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CHAPTER Ⅳ
第177話 新トウキョウ都市防衛戦⑨
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ディリップが腕を数度振るっただけで、欄島と千城はかなりのダメージを受けてしまい、もう立っているのもやっとという状態になってしまった。
欄島と千城はここに来るまでにかなりの戦いをしてきた後だ。余力は少ない。
「虫どもが」
ディリップはこの霧の結界の効果もあるのだろう。まだ余裕があるようだ。
「ぐうっ……!」
(お、オレも戦わなきゃ!)
「佐々木くん! 動いてはダメよ! 出血がひどい! 内臓も傷ついてる!!」
「す、鈴子さ……」
オレは首を動かして何とか鈴子の顔を見返す。それだけで精一杯だ。
「オレたちが行く!」
「ああ、あいつは許せねえ!」
「一矢くらいむくいて見せるわ!」
山崎と南、高野がディリップに向かって行くがやはり相手にならない。一撃で3人とも吹き飛ばされてしまった。
さらにディリップの背後から突如志布志たちが現れ、強力な攻撃を与えた。
だが、それも返す手であしらわれてしまい、志布志、佐治、金澤の3人も地面に伏してしまった。
(し、志布志くんたちまで! や、ヤバい! このままじゃ全滅してしまう!!)
「う、おお……!!」
(立て! 動け!! 今戦わないと……!!!)
オレは必死で体に力を込めるが、少し地面を這いずることしか出来なかった。
オレはもがく自分のそばに1人の人影があることに気付いた。そこにはさっき吹き飛ばされたセイヤが立っていた。
しかしセイヤも明らかに重傷だ。
「スズさん。セイを頼みます」
「結城くん!」
セイヤはどこか覚悟を決めた顔をしている。
(ま、まさか……)
「せ、セイヤ……! だ、ダメ……がふっ!」
オレは言葉を振り絞ろうとするが、吐血に邪魔をされた。
「間もなく伊達さんが来る。それまでは持たせてみせる」
ドウッ!
セイヤは剣を振りかざしディリップに飛びかかるがやはり数回剣を振るった後、一撃で地面に叩きつけられてしまった。
「しぶとい害虫が。死ね」
(ヤバい! ヤバい!! ヤバい!!!)
「うおお……!!」
ドオオオオオンンン!!!
ディリップの攻撃が激しい爆発を起こした。
「う……、おおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!!!」
セイヤが、セイヤがやられてしまった。
誰も、誰も失いたくない。失いたくなかった。負けたくなかった。
だけど、セイヤが!!!
「またか。無駄なことを」
オレの耳にディリップの声が届いた。煙が晴れると、倒れたセイヤの前に山崎と南が立っていた。
(なぁ! そんな、そんな……!!)
山崎と南はその体を使ってセイヤの盾として、ディリップの攻撃を受けたのだ。2人はそのままバタリと仰向けに倒れてしまった。
2人とも体の前半分、胸から腹がごっそりとえぐれてしまっていた。
肋骨や内臓が目に見えるほどだ。
「や、山崎さん? 南?」
セイヤがふらつきながら2人に這いずり、寄った。
「がうっ!」
山崎と南はビシャビシャと血を流しながら呻いていた。
「な、なんでオレを……? なんで!!」
「ぐっ、ぐう……! セイヤ。無事だったか……?」
山崎と南の体を中心に血溜まりが出来ていく。
「山崎さん! 南!」
「だ、大丈夫……大丈夫だ。お、お前は強い。何も気にしなくていい」
南が気力を振り絞ってセイヤに声を出した。
心臓だろうか。弱いが鼓動する臓器が見えてしまっている。
「あ、ああ……。お、オレたちのことは気にするなよ……、お、お前は……、お前のやるべきことを……ううっ!」
山崎が口から血を吐いた。
「山崎さん!!」
「お、お前は、お前たちはオレの……、オレの家族だ……。ぐ、グールになんか……」
「も、もういいです! もういいです!!」
「セイヤ、背負わせて悪いな。お、オレの……分まで戦ってくれ……」
南が少し手を上げ、セイヤがその手を握った。
「南!!」
鈴子がセイヤたちのところへ駆け寄っている。
「ま、前にも言ったな……、お、オレたちの思いは、みんなで繋げろ……。お、お、お前は1人じゃない……決して……、な、仲間がいる……」
「ううっ……」
セイヤが涙を流している。
「みんなを守ってくれ……、そして、ぐ、グールに勝ってくれ……」
山崎がそう言い終わると、少しずつ胸の動きが小さくなっていった。
鈴子も必死に治癒を施しているが、効果はないようだった。
ドオオオオオンンン!!!
「くくく。面白いが、もうよいわ」
ディリップがセイヤたちへ無慈悲に止めの一撃を加えた。
「セイヤ! 山崎さん! み、みんなぁ……!」
オレは地面を引っ掻くことくらいしかできない。
どうしても動けない。力が入らない……!!
「遅くなってすまねぇ」
(え!? この声は……!?)
今度は、土煙の中から伊達の声が響いた。
(だ、伊達さんか!? 来てくれたのか!!)
「貴様か……、こりもせずに」
「うるせぇぞ。ジジイ。お前は殺してやる! 帝級転流!!、立方第五励起!!!」
「やってみろ、虫めが」
ドドオオオオオオ!!!!
どうやらセイヤたちは伊達の防御によって直撃は避けられたようだ。だが山崎と南はもう、息絶えていた。
ギャギャギャアアアア!!!
物凄い轟音を響かせて伊達とディリップが戦いを繰り広げている。
戦闘をしている場所は少し離れたが、いつ余波がこっちへ及んできてもおかしくはない。
「せ、セイヤ……セイヤ! こ、こっちへ……!」
セイヤはガックリとうなだれて動かない。
鈴子もさっきの余波でかなり出血しているが、セイヤたちを引きずってオレの方へ向かってきていた。
「ぐ……! みんな、まとめて治癒を!」
鈴子の指が何本か無くなっているが、すぐにオレとセイヤに治癒を始めてくれた。
「セイさん! セイヤさん!」
「せ、セイヤ!」
ユウナとアオイだ。
2人もかなりの傷を負っている。
「や、山崎さん! 南さん! そ、そんな……」
「嘘だろ! 山崎班長!!」
2人も涙を流して嘆いている。
「月城さん! 安城さん! しっかりして!! 月城さんは治癒を! 安城さんは攻撃の余波を警戒して!」
「は、はい……」
「うう……」
2人は顔を拭って鈴子の指示に従った。
ユウナの治癒も加わることで一気に体が楽になっていった。
「セイヤ、大丈夫か……?」
オレはさっきからセイヤが微動だにしていないことが気掛かりで声を掛けた。
セイヤは悲しみに暮れている。
「……」
セイヤの目の焦点が合っていない。
「し、しっかりしろよ。まだ戦いは終わってないぞ……!」
辛いのは分かる。悲しいのは分かる。
だがオレは痛む胸を押さえてセイヤを鼓舞した。しかしセイヤは何の反応も示さない。
「せ、セイヤ!」
「……セイ。覚えてるか?」
セイヤが小さく声を出した。
いつもと全く違う。気の小さい子どもが出すような声だった。
「はあ!?」
「オレたちが新ツクバ都市を出て、新トウキョウ都市へ向かう前の夜だ」
「な、なにを……」
「オレは、山崎さんと南に言ったんだ」
「だから、何の話を……! 伊達さんだっていつまで持つか……」
「2人に、オレが新トウキョウ都市へ行って良かったと思わせると……約束した……」
セイヤからポタポタと滴が落ちている。
「オレは強くなってこの2人、そしてスズさんとユメとまた部隊を組むつもりだった。みんなの誇りになりたかった……」
「結城くん……」
鈴子も涙目でセイヤを見ている。
「山崎さんと南とは共に育ったんだ。育ててくれた家族だった……、大切な人だった。だ、だがまたオレは守られてしまった……」
セイヤは新ツクバ都市で良き友人を、新センダイ都市で世話になった先輩を、そして今回新トウキョウ都市で長年共に過ごした家族を失った。
その心痛は察するに余りある。
だが、悲しんでいてもグールは待ってくれない。
「セイヤ! だけど、山崎さんも言ってただろ! 繋げてくれ! 勝ってくれって!! 俯いてるヒマはないんだぞ!!」
「……」
セイヤは相変わらず俯いたままだった。
「セイヤ!!」
オレは思わずセイヤの胸ぐらを掴んだ。
「佐々木くん! 待って!」
鈴子がオレを押さえた。
「す、鈴子さん……!」
「少しだけ、少しだけ時間をちょうだい! 結城くんはまだ戦う。戦えるから! 結城くんにとっては父と兄を失ったようなものなの!!」
「……」
父と兄。
オレは父と母を失った痛みは分かる。
オレは父と母を失った時、オレも何も出来なかった。
だが、兄として責務を果たそうと気丈に振る舞った気がする。
セイヤは父と兄を失った。
痛い程その苦しみは分かる。その喪失感。悲しみは心に穴が開いたようで、その穴埋めには長い時間がかかる。
だが、今はその時間がない。
心に開いた穴は無視して、我慢して、耐えて戦うしかない。
「少ししか、待てません……、今は戦争中です」
「……ええ。それでいいわ」
ドン!
突然、オレたちの横に誰かが着地してきた。
「みんな……」
それは、阿倍野と二宮だった。
阿倍野は片眼が潰れているし、二宮は片手が有り得ない方向に折れ曲がっている。
ただ、2人ともその眼差しには力があった。
「セイゲン。南隊員。庄司隊員……。済まない……。しかし、悲しむのはあいつを倒してからだ」
「行きましょう。阿倍野マスター」
「……ああ」
2人は激戦を続ける伊達の元へと駆け出した。
欄島と千城はここに来るまでにかなりの戦いをしてきた後だ。余力は少ない。
「虫どもが」
ディリップはこの霧の結界の効果もあるのだろう。まだ余裕があるようだ。
「ぐうっ……!」
(お、オレも戦わなきゃ!)
「佐々木くん! 動いてはダメよ! 出血がひどい! 内臓も傷ついてる!!」
「す、鈴子さ……」
オレは首を動かして何とか鈴子の顔を見返す。それだけで精一杯だ。
「オレたちが行く!」
「ああ、あいつは許せねえ!」
「一矢くらいむくいて見せるわ!」
山崎と南、高野がディリップに向かって行くがやはり相手にならない。一撃で3人とも吹き飛ばされてしまった。
さらにディリップの背後から突如志布志たちが現れ、強力な攻撃を与えた。
だが、それも返す手であしらわれてしまい、志布志、佐治、金澤の3人も地面に伏してしまった。
(し、志布志くんたちまで! や、ヤバい! このままじゃ全滅してしまう!!)
「う、おお……!!」
(立て! 動け!! 今戦わないと……!!!)
オレは必死で体に力を込めるが、少し地面を這いずることしか出来なかった。
オレはもがく自分のそばに1人の人影があることに気付いた。そこにはさっき吹き飛ばされたセイヤが立っていた。
しかしセイヤも明らかに重傷だ。
「スズさん。セイを頼みます」
「結城くん!」
セイヤはどこか覚悟を決めた顔をしている。
(ま、まさか……)
「せ、セイヤ……! だ、ダメ……がふっ!」
オレは言葉を振り絞ろうとするが、吐血に邪魔をされた。
「間もなく伊達さんが来る。それまでは持たせてみせる」
ドウッ!
セイヤは剣を振りかざしディリップに飛びかかるがやはり数回剣を振るった後、一撃で地面に叩きつけられてしまった。
「しぶとい害虫が。死ね」
(ヤバい! ヤバい!! ヤバい!!!)
「うおお……!!」
ドオオオオオンンン!!!
ディリップの攻撃が激しい爆発を起こした。
「う……、おおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!!!」
セイヤが、セイヤがやられてしまった。
誰も、誰も失いたくない。失いたくなかった。負けたくなかった。
だけど、セイヤが!!!
「またか。無駄なことを」
オレの耳にディリップの声が届いた。煙が晴れると、倒れたセイヤの前に山崎と南が立っていた。
(なぁ! そんな、そんな……!!)
山崎と南はその体を使ってセイヤの盾として、ディリップの攻撃を受けたのだ。2人はそのままバタリと仰向けに倒れてしまった。
2人とも体の前半分、胸から腹がごっそりとえぐれてしまっていた。
肋骨や内臓が目に見えるほどだ。
「や、山崎さん? 南?」
セイヤがふらつきながら2人に這いずり、寄った。
「がうっ!」
山崎と南はビシャビシャと血を流しながら呻いていた。
「な、なんでオレを……? なんで!!」
「ぐっ、ぐう……! セイヤ。無事だったか……?」
山崎と南の体を中心に血溜まりが出来ていく。
「山崎さん! 南!」
「だ、大丈夫……大丈夫だ。お、お前は強い。何も気にしなくていい」
南が気力を振り絞ってセイヤに声を出した。
心臓だろうか。弱いが鼓動する臓器が見えてしまっている。
「あ、ああ……。お、オレたちのことは気にするなよ……、お、お前は……、お前のやるべきことを……ううっ!」
山崎が口から血を吐いた。
「山崎さん!!」
「お、お前は、お前たちはオレの……、オレの家族だ……。ぐ、グールになんか……」
「も、もういいです! もういいです!!」
「セイヤ、背負わせて悪いな。お、オレの……分まで戦ってくれ……」
南が少し手を上げ、セイヤがその手を握った。
「南!!」
鈴子がセイヤたちのところへ駆け寄っている。
「ま、前にも言ったな……、お、オレたちの思いは、みんなで繋げろ……。お、お、お前は1人じゃない……決して……、な、仲間がいる……」
「ううっ……」
セイヤが涙を流している。
「みんなを守ってくれ……、そして、ぐ、グールに勝ってくれ……」
山崎がそう言い終わると、少しずつ胸の動きが小さくなっていった。
鈴子も必死に治癒を施しているが、効果はないようだった。
ドオオオオオンンン!!!
「くくく。面白いが、もうよいわ」
ディリップがセイヤたちへ無慈悲に止めの一撃を加えた。
「セイヤ! 山崎さん! み、みんなぁ……!」
オレは地面を引っ掻くことくらいしかできない。
どうしても動けない。力が入らない……!!
「遅くなってすまねぇ」
(え!? この声は……!?)
今度は、土煙の中から伊達の声が響いた。
(だ、伊達さんか!? 来てくれたのか!!)
「貴様か……、こりもせずに」
「うるせぇぞ。ジジイ。お前は殺してやる! 帝級転流!!、立方第五励起!!!」
「やってみろ、虫めが」
ドドオオオオオオ!!!!
どうやらセイヤたちは伊達の防御によって直撃は避けられたようだ。だが山崎と南はもう、息絶えていた。
ギャギャギャアアアア!!!
物凄い轟音を響かせて伊達とディリップが戦いを繰り広げている。
戦闘をしている場所は少し離れたが、いつ余波がこっちへ及んできてもおかしくはない。
「せ、セイヤ……セイヤ! こ、こっちへ……!」
セイヤはガックリとうなだれて動かない。
鈴子もさっきの余波でかなり出血しているが、セイヤたちを引きずってオレの方へ向かってきていた。
「ぐ……! みんな、まとめて治癒を!」
鈴子の指が何本か無くなっているが、すぐにオレとセイヤに治癒を始めてくれた。
「セイさん! セイヤさん!」
「せ、セイヤ!」
ユウナとアオイだ。
2人もかなりの傷を負っている。
「や、山崎さん! 南さん! そ、そんな……」
「嘘だろ! 山崎班長!!」
2人も涙を流して嘆いている。
「月城さん! 安城さん! しっかりして!! 月城さんは治癒を! 安城さんは攻撃の余波を警戒して!」
「は、はい……」
「うう……」
2人は顔を拭って鈴子の指示に従った。
ユウナの治癒も加わることで一気に体が楽になっていった。
「セイヤ、大丈夫か……?」
オレはさっきからセイヤが微動だにしていないことが気掛かりで声を掛けた。
セイヤは悲しみに暮れている。
「……」
セイヤの目の焦点が合っていない。
「し、しっかりしろよ。まだ戦いは終わってないぞ……!」
辛いのは分かる。悲しいのは分かる。
だがオレは痛む胸を押さえてセイヤを鼓舞した。しかしセイヤは何の反応も示さない。
「せ、セイヤ!」
「……セイ。覚えてるか?」
セイヤが小さく声を出した。
いつもと全く違う。気の小さい子どもが出すような声だった。
「はあ!?」
「オレたちが新ツクバ都市を出て、新トウキョウ都市へ向かう前の夜だ」
「な、なにを……」
「オレは、山崎さんと南に言ったんだ」
「だから、何の話を……! 伊達さんだっていつまで持つか……」
「2人に、オレが新トウキョウ都市へ行って良かったと思わせると……約束した……」
セイヤからポタポタと滴が落ちている。
「オレは強くなってこの2人、そしてスズさんとユメとまた部隊を組むつもりだった。みんなの誇りになりたかった……」
「結城くん……」
鈴子も涙目でセイヤを見ている。
「山崎さんと南とは共に育ったんだ。育ててくれた家族だった……、大切な人だった。だ、だがまたオレは守られてしまった……」
セイヤは新ツクバ都市で良き友人を、新センダイ都市で世話になった先輩を、そして今回新トウキョウ都市で長年共に過ごした家族を失った。
その心痛は察するに余りある。
だが、悲しんでいてもグールは待ってくれない。
「セイヤ! だけど、山崎さんも言ってただろ! 繋げてくれ! 勝ってくれって!! 俯いてるヒマはないんだぞ!!」
「……」
セイヤは相変わらず俯いたままだった。
「セイヤ!!」
オレは思わずセイヤの胸ぐらを掴んだ。
「佐々木くん! 待って!」
鈴子がオレを押さえた。
「す、鈴子さん……!」
「少しだけ、少しだけ時間をちょうだい! 結城くんはまだ戦う。戦えるから! 結城くんにとっては父と兄を失ったようなものなの!!」
「……」
父と兄。
オレは父と母を失った痛みは分かる。
オレは父と母を失った時、オレも何も出来なかった。
だが、兄として責務を果たそうと気丈に振る舞った気がする。
セイヤは父と兄を失った。
痛い程その苦しみは分かる。その喪失感。悲しみは心に穴が開いたようで、その穴埋めには長い時間がかかる。
だが、今はその時間がない。
心に開いた穴は無視して、我慢して、耐えて戦うしかない。
「少ししか、待てません……、今は戦争中です」
「……ええ。それでいいわ」
ドン!
突然、オレたちの横に誰かが着地してきた。
「みんな……」
それは、阿倍野と二宮だった。
阿倍野は片眼が潰れているし、二宮は片手が有り得ない方向に折れ曲がっている。
ただ、2人ともその眼差しには力があった。
「セイゲン。南隊員。庄司隊員……。済まない……。しかし、悲しむのはあいつを倒してからだ」
「行きましょう。阿倍野マスター」
「……ああ」
2人は激戦を続ける伊達の元へと駆け出した。
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