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CHAPTER Ⅴ
第211話 威力偵察任務①
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「みんな、元気そうね」
出迎えてくれたアイコは相変わらず薄布を体に巻いただけのような露出の激しい格好をしており、きれいな灰色の長い髪を左右に揺らしながらオレたちの方へと歩いて来た。
少し後ろに天王寺と虎影が静かに控えている。
「アイちゃん、久しぶり」
「久しぶり! アイちゃん相変わらずかっこいいね!」
オレは改めてアイコに会ってその妖艶な姿に少しドキドキしていたが、ナナは気兼ねはないようだ。
「アイちゃん、兄ちゃんが恥ずかしがってるよ」
突然ナナが余計なことを言い始めた。
「あら?」
「ば、バカ! 変なこと言うなよ!」
「いやー、仕方ないですよ。宝条マスターのグラマラスボディを前にしたら」
(ぐ、グラマラスだあ?)
今度はアオイが訳の分からないことを言う。
「ふふふ。そうなの? でもセイちゃん。彼女の前で他の女の人に気を見せちゃダメよ」
「え!?」
オレは慌てて振り返るとかつてない厳しい顔つきでこちらを睨むユウナがいた。
「いや! 違うって!」
(に、睨まれてるんだろうけど、ユウナは怒っててもかわいいな……)
「セイさん!」
「あ、ごめん! 考えが漏れちゃった?」
「……もう、仕方ないな……」
「あれ? セイくんとユウナちゃんてそうやったっけ?」
「いや、知らんな。オレらと別れた後になんかあったんちゃう?」
「いつの間にか2人はねんごろやん!」
武蔵野たちは3人揃ってオレを笑っている。
「全く何言ってんだ……? 武蔵野くん、ねんごろって何だよ?」
「佐々木くん、いつの間にかそんなことになってんだ。凄いね」
「欄島は知らなかったのか? まあ、佐々木はやる奴だからな!」
欄島と千城も良く分からない感想を言っている。
「ふふ。あなたたち仲が良いわね。それじゃ早速だけど、今回の任務の話をしましょうか」
アイコはここで話を区切るとオレたちに資料を渡してきた。何やら地図だ。
「これは……、京都周辺の地図か?」
「そう。セイちゃんの言う通りよ。その地図に赤いポイントが3ヶ所ついてるでしょう。そこまで行って、タイシくんが広範囲索敵術を発動すれば良いわ」
「3ヶ所もまわるんか?」
「1ヶ所じゃあかんの?」
「そもそもこれ意味あるんか?」
「そうね。確かに新キョウト都市の索敵は定期的に行っている。だけどその索敵範囲はそう広くないの。そこまで遠方を索敵する意味がないとされていた。今までは」
「ああ、ユキの話を受けて再確認ってことっしょ?」
ナナが腕を組んだまま口を開いた。
「ええ。25万体のA級グールが本当にあそこに存在するのか。それを確かめるためには3方から狭範囲遠方索敵をしなければならないの。だけど、今回のメンバーならそんな問題はないわね」
「ええと。伊達さんや美作さんがいるからですか?」
「そうよ、ユウナちゃん。ライフシェルも最新型を出すけど、そこまでの敵には出会わないはずね」
「じゃあ、任務中は訓練に励むか、私らも早く昇級してーしな」
「アオイちゃんは努力家ね。ちょうどいいわ。戦力強化についても私から話があるわ」
(何だろ?)
「まず、あなたたちは二宮隊員とここにいるタイシくん。天王寺隊員の持っている武器を知っているわね?」
「ああ、二宮さんのやつはなんか光の剣だよね。天王寺さんは……、オレは見たことないかな?」
オレは前に吻野に二宮の持つ双剣について説明を受けたことを思い出した。しかし、細かい所までは覚えていない。
「オレが持っているのはこれだ」
今まで控えていた天王寺が前に出て一振の杖を見せた。何と言うか、小さくて頼りない。まるでその辺に転がっている枝の様にすら見える。
(だけど……、感知で感じとれる存在感が普通じゃない)
「タイシさんの武器は見た目はちょっとアレだけど。とんでもない出力なんだよ」
ナナは南部奪還任務で新オオサカ都市のメンバーのことに詳しい。
「見た目はアレとはなんだ、ナナ」
「あ、すいません!」
天王寺も苦言を漏らしたが、ナナは軽く舌を出して謝罪しただけだ。まあ、良好な関係なのだろう。虎影も笑っている。
「そう。それについてだけど、二宮隊員の『クラウソラス』、タイシくんの『ベガルタ』はどちらも魔宝具とも呼ばれる量産不可の数少ない貴重な武具なの」
「へえ! 魔宝具!」
「確かにタイシさんのも二宮さんのも普通やないもんな!」
「でもそれがオレらに関係あるんか?」
「あるわ。正確には、セイちゃんとナナちゃんに関係している」
「え? ウチに?」
「ええ。そもそも私たちはまだSS級上位隊員の使用に耐え得る武具はまだ生産できないの。SS級という階級の隊員が増えてきた昨今はその開発が急がれているわ」
「ああ、確かにオレの銃も出力が弱くて使い勝手が悪くなってきた。でもこれ以上強化は出来ないって言われたな」
欄島がさらっととんでもないことを言う。あの反則みたいに銃弾を撒き散らす武器が彼にとっては役不足らしい。
しかしオレはアイコの言葉にはひとつ疑問を覚えた。
「? でも二宮さんも天王寺さんもその魔宝具って言う凄い武器を持ってるんでしょ? それは誰が作ったの?」
「……それはね。リンさんよ、セイちゃん」
(!!?)
「え……? 母ちゃん?」
「は!? アイちゃん、でもお母さんはワクチンと引き換えに命を落としたって言ってたじゃん! ど、どういうこと!?」
オレとナナは突然のアイコの話に混乱した。
「ええ、リンさんは命と引き換えにバイノナノワクチンを作り上げた。それは紛れもない事実よ。しかしリンさんが作り上げたものはもうひとつあったの」
「もうひとつ? そ、それが魔宝具?」
「ええ。正確には魔宝具の元となる強力な力を秘めたインゴットよ」
(インゴット……?)
「私たちはリンさんの残したインゴットを加工していくつもの魔宝具を完成させた。これはリンさんの体そのものが変質したものと言ってもいい。そしてその魔宝具、インゴットは全部で13器あるわ」
「13!」
「なんや結構あるやん」
「なあ、あと1つ2つしかないか無いのかと思ったわ」
「ほんならSS級全員に配っても余るんちゃう」
「いいえ、武蔵野くん。この魔宝具は使い手を選ぶ。強ければ誰でもいいと言うわけじゃないの」
「使い手を選ぶ……?」
「あれを見て。セイちゃん、ナナちゃん」
アイコが指差した先に、美術館なんかにある展示台のようなものが2つあった。そしてその上に、無骨なマグナムタイプの白銀の拳銃、少しごつめの宝石がいくつも嵌まった銀色の腕輪らしきものがあった。
「あれが魔宝具。魔銃精錬鋳造組拵え、神砲『ガジャルグ』、そして宝鋼輪重磨仕上げ、玉帯『カフヴァール』よ」
「また、仰々しい名前だな……」
「すっごいね。でも何でそれを私たちに見せる訳?」
「それはもちろん、あれをあなたたちに受け取ってもらいたいからよ」
「え!?」
魔宝具とは二宮や天王寺のような最強レベルの隊員が装備するべき貴重な道具のはずだ。
「あ、あれをオレたちに?」
「な、なんでウチラに?」
「……リンさんの残したインゴットは全部で13。そして私たちはその全てを導かれるように魔宝具に精製したわ。出来上がった物はまるであらかじめ決まっていたかのようだった。そして、各都市の精鋭に渡してみたけど、使える人間はほぼ居なかった。何故か魔素の入出力ができないの」
「……? あれがオレたちになら使えると?」
「ええ。リンさんの残した魔宝具はやはりリンさんの家族には適合したわ。ユキちゃんの『ブリューナク』、ラクちゃんの『アロンダイト』もそう。そして私とリュウセイ。さっき話した二宮隊員とタイシくんで、6人だけなの。現在魔宝具を使える人員は」
「アイちゃんも?」
ナナが少し怪訝そうにアイコを見ている。
おそらく今身に付けているどれかが魔宝具なのだろうと考えているのだろう。
オレもアイコがいくつも身に付けているアクセサリーを見直してみるがまるで判断は出来なかった。
「そうよ。私の魔宝具はこの服よ」
「え! その布みたいなやつがそうなの!?」
ナナが驚いている。
「そうよ。私は別に好んでこんな格好している訳じゃないわ。これは『プライウェン』と呼ばれる鎧よ。そしてアクセサリーは補助器具を兼ねている。ちなみにリュウセイは『ロンゴミアド』と言う魔宝具を持っているわ」
オレはアイコは100年経って服装の趣味が変わったんだな程度に考えていた。しかし露出魔のように派手な格好は全て魔宝具、魔導具らしい。
でもそんなに肌を出さなくてもいいんじゃないかなとまでは言えない。
「へえー、色々あるんですねえ」
欄島が気の抜けた声を漏らした。
「欄島隊員。あなたが満足するような魔導具も必ず作って見せる。もう少し時間をちょうだい」
「ああ、いやいや! そんなつもりはないです。ありがとうございます」
「……ええ。じゃあセイちゃん、ナナちゃん。あれに魔素を込めてみて」
アイコがそう言うと、秘書官らしき女性が銃と腕輪をオレたちのところへ持ってきてくれた。
「これが、母ちゃんの……」
オレは銃を受け取ると、しみじみとそれを眺めた。
見た目は何の変哲もない鉄の塊に見える。
(まあ、試してみるか)
ゴオウ!
「何だ!」
オレが魔素を練った瞬間、とてつもないエネルギーが銃に込められたのを感じた。
「何だ! や、ヤバい! 押さえられないかも!!」
「何やってんの!? 兄ちゃん! こっちに!!」
見ると、ナナも腕輪が激しく光を放ち、伸ばした手の平の先に強固そうな障壁が出来ていた。
(ナナもあの腕輪が使えたってことか!? それでバリアを張った?)
「いや、でも……! うおおっ!!」
オレが押さえきれなくなった魔素が銃弾となってナナの方へ向かって発射されてしまった。
ドオオオ!!!
「な、ナナ!!」
オレは焦ってナナに駆け寄るが、天王寺と虎影がナナの前に立っていた。
「安心しろ。ナナは無事だ」
「全く、危なっかしい兄貴ね」
天王寺と虎影がナナを守ってくれたらしい。
オレはホッと胸を撫で下ろした。
出迎えてくれたアイコは相変わらず薄布を体に巻いただけのような露出の激しい格好をしており、きれいな灰色の長い髪を左右に揺らしながらオレたちの方へと歩いて来た。
少し後ろに天王寺と虎影が静かに控えている。
「アイちゃん、久しぶり」
「久しぶり! アイちゃん相変わらずかっこいいね!」
オレは改めてアイコに会ってその妖艶な姿に少しドキドキしていたが、ナナは気兼ねはないようだ。
「アイちゃん、兄ちゃんが恥ずかしがってるよ」
突然ナナが余計なことを言い始めた。
「あら?」
「ば、バカ! 変なこと言うなよ!」
「いやー、仕方ないですよ。宝条マスターのグラマラスボディを前にしたら」
(ぐ、グラマラスだあ?)
今度はアオイが訳の分からないことを言う。
「ふふふ。そうなの? でもセイちゃん。彼女の前で他の女の人に気を見せちゃダメよ」
「え!?」
オレは慌てて振り返るとかつてない厳しい顔つきでこちらを睨むユウナがいた。
「いや! 違うって!」
(に、睨まれてるんだろうけど、ユウナは怒っててもかわいいな……)
「セイさん!」
「あ、ごめん! 考えが漏れちゃった?」
「……もう、仕方ないな……」
「あれ? セイくんとユウナちゃんてそうやったっけ?」
「いや、知らんな。オレらと別れた後になんかあったんちゃう?」
「いつの間にか2人はねんごろやん!」
武蔵野たちは3人揃ってオレを笑っている。
「全く何言ってんだ……? 武蔵野くん、ねんごろって何だよ?」
「佐々木くん、いつの間にかそんなことになってんだ。凄いね」
「欄島は知らなかったのか? まあ、佐々木はやる奴だからな!」
欄島と千城も良く分からない感想を言っている。
「ふふ。あなたたち仲が良いわね。それじゃ早速だけど、今回の任務の話をしましょうか」
アイコはここで話を区切るとオレたちに資料を渡してきた。何やら地図だ。
「これは……、京都周辺の地図か?」
「そう。セイちゃんの言う通りよ。その地図に赤いポイントが3ヶ所ついてるでしょう。そこまで行って、タイシくんが広範囲索敵術を発動すれば良いわ」
「3ヶ所もまわるんか?」
「1ヶ所じゃあかんの?」
「そもそもこれ意味あるんか?」
「そうね。確かに新キョウト都市の索敵は定期的に行っている。だけどその索敵範囲はそう広くないの。そこまで遠方を索敵する意味がないとされていた。今までは」
「ああ、ユキの話を受けて再確認ってことっしょ?」
ナナが腕を組んだまま口を開いた。
「ええ。25万体のA級グールが本当にあそこに存在するのか。それを確かめるためには3方から狭範囲遠方索敵をしなければならないの。だけど、今回のメンバーならそんな問題はないわね」
「ええと。伊達さんや美作さんがいるからですか?」
「そうよ、ユウナちゃん。ライフシェルも最新型を出すけど、そこまでの敵には出会わないはずね」
「じゃあ、任務中は訓練に励むか、私らも早く昇級してーしな」
「アオイちゃんは努力家ね。ちょうどいいわ。戦力強化についても私から話があるわ」
(何だろ?)
「まず、あなたたちは二宮隊員とここにいるタイシくん。天王寺隊員の持っている武器を知っているわね?」
「ああ、二宮さんのやつはなんか光の剣だよね。天王寺さんは……、オレは見たことないかな?」
オレは前に吻野に二宮の持つ双剣について説明を受けたことを思い出した。しかし、細かい所までは覚えていない。
「オレが持っているのはこれだ」
今まで控えていた天王寺が前に出て一振の杖を見せた。何と言うか、小さくて頼りない。まるでその辺に転がっている枝の様にすら見える。
(だけど……、感知で感じとれる存在感が普通じゃない)
「タイシさんの武器は見た目はちょっとアレだけど。とんでもない出力なんだよ」
ナナは南部奪還任務で新オオサカ都市のメンバーのことに詳しい。
「見た目はアレとはなんだ、ナナ」
「あ、すいません!」
天王寺も苦言を漏らしたが、ナナは軽く舌を出して謝罪しただけだ。まあ、良好な関係なのだろう。虎影も笑っている。
「そう。それについてだけど、二宮隊員の『クラウソラス』、タイシくんの『ベガルタ』はどちらも魔宝具とも呼ばれる量産不可の数少ない貴重な武具なの」
「へえ! 魔宝具!」
「確かにタイシさんのも二宮さんのも普通やないもんな!」
「でもそれがオレらに関係あるんか?」
「あるわ。正確には、セイちゃんとナナちゃんに関係している」
「え? ウチに?」
「ええ。そもそも私たちはまだSS級上位隊員の使用に耐え得る武具はまだ生産できないの。SS級という階級の隊員が増えてきた昨今はその開発が急がれているわ」
「ああ、確かにオレの銃も出力が弱くて使い勝手が悪くなってきた。でもこれ以上強化は出来ないって言われたな」
欄島がさらっととんでもないことを言う。あの反則みたいに銃弾を撒き散らす武器が彼にとっては役不足らしい。
しかしオレはアイコの言葉にはひとつ疑問を覚えた。
「? でも二宮さんも天王寺さんもその魔宝具って言う凄い武器を持ってるんでしょ? それは誰が作ったの?」
「……それはね。リンさんよ、セイちゃん」
(!!?)
「え……? 母ちゃん?」
「は!? アイちゃん、でもお母さんはワクチンと引き換えに命を落としたって言ってたじゃん! ど、どういうこと!?」
オレとナナは突然のアイコの話に混乱した。
「ええ、リンさんは命と引き換えにバイノナノワクチンを作り上げた。それは紛れもない事実よ。しかしリンさんが作り上げたものはもうひとつあったの」
「もうひとつ? そ、それが魔宝具?」
「ええ。正確には魔宝具の元となる強力な力を秘めたインゴットよ」
(インゴット……?)
「私たちはリンさんの残したインゴットを加工していくつもの魔宝具を完成させた。これはリンさんの体そのものが変質したものと言ってもいい。そしてその魔宝具、インゴットは全部で13器あるわ」
「13!」
「なんや結構あるやん」
「なあ、あと1つ2つしかないか無いのかと思ったわ」
「ほんならSS級全員に配っても余るんちゃう」
「いいえ、武蔵野くん。この魔宝具は使い手を選ぶ。強ければ誰でもいいと言うわけじゃないの」
「使い手を選ぶ……?」
「あれを見て。セイちゃん、ナナちゃん」
アイコが指差した先に、美術館なんかにある展示台のようなものが2つあった。そしてその上に、無骨なマグナムタイプの白銀の拳銃、少しごつめの宝石がいくつも嵌まった銀色の腕輪らしきものがあった。
「あれが魔宝具。魔銃精錬鋳造組拵え、神砲『ガジャルグ』、そして宝鋼輪重磨仕上げ、玉帯『カフヴァール』よ」
「また、仰々しい名前だな……」
「すっごいね。でも何でそれを私たちに見せる訳?」
「それはもちろん、あれをあなたたちに受け取ってもらいたいからよ」
「え!?」
魔宝具とは二宮や天王寺のような最強レベルの隊員が装備するべき貴重な道具のはずだ。
「あ、あれをオレたちに?」
「な、なんでウチラに?」
「……リンさんの残したインゴットは全部で13。そして私たちはその全てを導かれるように魔宝具に精製したわ。出来上がった物はまるであらかじめ決まっていたかのようだった。そして、各都市の精鋭に渡してみたけど、使える人間はほぼ居なかった。何故か魔素の入出力ができないの」
「……? あれがオレたちになら使えると?」
「ええ。リンさんの残した魔宝具はやはりリンさんの家族には適合したわ。ユキちゃんの『ブリューナク』、ラクちゃんの『アロンダイト』もそう。そして私とリュウセイ。さっき話した二宮隊員とタイシくんで、6人だけなの。現在魔宝具を使える人員は」
「アイちゃんも?」
ナナが少し怪訝そうにアイコを見ている。
おそらく今身に付けているどれかが魔宝具なのだろうと考えているのだろう。
オレもアイコがいくつも身に付けているアクセサリーを見直してみるがまるで判断は出来なかった。
「そうよ。私の魔宝具はこの服よ」
「え! その布みたいなやつがそうなの!?」
ナナが驚いている。
「そうよ。私は別に好んでこんな格好している訳じゃないわ。これは『プライウェン』と呼ばれる鎧よ。そしてアクセサリーは補助器具を兼ねている。ちなみにリュウセイは『ロンゴミアド』と言う魔宝具を持っているわ」
オレはアイコは100年経って服装の趣味が変わったんだな程度に考えていた。しかし露出魔のように派手な格好は全て魔宝具、魔導具らしい。
でもそんなに肌を出さなくてもいいんじゃないかなとまでは言えない。
「へえー、色々あるんですねえ」
欄島が気の抜けた声を漏らした。
「欄島隊員。あなたが満足するような魔導具も必ず作って見せる。もう少し時間をちょうだい」
「ああ、いやいや! そんなつもりはないです。ありがとうございます」
「……ええ。じゃあセイちゃん、ナナちゃん。あれに魔素を込めてみて」
アイコがそう言うと、秘書官らしき女性が銃と腕輪をオレたちのところへ持ってきてくれた。
「これが、母ちゃんの……」
オレは銃を受け取ると、しみじみとそれを眺めた。
見た目は何の変哲もない鉄の塊に見える。
(まあ、試してみるか)
ゴオウ!
「何だ!」
オレが魔素を練った瞬間、とてつもないエネルギーが銃に込められたのを感じた。
「何だ! や、ヤバい! 押さえられないかも!!」
「何やってんの!? 兄ちゃん! こっちに!!」
見ると、ナナも腕輪が激しく光を放ち、伸ばした手の平の先に強固そうな障壁が出来ていた。
(ナナもあの腕輪が使えたってことか!? それでバリアを張った?)
「いや、でも……! うおおっ!!」
オレが押さえきれなくなった魔素が銃弾となってナナの方へ向かって発射されてしまった。
ドオオオ!!!
「な、ナナ!!」
オレは焦ってナナに駆け寄るが、天王寺と虎影がナナの前に立っていた。
「安心しろ。ナナは無事だ」
「全く、危なっかしい兄貴ね」
天王寺と虎影がナナを守ってくれたらしい。
オレはホッと胸を撫で下ろした。
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