしなくなるだろう。


 希咲の乳輪は何も変わらず常に彼女の胸にあるのに、それへの認知が変わればそれに対する感情も失われ、誰しもが興味関心を払わなくなる。

 ちょうど今の水無瀬のように。


 そして実のところ、彼女の乳輪はそこまでデカくはない。

 弥堂はそのように見立てている。


 希咲の反応、水無瀬の態度などが主な推測の材料だが、それを抜きにしてもいくらなんでも10cmはやりすぎだろうと、そのように考えている。

 昨夜ラブホに呼び出したデリヘルのお姉さんも胸を開けさせた時には、『うお、でけぇな』と弥堂でさえ内心思ったほどだったが、それでも10cmはなかった。

 熟れ熟れEカップの人妻ですらそうなのだ。希咲程度ではその半分すらない可能性が高い。


 群衆どもに「こんなもんだよな」などと思われては困るのだ。

 故に乳輪の真実が明るみに出るのを阻止する必要がある。


 そのように直感に理屈を後付けた弥堂は水無瀬の説得を開始する。



「水無瀬、不確定な情報を流すのはよくないとさっき言っただろう?」

「え? でも不確定じゃないよ? 私、見たことあるから知ってるもん。だからおっきくなかったよーって言おうかなって」

「だが、それでどうやって納得させる? 証拠がない。実寸を証明出来ずに見たことがあると言うだけなら俺でも言えるぞ」

『あんたそれ言ったらまた余計な誤解増えるから絶対言うんじゃないわよ』

「今は俺が水無瀬と喋っているんだ。黙っててもらおう」

『はぁ? あたしの方が仲いいしっ! 愛苗だってあたしとお喋りしたいんだからっ。ね? 愛苗?』

「3人で仲良くお喋りしよー?」


 口を挟んでくるジト目の希咲を追い払おうとしたら彼女は水無瀬を味方に付けようと画策する。

 しかしぽやぽや女子である水無瀬さんはあくまで中立の立場であることを表明した。


「あのね、弥堂くん。私ちゃんと大きさ説明できるよ?」

「ほう、どうやって?」

「えっとね、一緒にお風呂入った時に触ったこともあるんだけど、大体これくらい――」

『――ぎゃぁーーっ! 愛苗っだめっ! それ言っちゃダメっ! 手っ! 手隠してっ!』

「え? あ、うん」


 弥堂の目線の上――希咲からの視点では弥堂よりも手前の画面の真ん前で、右手の親指と人差し指の腹を合わせるように距離を縮めていこうとした水無瀬を希咲が慌てて止めた。愛苗ちゃんは希咲の声に反射的に従ってパッとお手てを下ろす。

 弥堂はその下ろした手を一度ジッと視てから再度口を開く。


「なんにせよ。手で表現してみせたとしても、口で言ってるのと大して変わらない」

「そっかぁ……、どうしたらいいかな? このままじゃななみちゃんがかわいそうだよぅ」

「そうだな。もしも本当にそれをするのなら、今すぐ希咲が下着も脱いで一人一人に実物を晒け出し、目視にて確認してもらうしかないだろう」

『やるわけねーだろ! ばかっ!』

「そうだな。公序良俗の観点からもそれは憚れる。俺は風紀委員だからな、教室の風紀を守る必要がある」

『あたしの気持ちも観点に入れなさいよ。そんで乙女の尊厳も少しは守ってくれないかしら』

「そっかぁ。残念だね……」


 七海ちゃんがおっぱいを出したくないと言うので愛苗ちゃんは残念に思ってシュンとする。

 今回は意外と聞き分けがよさそうだったので、弥堂は適当に言い包めにかかった。


「まぁ、そういうわけで諦めろ。本人の口から実寸は何cmですと公表でもすれば、もしかしたら信じる者は信じてくれるかもしれない。だが本人がそれを嫌がっている以上は無理強いをするべきではない」

「そうだよね……、かわいそうだもんね……」

「今度また一緒に風呂に入る時にでも見せてもらえ。それまで我慢できるな?」

「うん。ワガママ言っちゃってごめんね?」

『……ねぇ、なんで愛苗があたしのを見たがってるのをあんたが守ってる風になってんの? なにもかもおかしくない?』


 色々とズレた二人の会話に希咲はゲンナリとする。


「うるさい。文句があるなら自分で解決法を考えろ」

『あんたのせいなのになんでそんなエラそうにするわけ? つか、こんなハチャメチャなのどうしろってのよ』

「だから実寸を公表――」

『――しないから。てかさ、絶対言わないけど。それは大前提だけどさ。でも、それ言うとしても自分のそこの数字なんてフツーわかんなくない?』

「そうなのか? お前ら女どもはやたらと自分の身体のあちこちの部位の数字を測ってるんじゃないのか?」

『や。人にもよるだろうけど、そんなに細かく気にしない子も結構多いわよ。愛苗とかそうだったし。ブラきついって前に言っててサイズ聞いたら適当に買ってたって言ってて。そんでショップ連れてってキッチリ測ってもらったのよ。ね?』

「えへへ。全然サイズちがったねー?」

「ということは、お前は細かく気にしてる方なんじゃないのか?」

『そうだったとしてもさ、トップとアンダーは測るけどそんなとこをわざわざ測って覚えてたりとかフツーしないから。そんなとこの数字気にしてるバカもヘンタイもあんただけよ』

「それを測ってなかったばかりに今困ってるんだろうが。馬鹿はお前だ」

『サイズがわかんなくって困ってんじゃないでしょ⁉ あんたがヘンなことしたから困ってんの!』

「うるせえな。じゃあ今測ってそれを発表でもすりゃいいだろ」

『なにめんどくさくなってんだ! このやろー!』


 元凶のくせに段々と投げやりになっていく弥堂に希咲は激しく苛立つ。


『そんなとこ測るバカいないってゆってんじゃん! 測ったとしてもそれを人に言ったりしないでしょ⁉』

「そうか? 必要がなければそれでいいかもしれないが、必要なら出来ることはするべきじゃないのか?」

『それが必要になる時なんてフツーは人生の中で一回もないのよ!』

「その普通でない時が今来てるんじゃないのか? さっきも似たようなことを言ったな。別に大したことないだろ。やれよ」

『じゃああんたがやってみなさいよ!』

「なんだと?」


 弥堂が眉を顰めた一際大きい希咲の怒鳴り声に周囲の人たちも「なんだなんだ」と注目をした。


 そのことに気付き弥堂はマズイと感じる。

 このバカ女にしつこく絡まれたせいで時間が経ち、先のセクハラのショックから人々が落ち着いてきている。そのことが彼らの記憶の認知にどう影響するのかはわからないが、わからないからこそ出来ればその前に検証をしたいと考えた。

 その為にはこの煩いギャルを黙らせる必要がある。


『そんなに言うんならあんたが先にやってみなさいよ! さっきからエラそうに! あんたが言えばいいじゃん!』

「小学生かお前は」

『うっさい! ガキはあんたよ、ばーかばーか!』

「黙れ。大体俺が自分の乳輪のサイズなど測ってるわけないだろう」

『なんでよ! あたしにはあんだけ言ってきたくせに自分も測ってないんじゃん!』

「俺には必要ないからな」

『あたしだってないし! 必要ならやるんでしょ⁉ 今ここで測ってみんなに聞いてもらえばいいじゃん!』

「俺のを言ってどうする?」

『大したことじゃないんでしょ! だったらやってみせなさいよ! 自分とカンケーないからってテキトーなことばっか言ってさ。そんなんで誰が言うこと聞くってのよ!』

「…………」

『なによ? 黙っちゃって。ビビったわけ? 自分でも出来ないことを人には『やれやれ』ってエラそーに命令するとかマジださすぎっ。ほらっ、やりなさいよ! 今ここで測って発表すれば? カンタンなんでしょ!』

「……いいだろう」

『ヘ?』


 低く呟くような弥堂の声に、それまでの勢いを一瞬で失った希咲は目が点になる。


 そしてすぐに『しまったぁーー!』と心中で叫び思わず頭を抱えた。
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