ホントの恋を教えてください。(旧題:恋をさけんであなたの前で)

沢渡奈々子

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番外編

番外編4「アイドル衣装の正しい?使い方」5話

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「わ、私のこと……呆れてない?」
 半泣き状態の依里佳は、消え入りそうな声を出してうつむく。
「どうして?」
「だって、全然慣れてなくて……」
 見た目と反して、不慣れにもほどがあると自分でも呆れてしまうから。篤樹からしてみれば余計にこんな依里佳にイライラしてしまうのではないかと、不安になる。
 けれどそんな心配は杞憂だと言わんばかりに、篤樹は依里佳の頭をなでた。その手の平からは、愛おしさにも似た温かさが伝わってくる。
「……俺は、依里佳のそういうところが大好きなんだけどな」
「ほ、んとに……?」
「そうだよ。可愛くて可愛くてたまらない。むしろそういうところが見たくて、ちょっと意地悪してたかも知れない。ごめんね」
 ふうわりと笑うと、篤樹が再びくちびるを寄せた。すぐに深くなるくちづけ。そのまま続けながら、彼は依里佳の背中に手を回し、衣装のファスナーを下ろす。そして、中のコルセットのホックをもどかしそうに外していく。
「ぬ、がす……の?」
「うん。ごめん、動きづらかったよね。全部脱ごうね」
 すべてのホックを外し終えると、篤樹はコルセットを抜き、ベッドの外へと放り投げた。
「依里佳、一旦抜くよ」
 そう言われ、未だ篤樹の屹立が自分の中に入っていることを思い出す。
「あ……」
 腰を持ち上げられ、枕に頭を乗せるように横たえられる。すぐさまブーツを抜き取られ、アイドル衣装も脱がされた。
 真裸にされると、それはそれで恥ずかしく、思わず胸を隠してしまう。その様子を、篤樹は眩しそうに見つめた。
もよかったけど、やっぱり何も着てないのが一番いい」
「さっきはアイドル衣装で余裕なくしてたくせに……」
「あれはまぁ、非日常的な雰囲気に呑まれただけ。ごめんね、もうしないから」
 バツが悪そうに小首を傾ける篤樹に、依里佳は顔を反らし、
「たまーになら、いいけど……」
 多少不本意そうな、それでいて紅潮した表情で、ぼそりと呟く。
 嫌だ恥ずかしいとは言ってはみても、そういったことがセックスの一つのスパイスになることを、初心者ながらも身体で理解していた。
「あははは、そう? ……ところで依里佳、覚えてる? 俺が依里佳のことを『理想が服着て歩いてる』って言ったこと」
「あ……うん」
 一番初めに篤樹から告白をされた日のことだ。蓮見家の近くの公園で、確かに篤樹からそう言われた。依里佳の記憶が確かなら【理想=子供好きの女性】が服を着ている、という意味だったと把握している。
「あの時とはだいぶ意味が違うけど……今の服を着てない依里佳もほんとに【理想】そのものだよ。恥ずかしがって顔赤くして可愛いし、何より、こんなにきれいな身体、見たことない。……だから、隠さないで?」
 篤樹が穏やかな声音で言い、横たわって後ろから依里佳を抱きしめる。彼女が隠していた胸のふくらみを、両手で包みこみ、やんわりと揉みしだく。
「あ……」
 首筋から肩にかけてくちびるを落としながら、片方の手を下ろし、依里佳の片足の膝裏を抱えるように持ち上げ、脚を開かせた。
「依里佳、自分で持ってて」
 そう言うと、篤樹は依里佳の腕を取り、彼女の膝裏へと導く。自分で自分の脚を開く肢位になり、羞恥でますます顔が赤らんでいく。
 その間に、篤樹は依里佳の腰を引き寄せ、後ろから彼女の秘裂へ牡を埋めた。
「はぁ……んっ」
 腰を押しつけられるようにゆっくりと穿たれ、また胸や首への愛撫と相まって、全身を舐めるような快感がまとわりつく。
「んっ、あぁ……」
 白い喉を反らして依里佳が艶めかしい声を漏らす。いつの間にか彼女の手は脚から外れ、枕を握っていた。
 篤樹は手を依里佳の秘部へと伸ばし、溢れる蜜液をすくって秘芯を指先でかき回すように弄ぶ。
「あぁっ、んっ、ぁ」
 途端に依里佳が大きく身体を揺るがせた。
「ここ、気持ちぃ?」
 尋ねながら、篤樹は同じ部分をさらに強く愛撫する。
 依里佳はこくこくとうなずいた。
「じゃあ、これとどっちが気持ちいい?」
 そう言って篤樹は爛熟しきった小さなふくらみを剥き出して、直に触れた。
「あぁんっ、あぁっ、それ……だめぇ……っ、は、」
「……どっちがダメ?」
「はぁっ、あ、こ、こっち……っ」
「こっちが、何?」
「あっ、ん……き、もちぃ……っ」
「……よく出来ました」
 聞きたい言葉を引き出した篤樹は満足げに笑い、さらに甘気を継ぎ足した。もちろん、後ろからは屹立が内部を擦り上げ、快感の後押しをして。
「あぁ……っ!」
 依里佳が二度目の絶頂を迎えた。蜜口がひくひくと痙攣して内部の牡を締めつけた。篤樹は眉をひそめて波に耐える。少し経って蠕動が収まった頃、彼は依里佳をあお向けにし、弛緩しつつも狭い蜜口に再び自身を押し込み、律動を再開した。
「あ、や……まって……、イッたば、か……」
「ごめんね、もう少し……つきあって」
 申し訳なさそうな表情で依里佳を見下ろし、篤樹はぴたりと身体を寄せて噛みつくようなくちづけをする。
「んん……っ」
 揺さぶられながらも、依里佳は篤樹の背中に手を回しキスに応える。舌が絡み合う音と穿たれる時に立つ水音が徐々に大きくなる。
「はぁっ、あ、あ……っ」
 くちびるが解放されるや否や、甘い悲鳴を上げる依里佳。先ほど気をやったばかりなのに、またこうして追い上げられ、高ぶっている自分の身体が、少しだけ恨めしいと思ってしまう。
 けれどそれ以上に、篤樹とつながっていることが嬉しくて、気持ちよくて、愛おしくてたまらない。
「あ……んっ、あつきぃ……好き……っ」
 必死で抱きつき、彼の耳元で愛の言葉を紡ぐ。
「俺も……、愛してるよ……依里佳」
 篤樹もまた、依里佳の耳元に甘く返事を吹き込む。色づいた音吐が、彼女の肢体をまた痺れさせる。
 重なり合った身体が擦れ合い、汗が混じり合う。そんな感触すら気持ちがよくて。
「あん、あぁっ、やぁっ、も……ぅ」
 身体の奥で快感が荒れ狂い、目の前が白くなる。
「……俺もそろそろイキたい」
 言い残し、篤樹が律動を速めた。
「や……だ……も、いっちゃ……っ」
 口走りながら、依里佳は篤樹の背中に爪を立て――それから先のことはまったくと言っていいほど覚えていなかった。
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