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転の流星
その名はボレアリス
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「……」
少し開けた広場の中心、その冷たい地面に、アウラは大の字になって転がっていた。
広場は、激しい戦闘が行われたのが目に見えて分かるように、岩の削れや抉れ、爪痕や血痕があちこちに残っている。
「……っ」
起き上がろうとするが全身傷だらけで、少し力を入れるだけでも激痛が走る。
アウラは、今の今まで自分と、更には邪竜ヴァーユとの記憶と死闘を繰り広げていた。
とはいっても、自分自身とは戦闘をしたわけではなく、話し合いをしているうちにヴァーユの記憶が横槍を入れてきて、自然と共闘する形となったので、今負っている怪我は全て、ヴァーユとの死闘の跡だ。
……今度は、身体全部残ってるな。
そんな冗談を、細かい砂がぱらぱらと落ちてくる天井を見つめながら考えていると、やがて大きな音と共に、崩れた巨大な岩がアウラ目掛けて落下してきた。
身動きの取れないアウラは迫ってくる岩を見ているだけで、特に慌てる事もなくそのまま目を閉じた。
直にアウラを押し潰す、という距離で、岩は内側から弾けるように、音も無く粉々に砕け散り、その風圧がアウラの前髪を撫でた。
「我ガ器ヨ」
軽い眠気に誘われうつらうつらしていると、自分を呼ぶ懐かしい声がして、ゆっくりと目を開ける。
そこに声の主の姿は無かったが、声はそのまま語りかけてきた。
「先ノ話ノ続キダ。我ノ名ヲ、思イ出セタカ?」
自身の内側から聞こえてくるフェデイックス語。
アウラの蒼龍だ。
お前の、名前?
「初メテ我ヲ呼ンダ時、教エタ筈ダ。二度ハ言ワナイ。思イ出スガイイ。我ヲ抑エテイタ蓋ハ、モウ無イノダカラ」
それっきり、蒼龍の声は聞こえなくなってしまう。
蒼龍の、名前……。確かに、聞いた気がする。でも、何だったかな?
思いだそうにも、今のアウラは心身共に疲れきっていて、まともな思考が出来ない。
「……」
そのまま目を閉じ、アウラは深い眠りへ堕ちていった。
†
眠りの中で、アウラは夢を見ていた。
いや、これは記憶だ。
七つの誕生日より数週間前、エラルドが城から出る為の魔法を教えると言った、あの日の出来事。
「ぼれ、ありす?」
記憶の中のアウラは、エラルドが言った言葉をそのまま聞き返す。
尋ねられたエラルドは、笑顔のまま頷く。
「はい。祝いにはまだ早いですが、この名前を貴女にプレゼントします」
「外に出る魔法を教えてくれるんじゃなかったの?」
「そうですよ。このボレアリスという名前が、外に出る為の魔法になるんです」
エラルドは終始笑顔で答えるが、アウラにはさっぱり意味が分からない。
名前が魔法?そんなの、聞いた事ない。
不可解そうに首を傾げるアウラを見て、エラルドはなおもクスクスと笑い続ける。
「アウラ様。城外の民が、何を持ってアウラ様を王女として認識しているか、ご存知ですか?」
「え?何をって……」
そんなもの、分かるわけがない。
するとエラルドは、顔の横に指を三本立てる。
「答えは三つ。一つは外見。蒼天の髪色に、深緑の瞳。二つ目は年齢。じきに七つになられるという事。そして最後の三つ目は、アウラ・ディー・グルミウムという、アウラ様の本名です。この三つがアウラ王女として世に出ている確かな情報です。ですから、そのうちの一つでも無くしてしまえば、アウラ様は王女ではなくなり、外に出る事が出来るのです」
「私が王女じゃなくなるって……それじゃ、私は誰なの?」
ますます混乱するアウラに、エラルドは少し顔を近づけた。
「外に出ている間は、ボレアリスという名の、私の娘になれば良いんですよ」
「エルの娘?」
「はい。アウラ様の髪は私とも夫とも違いますし、グルミウムには珍しい色ですから少々目立ちますが、瞳の色はそんなに大差ありませんから、何か被り物でもすれば問題ないでしょう。年齢なんて気にする必要は無いですから、名前さえ変えてしまえばどうとでもなります。これが、私から貴女に授ける、外に出る為の魔法です。受け取っていただけますか?」
ボレアリス……。エルの娘として、城の外に出られる魔法。
なんて素敵な魔法なのだろう。
大好きなエラルドを母として、まだ見ぬ城外を出歩くのは、さぞかし心躍る事だろう。
「すごく素敵!ありがとう、エル」
「ただし、条件が二つあります」
アウラが溢れんばかりの笑顔で抱きつこうとすると、エラルドは顔の横で今度は指を二本立てた。
「なあに?」
「一つ。ボレアリスとして外に出ている間は、母である私の言い付けを必ず守ること」
「分かった!約束する」
「二つ。これは、もっと厳しい条件ですよ」
「何でも言って。絶対守るから」
意気込んで先を促すと、エラルドは声を潜めた。
「この魔法は、他の人に知られると使えなくなってしまいます。ですからこれは、
私とアウラ様二人だけの秘密の魔法です。誰にも知られないよう、出来ますか?」
互いの額をこつん、と当てて、イタズラっぽく笑う。
彼女がこうやって笑う時は大抵、
「父君には絶対内緒ですよ」
という意味が含まれている。
父ヴァーユは優しいながらも厳しい為、こうやってエラルドと小さな反抗をするのは、退屈な生活の中での密かな楽しみでもある。
「父さまには、絶対内緒だね」
余計嬉しくなったアウラは声を潜めて頷き、互いに笑いあう。
それからアウラは幾度となく、エラルドの娘ボレアリスとして、城の外へと遊びに出掛けた。
初めて見る王都は、ボレアリスの目にとても鮮やかに映った。
人々や鳥達の憩いの場である御神木がある丘。
露天商の呼び掛けに賑わう商店街。
子供達が流行りの遊びで跳ね回る中央広場。
時には買い食いをしたり、子供達の輪に入れてもらったりして、ボレアリスは世界を楽しんだ。
しかしそれは、半月もしないうちに父にバレてしまい、エラルド共々大目玉を喰らった。
エラルドが上手くその場を納めてくれたおかげでお叱りだけで済んだが、再び城の中だけという退屈な生活が始まった。
「はぁ……」
外の魅力を知ったアウラにとって、城はもはや牢獄のように感じた。
ヒマだな……。エルもいないし。
エラルドは父と共に国交の為、王都から離れており、暫く帰ってきていない。
そんな寂しさもあいまって、アウラは更に暇を持て余していた。
「んー……」
「そんな事ばかりしていても、暇は潰れませんよ」
中庭に咲く花を弄りながらため息をつくと、後ろから柔らかな声が降ってきた。
母だ。
「母さま。だって……」
母に愚痴を言っても仕方ない上に、無闇に花を散らしていた後ろめたさから口ごもる。
すると母は、アウラの頭を優しく撫でながら言った。
「アウラ。お父様は、貴女が憎くて厳しくしているわけでは無いのですよ。貴女を想うが故に、退屈な暮らしをさせてしまっているけれど、それも暫くの辛抱です」
「どういうこと?」
「近々、お父様は転生式を行いますね?その時に、貴女を正式に国民に紹介するそうです。そうなれば貴女も、グルミウム王家の一人として、外に出る機会が出てくる筈」
「それは、自由なの?」
「初めは自分のやりたい事は出来ないでしょうね。それでも、貴女が見る世界は今より大きく広がり、様々な考えを持てるようになるわ。まずは勉強だと思って、世の中を知る事から始めなさい」
勉強……。エルはいつも私がやりたい事をやらせてくれたし、知らない事は教えてくれた。エル以外からも、色々学ばなきゃいけないのか。
「うん、わかりました。母さま」
「そう。ならまずは、女の子の礼儀から勉強してみますか?」
アウラが頷くと、母はそうやってクスクスと冗談を言って笑った。
他愛ない親子の会話を耳に残しながら、アウラは目を覚ました。
身体中にあった怪我はほとんど癒え、鉛のように重かったのも、嘘のように軽い。
母さまの仰ったように、世界を知る事で、多くの考えを持てるようになった。……きっとこれは、あのまま王女として育っていたら、絶対身に付かない物だったろうな。
むくりと上半身だけを起こし、傍らに転がる、刀身が剥き出しの腰刀を手に取る。
エルの腰刀……。今ここにいる私は、グルミウム王家の王女アウラ。それとも、エルの娘のボレアリス。どっちが正しいんだろう?
とても複雑な気分だった。
記憶のほとんどを取り戻し、自分の人生を再確認した今、自分が何者なのか判断しかねた。
鈍く輝く刀身に映る自分を見つめる。
緑色の髪に、深緑の瞳。
右目には斜めに走る切り傷。
瞳以外、アウラには無かったもの。
やっぱり、私は……。
「……?」
静まり返った広間で物思いに耽っていると、奇妙な違和感を覚えた。
何か、いる……?
重くのしかかってくるような堅い空気。
その出所を探っていると、ふと柔らかい風を感じた。
春の温かな日差しに薫る、桜の匂い。
「母さま?……まさか、父さまが!?」
桜と言えば母だ。
そしてその母は今、邪竜と化した父と共にいる。
それを理解した直後、アウラは風の出所に向かって全速力で駆け出した。
少し開けた広場の中心、その冷たい地面に、アウラは大の字になって転がっていた。
広場は、激しい戦闘が行われたのが目に見えて分かるように、岩の削れや抉れ、爪痕や血痕があちこちに残っている。
「……っ」
起き上がろうとするが全身傷だらけで、少し力を入れるだけでも激痛が走る。
アウラは、今の今まで自分と、更には邪竜ヴァーユとの記憶と死闘を繰り広げていた。
とはいっても、自分自身とは戦闘をしたわけではなく、話し合いをしているうちにヴァーユの記憶が横槍を入れてきて、自然と共闘する形となったので、今負っている怪我は全て、ヴァーユとの死闘の跡だ。
……今度は、身体全部残ってるな。
そんな冗談を、細かい砂がぱらぱらと落ちてくる天井を見つめながら考えていると、やがて大きな音と共に、崩れた巨大な岩がアウラ目掛けて落下してきた。
身動きの取れないアウラは迫ってくる岩を見ているだけで、特に慌てる事もなくそのまま目を閉じた。
直にアウラを押し潰す、という距離で、岩は内側から弾けるように、音も無く粉々に砕け散り、その風圧がアウラの前髪を撫でた。
「我ガ器ヨ」
軽い眠気に誘われうつらうつらしていると、自分を呼ぶ懐かしい声がして、ゆっくりと目を開ける。
そこに声の主の姿は無かったが、声はそのまま語りかけてきた。
「先ノ話ノ続キダ。我ノ名ヲ、思イ出セタカ?」
自身の内側から聞こえてくるフェデイックス語。
アウラの蒼龍だ。
お前の、名前?
「初メテ我ヲ呼ンダ時、教エタ筈ダ。二度ハ言ワナイ。思イ出スガイイ。我ヲ抑エテイタ蓋ハ、モウ無イノダカラ」
それっきり、蒼龍の声は聞こえなくなってしまう。
蒼龍の、名前……。確かに、聞いた気がする。でも、何だったかな?
思いだそうにも、今のアウラは心身共に疲れきっていて、まともな思考が出来ない。
「……」
そのまま目を閉じ、アウラは深い眠りへ堕ちていった。
†
眠りの中で、アウラは夢を見ていた。
いや、これは記憶だ。
七つの誕生日より数週間前、エラルドが城から出る為の魔法を教えると言った、あの日の出来事。
「ぼれ、ありす?」
記憶の中のアウラは、エラルドが言った言葉をそのまま聞き返す。
尋ねられたエラルドは、笑顔のまま頷く。
「はい。祝いにはまだ早いですが、この名前を貴女にプレゼントします」
「外に出る魔法を教えてくれるんじゃなかったの?」
「そうですよ。このボレアリスという名前が、外に出る為の魔法になるんです」
エラルドは終始笑顔で答えるが、アウラにはさっぱり意味が分からない。
名前が魔法?そんなの、聞いた事ない。
不可解そうに首を傾げるアウラを見て、エラルドはなおもクスクスと笑い続ける。
「アウラ様。城外の民が、何を持ってアウラ様を王女として認識しているか、ご存知ですか?」
「え?何をって……」
そんなもの、分かるわけがない。
するとエラルドは、顔の横に指を三本立てる。
「答えは三つ。一つは外見。蒼天の髪色に、深緑の瞳。二つ目は年齢。じきに七つになられるという事。そして最後の三つ目は、アウラ・ディー・グルミウムという、アウラ様の本名です。この三つがアウラ王女として世に出ている確かな情報です。ですから、そのうちの一つでも無くしてしまえば、アウラ様は王女ではなくなり、外に出る事が出来るのです」
「私が王女じゃなくなるって……それじゃ、私は誰なの?」
ますます混乱するアウラに、エラルドは少し顔を近づけた。
「外に出ている間は、ボレアリスという名の、私の娘になれば良いんですよ」
「エルの娘?」
「はい。アウラ様の髪は私とも夫とも違いますし、グルミウムには珍しい色ですから少々目立ちますが、瞳の色はそんなに大差ありませんから、何か被り物でもすれば問題ないでしょう。年齢なんて気にする必要は無いですから、名前さえ変えてしまえばどうとでもなります。これが、私から貴女に授ける、外に出る為の魔法です。受け取っていただけますか?」
ボレアリス……。エルの娘として、城の外に出られる魔法。
なんて素敵な魔法なのだろう。
大好きなエラルドを母として、まだ見ぬ城外を出歩くのは、さぞかし心躍る事だろう。
「すごく素敵!ありがとう、エル」
「ただし、条件が二つあります」
アウラが溢れんばかりの笑顔で抱きつこうとすると、エラルドは顔の横で今度は指を二本立てた。
「なあに?」
「一つ。ボレアリスとして外に出ている間は、母である私の言い付けを必ず守ること」
「分かった!約束する」
「二つ。これは、もっと厳しい条件ですよ」
「何でも言って。絶対守るから」
意気込んで先を促すと、エラルドは声を潜めた。
「この魔法は、他の人に知られると使えなくなってしまいます。ですからこれは、
私とアウラ様二人だけの秘密の魔法です。誰にも知られないよう、出来ますか?」
互いの額をこつん、と当てて、イタズラっぽく笑う。
彼女がこうやって笑う時は大抵、
「父君には絶対内緒ですよ」
という意味が含まれている。
父ヴァーユは優しいながらも厳しい為、こうやってエラルドと小さな反抗をするのは、退屈な生活の中での密かな楽しみでもある。
「父さまには、絶対内緒だね」
余計嬉しくなったアウラは声を潜めて頷き、互いに笑いあう。
それからアウラは幾度となく、エラルドの娘ボレアリスとして、城の外へと遊びに出掛けた。
初めて見る王都は、ボレアリスの目にとても鮮やかに映った。
人々や鳥達の憩いの場である御神木がある丘。
露天商の呼び掛けに賑わう商店街。
子供達が流行りの遊びで跳ね回る中央広場。
時には買い食いをしたり、子供達の輪に入れてもらったりして、ボレアリスは世界を楽しんだ。
しかしそれは、半月もしないうちに父にバレてしまい、エラルド共々大目玉を喰らった。
エラルドが上手くその場を納めてくれたおかげでお叱りだけで済んだが、再び城の中だけという退屈な生活が始まった。
「はぁ……」
外の魅力を知ったアウラにとって、城はもはや牢獄のように感じた。
ヒマだな……。エルもいないし。
エラルドは父と共に国交の為、王都から離れており、暫く帰ってきていない。
そんな寂しさもあいまって、アウラは更に暇を持て余していた。
「んー……」
「そんな事ばかりしていても、暇は潰れませんよ」
中庭に咲く花を弄りながらため息をつくと、後ろから柔らかな声が降ってきた。
母だ。
「母さま。だって……」
母に愚痴を言っても仕方ない上に、無闇に花を散らしていた後ろめたさから口ごもる。
すると母は、アウラの頭を優しく撫でながら言った。
「アウラ。お父様は、貴女が憎くて厳しくしているわけでは無いのですよ。貴女を想うが故に、退屈な暮らしをさせてしまっているけれど、それも暫くの辛抱です」
「どういうこと?」
「近々、お父様は転生式を行いますね?その時に、貴女を正式に国民に紹介するそうです。そうなれば貴女も、グルミウム王家の一人として、外に出る機会が出てくる筈」
「それは、自由なの?」
「初めは自分のやりたい事は出来ないでしょうね。それでも、貴女が見る世界は今より大きく広がり、様々な考えを持てるようになるわ。まずは勉強だと思って、世の中を知る事から始めなさい」
勉強……。エルはいつも私がやりたい事をやらせてくれたし、知らない事は教えてくれた。エル以外からも、色々学ばなきゃいけないのか。
「うん、わかりました。母さま」
「そう。ならまずは、女の子の礼儀から勉強してみますか?」
アウラが頷くと、母はそうやってクスクスと冗談を言って笑った。
他愛ない親子の会話を耳に残しながら、アウラは目を覚ました。
身体中にあった怪我はほとんど癒え、鉛のように重かったのも、嘘のように軽い。
母さまの仰ったように、世界を知る事で、多くの考えを持てるようになった。……きっとこれは、あのまま王女として育っていたら、絶対身に付かない物だったろうな。
むくりと上半身だけを起こし、傍らに転がる、刀身が剥き出しの腰刀を手に取る。
エルの腰刀……。今ここにいる私は、グルミウム王家の王女アウラ。それとも、エルの娘のボレアリス。どっちが正しいんだろう?
とても複雑な気分だった。
記憶のほとんどを取り戻し、自分の人生を再確認した今、自分が何者なのか判断しかねた。
鈍く輝く刀身に映る自分を見つめる。
緑色の髪に、深緑の瞳。
右目には斜めに走る切り傷。
瞳以外、アウラには無かったもの。
やっぱり、私は……。
「……?」
静まり返った広間で物思いに耽っていると、奇妙な違和感を覚えた。
何か、いる……?
重くのしかかってくるような堅い空気。
その出所を探っていると、ふと柔らかい風を感じた。
春の温かな日差しに薫る、桜の匂い。
「母さま?……まさか、父さまが!?」
桜と言えば母だ。
そしてその母は今、邪竜と化した父と共にいる。
それを理解した直後、アウラは風の出所に向かって全速力で駆け出した。
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