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転の流星
草木愛ずる王女
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アウラの記憶回復を待ちつつ、東端の港町ネティックスへ向かう一行。
その間アウラは、食事と寝る時以外のほとんどを風の声を聞く訓練に充てていた。
本来なら春を迎えてからエラルドによる指導が始まる予定だったアウラにとって、何をどうすれば聞こえるようになるかなど分かるわけが無かったが、それでも皆の期待に応えようと必死に努力をした。
『訓練といっても、大したことは行いません。ただ、自分の身を風に委ねるだけです』
以前、風の声を聞くにはどうしたら良いのかとエラルドに尋ねた時、彼女はそう答えた。
その時は上手く誤魔化されたように感じていたが、今思えばあれは、本当に正解を教えてくれていたように思う。
エルはいつも、分からないことはちゃんと教えてくれたもんね。風に身をゆだねる、か。……ゆだねる?
うん?と大きく首を傾げる。
ゆだねるとは、どういう意味なのだろう?
アウラは、隣を歩くシェアトに問いかける。
「ねえ、シェアト。身をゆだねるって、どういう意味?」
「え?どうしたんですか、突然」
唐突すぎる質問のせいで、逆に質問される。
「うん。前にエルがね、風の声を聞くには、自分の身を、風にゆだねればいいって言ってたんだけど、意味が分からなくて」
「そうなんですか。……うーん、委ねるっていうのは、相手に全てを任せるって事なんですけど、今回はその相手が風だから、その風の吹くまま、逆らわない、って事になるのかな?ルク君」
言葉自体は説明出来ても、風使いではないシェアトでは具体的な方法は教えてあげる事が出来ないので、アウラと同じく風使いのルクバットに助けを求める。
そのルクバットは意外とあっさりと頷いた。
「うん。それで合ってると思うよ。前にアウラが同じ事言ってたし」
「あれ?ルクバット、風の声聞けるんだっけ?」
アウラの問をルクバットは「まっさかー」と笑って否定する。
「俺が聞けてたら、アウラがそんな苦労する必要無いじゃん。俺、まだ一人で空も飛べない半人前だもん」
確かに、ルクバットが風の声を聞く事が出来るのなら、彼がグルミウムを覆う風と交渉すれば良いのだから、アウラが必死に記憶を取り戻そうとする必要は無い。
「だよね……。それじゃ、一緒に頑張ろうね!」
「うん!よーし……で、何するの?」
元気よく返事はしたものの、ルクバットもどうすれば良いのか分かっていないようだ。
結局、大したヒントは得られず、アウラは再び考え出す。
風に身を委ねる。風の吹くままにする、か……。
「うーん……。あ、そっか。浮けば良いんだ」
閃いた!とばかりに顔を輝かせる。
「浮く?」
「うん!風に身を委ねるんなら、やっぱり浮いてる方が良いよ。ルクバットもやろ!」
言うが早いか、アウラはそのまま足を地から離し、シェアトの頭二つ分程上空まで浮き上がる。
「へへ。これは得意なんだ~。ルクバットも早くー」
「う、うん」
ぽかんと口を開けているルクバットに笑顔で言うと、彼は若干顔を強張らせて、慎重に浮き上がる、と思った矢先、
「―うわぁっ!?」
そのまま弾けるように空高く飛び上がり、無茶苦茶に空を飛び回り始めた。
「やっぱり俺、まだ飛べないよー!誰か助けてー!」
「……うん?何やってんだ、あいつは」
先を歩いていたグラフィアス達も騒ぎに気付き、空を見上げて呆れ顔をする。
「ど、どうしよう?ルク君ー!とりあえず落ち着いて!」
「ルクバットー!自分で飛ぼうとしたらダメだよ!力抜いて、もうちょっと右で、風を弱めて!」
女性陣は何とか彼を止めようと声を掛けるが、完全に混乱している今のルクバットには全くの無意味だ。
「右ったって……うわっ」
右には行けたものの、アウラが言うように風を弱める事が出来ずにそのまま猛突進する。
そしてその先には、所々に松ノ木が生えた、ほぼ岩肌が剥き出しの崖が立ち並んでいた。
「危ない!」
誰か助けて!
叫ぶのと同時に、心の中でも叫ぶ。
すると、岩肌に生えている松ノ木がざわざわと動き、その細い枝を、ルクバットが突っ込んでくるであろう場所に一斉に伸ばし始めた。
遠くに生えている松ノ木達も、そこまで届かないにしろ、一生懸命にその枝を伸ばしていく。
そうこうしている内にルクバットはもうすぐそこまで迫っていて、
「ぶはっ!」
葉にぶつかる音と、枝が折れる音が重なって鈍い音が響き、ルクバットはその中に埋もれてようやく止まった。
「ルクバットー!」
急いで駆け寄ると、辺りは折れた枝や飛び散った葉、衝撃で砕けた小石がごろごろと転がっている。
「ルク君!返事してー!」
シェアトが大声で呼び掛けると、一番損傷の酷い場所がガサガサと動き、へろへろとルクバットが顔を出した。
助かったとはいえ、松の葉があちこちに刺さり、その姿はさながらハリネズミのようだ。
「大丈夫?」
「だいじょうぶ、じゃなーい」
よろよろと歩いてくるルクバットは、身体に刺さっている松を抜きながらそう答える。
「ったく、出来もしない事を格好つけてやろうとするからそうなるんだ。お前は大人しくしとけ」
「へーい」
素直に返事をするルクバットの針を、シェアトやグラフィアス達が手伝って抜いていく。
どうやら無事のようだ。
「良かった」
アウラはほっと一安心し、無残な姿となってしまった松ノ木を見る。
そして近くにあった一振りの枝を拾い上げて呟くように言った。
「ありがとう、おかげで助かったよ。ごめんね、痛かったよね?」
アウラの謝罪に、枝は梢を鳴らして応える。
「僕達なら大丈夫だよ。それより、あの子を上手に助けてあげられなくてゴメンナサイ。僕達は、あまり柔らかくはないから」
「そんな事ないよ。確かにトゲトゲだけど、皆がいなかったら、岩に当たって、もっと酷い怪我をしてたよ。本当に、ありがとう」
アウラの礼に続くように、他の松ノ木達もざわざわと梢を鳴らした。
「こちらこそありがとう。こんな何もない岩場で生まれた僕達が、まさか王女様の役に立てるなんて夢みたいだ」
「そうだよ。それに、そんなに悲しそうな顔をしないで。接ぎ木をすれば、僕達はまた元気になれるから」
「あ、そっか。そうだね」
接ぎ木をすれば元気になれる。
その言葉を受けてアウラはぱっと明るくなり、ふわりと浮かんで立派な松ノ木の元へ近付く。
「この子はどうかな?」
「いいね。前より景色も良さそうだ」
「じゃあ、ここにするね。松ノ木さん。この枝をよろしくね」
アウラが立派な松ノ木にそう声を掛けると、松ノ木は元気良く梢を鳴らす。
「勿論さ。立派だったよ、兄弟。君は僕達の誇りさ」
「ありがとう。仲良くやろうね、兄弟」
二つの松は互いの葉を擦り合わせて挨拶を交わす。
そしてアウラは、立派な松ノ木に、持っている枝を接ぎ木して下に降りた。
「アウラ。あの松、大丈夫だった?」
すっかりいつもの姿に戻ったルクバットが、不安そうな顔をしている。
「うん。接ぎ木をしたから、もう大丈夫だよ」
そう頷くと、ルクバットは笑顔になり、松ノ木に向かって大きく手を振った。
「ありがとー!俺、もっと上手に飛べるよう頑張るからねー!」
「次回からは、周りにもっと注意してくださいね」
「むしろ、教育者がいない間は、お前は飛ぶな」
「あ、グラン兄ひっで!それじゃ俺、空飛べるのまだまだ先になっちゃうじゃんか」
優しく注意するベイドと、冷たくそっけないグラフィアス。
それにルクバットが噛み付くが、まあまあとシェアトやフォーマルハウトが仲介に入る。
そんな彼らのやりとりを見ながら、アウラはもう一度松ノ木を見上げる。
「頑張れ、王女様。僕達の声が聞こえるなら、風ともすぐに友達になれるよ」
さわさわと梢を鳴らして、そう応援してくれる。
「……うん!私、頑張るね」
応えるように頷いて、アウラは皆の輪の中に混じる。
目的地、ネティックスはもうすぐそこだ。
その間アウラは、食事と寝る時以外のほとんどを風の声を聞く訓練に充てていた。
本来なら春を迎えてからエラルドによる指導が始まる予定だったアウラにとって、何をどうすれば聞こえるようになるかなど分かるわけが無かったが、それでも皆の期待に応えようと必死に努力をした。
『訓練といっても、大したことは行いません。ただ、自分の身を風に委ねるだけです』
以前、風の声を聞くにはどうしたら良いのかとエラルドに尋ねた時、彼女はそう答えた。
その時は上手く誤魔化されたように感じていたが、今思えばあれは、本当に正解を教えてくれていたように思う。
エルはいつも、分からないことはちゃんと教えてくれたもんね。風に身をゆだねる、か。……ゆだねる?
うん?と大きく首を傾げる。
ゆだねるとは、どういう意味なのだろう?
アウラは、隣を歩くシェアトに問いかける。
「ねえ、シェアト。身をゆだねるって、どういう意味?」
「え?どうしたんですか、突然」
唐突すぎる質問のせいで、逆に質問される。
「うん。前にエルがね、風の声を聞くには、自分の身を、風にゆだねればいいって言ってたんだけど、意味が分からなくて」
「そうなんですか。……うーん、委ねるっていうのは、相手に全てを任せるって事なんですけど、今回はその相手が風だから、その風の吹くまま、逆らわない、って事になるのかな?ルク君」
言葉自体は説明出来ても、風使いではないシェアトでは具体的な方法は教えてあげる事が出来ないので、アウラと同じく風使いのルクバットに助けを求める。
そのルクバットは意外とあっさりと頷いた。
「うん。それで合ってると思うよ。前にアウラが同じ事言ってたし」
「あれ?ルクバット、風の声聞けるんだっけ?」
アウラの問をルクバットは「まっさかー」と笑って否定する。
「俺が聞けてたら、アウラがそんな苦労する必要無いじゃん。俺、まだ一人で空も飛べない半人前だもん」
確かに、ルクバットが風の声を聞く事が出来るのなら、彼がグルミウムを覆う風と交渉すれば良いのだから、アウラが必死に記憶を取り戻そうとする必要は無い。
「だよね……。それじゃ、一緒に頑張ろうね!」
「うん!よーし……で、何するの?」
元気よく返事はしたものの、ルクバットもどうすれば良いのか分かっていないようだ。
結局、大したヒントは得られず、アウラは再び考え出す。
風に身を委ねる。風の吹くままにする、か……。
「うーん……。あ、そっか。浮けば良いんだ」
閃いた!とばかりに顔を輝かせる。
「浮く?」
「うん!風に身を委ねるんなら、やっぱり浮いてる方が良いよ。ルクバットもやろ!」
言うが早いか、アウラはそのまま足を地から離し、シェアトの頭二つ分程上空まで浮き上がる。
「へへ。これは得意なんだ~。ルクバットも早くー」
「う、うん」
ぽかんと口を開けているルクバットに笑顔で言うと、彼は若干顔を強張らせて、慎重に浮き上がる、と思った矢先、
「―うわぁっ!?」
そのまま弾けるように空高く飛び上がり、無茶苦茶に空を飛び回り始めた。
「やっぱり俺、まだ飛べないよー!誰か助けてー!」
「……うん?何やってんだ、あいつは」
先を歩いていたグラフィアス達も騒ぎに気付き、空を見上げて呆れ顔をする。
「ど、どうしよう?ルク君ー!とりあえず落ち着いて!」
「ルクバットー!自分で飛ぼうとしたらダメだよ!力抜いて、もうちょっと右で、風を弱めて!」
女性陣は何とか彼を止めようと声を掛けるが、完全に混乱している今のルクバットには全くの無意味だ。
「右ったって……うわっ」
右には行けたものの、アウラが言うように風を弱める事が出来ずにそのまま猛突進する。
そしてその先には、所々に松ノ木が生えた、ほぼ岩肌が剥き出しの崖が立ち並んでいた。
「危ない!」
誰か助けて!
叫ぶのと同時に、心の中でも叫ぶ。
すると、岩肌に生えている松ノ木がざわざわと動き、その細い枝を、ルクバットが突っ込んでくるであろう場所に一斉に伸ばし始めた。
遠くに生えている松ノ木達も、そこまで届かないにしろ、一生懸命にその枝を伸ばしていく。
そうこうしている内にルクバットはもうすぐそこまで迫っていて、
「ぶはっ!」
葉にぶつかる音と、枝が折れる音が重なって鈍い音が響き、ルクバットはその中に埋もれてようやく止まった。
「ルクバットー!」
急いで駆け寄ると、辺りは折れた枝や飛び散った葉、衝撃で砕けた小石がごろごろと転がっている。
「ルク君!返事してー!」
シェアトが大声で呼び掛けると、一番損傷の酷い場所がガサガサと動き、へろへろとルクバットが顔を出した。
助かったとはいえ、松の葉があちこちに刺さり、その姿はさながらハリネズミのようだ。
「大丈夫?」
「だいじょうぶ、じゃなーい」
よろよろと歩いてくるルクバットは、身体に刺さっている松を抜きながらそう答える。
「ったく、出来もしない事を格好つけてやろうとするからそうなるんだ。お前は大人しくしとけ」
「へーい」
素直に返事をするルクバットの針を、シェアトやグラフィアス達が手伝って抜いていく。
どうやら無事のようだ。
「良かった」
アウラはほっと一安心し、無残な姿となってしまった松ノ木を見る。
そして近くにあった一振りの枝を拾い上げて呟くように言った。
「ありがとう、おかげで助かったよ。ごめんね、痛かったよね?」
アウラの謝罪に、枝は梢を鳴らして応える。
「僕達なら大丈夫だよ。それより、あの子を上手に助けてあげられなくてゴメンナサイ。僕達は、あまり柔らかくはないから」
「そんな事ないよ。確かにトゲトゲだけど、皆がいなかったら、岩に当たって、もっと酷い怪我をしてたよ。本当に、ありがとう」
アウラの礼に続くように、他の松ノ木達もざわざわと梢を鳴らした。
「こちらこそありがとう。こんな何もない岩場で生まれた僕達が、まさか王女様の役に立てるなんて夢みたいだ」
「そうだよ。それに、そんなに悲しそうな顔をしないで。接ぎ木をすれば、僕達はまた元気になれるから」
「あ、そっか。そうだね」
接ぎ木をすれば元気になれる。
その言葉を受けてアウラはぱっと明るくなり、ふわりと浮かんで立派な松ノ木の元へ近付く。
「この子はどうかな?」
「いいね。前より景色も良さそうだ」
「じゃあ、ここにするね。松ノ木さん。この枝をよろしくね」
アウラが立派な松ノ木にそう声を掛けると、松ノ木は元気良く梢を鳴らす。
「勿論さ。立派だったよ、兄弟。君は僕達の誇りさ」
「ありがとう。仲良くやろうね、兄弟」
二つの松は互いの葉を擦り合わせて挨拶を交わす。
そしてアウラは、立派な松ノ木に、持っている枝を接ぎ木して下に降りた。
「アウラ。あの松、大丈夫だった?」
すっかりいつもの姿に戻ったルクバットが、不安そうな顔をしている。
「うん。接ぎ木をしたから、もう大丈夫だよ」
そう頷くと、ルクバットは笑顔になり、松ノ木に向かって大きく手を振った。
「ありがとー!俺、もっと上手に飛べるよう頑張るからねー!」
「次回からは、周りにもっと注意してくださいね」
「むしろ、教育者がいない間は、お前は飛ぶな」
「あ、グラン兄ひっで!それじゃ俺、空飛べるのまだまだ先になっちゃうじゃんか」
優しく注意するベイドと、冷たくそっけないグラフィアス。
それにルクバットが噛み付くが、まあまあとシェアトやフォーマルハウトが仲介に入る。
そんな彼らのやりとりを見ながら、アウラはもう一度松ノ木を見上げる。
「頑張れ、王女様。僕達の声が聞こえるなら、風ともすぐに友達になれるよ」
さわさわと梢を鳴らして、そう応援してくれる。
「……うん!私、頑張るね」
応えるように頷いて、アウラは皆の輪の中に混じる。
目的地、ネティックスはもうすぐそこだ。
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