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転の流星
両翼の風
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アウラが船を離れてから、風の攻撃は更に苛烈さを増していった。
「前方に積乱雲が発生!中は雷の嵐です。至急回避を」
「ダメだ!風の抵抗が強すぎて進路を変更出来ない。このまま突入する。皆、衝撃に耐えてくれ!」
言われて直ぐ、地震と見紛う衝撃が船を襲う。
「ルク君、グラフィアス!外は危険すぎるわ!一度中に戻って」
シェアトが通信機を通してそう叫ぶが、返ってきた言葉は、全員を更に震撼させた。
「無理だ。今戻ったら、確実にこの船はやられる。招かれざる客のお出ましだ」
「……う、そ?」
通信機と、船外から猛々しい雄叫びが聞こえてきたのは、ほぼ同時だった。
†
風の中を、アウラはひたすら進み続けた。
その中心、王都ゼフィールに向かって。
その警備の最前線に立っているであろう、
右翼隊近衛師団長、エラルドを探して。
中心に向かえば向かう程、視界はどんどん悪くなり、東風で己が身を守り、ただ風の流れに乗っているだけとはいえ、こう視界が悪いと方向感覚すら失われていく。
風に混じって近衛師団の確固たる意志、時折響いてくる鈍い唸り声が耳に入ってくるだけで、残りの感覚も徐々に麻痺していくようだ。
……この感じ、前にも一度あった気がする。
自分は今、目を開けているのか、それとも閉じているのか。
それすらも分からない状況の中で、意識だけがはっきりとしている。
確かあの時は、誰かの声がしたんだっけ。……フェディックス語で、あの夢の中で聞いたのと同じ声。
あれは、私……?私の中の、蒼龍?それとも、別の……。
「……」
「っ!誰?」
暗闇の中、今までとは違う何かを感じ取り、その場に留まる。
勢いのある風の流れを、己の風で完全に制御して、ある一点に意識を集中させる。
「……また聞こえた」
それは、今まで流れてきていた、固定された意志とは異なる、もっと柔らかで、それでいて強固な声だ。
「……エル?……うっ」
半ば確信を持って、その風に呼び掛ける。
それと同時に、正面から突風からやってくる。
踏ん張っていないと吹き飛ばされてしまいそうな勢いなのに、それには不思議と恐怖心は抱かず、アウラはただ静かに、吹き抜けていく風を受け止める。
やがて風の勢いは和らぎ、完全に止んだ時、アウラはゆっくりと目を開け、にこりと微笑んだ。
「やっと会えたね。エル」
彼女の前には、誰もいない。
あるのは、風に踊って人物を形作る木の葉や木々。
それが恭しく、アウラに一礼した。
「お帰りなさいませ、アウラ様。我々一同、貴女様の御帰還を、どれだけ待ちわびた事か。とても、ご立派になられましたね」
風を纏ったアウラの親友にして、グルミウム王国最強の盾、右翼隊近衛師団長エラルドが、目の前で微笑む。
彼女の姿はどこにも無い。
ただ、彼女の風を肌で感じるのみ。
それが、エラルドはもう、この世に存在していないという事実を告げていたが、今のアウラにはそれを悲しむ時間も、久しぶりの再会を喜んでいる余裕すらも無い。
「エル、私達をグルミウムに入れて。これ以上、あの船を傷付けないで。大切な仲間が乗っているし、ルクバットだっているんだよ」
「……ルクバット」
エラルドの、息を呑む声がし、何かを考えているのか、暫く沈黙が降りる。
「あの子は、立派になりましたか?貴女のお役に、立っていますでしょうか?」
迷った挙げ句、そう聞いてきた。
それは母親としての質問ではなく、師団長としての質問だった。
他にもっと聞きたい事があるはずなのに、ここでは聞き難いのだろう。
今のアウラでは、ルクバットがどのように成長したのかは分からないが、この短い旅の中で、どれだけ世話になったかは伝えられる。
「うん。ここに来れたのも、ルクバットのおかげだよ。だからお願い、皆を中に入れて。これ以上、誰も傷付けないで」
「なりません、師団長!」
突如、エラルド以外の風が唸りを挙げた。
他の師団兵だ。
「師団長、あれは危険です。空を飛ぶ船だなんて、もし今侵入を許せば、後続が必ずやってきます」
「潰しておくべきです。それにあれには、我等の仇敵も乗っています!信用なりません」
「きゅうてきって、グラフィアスの事?あの人なら大丈夫だよ。確かにちょっと乱暴だけど、ここまで一緒に来れたんだもん」
兵士達にそう呼び掛けるが、彼らはアウラの言葉に耳を貸してはくれなかった。
「姫様は騙されているのです。自分は確かに聞きました。あの男が姫様に殺すと発言していたのを」
「そんなのいつもの事だよ。気にする必要なんてないよ」
「いつもですと?おのれポエニーキス!どこまで我々を貶めれば気が済むのか!師団長!我々も攻撃に転じましょう」
「ダメだよ!エル、お願いみんなを止めて!」
兵士達の怒号に混じってエラルドにそう懇願すると、彼女はほんの少し黙った後、師団長として部下に命令を下す。
「全兵に次ぐ。直ちにあの船への攻撃を中止せよ」
「師団長!」
「これは命令だ。従わない者は、王国への反逆と見なし、魂ごと誅殺する」
有無を言わせない命令で、師団兵達は不満をかかえながらもようやく沈黙する。
「……師団長。我々右翼隊は、貴女の部下です。ですから、命令とあればそれに従いましょう。ですが、左翼隊は違います。全線で交戦しているのは彼らです。左翼隊を止めなければ、このままでは……」
「私が彼らと話をつけてきます。皆はここで待機し、引き続き、あの船以外の侵入を阻止しなさい」
「了解しました!」
手際良く指示を出したエラルドは、再びアウラと向き合う。
「お待たせしました。さあ、それでは参りましょう、アウラ様。どうぞ、私にお乗り下さい」
「うん!」
喜び、エラルドに飛び付くと、温かく、懐かしい彼女の風に包まれ、
「最速で向かいます。しっかりと掴まっていてください!」
言うが早いか、エラルドはアウラが流れてきた嵐の道を、何物よりも早く逆走していく。
相変わらずの暗闇の中で正直よく分からないが、最速と言うだけあって、どこまでいっても何の声も耳に届かず、それでいてアウラに速度の影響を与えない安定感は抜群だ。
「こうやってエルに飛んでもらうの、久しぶりだね」
「今までとは随分と勝手は違いますが、陛下に秘密なのは今まで通りお願いしますよ?」
「あはは、分かってるって」
おどけるエラルドに、アウラは笑って返事をする。
エラルドには、何度も空中散歩に連れて行ってもらっている。
それは父王ヴァーユには秘密であり、見つかった時は二人してこっぴどく叱られたものだ。
「父さまのお説教、長いもんね」
「それだけ貴女を大切に想っている証拠なんですが、もう少し私を信用してほしいものです」
「ほんとだよ。エルが私を落とすわけないのにね?」
暫くの間二人は、そんな他愛の無い会話を楽しんだ。
そこには、まるで昔の時が戻ってきたかのような平穏があった。
しかしそれは過去の物。
ややあって、アウラが話を現実に戻した。
「ねえ、エル。船を攻撃しているのは、左翼隊の近衛師団だって言ってたよね?なら、シグマもあそこに……?」
「あの事件以来会っていませんが、おそらくそうでしょう。だからこそ心配でもあり、安心してもいます」
エラルドの声には、不安と安堵の声が入り混じっていた。
シグマとは、左翼隊の近衛師団長で、エラルドとほぼ互角の力を持つ、王国の剣。
近衛師団以外に師団は五つあるが、右翼隊と左翼隊に力量的な差は無く、右翼隊は国内を護り、左翼隊は国外を護る、という役割分担をしている。
強いて言うなら、左翼隊の方が血の気の多い者が集まっているくらいだ。
それらを纏めあげているのがエラルドとシグマ、そしてその頂点に父王ヴァーユが君臨して、風の王国の軍事力は成り立っている。
「シグマは、あの左翼隊を纏めているだけあって、厳しい人間です。裏切り者は決して赦さない」
「裏切り者って……まさか、ルクバットの事じゃないよね?」
エラルドは、肯定も否定もせず、ただ沈黙する。
「そんな!ありえないよ。だってルクバットはシグマの……」
「自分の息子だからこそ、彼は容赦しません。ですが……」
エラルドの声は、何故か安堵と絶対の自信に満ちている。
その理由は、次の言葉でようやく理解する。
「ルクバットは、私の自慢の息子でもあります。そんな子が、彼の妨害程度で、簡単にへこたれる筈がありません」
「前方に積乱雲が発生!中は雷の嵐です。至急回避を」
「ダメだ!風の抵抗が強すぎて進路を変更出来ない。このまま突入する。皆、衝撃に耐えてくれ!」
言われて直ぐ、地震と見紛う衝撃が船を襲う。
「ルク君、グラフィアス!外は危険すぎるわ!一度中に戻って」
シェアトが通信機を通してそう叫ぶが、返ってきた言葉は、全員を更に震撼させた。
「無理だ。今戻ったら、確実にこの船はやられる。招かれざる客のお出ましだ」
「……う、そ?」
通信機と、船外から猛々しい雄叫びが聞こえてきたのは、ほぼ同時だった。
†
風の中を、アウラはひたすら進み続けた。
その中心、王都ゼフィールに向かって。
その警備の最前線に立っているであろう、
右翼隊近衛師団長、エラルドを探して。
中心に向かえば向かう程、視界はどんどん悪くなり、東風で己が身を守り、ただ風の流れに乗っているだけとはいえ、こう視界が悪いと方向感覚すら失われていく。
風に混じって近衛師団の確固たる意志、時折響いてくる鈍い唸り声が耳に入ってくるだけで、残りの感覚も徐々に麻痺していくようだ。
……この感じ、前にも一度あった気がする。
自分は今、目を開けているのか、それとも閉じているのか。
それすらも分からない状況の中で、意識だけがはっきりとしている。
確かあの時は、誰かの声がしたんだっけ。……フェディックス語で、あの夢の中で聞いたのと同じ声。
あれは、私……?私の中の、蒼龍?それとも、別の……。
「……」
「っ!誰?」
暗闇の中、今までとは違う何かを感じ取り、その場に留まる。
勢いのある風の流れを、己の風で完全に制御して、ある一点に意識を集中させる。
「……また聞こえた」
それは、今まで流れてきていた、固定された意志とは異なる、もっと柔らかで、それでいて強固な声だ。
「……エル?……うっ」
半ば確信を持って、その風に呼び掛ける。
それと同時に、正面から突風からやってくる。
踏ん張っていないと吹き飛ばされてしまいそうな勢いなのに、それには不思議と恐怖心は抱かず、アウラはただ静かに、吹き抜けていく風を受け止める。
やがて風の勢いは和らぎ、完全に止んだ時、アウラはゆっくりと目を開け、にこりと微笑んだ。
「やっと会えたね。エル」
彼女の前には、誰もいない。
あるのは、風に踊って人物を形作る木の葉や木々。
それが恭しく、アウラに一礼した。
「お帰りなさいませ、アウラ様。我々一同、貴女様の御帰還を、どれだけ待ちわびた事か。とても、ご立派になられましたね」
風を纏ったアウラの親友にして、グルミウム王国最強の盾、右翼隊近衛師団長エラルドが、目の前で微笑む。
彼女の姿はどこにも無い。
ただ、彼女の風を肌で感じるのみ。
それが、エラルドはもう、この世に存在していないという事実を告げていたが、今のアウラにはそれを悲しむ時間も、久しぶりの再会を喜んでいる余裕すらも無い。
「エル、私達をグルミウムに入れて。これ以上、あの船を傷付けないで。大切な仲間が乗っているし、ルクバットだっているんだよ」
「……ルクバット」
エラルドの、息を呑む声がし、何かを考えているのか、暫く沈黙が降りる。
「あの子は、立派になりましたか?貴女のお役に、立っていますでしょうか?」
迷った挙げ句、そう聞いてきた。
それは母親としての質問ではなく、師団長としての質問だった。
他にもっと聞きたい事があるはずなのに、ここでは聞き難いのだろう。
今のアウラでは、ルクバットがどのように成長したのかは分からないが、この短い旅の中で、どれだけ世話になったかは伝えられる。
「うん。ここに来れたのも、ルクバットのおかげだよ。だからお願い、皆を中に入れて。これ以上、誰も傷付けないで」
「なりません、師団長!」
突如、エラルド以外の風が唸りを挙げた。
他の師団兵だ。
「師団長、あれは危険です。空を飛ぶ船だなんて、もし今侵入を許せば、後続が必ずやってきます」
「潰しておくべきです。それにあれには、我等の仇敵も乗っています!信用なりません」
「きゅうてきって、グラフィアスの事?あの人なら大丈夫だよ。確かにちょっと乱暴だけど、ここまで一緒に来れたんだもん」
兵士達にそう呼び掛けるが、彼らはアウラの言葉に耳を貸してはくれなかった。
「姫様は騙されているのです。自分は確かに聞きました。あの男が姫様に殺すと発言していたのを」
「そんなのいつもの事だよ。気にする必要なんてないよ」
「いつもですと?おのれポエニーキス!どこまで我々を貶めれば気が済むのか!師団長!我々も攻撃に転じましょう」
「ダメだよ!エル、お願いみんなを止めて!」
兵士達の怒号に混じってエラルドにそう懇願すると、彼女はほんの少し黙った後、師団長として部下に命令を下す。
「全兵に次ぐ。直ちにあの船への攻撃を中止せよ」
「師団長!」
「これは命令だ。従わない者は、王国への反逆と見なし、魂ごと誅殺する」
有無を言わせない命令で、師団兵達は不満をかかえながらもようやく沈黙する。
「……師団長。我々右翼隊は、貴女の部下です。ですから、命令とあればそれに従いましょう。ですが、左翼隊は違います。全線で交戦しているのは彼らです。左翼隊を止めなければ、このままでは……」
「私が彼らと話をつけてきます。皆はここで待機し、引き続き、あの船以外の侵入を阻止しなさい」
「了解しました!」
手際良く指示を出したエラルドは、再びアウラと向き合う。
「お待たせしました。さあ、それでは参りましょう、アウラ様。どうぞ、私にお乗り下さい」
「うん!」
喜び、エラルドに飛び付くと、温かく、懐かしい彼女の風に包まれ、
「最速で向かいます。しっかりと掴まっていてください!」
言うが早いか、エラルドはアウラが流れてきた嵐の道を、何物よりも早く逆走していく。
相変わらずの暗闇の中で正直よく分からないが、最速と言うだけあって、どこまでいっても何の声も耳に届かず、それでいてアウラに速度の影響を与えない安定感は抜群だ。
「こうやってエルに飛んでもらうの、久しぶりだね」
「今までとは随分と勝手は違いますが、陛下に秘密なのは今まで通りお願いしますよ?」
「あはは、分かってるって」
おどけるエラルドに、アウラは笑って返事をする。
エラルドには、何度も空中散歩に連れて行ってもらっている。
それは父王ヴァーユには秘密であり、見つかった時は二人してこっぴどく叱られたものだ。
「父さまのお説教、長いもんね」
「それだけ貴女を大切に想っている証拠なんですが、もう少し私を信用してほしいものです」
「ほんとだよ。エルが私を落とすわけないのにね?」
暫くの間二人は、そんな他愛の無い会話を楽しんだ。
そこには、まるで昔の時が戻ってきたかのような平穏があった。
しかしそれは過去の物。
ややあって、アウラが話を現実に戻した。
「ねえ、エル。船を攻撃しているのは、左翼隊の近衛師団だって言ってたよね?なら、シグマもあそこに……?」
「あの事件以来会っていませんが、おそらくそうでしょう。だからこそ心配でもあり、安心してもいます」
エラルドの声には、不安と安堵の声が入り混じっていた。
シグマとは、左翼隊の近衛師団長で、エラルドとほぼ互角の力を持つ、王国の剣。
近衛師団以外に師団は五つあるが、右翼隊と左翼隊に力量的な差は無く、右翼隊は国内を護り、左翼隊は国外を護る、という役割分担をしている。
強いて言うなら、左翼隊の方が血の気の多い者が集まっているくらいだ。
それらを纏めあげているのがエラルドとシグマ、そしてその頂点に父王ヴァーユが君臨して、風の王国の軍事力は成り立っている。
「シグマは、あの左翼隊を纏めているだけあって、厳しい人間です。裏切り者は決して赦さない」
「裏切り者って……まさか、ルクバットの事じゃないよね?」
エラルドは、肯定も否定もせず、ただ沈黙する。
「そんな!ありえないよ。だってルクバットはシグマの……」
「自分の息子だからこそ、彼は容赦しません。ですが……」
エラルドの声は、何故か安堵と絶対の自信に満ちている。
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