俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨

文字の大きさ
335 / 793
1章 魔法少女とは出逢わない

1章52 4月23日 ①

しおりを挟む
 4月23日、木曜日。


 昇降口で靴を履き替え、弥堂 優輝びとう ゆうきは自身の所属する2年B組の教室へ歩く。


 2年生校舎へ繋がる渡り廊下を踏みながら、この後の教室でのことに考えを巡らせる。


 水無瀬 愛苗みなせ まなのことについてだ。


 彼女の親友である希咲 七海きさき ななみとその仲間たちが休みに入って以降、学園内では異常が起きている。


 日に日に人々が水無瀬について忘れる――正確には彼女への関心が薄れ、彼女のことを意識上に浮かべなくなるために彼女のことを思い出さなくなる――といった異常だ。

 登校してきた水無瀬が教室に入る際に全体に挨拶をし、他の生徒達が挨拶を返すという恒例行事のようなものがあったのだが、日を追うごとに挨拶を返す者が減っているという現象にもそれが表れている。


 昨夜は4体ものゴミクズーを仕留めるという激しい戦いがあった。


(それなら今日はどれくらい進んだか……)


 弥堂としても予測しているものがあるので、現実の教室との差異を見極めて、現在起きている異常な現象についての自分の理解と予想が正しいものであるのかを確認するつもりだ。


 二年生の校舎は昇降口棟のすぐ隣にあるので、教室にはそう時間もかからずに到着する。


 毎日行っていることなので、特に心の準備も躊躇いも必要とせずに扉を開く。

 カラカラという音に反応してこちらへ視線を寄こした生徒から順番に話し声が止んでいき、やがてそれが全体へと伝播していって教室に静寂が訪れるという現象も毎日のことだ。


「…………」


 しかし、今朝は完全な静寂とまではいかず、僅かに話し声が残った。

 それを若干気に食わないと弥堂は感じたが、気にしないことにしていつも通り室内へ入る前に視線を教室内の右から左へとスッと流す。

 そして、ピクリと、僅かな動きで一度だけ睫毛を跳ねさせた。


 目線を向けたのは窓際近くの自分の座席。

 その隣の席で、現在地から視れば自身の座席の一つ奥。


 その座席に座る一人の少女――水無瀬 愛苗だ。


 チラリと左腕に巻いた腕時計に眼を遣る。


 デジタル時計の小さな画面には23:55と表示されていた。


 チッと舌を打つ。


 どうも昨夜時計塔から地上まで落下した際に壊れてしまったようだ。

 何となく腕時計は着けるものという感覚で使ってはいるが頻繁に時刻を確認する習慣がないので、壊れていることに気付かずに着けてしまっていたようだ。


 有名なメーカーの商品で『地上10階から落としても壊れない』という触れ込みだったので購入した物だった。

 時計塔は5階建てで、いくら通常の建物よりも1階分を高く造っていたとしても10階よりは高くない。


 これは厳重なクレームを入れる必要があるなと、弥堂は大企業への憎悪を抱きながら時計を外し、教室の出入り口近くのゴミ箱へ投げ入れた。

 まさか化け物と殺し合いをしながら5階の屋上より紐なしバンジーをするお客様バカがいらっしゃるとはメーカーさんも夢にも思わない。そこまでの想定をしていなかったが為にカスタマーサポートのパートのおばちゃんには不運が訪れることとなった。


 胸の裡で燻る燃え尽きぬ怨嗟を一旦忘れ、弥堂は水無瀬へと視線を戻す。


 彼女は席に座りながら俯き、机の天板を見つめている。

 ここから視える限りでは何やら深刻そうに思いつめた表情をしているように見えた。


 ここのところ彼女は毎朝のHRが開始される直前のギリギリの時刻に教室に飛び込んでくることが多かったので、本日もそうだと思い込んでしまっていた自分を弥堂は心中で嘲笑する。

 特段彼女にはギリギリに登校しなければならない理由などないのだ。昨日までが“そう”だったからといって、今日も明日も当たり前のように“そう”である理由などない。

『そりゃそうだ』と声には出さずに嘆息しながら扉を閉めて自席へと向かう。


 教室内に踏み入った弥堂へ掛けられる挨拶の声はない。

 先週までの水無瀬の登校時の風景とは対照的なものだ。


 それは弥堂自身が誰にも挨拶をすることがないので当たり前のこと。

 自分から何かを発しなければ、それを受け止め返してくれる者も存在し得ないのは道理と云える。


 そして、弥堂はこの現状に満足しており、むしろ好ましいとも――


「――お? 弥堂くんじゃん。おはよー」
「ん? あ、弥堂君おはよう」


 教壇を横切っていた所で最前列の座席で談笑していたクラスメイトの早乙女 ののかと日下部 真帆に挨拶をされる。

 弥堂はつい足を止めてしまった。


「…………」

「お? どしたー? ちゃんとあいさつしないとまた七海ちゃんに怒られちゃうぞー?」
「バ、バカッ……! ウザ絡みすんじゃないの!」

「ほれほれー。ののかに『おはよってゆって!』」
「ののかっ!」


 気軽に気安く話しかけてくる早乙女の笑顔を視て、やはり気に食わないと感じ、それから仕方ないと諦めた。


「…………おはよう」


 教室の話し声といい、彼女たちからの挨拶といい、どうも自分にとって好ましくない方向に進路が逸れてしまったようだと、弥堂は眉根を寄せながら渋々と返礼の声を絞り出した。


「お? お……? なんだ……、この感情……? ののか、そういう性癖なかったはずだけど、ウカツにも『ちょっとカワイイ』って思っちゃったよ!」

「ばかっ! やめなさいよ!」

「え? なんで?」

「えっ……? そういえば、なんでだろう……?」

「変なマホマホー……って言いたいところだけど、なんかののかもマズイような気がしてきたよ……。なんでだっけ……?」

「う~ん……――あっ! 七海っ! ほら、七海が……」

「えっ? 七海ちゃん? そうだったっけ……? う~ん……、言われてみればそんな気も……」


 声を掛けるだけ掛けたまま弥堂を放置し、何やら噛み合わせの悪いやり取りをする二人の会話に弥堂は関心を示す。


「……なるほどな。そう辻褄が合わされるのか」

「――えっ?」
「どうかした?」

「いや、なんでもない。それより、キミには挨拶を返してなかったな。おはよう日下部さん」

「えっ?」
「あ、うん。おはよう。ゴメンね? 朝からウザ絡みしちゃって。イヤだったら無視しちゃってもいいからね」

「いや、問題ない。むしろ今日は助かった。おかげで色々確認すべきことに気付けた。ありがとう、日下部さん」

「え? あ、うん……、こちらこそ、ありがとう……?」
「ヒ、ヒドイ対応の差なんだよ……。なんだろ、この感情……? まさかののかにそっちの性癖もあるかもなんて……」

「では、な」


 自身の肩を抱きながらワナワナと震える早乙女を侮蔑の視線で一瞥し、弥堂は会話を打ち切って自席へと進んだ。

 背後から「今のことは七海ちゃんには内緒にしてね~」と掛けられた声には適当に肩を竦めて応えながら、改めて進行方向――水無瀬を視る。


 よほどに深く考え込んでいるのか、今しがたの弥堂と彼女らとのやり取りには気付いていないようだ。

 出来れば水無瀬が教室に着いた時の生徒達の反応を視ておきたかったが、現在の水無瀬の表情からある程度は察せるものもある。


 今の早乙女や日下部さんの様子といい、今の水無瀬の表情といい、どうやら弥堂の予測した通り、昨日よりも“進んで”しまったようだ。



 自席まで辿り着き、隣の席で変わらず俯いたままの水無瀬の頭頂部を見下ろす。


 そろそろ彼女自身にも現状をどう考えているのか、一応聴取をするだけしておくべきかと考えを巡らせ、弥堂は口を開く。


「………………おはよう、水無瀬」


 口を開いたはいいものの、まずはなんと声をかけるべきかすぐには思いつかず、数秒口を半開きにした後に出てきた言葉は何でもないありふれた朝の挨拶だった。

 教室のあちこちから聴こえてくる談笑の声の雑踏に呑み込まれるくらいの、たいして大きくもなく特別誰も気に留めもしない普通の挨拶の声。


 しかし、そんなつまらないものに驚きを見せる者が一人だけ居た。


 声を掛けられた本人である水無瀬は、自身の頭の上から落ちてきたその低い声にハッとすると、ガバっと勢いよく顔を上げる。


 そして――


「――弥堂くんっっ……!」


 教室中に響き渡るような大声をあげ、そして席を立つと抱きつくような勢いで距離を詰めてきた。


「弥堂くんっ! 弥堂くん……っ!」

「……うるせえな。なんだよ」


 大層慌てた様子でペタペタと身体を触ってくる彼女へ白目になりながらぞんざいな返事をする。

 教室はシンと静まり返り、そして全員の視線が集まっている。


 これだけ目立つ中では彼女へ訊こうと思っていたことは訊けないなと、諦める他なかった。


 そんな弥堂の内心など知ったことではない水無瀬さんは、まるでボディチェックをするように弥堂の上半身から下半身まで隈なく確かめる。


 弥堂の手首をとり手がプランプランしていないことを確かめ、その場でしゃがみこみ膝をツンツンして骨が繋がっていることを確かめる。

 そして、弥堂の脛、太腿、腰、尻と順番にペタペタ触りながら登っていき、脇腹、胸、背中、肩と上に手を伸ばしていく。


 それから弥堂の顏に触れようと手と爪先をめいっぱい伸ばして、それでも上手く触れないことに気が付くとピョコピョコとその場でジャンプし始めた。


「……おい、やめろ」


 彼女が一生懸命ジャンプするので、グイグイと頬を押されたり、時には軽くビンタをされているようで、ここまでされるがままになっていた弥堂もようやく黒目を戻して水無瀬を制止した。


「――あっ、ゴ、ゴメンね……? 私……っ」

「お前なにをそんなに慌ててるんだ?」

「だ、だって……っ!」

「なんだよ」


 鬱陶しそうな顔をする弥堂へ、ご説明をしようとして愛苗ちゃんはハッとなる。

 そして周囲をキョロキョロと見回した。


「あ、あのね? 弥堂くん、ちょっとお耳貸してくれる……?」


 少し声を落とした彼女は口元に手を添えて弥堂の耳元へ顔を寄せようとする。


 しかし弥堂の身長が178cmなのに対し、水無瀬さんの身長は148cmだ。

 おまけに、他人への配慮という概念がこの世に存在することを知らない可能性がある男は、彼女が耳打ちしやすいように身を屈めてくれたりなど、そんなことは思いつきもしない。


 必然的に彼女のお口は弥堂のお耳までは届かず、お顔にお手てをあてたまま愛苗ちゃんは弥堂のネクタイの結び目あたりをジッと見た。


 そしてその場でピョンコ、ピョンコとジャンプし始める。


「…………」


 なにしてんだこいつ――と、お目めをバッテンにしながらいっしょうけんめいピョンピョンする彼女の顔を弥堂は胡乱な瞳で見た。


 運動神経が芳しくない彼女の跳躍力では目的の高さまでまるで届いておらず、よしんば届いたとしてもその高さに留まることが出来なければ耳打ちでナイショ話など出来るわけがないのはいちいち言うまでもない。


 呆れる弥堂の目の前で諦めずにピョンピョン跳ね続ける光景に教室中の視線が集まっている。


 どこかコミカルな二人の姿に周囲の生徒のみなさんもほっこり――



――は、していない。



 現在向けられている他の生徒からの視線はとても怪訝そうで懐疑的なものだった。


 弥堂はスッと手を伸ばすと水無瀬の鼻を摘まむ。


「ぁいひゃぁーーっ⁉ ひゃんへおひゃなしゅねるのぉー?」

「なに言ってっかわかんねえよ」


 ピョンピョンをやめて涙目でなにやら訴えてくる彼女に嘆息する。


 他の生徒たちの視線は先週、または数日前まで水無瀬に向けられていたようなものではなく、どちらかというと普段弥堂に向けられているようなものに類似している。

 ただ、そこにはまだ悪意や嫌悪といったようなものまではない。

 困惑に近いかもしれない。


 彼らや彼女らは現在水無瀬のことを忘れている。

 彼らの視点では、見覚えのない生徒が何故か教室に居て、何故か厄介者と認知されている男の近くで騒いでいると、そのように見えているのだろう。


(――いや、少し違うか)


 忘れているとはいっても、記憶から消えているわけではない。


 正確に表現するのなら、普段あまり意識していない、することのない生徒。彼ら彼女らの認識だとそのような目立たない生徒が燥いでいる。そんな場面を目撃して困惑している。

 そんなところだろう。


 弥堂はチラリと目線を動かして、自席の水無瀬とは逆側の右隣の座席の女子生徒を見遣る。

 ビクリと、二人の女子が怯えた様子を見せた。


 弥堂の右隣の空井 蒼そらい あおいと、その一つ後ろの暗尹 冬憂くらい ふゆの二名の女子だ。

 彼女らはとても大人しく内気な女生徒で、普段誰かと積極的に話したり、また話しかけられたりする場面をほとんど見ない。この騒がしいクラスの中では特に目立たない存在となっている。

 ちなみにそんな気弱な彼女らは『風紀の狂犬』と悪名高い弥堂 優輝と、『学園最強のヤンキー』と呼び声の高い蛭子 蛮の隣に配置されるという不運な女子たちで、そんな彼女たちを儚んだ希咲さんは常日頃から『早く席替えしたげて!』と心から願っている。


 おそらく彼女らのような印象が薄く影響力のない生徒が、今の水無瀬の様な行動を突然起こしたら、周囲からの視線はこのようなものになるのだろうなと弥堂は理解に繋げた。


 そう納得したところで、今日もまったく予定通りに物事が進まない苛立ちを抑えながら、「さて、どうするか」と思考を巡らせた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...