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結の星痕
密かな不安
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邪竜討伐に出向いた翌日、夜が開ける少し前に、アウラは戻ってきたらしい。
結果の報告を受けたフォーマルハウトによると、アウラにこれといった怪我は無く、任務も無事に完了させたようだ。
ただアウラは「疲れた。少し休ませてほしい」とだけ言い残して部屋に閉じこもってしまっている。
たまに出てきたかと思えばそのまま何処かに出掛けて、数日戻ってこない日が続いた。
五大国巡礼を止めた訳では無く、時期的にも今火の帝国に赴き巡礼を行うのは得策では無いとされており、暑さが和らぐまでは自由行動が決まり、皆バラバラに時を過ごしている。
フォーマルハウトはバスター協会で通常通りの業務をこなし、ベイドは兄の元で例の義手の研究に没頭中。
シェアトに関しては母国である水の王国に一時帰郷している。
何でも雪に覆われている時期が長い水の王国では、積雪が少なく日照時間が長い今が一番の掻き入れ時らしく働き手が欲しいのだそうだ。
それには帰国までの道中の警護と、貴重な働き手の一人として、グラフィアスも同行している。
「……」
今まで一緒にいた仲間達と離れ、何だかアウラと二人で旅をしていた頃に戻ってしまったかのように静かだ。
しかしアウラは今日も何処かへ行っていて、側には誰もいない。
皆と出会うまでは当たり前のように行っていた一人の留守番が、今では退屈で仕方がなかった。
「アウラ、どうしちゃったんだろう?」
アウラはきっと、邪竜の討伐に向かったのだろう。
彼女が邪竜の討伐にルクバットを連れて行かないのは、ルクバットが未熟だからだと思っていた。
共に世界を巡り、自分でも強くなったと実感出来る今となっても、アウラはルクバットの同行を許可してくれない。
「これは私の仕事だ。お前がやる必要は無い」
以前同行したい旨を伝えると、アウラはそう言って微笑んだ。
どうしてアウラは、一人で抱えて、無理をするんだろう?
「俺だって、アウラを守りたいのに」
「お前は、アウラ様の盾になりたい?それとも、剣になりたい?」
ふと、母エラルドとの会話が頭を過った。
風の王国で母に稽古をつけて貰っていた時に聞かれた質問だ。
盾を望むか、剣を望むか。
それは、近衛師団を志願する者にとって、とても重要な選択だ。
しかしルクバットは、その質問には上手く答えられなかった。
アウラは、自分よりも遥かに強い。
そんな彼女の剣など、務まる筈が無い。ナマクラも良いところだ。
では盾ならどうだろう?
それは多分、もっと難しいだろう。
どちらになれなくても、何も出来ないわけじゃない。
アウラの役に立ちたい。
側にいたい。
どんな時でも、アウラを支えてあげられるように。
それが、ルクバットの望みだ。
「そう。……翼を望むのね」
答えを聞いた時、母はそう微笑んだ。
「それは、剣や盾などよりも遥かに難しい選択よ。でもお前なら……いえ。ルクバットだからこそ、なれるかもしれない。長い年月、多くの苦難を側で見てきた貴方なら、きっとこの先もアウラ様を支えていける。それは、今を生きるルクバット。貴方にしか出来ない事だわ。だから、アウラ様をよろしくね」
「……うん!」
母からは何だかとんでもない大役を任されたように聞こえるが、結局のところ今まで通り、アウラと接すれば良いだけの話だ。
火の帝国での巡礼を終えれば、アウラの願いは叶う。
風の王国が復活した後も、ルクバットはアウラから離れず、ずっと側で支えていこうと決めた。
アウラの立派な翼として。
なら今は?
今のアウラには、どう見ても元気が無い。
スレイヤーになってからは、以前にも増して悲しみを湛えた瞳をするようになったし、邪竜を討伐しに行く回数も明らかに増えている。
スレイヤーになった当日に任された依頼で、何かあったに違いないが、聞いても本人には笑って誤魔化されてしまう。
他に事情を知っている人物となると……。
「……あ!」
墓所参りを終えてバスター協会まで戻ってきた際、ちょうどフォーマルハウトが出てくるのが見えた。
そうだ。フォーさんなら何か知っている筈だ。
そう確信したルクバットは、無邪気な笑顔のまま、彼の元へと駆け寄って行った。
†
「ごめんね、わざわざ付き合わせちゃって」
土の天地へと戻る帰り道、馬車に揺られながらそうシェアトが謝罪した。
シェアトの一時帰郷に、他のメンバーから半強制的に付いていくよう指示されたグラフィアスに、本人は心底申し訳ないと思っているようだ。
確かに水の王国についてからのグラフィアスに対する周りの扱いを見たら、謝りたくもなるだろう。
シェアトの母は何を勘違いしたのか、グラフィアスを見るなりやれめでたいだの祝い等と騒ぎ立て、首都ルーハクへ近況報告に行けば、城外で待っていたにも関わらず、いきなり兵士に引っ立てられ、女王ネージュに拷問まがいな尋問をされたりと、散々な目にあった。
「……いいさ。もう二度と会う事は無いだろうからな」
シェアトがよほど大事にされているのは分かったが、こんな体験は二度とごめんだ。
シェアトも、それには苦笑いを返すしかない。
「でも、グラフィアスが一緒に付いて来てくれて、本当に助かったの。私の村、若い人が少ないから」
「まあ、あれだけ過疎化が進んでいたら、都会へ移りたくなるのも当然だろ。交通の便も明らかに悪いし」
実際に見て抱いた感想だ。
シェアトの故郷では老人ばかりが目立ち、若者の姿が殆ど無い寒村だった。
それに加えて豪雪地帯とくれば、逃げ出したくなる気持ちも分かる。
「お前は、捨てないんだな」
「まーね。今は首都の学舎で学ぶ身だから、村を空ける時間は多いけど、それでもやっぱり、生まれ育った大切な故郷だからね。そんな簡単に、見捨てたり出来ないよ」
彼女の揺るぎない思いには、頭が下がるばかりだ。
復讐の為に家を飛び出したっきり、何年も家に帰っていない自分とは比べようのない。
「……ねえ。一つ、質問してもいい?」
唐突に、真面目なトーンになるシェアト。
「彼女の事、今はどう思っているの?」
意外な質問だった。
彼女の事とは、言うまでもなくアウラの事だろう。
「どうって?」
グラフィアスはあえて深く追求する。
「ほら。私達が初めてあった頃、グラフィアス言ってたじゃない。お父さんの仇だって。あれから色んな事があったけど、その気持ちは今でも変わらないのかな?って……」
思った通りの質問。
あの時はシェアトの父親の話に逸れていったが、やはりシェアトは復讐を良く思っていないようだ。
「あいつは親の仇だ。それは今だって変わらない」
シェアトの表情が曇る。
「……けど今は、それがあいつを倒す目的じない」
「え?」
「俺は風の祠で、親父が死んだ本当の理由を知った。あいつは自分の実力で、親父に勝っていた。だからもう、恨んだりはしていない。今は親父を超す為の、俺が強くなる為の新しい目標だ」
そう真面目に答えると、シェアトはしばらくして可笑しそうに笑った。
「あんなに頑なだったのに、そんなに変われるものなんだね」
「俺だっていつまでもガキじゃないさ。それに、あいつを倒すという事に変わりはない」
「そっか。……そうだね。グラフィアスは、今も昔も変わらずアウラに接しているんだね」
それは、何とも引っ掛かる物言いだ。
シェアトは、変わってしまったのだろうか?
彼女とアウラの付き合いはグラフィアスよりも遥かに短く、わずか数ヶ月で、決して長いとは言えない。
しかしその短い期間の中で、シェアトの態度が何か変わったようには見えない。
「……お前は、変わったのか?」
その質問に、シェアトは弱々しく答える。
「どうだろう?変わりたくはないけど、変わってしまいそうで怖い、かな?……それに、アウラは変わっていないのかな?って、不安で」
「あいつが変わったのか?」
「ん……。ちょっと違うかな。私が、今まで知らなかった彼女の一面を知って、私が変わりそうなの」
シェアトの言う事は抽象的で分かり難いが、今まで知らなかったアウラの何かを知り、それに対して不安を抱いているようだ。
「……乗り越えられそうか?」
そう尋ねる。
グラフィアスに大したアドバイスは出来ないし、曖昧な助言は控えるべきだから。
「分からない。でも私は、アウラの友達でいたい」
「……その気持ちがあれば大丈夫だろ」
根拠は無い。
それでもそう答える。
大切なのは、自分がどうしたいからだと思うから。
土の天地に戻ってくると、真夏の終わりと言えど、水の王国とは比べようの無い暑さを感じる。
「やあ。お帰り、二人とも」
「あ、アウラ」
馬車から降り、荷物を受け取っていると、後ろからアウラに声を掛けられた。
見た目から察するに、邪竜の討伐に出掛けていたのだろう。
衣服のあちこちが破れており、顔や腕に泥がついている。
「久し振りの故郷はどうだった?」
「うん、お母さんも天子様も、みんな元気そうだった。グラフィアスがいてくれたおかげで、村の仕事も大助かりだったよ」
さっきまでアウラに対する不安を口にしていたシェアトが笑顔で会話をしている。
どうやら友達でいたいというのは本心のようだ。
「そう、良かったね。ところで、帰ってきてすぐで悪いんだけど、シェアトに見せたい物があるんだ。今から良いかな?」
「?うん、良いけど」
そこでシェアトはアウラについて行く事になり、グラフィアス一人でバスター協会に戻る事になった。
ふと、土の匂いが鼻をくすぐり、空を見上げる。
あんなに晴れていたのに、いつの間にか分厚い雨雲が立ち込めている。
「一雨来るな……」
そう呟き、グラフィアスは協会へ向かう足を少しだけ早めた。
結果の報告を受けたフォーマルハウトによると、アウラにこれといった怪我は無く、任務も無事に完了させたようだ。
ただアウラは「疲れた。少し休ませてほしい」とだけ言い残して部屋に閉じこもってしまっている。
たまに出てきたかと思えばそのまま何処かに出掛けて、数日戻ってこない日が続いた。
五大国巡礼を止めた訳では無く、時期的にも今火の帝国に赴き巡礼を行うのは得策では無いとされており、暑さが和らぐまでは自由行動が決まり、皆バラバラに時を過ごしている。
フォーマルハウトはバスター協会で通常通りの業務をこなし、ベイドは兄の元で例の義手の研究に没頭中。
シェアトに関しては母国である水の王国に一時帰郷している。
何でも雪に覆われている時期が長い水の王国では、積雪が少なく日照時間が長い今が一番の掻き入れ時らしく働き手が欲しいのだそうだ。
それには帰国までの道中の警護と、貴重な働き手の一人として、グラフィアスも同行している。
「……」
今まで一緒にいた仲間達と離れ、何だかアウラと二人で旅をしていた頃に戻ってしまったかのように静かだ。
しかしアウラは今日も何処かへ行っていて、側には誰もいない。
皆と出会うまでは当たり前のように行っていた一人の留守番が、今では退屈で仕方がなかった。
「アウラ、どうしちゃったんだろう?」
アウラはきっと、邪竜の討伐に向かったのだろう。
彼女が邪竜の討伐にルクバットを連れて行かないのは、ルクバットが未熟だからだと思っていた。
共に世界を巡り、自分でも強くなったと実感出来る今となっても、アウラはルクバットの同行を許可してくれない。
「これは私の仕事だ。お前がやる必要は無い」
以前同行したい旨を伝えると、アウラはそう言って微笑んだ。
どうしてアウラは、一人で抱えて、無理をするんだろう?
「俺だって、アウラを守りたいのに」
「お前は、アウラ様の盾になりたい?それとも、剣になりたい?」
ふと、母エラルドとの会話が頭を過った。
風の王国で母に稽古をつけて貰っていた時に聞かれた質問だ。
盾を望むか、剣を望むか。
それは、近衛師団を志願する者にとって、とても重要な選択だ。
しかしルクバットは、その質問には上手く答えられなかった。
アウラは、自分よりも遥かに強い。
そんな彼女の剣など、務まる筈が無い。ナマクラも良いところだ。
では盾ならどうだろう?
それは多分、もっと難しいだろう。
どちらになれなくても、何も出来ないわけじゃない。
アウラの役に立ちたい。
側にいたい。
どんな時でも、アウラを支えてあげられるように。
それが、ルクバットの望みだ。
「そう。……翼を望むのね」
答えを聞いた時、母はそう微笑んだ。
「それは、剣や盾などよりも遥かに難しい選択よ。でもお前なら……いえ。ルクバットだからこそ、なれるかもしれない。長い年月、多くの苦難を側で見てきた貴方なら、きっとこの先もアウラ様を支えていける。それは、今を生きるルクバット。貴方にしか出来ない事だわ。だから、アウラ様をよろしくね」
「……うん!」
母からは何だかとんでもない大役を任されたように聞こえるが、結局のところ今まで通り、アウラと接すれば良いだけの話だ。
火の帝国での巡礼を終えれば、アウラの願いは叶う。
風の王国が復活した後も、ルクバットはアウラから離れず、ずっと側で支えていこうと決めた。
アウラの立派な翼として。
なら今は?
今のアウラには、どう見ても元気が無い。
スレイヤーになってからは、以前にも増して悲しみを湛えた瞳をするようになったし、邪竜を討伐しに行く回数も明らかに増えている。
スレイヤーになった当日に任された依頼で、何かあったに違いないが、聞いても本人には笑って誤魔化されてしまう。
他に事情を知っている人物となると……。
「……あ!」
墓所参りを終えてバスター協会まで戻ってきた際、ちょうどフォーマルハウトが出てくるのが見えた。
そうだ。フォーさんなら何か知っている筈だ。
そう確信したルクバットは、無邪気な笑顔のまま、彼の元へと駆け寄って行った。
†
「ごめんね、わざわざ付き合わせちゃって」
土の天地へと戻る帰り道、馬車に揺られながらそうシェアトが謝罪した。
シェアトの一時帰郷に、他のメンバーから半強制的に付いていくよう指示されたグラフィアスに、本人は心底申し訳ないと思っているようだ。
確かに水の王国についてからのグラフィアスに対する周りの扱いを見たら、謝りたくもなるだろう。
シェアトの母は何を勘違いしたのか、グラフィアスを見るなりやれめでたいだの祝い等と騒ぎ立て、首都ルーハクへ近況報告に行けば、城外で待っていたにも関わらず、いきなり兵士に引っ立てられ、女王ネージュに拷問まがいな尋問をされたりと、散々な目にあった。
「……いいさ。もう二度と会う事は無いだろうからな」
シェアトがよほど大事にされているのは分かったが、こんな体験は二度とごめんだ。
シェアトも、それには苦笑いを返すしかない。
「でも、グラフィアスが一緒に付いて来てくれて、本当に助かったの。私の村、若い人が少ないから」
「まあ、あれだけ過疎化が進んでいたら、都会へ移りたくなるのも当然だろ。交通の便も明らかに悪いし」
実際に見て抱いた感想だ。
シェアトの故郷では老人ばかりが目立ち、若者の姿が殆ど無い寒村だった。
それに加えて豪雪地帯とくれば、逃げ出したくなる気持ちも分かる。
「お前は、捨てないんだな」
「まーね。今は首都の学舎で学ぶ身だから、村を空ける時間は多いけど、それでもやっぱり、生まれ育った大切な故郷だからね。そんな簡単に、見捨てたり出来ないよ」
彼女の揺るぎない思いには、頭が下がるばかりだ。
復讐の為に家を飛び出したっきり、何年も家に帰っていない自分とは比べようのない。
「……ねえ。一つ、質問してもいい?」
唐突に、真面目なトーンになるシェアト。
「彼女の事、今はどう思っているの?」
意外な質問だった。
彼女の事とは、言うまでもなくアウラの事だろう。
「どうって?」
グラフィアスはあえて深く追求する。
「ほら。私達が初めてあった頃、グラフィアス言ってたじゃない。お父さんの仇だって。あれから色んな事があったけど、その気持ちは今でも変わらないのかな?って……」
思った通りの質問。
あの時はシェアトの父親の話に逸れていったが、やはりシェアトは復讐を良く思っていないようだ。
「あいつは親の仇だ。それは今だって変わらない」
シェアトの表情が曇る。
「……けど今は、それがあいつを倒す目的じない」
「え?」
「俺は風の祠で、親父が死んだ本当の理由を知った。あいつは自分の実力で、親父に勝っていた。だからもう、恨んだりはしていない。今は親父を超す為の、俺が強くなる為の新しい目標だ」
そう真面目に答えると、シェアトはしばらくして可笑しそうに笑った。
「あんなに頑なだったのに、そんなに変われるものなんだね」
「俺だっていつまでもガキじゃないさ。それに、あいつを倒すという事に変わりはない」
「そっか。……そうだね。グラフィアスは、今も昔も変わらずアウラに接しているんだね」
それは、何とも引っ掛かる物言いだ。
シェアトは、変わってしまったのだろうか?
彼女とアウラの付き合いはグラフィアスよりも遥かに短く、わずか数ヶ月で、決して長いとは言えない。
しかしその短い期間の中で、シェアトの態度が何か変わったようには見えない。
「……お前は、変わったのか?」
その質問に、シェアトは弱々しく答える。
「どうだろう?変わりたくはないけど、変わってしまいそうで怖い、かな?……それに、アウラは変わっていないのかな?って、不安で」
「あいつが変わったのか?」
「ん……。ちょっと違うかな。私が、今まで知らなかった彼女の一面を知って、私が変わりそうなの」
シェアトの言う事は抽象的で分かり難いが、今まで知らなかったアウラの何かを知り、それに対して不安を抱いているようだ。
「……乗り越えられそうか?」
そう尋ねる。
グラフィアスに大したアドバイスは出来ないし、曖昧な助言は控えるべきだから。
「分からない。でも私は、アウラの友達でいたい」
「……その気持ちがあれば大丈夫だろ」
根拠は無い。
それでもそう答える。
大切なのは、自分がどうしたいからだと思うから。
土の天地に戻ってくると、真夏の終わりと言えど、水の王国とは比べようの無い暑さを感じる。
「やあ。お帰り、二人とも」
「あ、アウラ」
馬車から降り、荷物を受け取っていると、後ろからアウラに声を掛けられた。
見た目から察するに、邪竜の討伐に出掛けていたのだろう。
衣服のあちこちが破れており、顔や腕に泥がついている。
「久し振りの故郷はどうだった?」
「うん、お母さんも天子様も、みんな元気そうだった。グラフィアスがいてくれたおかげで、村の仕事も大助かりだったよ」
さっきまでアウラに対する不安を口にしていたシェアトが笑顔で会話をしている。
どうやら友達でいたいというのは本心のようだ。
「そう、良かったね。ところで、帰ってきてすぐで悪いんだけど、シェアトに見せたい物があるんだ。今から良いかな?」
「?うん、良いけど」
そこでシェアトはアウラについて行く事になり、グラフィアス一人でバスター協会に戻る事になった。
ふと、土の匂いが鼻をくすぐり、空を見上げる。
あんなに晴れていたのに、いつの間にか分厚い雨雲が立ち込めている。
「一雨来るな……」
そう呟き、グラフィアスは協会へ向かう足を少しだけ早めた。
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