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転の流星
風の噂
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聖なる祠に繋がる道は、二つある。
一つは、城の地下通路に隠れるようにして存在する古びた道から。
そしてもう一つは、王都から出て東に伸びるリード湿平原を経由し、北側に聳える峰から入る、バスターが巡礼に使うルートだ。
勿論アウラ達は安全で最短ルートである地下通路から行こうとしたのだが、通路に繋がる道が先の大戦で崩れて塞がれていた為、やむなく迂回するはめになった。
「ねえアウラ。母さんが言ってた、気をつけてって、もしかしてここの事かな?」
リード湿平原の、なるべく土が堅い箇所を探して歩きながらルクバットが言う。
季節はレオの真夏日。
気候としては炎天下で、さらに湿原から湧き上がる湿気によってかなり蒸し暑く、ただ歩いているだけでも汗が滴り落ちそうになる。
「そうかも。ここには怪物もいるって話だし」
アウラは、額に流れる汗を拭いながら答える。
土の堅い箇所を選んで歩いているとはいえ、やはりぬかるんでいる場所の方が圧倒的に多く、一行の歩みはとても遅い。
「か、怪物って……魔物とは違うんですか?」
暑さに弱いのか、シェアトが息を切らし切らし尋ねる。
「よく分からないけど、この湿原をものすごい速さで走るんだって」
「この緩い地盤の中をですか?にわかには信じがたい話ですね」
「本当だよ。私がイタズラすると、父さまがいつもこの話をしてくるんだ。あれは子供が大好きだから、次に何かをしたら、湿原に放り出すって」
「はぁ。お父上がですか……」
アウラは事実を言っているのだが、ベイドには子供をしつける為のたとえ話にしか聞こえないようで、なんとも曖昧な返事をする。
それを見て釈然としなかったのか、ルクバットも加戦してきた。
「俺もシルフから聞いた事あるよ。もしここで綺麗な歌声を聞いたら、耳を塞いですぐに逃げなさいって。でないと魅入られて、食べられてしまうよって」
「ふーむ。ますます信憑性が薄いですね」
ルクバットの説明も、やはり脅し文句にしか聞こえないようで、ベイドはますます首を傾げる。
彼の態度にむ、とするアウラとルクバットだが、意外な方向から助け船がやってきた。
「その怪物って、もしかしてラミアの事ですか?」
一行の最後尾を歩いていた、フォーマルハウトだ。
「ラミア?」
怪物の名前までは知らないアウラがオウム返しに尋ねると、フォーマルハウトは頷き簡単に説明してくれた。
「はい。上半身は女性で、下半身は蛇の姿をした生き物です。子供好きで、綺麗な歌声で人を呼び寄せるという点でそうじゃないかなと思ったのですが」
「女性の身体と、蛇……?」
想像したものが余程の出来だったのか、シェアトは今までとは異なる汗を浮かべ、自分を抱きしめるように両腕を交差させて身震いする。
「やけに詳しいじゃないか。お前やっぱり、文官の方が向いてるんじゃないのか?」
この蒸し暑い気候の中で、一人涼しい顔を浮かべるグラフィアスがそう茶化すが、フォーマルハウトは変わらずの微笑みでその答えを述べる。
「はは。そんなに大した意味は無いんです。たまたま知人が話していた物語の中に、似たような話が含まれていたので、そうかなと思っただけですよ。なんでも、若い女性が亡くなった我が子を求めてさ迷ううちに、徐々に足がすり減っていき、蛇化したとか」
「へー。フォーさん、シェアト姉が知らない事知ってるんだね。すごいや」
感心したルクバットがそう褒めると、シェアトは困ったような苦笑いを浮かべた。
「あはは。会談物は、ちょっと……」
「ふーん。子供を狙う蛇女、か。そういう類の化け物語なら、俺も知ってるぞ」
「え、ちょっとグラフィアス。もう勘弁して」
そう狼狽するシェアトをよそに、グラフィアスは悪戯っぽい笑顔を見せて話を続けた。
「そいつはトウテツって言ってな。遥か昔、どの龍にもなれなかった落ちこぼれで、首はあるが胴体が無いんだ。まるで嬰児のような甲高い声で泣いて人間を喰う、気味の悪い化け物だよ」
「首だけ!?それが、赤ん坊の声で泣くの?」
「ああ。そんで人間を丸呑みにしちまうんだ。子供だけじゃなく、大人もな。不思議だよな。胴体も無いのに、喰われた人間は何処にいくんだろうな?まあどうせ、誰かが作った、空想上の作り話……」
「しっ!静かに……。何か聞こえませんか?」
わいわいと見たことのない、不思議な化け物話で盛り上がっていたところ、不意にベイドが片手で皆を制した。
しん、と静まった空気の中から聞こえてきたのは、風が葦をくすぐる、さわさわという小さな擦れた音。
そこに時折、この場には似つかわしくない、妙な音が混じっていた。
「……これ、赤ん坊の、泣き声?」
それは確かに、小さな赤子が何かを求めて泣きじゃくる声に聞こえた。
そして更には、それをあやすかのように、美しい声の子守唄が、赤子の泣き声に被さるように響いてくる。
それは、普通の国であれば大して気にする必要の無い物だが、しかしここは亡国。
まして、今しがた怪談話をしていた状況に近いとあれば、警戒しないわけにはいかない。
それらの声は、徐々にこちらへ近付きつつある。
「これって、まさか……本当に、いたの?」
葦がだいぶ伸びているとはいえ、見晴らしの良い場所だ。
このまま待っていれば、直にその姿を見る事が出来るだろう。
「面白え。噂通りの化け物かどうか、この目で確かめてやる」
不思議と、この場から離れるという選択肢は、浮かんでこない。
噂は本当なのか。
それを確かめるという好奇心の方が、断然と上回っている。
固唾を呑んで待っていると、やがて葦が大きく揺れ、その奥から、長い髪をだらりと伸ばした女の頭が見えた。
その女はとてもゆっくりとした足取りで、呟くように子守唄を歌いながら、だんだんこちらに近付いてくる。
「綺麗な声。あれが、ラミア?」
「さあ?足元が見えないから、何とも……」
女の下半身は葦に隠されていてよく見えない。
しかし、よくよく観察していると、その歩き方に違和感を覚えてくる。
彼女はゆっくり、本当にゆっくりと近付いて来ているのにも関わらず、まるで地を這っているかのように、頭がほとんど揺れないのだ。
そして、その背後から時折見える物が、蛇の尾だと理解するのに、さほど時間はかからなかった。
そして、彼女が口ずさんでいる歌は、恐ろしい言葉を紡いでいた。
「可愛く、愛しい、私の坊や。ずぅっと側にいておくれ。その瞳は私を映し、その口で微笑み、その手で私を握り、その足で私の元へ。ずうっと離れないよう、私の腹に、いておくれ」
「……っ!?」
その言葉が耳に届いた瞬間、シェアトは今まで以上に身震いし、反射的に一歩後退る。
「あいつがラミアだとしたら、俺が話していたトウテツは、あれってことになるな」
グラフィアスは武器を抜き払い、ラミアの腕の中で泣き続けている物を見る。
それは一瞬見ただけなら、生まれたての赤子と見間違えそうな大きさだが、その形状は見るもおぞましい物だった。
性質はスライム状でドロドロとしており、ラミアの手から零れ落ちる身体の一部がボトボトと葦に触れる度、ひどい悪臭と淀んだ煙が沸き立つ。
そもそもあれを身体と表現していいのかも怪しく、口らしき穴と、鈍く光る目らしき物が、丸いスライム状の塊の中に埋もれると、そことはまた違った場所から現れている。
「…ギャア!ッギャァアアア!!」
肉体からトウテツの口が出てくる度に、鼓膜を突き破るような騒音が響き渡る。
「っく。こ、の……黙れ!」
グラフィアスが大剣を振り上げまっぷたつに斬り捨てるが、スライム状のトウテツはともかくとして、ラミアまでもが無傷で、何事も無かったかのように迫ってくる。
「何で?一体どういう事?」
耳を塞いだままシェアトが叫ぶが、その答えを知る者は誰もいない。
「とにかく、ここを離れましょう」
「祠に繋がる峰はあっちだよ!」
ベイドとアウラも負けじと叫び、一行は全速力でその場から離れる。
もちろんラミアも追ってきて、その差はなかなか広がらない。
「あそこだよ!」
アウラが指差した先、峰と峰の間に空洞があるが、太い木の根が降りてきていて、人々の侵入を拒んでいた。
「俺がやるよ。朔春宵!」
ルクバットが円月輪をそこに向かって投げ、中に入れる程度に根っこを切り裂く。
「よし、ここなら……?」
峰の間に滑り込みざま振り向くが、そこに怪物達の姿は無く、歌声も、泣き声も聞こえなくなっていた。
「すぐそこまで追ってきていたはずなのに、何処に行ったんでしょう?」
フォーマルハウトが不思議そうに言い、念の為にグラフィアスが外へ出て辺りを伺うが、やはり何処にもいない。
皆が外に気を取られている間、アウラとルクバットは、中から聞こえる囁きを聞いていた。
「あれは風の噂による幻。あなた達が作り上げた、幻想です」
「風の、噂?」
「アウラ、この声」
「うん……」
この優しい声には、二人とも聞き覚えがあった。
声は更に皆を誘う。
「祠はこの先にあります。ゆっくりとおいでなさい。歓迎の準備は、整っていますよ」
「どうしました?二人とも」
風の声を聞けないシェアトがそう尋ねるが、アウラは首を左右に振り、ゆっくりと歩き出した。
「ううん。みんな行こう。あの化け物は、もう出てこないから。この先の祠で、皆が待ってる」
一つは、城の地下通路に隠れるようにして存在する古びた道から。
そしてもう一つは、王都から出て東に伸びるリード湿平原を経由し、北側に聳える峰から入る、バスターが巡礼に使うルートだ。
勿論アウラ達は安全で最短ルートである地下通路から行こうとしたのだが、通路に繋がる道が先の大戦で崩れて塞がれていた為、やむなく迂回するはめになった。
「ねえアウラ。母さんが言ってた、気をつけてって、もしかしてここの事かな?」
リード湿平原の、なるべく土が堅い箇所を探して歩きながらルクバットが言う。
季節はレオの真夏日。
気候としては炎天下で、さらに湿原から湧き上がる湿気によってかなり蒸し暑く、ただ歩いているだけでも汗が滴り落ちそうになる。
「そうかも。ここには怪物もいるって話だし」
アウラは、額に流れる汗を拭いながら答える。
土の堅い箇所を選んで歩いているとはいえ、やはりぬかるんでいる場所の方が圧倒的に多く、一行の歩みはとても遅い。
「か、怪物って……魔物とは違うんですか?」
暑さに弱いのか、シェアトが息を切らし切らし尋ねる。
「よく分からないけど、この湿原をものすごい速さで走るんだって」
「この緩い地盤の中をですか?にわかには信じがたい話ですね」
「本当だよ。私がイタズラすると、父さまがいつもこの話をしてくるんだ。あれは子供が大好きだから、次に何かをしたら、湿原に放り出すって」
「はぁ。お父上がですか……」
アウラは事実を言っているのだが、ベイドには子供をしつける為のたとえ話にしか聞こえないようで、なんとも曖昧な返事をする。
それを見て釈然としなかったのか、ルクバットも加戦してきた。
「俺もシルフから聞いた事あるよ。もしここで綺麗な歌声を聞いたら、耳を塞いですぐに逃げなさいって。でないと魅入られて、食べられてしまうよって」
「ふーむ。ますます信憑性が薄いですね」
ルクバットの説明も、やはり脅し文句にしか聞こえないようで、ベイドはますます首を傾げる。
彼の態度にむ、とするアウラとルクバットだが、意外な方向から助け船がやってきた。
「その怪物って、もしかしてラミアの事ですか?」
一行の最後尾を歩いていた、フォーマルハウトだ。
「ラミア?」
怪物の名前までは知らないアウラがオウム返しに尋ねると、フォーマルハウトは頷き簡単に説明してくれた。
「はい。上半身は女性で、下半身は蛇の姿をした生き物です。子供好きで、綺麗な歌声で人を呼び寄せるという点でそうじゃないかなと思ったのですが」
「女性の身体と、蛇……?」
想像したものが余程の出来だったのか、シェアトは今までとは異なる汗を浮かべ、自分を抱きしめるように両腕を交差させて身震いする。
「やけに詳しいじゃないか。お前やっぱり、文官の方が向いてるんじゃないのか?」
この蒸し暑い気候の中で、一人涼しい顔を浮かべるグラフィアスがそう茶化すが、フォーマルハウトは変わらずの微笑みでその答えを述べる。
「はは。そんなに大した意味は無いんです。たまたま知人が話していた物語の中に、似たような話が含まれていたので、そうかなと思っただけですよ。なんでも、若い女性が亡くなった我が子を求めてさ迷ううちに、徐々に足がすり減っていき、蛇化したとか」
「へー。フォーさん、シェアト姉が知らない事知ってるんだね。すごいや」
感心したルクバットがそう褒めると、シェアトは困ったような苦笑いを浮かべた。
「あはは。会談物は、ちょっと……」
「ふーん。子供を狙う蛇女、か。そういう類の化け物語なら、俺も知ってるぞ」
「え、ちょっとグラフィアス。もう勘弁して」
そう狼狽するシェアトをよそに、グラフィアスは悪戯っぽい笑顔を見せて話を続けた。
「そいつはトウテツって言ってな。遥か昔、どの龍にもなれなかった落ちこぼれで、首はあるが胴体が無いんだ。まるで嬰児のような甲高い声で泣いて人間を喰う、気味の悪い化け物だよ」
「首だけ!?それが、赤ん坊の声で泣くの?」
「ああ。そんで人間を丸呑みにしちまうんだ。子供だけじゃなく、大人もな。不思議だよな。胴体も無いのに、喰われた人間は何処にいくんだろうな?まあどうせ、誰かが作った、空想上の作り話……」
「しっ!静かに……。何か聞こえませんか?」
わいわいと見たことのない、不思議な化け物話で盛り上がっていたところ、不意にベイドが片手で皆を制した。
しん、と静まった空気の中から聞こえてきたのは、風が葦をくすぐる、さわさわという小さな擦れた音。
そこに時折、この場には似つかわしくない、妙な音が混じっていた。
「……これ、赤ん坊の、泣き声?」
それは確かに、小さな赤子が何かを求めて泣きじゃくる声に聞こえた。
そして更には、それをあやすかのように、美しい声の子守唄が、赤子の泣き声に被さるように響いてくる。
それは、普通の国であれば大して気にする必要の無い物だが、しかしここは亡国。
まして、今しがた怪談話をしていた状況に近いとあれば、警戒しないわけにはいかない。
それらの声は、徐々にこちらへ近付きつつある。
「これって、まさか……本当に、いたの?」
葦がだいぶ伸びているとはいえ、見晴らしの良い場所だ。
このまま待っていれば、直にその姿を見る事が出来るだろう。
「面白え。噂通りの化け物かどうか、この目で確かめてやる」
不思議と、この場から離れるという選択肢は、浮かんでこない。
噂は本当なのか。
それを確かめるという好奇心の方が、断然と上回っている。
固唾を呑んで待っていると、やがて葦が大きく揺れ、その奥から、長い髪をだらりと伸ばした女の頭が見えた。
その女はとてもゆっくりとした足取りで、呟くように子守唄を歌いながら、だんだんこちらに近付いてくる。
「綺麗な声。あれが、ラミア?」
「さあ?足元が見えないから、何とも……」
女の下半身は葦に隠されていてよく見えない。
しかし、よくよく観察していると、その歩き方に違和感を覚えてくる。
彼女はゆっくり、本当にゆっくりと近付いて来ているのにも関わらず、まるで地を這っているかのように、頭がほとんど揺れないのだ。
そして、その背後から時折見える物が、蛇の尾だと理解するのに、さほど時間はかからなかった。
そして、彼女が口ずさんでいる歌は、恐ろしい言葉を紡いでいた。
「可愛く、愛しい、私の坊や。ずぅっと側にいておくれ。その瞳は私を映し、その口で微笑み、その手で私を握り、その足で私の元へ。ずうっと離れないよう、私の腹に、いておくれ」
「……っ!?」
その言葉が耳に届いた瞬間、シェアトは今まで以上に身震いし、反射的に一歩後退る。
「あいつがラミアだとしたら、俺が話していたトウテツは、あれってことになるな」
グラフィアスは武器を抜き払い、ラミアの腕の中で泣き続けている物を見る。
それは一瞬見ただけなら、生まれたての赤子と見間違えそうな大きさだが、その形状は見るもおぞましい物だった。
性質はスライム状でドロドロとしており、ラミアの手から零れ落ちる身体の一部がボトボトと葦に触れる度、ひどい悪臭と淀んだ煙が沸き立つ。
そもそもあれを身体と表現していいのかも怪しく、口らしき穴と、鈍く光る目らしき物が、丸いスライム状の塊の中に埋もれると、そことはまた違った場所から現れている。
「…ギャア!ッギャァアアア!!」
肉体からトウテツの口が出てくる度に、鼓膜を突き破るような騒音が響き渡る。
「っく。こ、の……黙れ!」
グラフィアスが大剣を振り上げまっぷたつに斬り捨てるが、スライム状のトウテツはともかくとして、ラミアまでもが無傷で、何事も無かったかのように迫ってくる。
「何で?一体どういう事?」
耳を塞いだままシェアトが叫ぶが、その答えを知る者は誰もいない。
「とにかく、ここを離れましょう」
「祠に繋がる峰はあっちだよ!」
ベイドとアウラも負けじと叫び、一行は全速力でその場から離れる。
もちろんラミアも追ってきて、その差はなかなか広がらない。
「あそこだよ!」
アウラが指差した先、峰と峰の間に空洞があるが、太い木の根が降りてきていて、人々の侵入を拒んでいた。
「俺がやるよ。朔春宵!」
ルクバットが円月輪をそこに向かって投げ、中に入れる程度に根っこを切り裂く。
「よし、ここなら……?」
峰の間に滑り込みざま振り向くが、そこに怪物達の姿は無く、歌声も、泣き声も聞こえなくなっていた。
「すぐそこまで追ってきていたはずなのに、何処に行ったんでしょう?」
フォーマルハウトが不思議そうに言い、念の為にグラフィアスが外へ出て辺りを伺うが、やはり何処にもいない。
皆が外に気を取られている間、アウラとルクバットは、中から聞こえる囁きを聞いていた。
「あれは風の噂による幻。あなた達が作り上げた、幻想です」
「風の、噂?」
「アウラ、この声」
「うん……」
この優しい声には、二人とも聞き覚えがあった。
声は更に皆を誘う。
「祠はこの先にあります。ゆっくりとおいでなさい。歓迎の準備は、整っていますよ」
「どうしました?二人とも」
風の声を聞けないシェアトがそう尋ねるが、アウラは首を左右に振り、ゆっくりと歩き出した。
「ううん。みんな行こう。あの化け物は、もう出てこないから。この先の祠で、皆が待ってる」
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