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序章 俺は普通の高校生なので。
序章20 奇人の箱庭 ①
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――スンスン――うっく、えぐっ――スンスン――ひっく、ぐすっ――スンスン……
複数の人間が鼻を啜り嘔吐く音で廊下は包まれていた。
あれから弥堂は事態を収拾しようと嗚咽を漏らす希咲を宥めようとしたのだが、声をかけた瞬間に烈火の如き怒りを再燃させて、またギャン泣きをするループに入ってしまい、仕方なく諦めて彼女を泣きやませる役目は時間という敏腕ヘルパーに任せることにした。
法廷院たちも同じような状態ではあったが、男のギャン泣きなど見苦しすぎて触れたくもないので、弥堂はその間の時間を利用して現在交戦中の『弱者の剣』の構成員の一人である、白井 雅という女子生徒に聴取を行っていた。
『むきだしてくれたら、知っていることを話す』
先程、そう取引を持ち掛けてきた白井自身の言葉通り、彼女はわりと従順に質疑に応えてきた。
「すると、なんだ。お前らの活動を指示・支援している者などいないと言うのか? 隠すとためにならんぞ」
「えぇ、そうよ。何度も言っているでしょう。私達が勝手に集まって勝手にやっているだけ」
「そんなわけがあるか。お前らに資金や報酬を支払っている者が裏にいるだろう? 吐け」
「それこそ、そんなわけがないでしょう。こんな馬鹿なことやらせてお金払う馬鹿がどこにいるのよ。誰も得しないわ」
強めの口調で先程から詰問を繰り返しているが、白井の返答は変わらない。弥堂の望んでいるような真相は得られなかった。そのことに弥堂は大きく失望をした。
「ならば、何故こんな無駄なことをしている? 多勢に無勢で一人の生徒を責め立てることに何の意味がある?」
「意味? そんなものないわよ……でも、そうね。強いて言えばストレス解消かしら」
「なんだと?」
「いかにもリアルが充実していて普段から楽しく過ごしていそうな奴が呑気に一人歩きしてるところを襲撃して、その無自覚で幸せそうな顔を絶望と恐怖に染め上げた上で理由もなく謝罪をさせてやるのよ。最初は私も意味がわからなかったけど、やってみたら存外すっきりするのよ」
「…………」
弥堂は言葉を返さず目を細めて白井 雅を視た。
何の変哲もない、ありふれた普通の人間の女で、どこにでもいくらでもいる女子高校生にしか視えない。
「やだ……そんな値踏みするような視線で本人の目の前から堂々と眺めるなんて……責任とってもらうわよ」
「チッ、ゴミが」
「んっ……なんてひどいの。人間に対して向ける眼じゃないわ。でも嫌いじゃないわよ」
弥堂はそれっきり白井に興味を失くし目線を切った。
「ねぇ、そんなことよりも聞いてちょうだいよ、弥堂クン」
「あぁ、キミの言う通りだ」
弥堂は素早くオートモードに切り替えた。
この白井という女は隙さえあらば聞いてもいないのにやたらと自分のことを語ってくる。どれだけ自分が可哀想なのか、自分は被害者なのだという語り口でアピールしてくるこの手のタイプは、どれだけ愚痴に付き合ってやったところで結論などは絶対に出ないことを、弥堂はこれまでの人生で培った偏見に塗れた己の価値観により決めつけてかかっていたので、以降は彼女の話はシャットアウトし返答は定型文で対応することにした。
(さて――どうするか)
顎に手を当てて思考する。
白井の証言は弥堂としては目論みには副わないものだった。このような活動家のような真似をしているのは、金でも貰っているからなのだとばかり考えていた。
弥堂の展望としては、この連中を制圧して暴力で脅し、存在と活動を見逃してやる代わりに、彼らに提供されている資金をこちらに横流しするように要求するつもりであったが、学園の生徒会から予算を配分されている委員会や部活動などの公式な団体でもなく、裏側の世界から金を得ている非合法な団体でもないのであれば、『弱者の剣』と名乗るこの連中に一切の価値を見出せない。
このただ迷惑なだけの集団を解散させたという成果を風紀委員会にて報告をすれば多少の実績の足しにすることくらいは出来るだろうが、考えていた以上にこの連中の活動内容が低俗で卑小すぎて、やったとしても大した見返りにはならなそうだ。
(一応裏はとるが、その前に――)
チラリと。目線だけを動かし希咲 七海を見る。
彼女はまだ床に尻をつけて座り込み泣いているようだが、先程までに比べれば幾分落ち着いてきたようであった。
まずはこいつからどうにかするかと、『スンスン、ぐすっ、ズズッ』と両手を目元に当てて鼻を啜る希咲へと、溜息を一つ吐いてから歩み寄った。
「おい、希咲」
弥堂は彼女の前に立ち声をかけるが、彼女は答えずにスンスンやっていた。
「はぁ」と、もう一つ溜め息を吐くと制服の上着からポケットティッシュを取り出し、無言で彼女の顏の前に差し出してやる。希咲はそれを無言でガっと乱暴に奪い取ると、弥堂とは反対側に身体ごとクルッと回って「びーー」と鼻をかんだ。
しかし、そのまままたスンスンやり始めて立ち上がる様子を見せないので、弥堂は面倒そうな顔をしつつ彼女の正面側へ回り込んでから、希咲の顔の前に左手を差し出す。
希咲は数秒その差し出された手を不機嫌そうにじーっと見つめてから自身の左手を緩慢な動作で振り上げる。
手を叩き落とすくらいで気が晴れるのなら別にいいかと、弥堂は黙ってその様子をみていたが、希咲は手を振り上げたままでまたも数秒ほどじーっと弥堂の手を見てから、その手をゆっくりと降ろし弥堂の掌に自身の左腕の手首を乗せて自分は弥堂の手首を掴んだ。
弥堂は拍子抜けはしたもののそのまま彼女の腕を引き上げてやる。こちらに体重を預け過ぎることもなく、希咲は引っ張り上げられる力を僅かばかり利用して自分で立ち上がった。
バランスを乱す様子が微塵もなかったのですぐに彼女の手を解放してやると、手の離れ際にこちらの左手をぺちんと叩き落としてきた。特にそれを咎める気もなかったのだが、彼女はこちらの顔を少し赤くなった目で威嚇するようにじとっと睨んでくると、ややあって身体の向きごと変えてぷいっと顔を逸らした。
よく見るとこちらからは陰になるような位置で後ろ手でスカートの中に指を差し入れていた。隠し武器でも取り出す気かと一瞬弥堂は警戒したが、どうやら床に直接着けていた尻や下着についた埃を見えないようにさりげなく指で払っているだけのようであったので、危険はなしと彼女から目線を切った。
結局何で泣いていたのか、機嫌は直ったのか、彼女の気持ちはさっぱり弥堂にはわからなかったが、『まぁ、こいつはもうこれでいいか』と切り替えることにした。
希咲の方も希咲の方で、内心で必死にメンタルを切り替えようとしていた。
(うぅ……情けない、恥ずかしい……こんなとこでこんな奴らの前で泣くとか……)
思えば『弱者の剣』とかいうこの連中に絡まれてから調子を狂わされっぱなしであった。ここ数年でそれなりに精神的にも強くなり多少大人になったつもりであったが、今までの苦難とはあまりにも種類の異なり過ぎる出来事が、突発的に連続して起こったものだから完全に翻弄されてしまった。こんな風によく知らない人たちの前でみっともなく泣くのは何年ぶりであろう。
そもそもその前に、白井の身の上話を訊いて一緒になってびーびー泣いていたのだが、彼女的にそれはノーカンのようであった。
兎も角、想定外の出来事に弱いのは自分の欠点だと改めて自覚し反省するとしても、問題はこのむっつり顏のクソ野郎だ。
チラッと相手に悟られないように弥堂へ目線だけ向ける。
このクラスメイト兼イカレ風紀委員兼親友の好きな人という微妙に近くも遠くもない関係性の昆虫男には、盛大に文句を言ってやりたいところではあるが、それをしてしまえば先程の事実を認めてしまうことになる。
(だいじょうぶ……セーフ。セーフよ、七海。だってもう舐められたとこ乾いてたしそれに拭いたもん。だから論理的にも科学的にもセーフよ)
勿論その前だって自分は何も見てはいないので絶対にセーフなのだ。だって見てないから。
(こんなことで意識して騒いでるとかバレたらナメられるわ。大体中学生じゃあるまいし、別に関節キスくらいで……いえそれは違うわよ七海っ。拭いたし乾いてたから、かかっかかか関節キッキキキキッ――でもないからっ! てか、関節キスだとしてもちょっとあれは生々しくない⁉)
『関節ベロチュー』という新たな概念との邂逅を果たしてしまったうら若き乙女はキッと再燃した怒りをこめて弥堂へ向ける眦を上げる。いつもと変わらず何事もないかのような無表情をしていて余計に腹が立つ。歯ぎしりでもしそうなくらいに睨みつけていると、こちらの剣呑な空気に気付いた弥堂も目を向けてきてバチッと目があった。
「ノーカンだからっ‼」
「なにがだよ」
ブワっと腕を振り上げてからビシッと指を彼の眼前に突き出してノーカウントである旨を伝えるが、希咲に何が起こっているのかわかっていない弥堂にはそもそも最初からノーカン(なかったこと)なので柳に風だ。
その余裕ぶっているように希咲からは見える弥堂の態度が何故だか無性に気に入らない。
(なんなのよ。なんであたしだけこんなに大騒ぎしなきゃなんないわけ。あたしやっぱこいつ嫌いだわ)
「ふん、そうやってこれ見よがしに泣いてみせたり怒ってるフリをしてみせたりして男の気を惹くのね。節操のないメスだこと」
「あんだとぉ。あんたにだけは言われたくないわよっ」
「なによ。紅月クンという人がいながら同じクラスの男子にまで色目を使うなんて私にはとてもマネできないわね。少しでも女として恥じ入る気持ちがあるのなら紅月クンと別れなさいよ」
「はぁ? だから別れるも何も付き合ってねぇって言って――ちょっと待った。あんた今、紅月くんって言った? んのやろぉ、本性出しやがったな。結局聖人がらみか、あんたも!」
「あなたみたいな淫乱は彼にはふさわしくないのよ! 紅月クンを惑わせる性悪めっ‼」
「淫乱も性悪もあんたの方でしょーがっ! こんにゃろーひっぱたいてやる!」
少しは落ち着いたと思ったら、またすぐにいがみ合って騒ぎ出す女どもが『にゃーにゃー』掴み合っている姿に、弥堂は侮蔑の視線をぶつけて放置し、床に座り込んで男同士で身を寄せ合って励まし合っている気持ち悪い法廷院以下3名の方へと歩く。
「なんだい? 言っておくけど今日はもう無理だよ。オーバーキルもいいとこだよ。正直早く帰ってシャワーを浴びたいね」
「まったくですよ、代表。僕なんかはすでに泣き止んでいることに自分で自分を褒めてあげたい気分です」
「死体蹴りとかやめてくださいよ? 弥堂君。今日はもうお開きにしましょう」
辛い現実に打ちのめされた彼らはすっかり意気消沈をし、どこか投げやりになっていて、弥堂が近づいてきたことに気付くと口々に勝手なことを言ってきた。
「じゃあ、そういうことだから狂犬クン、また今度一緒に遊んであげるから今日のところは――おやぁ……?」
自分たちの方へと近づいてくる弥堂に対して、本日は解散をする旨を伝えるが、弥堂はそのまま彼ら3人の脇を通り抜けると壁際で立ち止まった。
弥堂は呆けた彼らの視線を気にすることなく、直立したまま壁に右の拳を押し当てて一拍を置くと――
――ズダンっと床を踏み抜くような音ともに押し当てた拳をコンクリートの壁にめり込ませた。
パラパラと拳が抉った部分からコンクリの破片が落ちていく光景を間近で見ながら法廷院たちは絶句し、少し離れた場所で揉み合っていた希咲と白井は、弥堂が床を踏み鳴らした際の大きな音に驚き、お互い抱き合ったままで硬直した。
「おい、喜べクズども。お前らの大好きな『公平』とやらをやってやる」
「――へ?」
言われたことが理解できず呆けたまま法廷院は聞き返す。
「俺が強いのは不公平なんだろう? 安心しろ、俺がお前らを強くしてやろう。手始めにお前らにも『コレ』が出来るようにしてやる」
「……えーと、それはちょっと無理なんじゃあ……」
コンクリから拳を引き抜いて自分たちの前で手首をプラプラ揺らして見せてくる弥堂に、西野が恐る恐る返答した。
「無理、か。そうだな。俺も最初に『コレ』を見せられた時はそう思った。だが、こうして今出来るようになっている。安心しろ」
「ひぃぃ」
とても人に安心を促すような眼つきではなかったので本田は怯えた。
「少しコツが要るんだ。爪先から捩じりながら足裏で床を踏み抜いて生まれた力を、各関節を回しながら体内でうまく流して拳まで持ってくるんだが……何を言っているかわからないだろう? 体内で力を流すということがどういうことなのか――これは体感出来ないとまるで理解が出来ない。俺もそうだった。だが、な。俺にそれを理解させる為に俺の師が教えてくれた画期的なコツがあるんだ。それがなんだかわかるか?」
表情は変わらないがどこか凄絶な雰囲気を放ち問いかける弥堂に、3人は言葉が出ず黙ってプルプルと震えながら首を横に振った。
「なに、難しいことじゃない。力を徹すということがわかるまで『コレ』をひたすら自分の身体にぶちこまれ続けるんだ。師は云った。『死にたくなければ死ぬ前に出来るようになるのです』ってな。それがコツだ。俺が師にやってもらったことを、今度は俺がお前らにやってやる。公平で平等だ。どうだ? 嬉しいだろ?」
弥堂が当委員会は非常に公平性を重んじる団体であることを彼らに伝えると、彼らは涙ながらに許しを乞うた。「無理だ」「死んでしまう」などと口々に叫んだ。
「なんだ貴様ら。さっきと言っていることが違うじゃないか。公平がいいんだろ? 平等に同じ数だけ拳を打ち込んでやる」
「キミの言ってることは無茶苦茶だよ! 誰もが同じように出来るわけないだろぉ⁉」
「そうだな、俺も最初はそう思っていた。だが、俺は出来た。俺一人ではサンプル数が足りない。だからお前らを使って実験をしようと思う。修練の過程でお前らが死ねばお前らの勝ちだ。お前らの言い分が正しかったことになるからな。その時は俺は反省をしてもう二度と弱い者に修練を無理強いしないと約束しよう。つまり以後弱者が無理強いされずに救われるわけだ。それはお前らの活動方針に沿うものだろう? 」
「くっ――なんて暴論っ! 自分がやる分には楽しいけど他人にやられるとこうも腹が立つとは」
滅茶苦茶な論理を展開する弥堂に対して法廷院は悔しそうに呻いた。
「反論がないということは承諾したということだな? では始めるぞ」
「ままままま待って! 待ちたまえよ、狂犬クン! それは無理だよ! だってそうだろぉ⁉」
「それは拒否をするということか?」
「当たり前だろぉ⁉」
慌てふためく法廷院の両脇にいる西野と本田も全力で拒絶の意思を示した。
「そうか。せっかくこの俺が譲歩してお前らのやり方に合わせてやったというのに拒否をするのか。ということは、俺のやり方でやっていいということになるな? まぁ、俺もお前らのようなグズに出来るとは思っていないから別に構わんがな。どうだ? 俺は優しいだろう? 」
そう言って弥堂は手近な場所にいた西野に無表情のまま口の端だけ持ち上げて笑ってみせ、同意をするように圧力をかけた。
西野はその弥堂に向って卑屈な笑みを浮かべ「あはは……」と曖昧な声をあげた。
「笑ってんじゃねえよクズ」
スッと表情を落とした弥堂が、パァンと乾いた音を立てて西野の頬を平手で張った。
西野は「あぁっ――」と情けない悲鳴をあげながら床に倒れ込むと叩かれた頬を抑えた。そこに彼の仲間の二人が心配そうに駆け寄る。
「では、優しい俺が不公平にやってやろう。そうだな……お前らの中で一人だけ見逃してやる」
「えっ?」
「さっきあそこの女から一通り情報は得た。それが正確なものであるかどうか確かめるためにお前らにも同じ質問をする。だが、それは一人で十分だ。面倒だからな。だから一番最初に俺が満足をするような情報を提供した者一人だけを助けてやる」
「なっ、なんてひどい! 一人だけなんてそんなの不公平じゃないか!」
左手の親指を立てて自身の後方にいる白井を指し示しながら通告する弥堂に法廷院たち3名は口々に抗議した。
「そうだな、結果は不公平かもしれん。だが機会は平等だ。誰でも得られる資格はある。ただし、早い者勝ちだがな」
そう無茶な諭し方をする弥堂に彼らは声を大にして人権の大切さを訴えたが、
「わからないか? つまり俺はこう言っているんだ――助かりたければ仲間を売れ、とな」
「なっ――」
その言葉に彼ら3人は絶句した。
複数の人間が鼻を啜り嘔吐く音で廊下は包まれていた。
あれから弥堂は事態を収拾しようと嗚咽を漏らす希咲を宥めようとしたのだが、声をかけた瞬間に烈火の如き怒りを再燃させて、またギャン泣きをするループに入ってしまい、仕方なく諦めて彼女を泣きやませる役目は時間という敏腕ヘルパーに任せることにした。
法廷院たちも同じような状態ではあったが、男のギャン泣きなど見苦しすぎて触れたくもないので、弥堂はその間の時間を利用して現在交戦中の『弱者の剣』の構成員の一人である、白井 雅という女子生徒に聴取を行っていた。
『むきだしてくれたら、知っていることを話す』
先程、そう取引を持ち掛けてきた白井自身の言葉通り、彼女はわりと従順に質疑に応えてきた。
「すると、なんだ。お前らの活動を指示・支援している者などいないと言うのか? 隠すとためにならんぞ」
「えぇ、そうよ。何度も言っているでしょう。私達が勝手に集まって勝手にやっているだけ」
「そんなわけがあるか。お前らに資金や報酬を支払っている者が裏にいるだろう? 吐け」
「それこそ、そんなわけがないでしょう。こんな馬鹿なことやらせてお金払う馬鹿がどこにいるのよ。誰も得しないわ」
強めの口調で先程から詰問を繰り返しているが、白井の返答は変わらない。弥堂の望んでいるような真相は得られなかった。そのことに弥堂は大きく失望をした。
「ならば、何故こんな無駄なことをしている? 多勢に無勢で一人の生徒を責め立てることに何の意味がある?」
「意味? そんなものないわよ……でも、そうね。強いて言えばストレス解消かしら」
「なんだと?」
「いかにもリアルが充実していて普段から楽しく過ごしていそうな奴が呑気に一人歩きしてるところを襲撃して、その無自覚で幸せそうな顔を絶望と恐怖に染め上げた上で理由もなく謝罪をさせてやるのよ。最初は私も意味がわからなかったけど、やってみたら存外すっきりするのよ」
「…………」
弥堂は言葉を返さず目を細めて白井 雅を視た。
何の変哲もない、ありふれた普通の人間の女で、どこにでもいくらでもいる女子高校生にしか視えない。
「やだ……そんな値踏みするような視線で本人の目の前から堂々と眺めるなんて……責任とってもらうわよ」
「チッ、ゴミが」
「んっ……なんてひどいの。人間に対して向ける眼じゃないわ。でも嫌いじゃないわよ」
弥堂はそれっきり白井に興味を失くし目線を切った。
「ねぇ、そんなことよりも聞いてちょうだいよ、弥堂クン」
「あぁ、キミの言う通りだ」
弥堂は素早くオートモードに切り替えた。
この白井という女は隙さえあらば聞いてもいないのにやたらと自分のことを語ってくる。どれだけ自分が可哀想なのか、自分は被害者なのだという語り口でアピールしてくるこの手のタイプは、どれだけ愚痴に付き合ってやったところで結論などは絶対に出ないことを、弥堂はこれまでの人生で培った偏見に塗れた己の価値観により決めつけてかかっていたので、以降は彼女の話はシャットアウトし返答は定型文で対応することにした。
(さて――どうするか)
顎に手を当てて思考する。
白井の証言は弥堂としては目論みには副わないものだった。このような活動家のような真似をしているのは、金でも貰っているからなのだとばかり考えていた。
弥堂の展望としては、この連中を制圧して暴力で脅し、存在と活動を見逃してやる代わりに、彼らに提供されている資金をこちらに横流しするように要求するつもりであったが、学園の生徒会から予算を配分されている委員会や部活動などの公式な団体でもなく、裏側の世界から金を得ている非合法な団体でもないのであれば、『弱者の剣』と名乗るこの連中に一切の価値を見出せない。
このただ迷惑なだけの集団を解散させたという成果を風紀委員会にて報告をすれば多少の実績の足しにすることくらいは出来るだろうが、考えていた以上にこの連中の活動内容が低俗で卑小すぎて、やったとしても大した見返りにはならなそうだ。
(一応裏はとるが、その前に――)
チラリと。目線だけを動かし希咲 七海を見る。
彼女はまだ床に尻をつけて座り込み泣いているようだが、先程までに比べれば幾分落ち着いてきたようであった。
まずはこいつからどうにかするかと、『スンスン、ぐすっ、ズズッ』と両手を目元に当てて鼻を啜る希咲へと、溜息を一つ吐いてから歩み寄った。
「おい、希咲」
弥堂は彼女の前に立ち声をかけるが、彼女は答えずにスンスンやっていた。
「はぁ」と、もう一つ溜め息を吐くと制服の上着からポケットティッシュを取り出し、無言で彼女の顏の前に差し出してやる。希咲はそれを無言でガっと乱暴に奪い取ると、弥堂とは反対側に身体ごとクルッと回って「びーー」と鼻をかんだ。
しかし、そのまままたスンスンやり始めて立ち上がる様子を見せないので、弥堂は面倒そうな顔をしつつ彼女の正面側へ回り込んでから、希咲の顔の前に左手を差し出す。
希咲は数秒その差し出された手を不機嫌そうにじーっと見つめてから自身の左手を緩慢な動作で振り上げる。
手を叩き落とすくらいで気が晴れるのなら別にいいかと、弥堂は黙ってその様子をみていたが、希咲は手を振り上げたままでまたも数秒ほどじーっと弥堂の手を見てから、その手をゆっくりと降ろし弥堂の掌に自身の左腕の手首を乗せて自分は弥堂の手首を掴んだ。
弥堂は拍子抜けはしたもののそのまま彼女の腕を引き上げてやる。こちらに体重を預け過ぎることもなく、希咲は引っ張り上げられる力を僅かばかり利用して自分で立ち上がった。
バランスを乱す様子が微塵もなかったのですぐに彼女の手を解放してやると、手の離れ際にこちらの左手をぺちんと叩き落としてきた。特にそれを咎める気もなかったのだが、彼女はこちらの顔を少し赤くなった目で威嚇するようにじとっと睨んでくると、ややあって身体の向きごと変えてぷいっと顔を逸らした。
よく見るとこちらからは陰になるような位置で後ろ手でスカートの中に指を差し入れていた。隠し武器でも取り出す気かと一瞬弥堂は警戒したが、どうやら床に直接着けていた尻や下着についた埃を見えないようにさりげなく指で払っているだけのようであったので、危険はなしと彼女から目線を切った。
結局何で泣いていたのか、機嫌は直ったのか、彼女の気持ちはさっぱり弥堂にはわからなかったが、『まぁ、こいつはもうこれでいいか』と切り替えることにした。
希咲の方も希咲の方で、内心で必死にメンタルを切り替えようとしていた。
(うぅ……情けない、恥ずかしい……こんなとこでこんな奴らの前で泣くとか……)
思えば『弱者の剣』とかいうこの連中に絡まれてから調子を狂わされっぱなしであった。ここ数年でそれなりに精神的にも強くなり多少大人になったつもりであったが、今までの苦難とはあまりにも種類の異なり過ぎる出来事が、突発的に連続して起こったものだから完全に翻弄されてしまった。こんな風によく知らない人たちの前でみっともなく泣くのは何年ぶりであろう。
そもそもその前に、白井の身の上話を訊いて一緒になってびーびー泣いていたのだが、彼女的にそれはノーカンのようであった。
兎も角、想定外の出来事に弱いのは自分の欠点だと改めて自覚し反省するとしても、問題はこのむっつり顏のクソ野郎だ。
チラッと相手に悟られないように弥堂へ目線だけ向ける。
このクラスメイト兼イカレ風紀委員兼親友の好きな人という微妙に近くも遠くもない関係性の昆虫男には、盛大に文句を言ってやりたいところではあるが、それをしてしまえば先程の事実を認めてしまうことになる。
(だいじょうぶ……セーフ。セーフよ、七海。だってもう舐められたとこ乾いてたしそれに拭いたもん。だから論理的にも科学的にもセーフよ)
勿論その前だって自分は何も見てはいないので絶対にセーフなのだ。だって見てないから。
(こんなことで意識して騒いでるとかバレたらナメられるわ。大体中学生じゃあるまいし、別に関節キスくらいで……いえそれは違うわよ七海っ。拭いたし乾いてたから、かかっかかか関節キッキキキキッ――でもないからっ! てか、関節キスだとしてもちょっとあれは生々しくない⁉)
『関節ベロチュー』という新たな概念との邂逅を果たしてしまったうら若き乙女はキッと再燃した怒りをこめて弥堂へ向ける眦を上げる。いつもと変わらず何事もないかのような無表情をしていて余計に腹が立つ。歯ぎしりでもしそうなくらいに睨みつけていると、こちらの剣呑な空気に気付いた弥堂も目を向けてきてバチッと目があった。
「ノーカンだからっ‼」
「なにがだよ」
ブワっと腕を振り上げてからビシッと指を彼の眼前に突き出してノーカウントである旨を伝えるが、希咲に何が起こっているのかわかっていない弥堂にはそもそも最初からノーカン(なかったこと)なので柳に風だ。
その余裕ぶっているように希咲からは見える弥堂の態度が何故だか無性に気に入らない。
(なんなのよ。なんであたしだけこんなに大騒ぎしなきゃなんないわけ。あたしやっぱこいつ嫌いだわ)
「ふん、そうやってこれ見よがしに泣いてみせたり怒ってるフリをしてみせたりして男の気を惹くのね。節操のないメスだこと」
「あんだとぉ。あんたにだけは言われたくないわよっ」
「なによ。紅月クンという人がいながら同じクラスの男子にまで色目を使うなんて私にはとてもマネできないわね。少しでも女として恥じ入る気持ちがあるのなら紅月クンと別れなさいよ」
「はぁ? だから別れるも何も付き合ってねぇって言って――ちょっと待った。あんた今、紅月くんって言った? んのやろぉ、本性出しやがったな。結局聖人がらみか、あんたも!」
「あなたみたいな淫乱は彼にはふさわしくないのよ! 紅月クンを惑わせる性悪めっ‼」
「淫乱も性悪もあんたの方でしょーがっ! こんにゃろーひっぱたいてやる!」
少しは落ち着いたと思ったら、またすぐにいがみ合って騒ぎ出す女どもが『にゃーにゃー』掴み合っている姿に、弥堂は侮蔑の視線をぶつけて放置し、床に座り込んで男同士で身を寄せ合って励まし合っている気持ち悪い法廷院以下3名の方へと歩く。
「なんだい? 言っておくけど今日はもう無理だよ。オーバーキルもいいとこだよ。正直早く帰ってシャワーを浴びたいね」
「まったくですよ、代表。僕なんかはすでに泣き止んでいることに自分で自分を褒めてあげたい気分です」
「死体蹴りとかやめてくださいよ? 弥堂君。今日はもうお開きにしましょう」
辛い現実に打ちのめされた彼らはすっかり意気消沈をし、どこか投げやりになっていて、弥堂が近づいてきたことに気付くと口々に勝手なことを言ってきた。
「じゃあ、そういうことだから狂犬クン、また今度一緒に遊んであげるから今日のところは――おやぁ……?」
自分たちの方へと近づいてくる弥堂に対して、本日は解散をする旨を伝えるが、弥堂はそのまま彼ら3人の脇を通り抜けると壁際で立ち止まった。
弥堂は呆けた彼らの視線を気にすることなく、直立したまま壁に右の拳を押し当てて一拍を置くと――
――ズダンっと床を踏み抜くような音ともに押し当てた拳をコンクリートの壁にめり込ませた。
パラパラと拳が抉った部分からコンクリの破片が落ちていく光景を間近で見ながら法廷院たちは絶句し、少し離れた場所で揉み合っていた希咲と白井は、弥堂が床を踏み鳴らした際の大きな音に驚き、お互い抱き合ったままで硬直した。
「おい、喜べクズども。お前らの大好きな『公平』とやらをやってやる」
「――へ?」
言われたことが理解できず呆けたまま法廷院は聞き返す。
「俺が強いのは不公平なんだろう? 安心しろ、俺がお前らを強くしてやろう。手始めにお前らにも『コレ』が出来るようにしてやる」
「……えーと、それはちょっと無理なんじゃあ……」
コンクリから拳を引き抜いて自分たちの前で手首をプラプラ揺らして見せてくる弥堂に、西野が恐る恐る返答した。
「無理、か。そうだな。俺も最初に『コレ』を見せられた時はそう思った。だが、こうして今出来るようになっている。安心しろ」
「ひぃぃ」
とても人に安心を促すような眼つきではなかったので本田は怯えた。
「少しコツが要るんだ。爪先から捩じりながら足裏で床を踏み抜いて生まれた力を、各関節を回しながら体内でうまく流して拳まで持ってくるんだが……何を言っているかわからないだろう? 体内で力を流すということがどういうことなのか――これは体感出来ないとまるで理解が出来ない。俺もそうだった。だが、な。俺にそれを理解させる為に俺の師が教えてくれた画期的なコツがあるんだ。それがなんだかわかるか?」
表情は変わらないがどこか凄絶な雰囲気を放ち問いかける弥堂に、3人は言葉が出ず黙ってプルプルと震えながら首を横に振った。
「なに、難しいことじゃない。力を徹すということがわかるまで『コレ』をひたすら自分の身体にぶちこまれ続けるんだ。師は云った。『死にたくなければ死ぬ前に出来るようになるのです』ってな。それがコツだ。俺が師にやってもらったことを、今度は俺がお前らにやってやる。公平で平等だ。どうだ? 嬉しいだろ?」
弥堂が当委員会は非常に公平性を重んじる団体であることを彼らに伝えると、彼らは涙ながらに許しを乞うた。「無理だ」「死んでしまう」などと口々に叫んだ。
「なんだ貴様ら。さっきと言っていることが違うじゃないか。公平がいいんだろ? 平等に同じ数だけ拳を打ち込んでやる」
「キミの言ってることは無茶苦茶だよ! 誰もが同じように出来るわけないだろぉ⁉」
「そうだな、俺も最初はそう思っていた。だが、俺は出来た。俺一人ではサンプル数が足りない。だからお前らを使って実験をしようと思う。修練の過程でお前らが死ねばお前らの勝ちだ。お前らの言い分が正しかったことになるからな。その時は俺は反省をしてもう二度と弱い者に修練を無理強いしないと約束しよう。つまり以後弱者が無理強いされずに救われるわけだ。それはお前らの活動方針に沿うものだろう? 」
「くっ――なんて暴論っ! 自分がやる分には楽しいけど他人にやられるとこうも腹が立つとは」
滅茶苦茶な論理を展開する弥堂に対して法廷院は悔しそうに呻いた。
「反論がないということは承諾したということだな? では始めるぞ」
「ままままま待って! 待ちたまえよ、狂犬クン! それは無理だよ! だってそうだろぉ⁉」
「それは拒否をするということか?」
「当たり前だろぉ⁉」
慌てふためく法廷院の両脇にいる西野と本田も全力で拒絶の意思を示した。
「そうか。せっかくこの俺が譲歩してお前らのやり方に合わせてやったというのに拒否をするのか。ということは、俺のやり方でやっていいということになるな? まぁ、俺もお前らのようなグズに出来るとは思っていないから別に構わんがな。どうだ? 俺は優しいだろう? 」
そう言って弥堂は手近な場所にいた西野に無表情のまま口の端だけ持ち上げて笑ってみせ、同意をするように圧力をかけた。
西野はその弥堂に向って卑屈な笑みを浮かべ「あはは……」と曖昧な声をあげた。
「笑ってんじゃねえよクズ」
スッと表情を落とした弥堂が、パァンと乾いた音を立てて西野の頬を平手で張った。
西野は「あぁっ――」と情けない悲鳴をあげながら床に倒れ込むと叩かれた頬を抑えた。そこに彼の仲間の二人が心配そうに駆け寄る。
「では、優しい俺が不公平にやってやろう。そうだな……お前らの中で一人だけ見逃してやる」
「えっ?」
「さっきあそこの女から一通り情報は得た。それが正確なものであるかどうか確かめるためにお前らにも同じ質問をする。だが、それは一人で十分だ。面倒だからな。だから一番最初に俺が満足をするような情報を提供した者一人だけを助けてやる」
「なっ、なんてひどい! 一人だけなんてそんなの不公平じゃないか!」
左手の親指を立てて自身の後方にいる白井を指し示しながら通告する弥堂に法廷院たち3名は口々に抗議した。
「そうだな、結果は不公平かもしれん。だが機会は平等だ。誰でも得られる資格はある。ただし、早い者勝ちだがな」
そう無茶な諭し方をする弥堂に彼らは声を大にして人権の大切さを訴えたが、
「わからないか? つまり俺はこう言っているんだ――助かりたければ仲間を売れ、とな」
「なっ――」
その言葉に彼ら3人は絶句した。
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