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転の流星
全てを統べる場所
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アウラ達の旅に同行しているかのように断続的に降り続けていた鬱陶しい雨も、夏の兆しキャンサーの訪れと、エルタニンが近付くにつれ、段々と弱まっていき、ついには煌々と光り輝く夏の太陽の前にその姿は完全に消え去った。
「ここが、土の天地?」
四カ所設けられているエルタニンの出入口の一つ、白虎の門から入国したアウラは、瞳をきらきらと輝かせながら誰に問うでもなく声を弾ませた。
「ええ。五大国の中で唯一入国審査を必要とせず、かつ全ての物流が集まる世界の中心、世界を統べる天帝様が住まう国、です」
後ろから続いて入国してきたベイドがそう丁寧に説明するが、アウラはそちらに一切目を向けず、国の中を見回している。
「ここが……面白そうな所だね。ん~でも、なんだかこの辺は機械がいっぱいで、雷の帝国とそんなに変わらないね」
「それはここが西区域だからですよ。エルタニンは五つの区域に別れていて、各国の特色が現れているんです。ですから、東区域に行けば、風の王国に縁のある物が見られるはずですよ」
つまらなそうな顔をするアウラにシェアトがそう説明すると、アウラの顔は再び明るくなる。
「本当に?その東区域ってどう行けばいいの?」
「東区域は、ここをずっと真っ直ぐ、中央区域を抜けた先に、蒼龍の石像が見えれば、そこが東区域の入口です」
「わぁっ」
説明し終わるかどうかのうちに、アウラは指さされた方へと一人駆けて行く。
「あ、アウラ様!一人で行っては……」
シェアトの制止も虚しく、アウラの姿はあっと言う間に人混みの中へ紛れて消えてしまう。
「俺が付いていくよ!」
シェアトのすぐ横でルクバットが即座に動き、
「皆は先に協会に行っててー」
と、片手を振りつつ、アウラを追いかけていった。
「やれやれ。長旅の後だというのに、元気なお方だ」
「仕方ないですよ。今の彼女にとって、目に映る物全てが新鮮なんですから。それに、グルミウムの物は今の彼女には心の拠にもなると思いますし」
「ふん。心の拠、ね。だったらむしろ、あいつを行かせるべきじゃなかったかもな」
微笑ましく見送る二人とは違い、グラフィアスだけがそう皮肉そうに笑う。
「え?それ、どういう意味」
「……さあな」
グラフィアスはその質問には答えず、ただ黙ったまま二人を見送った。
†
まっすぐ、まっすぐ。
シェアトに言われたとおり、アウラは脇目もふらず、ただ前だけを見て直進していく。
走り抜ける両脇には、アウラが見たことのない物ばかりが所狭しと陳列されているが、今はただ、グルミウムに縁の物があるという、東区域を目指すのみ。
「……あ!」
しばらくの間走りつづけて軽く息が切れ始めた頃、露天商で作られていた一本道が無くなり、開けているのが見えた。
西区域の終わり、もしくは入口を指し示すかのように、その両脇には象徴的な物が建っている。
「これ、白虎かな?」
石像の為色は無く、実物を見た事も無いが、まず間違いないだろう。
見た目は虎そのものだが、やはり五大聖獣の一頭。
貫禄と威厳があり、今にも動き出しそうだ。
「蒼龍のもあるのかな?」
ここからでは見えないが、東区域の入口にあるであろう、蒼龍の石像を想像しながら再び進む。
今アウラがいる場所は中央区域、この国の心臓部だ。
中央区域に入る前から見えている巨大な塔を中心に、円形を描いている。
間違えて違う区域に入らないよう、出来るだけ真っ直ぐに進みながらその巨大な塔を見上げる。
「おっきいなー。ここに天帝様が住んでいるのかな?」
父から、この世界の神だと教わった存在。
いつかは会えるかもしれなかった人物で、今となってはどうしても会わなければいけない方。
そんな遥か遠い存在を思いながらも、今はまず目的地へと向かう。
……まただ。
塔の周りを半周するまでの間に、同じ軍服を着た人や、武器を携えた屈強な男達と何度もすれ違い、彼等が塔の中へと入っていくのが見える。
男達の中には色は違えど、アウラが持っているのと同じ紋章をぶら下げている者もいる。
バスター協会も、あそこにあるのかな?
「ん?……あ!」
あまりじろじろと見るのも失礼なので視線を元に戻すと、ふいに目的の物がアウラの視界に飛び込んできた。
喜びのあまり、そこまでの道のりを一気に駆け、目の前に立って一際大きな歓声をあげる。
「うわぁ……。蒼龍だ。かっこいいなぁ」
探していた東区域の入口両脇には思った通り、蒼龍をあしらった石像が、こちらを見下ろすように建っていた。
「ここが東くい、き……?」
この先にどんな世界が広がっているのか、期待に胸を膨らませてゆっくりと目線を下ろすと、そこには予想もしていない光景が広がっていた。
西区域や中央区域のそれとは全く異なり、夏もすぐそこだというのに、どんよりと淀んだ、重たい空気が流れている。
何だろう?この気持ち……。
今まで突然やってくる胸の痛みとはまた別の、何とも言えない胸の高鳴りがアウラを支配する。
不安とも、好奇心とも言えない震えが込み上げる中で、ゆっくりと歩を進める。
道並木には他区域と同じように店が並んでいるが、やはり何かが違う。
「……人が、いない」
何軒かを通り過ぎて、ようやくその正体に気付く。
西、中央と比べて、圧倒的に人の往来、店の数が少ないのだ。
人々の表情もどことなく暗く、淀みの原因を作り出しているようだ。
みんな、どうしたんだろう?
その理由が分からないまま道の往来をさ迷い歩いていると、
「アリス様?ボレアリス様じゃないですか?」
自分を、バスターの名前で呼ぶ声がした。
見るとそこには初老の男女がおり、喜びの笑みを浮かべてこちらに向かってくる。
「ああ、やっぱりそうだ。お久しぶりです、よくお帰りになられましたね」
「アリス様達のおかげで、また多くの仲間が帰ってこられました。本当に、ありがとうございます」
「え?あ、いえ……」
意味が分からないまま感謝され、つい返事をするアウラに、二人は更に付け加える。
「そろそろ埋葬が終わります。アリス様も向かわれるのでしたら、花をお分け致しましょう」
「まいそう……?」
「アリスー!」
渡されるままに花を受け取り、聞き慣れない単語を呟くと、またも自分を呼ぶ声がした。
後ろを振り向くと、息を切らしてやってくるルクバットの姿が見えた。
「やっと追いついた。アリス、走るの早すぎ」
他人がいるせいか、ルクバットはアウラの事をアリスと呼ぶ。
「ああ、ルクバット様もお久しぶりです」
「うん、久しぶり。おじさん達はもうお参りに行ったの?」
ルクバットが明るく聞くと、男性はにこやかに答える。
「ええ。新しい仲間を迎えにね」
「そうなんだ。じゃ、俺達も行こ、アリス」
ルクバットに手を引かれ、二人は更に奥へと向かう。
「ねえルクバット。お参りって?あの人達が、まいそうって行ってたけど、この先は何があるの?」
手を引かれたまま気になっていた事を尋ねると、ルクバットは一度立ち止まり、アウラから花束を受け取りながら答えた。
「この先にはね、お墓があるんだよ。グルミウムの人達の」
「……え?」
そのまま後を付いていくと、やがて湿った土の匂いと共に、目の前いっぱいに広がる墓所が見えてきた。
「ここは……」
「皆が眠る場所だよ」
「これ全部、グルミウムの人達なの?……こんなにたくさん……」
あまりの光景に言葉が続かないでいると、墓所内にいた仕官のうちの一人が近付いてきた。
「こんにちは。故人の確認に来られた方ですか?」
「ううん。俺達は、墓所参りに来ただけです」
手にする花を持ち上げて見せると、仕官は一つ頷き持ち場へと戻っていく。
その傍らには、沢山の遺品が並んでおり、その仕官はウサギのぬいぐるみの前に座り込んで何かをしていた。
気になったアウラは彼に近付き覗いてみると、絵を描いていた。
「それ、何をしているの?」
仕官は一度驚いたようにアウラを見、にこりと微笑んだ。
「身元が判明していない方の遺品を描いているんです。埋葬した後も、墓標に名前を刻めるように」
「すごい。そっくりだね」
「ありがとうございます。よし、これで最後かな?」
そう言って仕官はぬいぐるみを拾い上げて立ち上がる。
「あ、待って」
「はい?」
「それ、私にやらせて?」
そう頼んでみると、彼は何を言うでもなく、ぬいぐるみを手渡してくれた。
「どうぞ。僕がお手伝いしますね」
そう言って傍らに立てかけてあった短槍を手に、先を歩いていく。
後をついていくと仕官は少し小高い所で立ち止まり、まだ手を付けていない土が綺麗な場所を示した。
「この辺りはどうですか?ここなら見晴らしも風当たりも良いですし、同年代の方も近くにいます」
言われてちらりと辺りを見回す。
確かに見晴らしも、爽やかに吹く風も気持ちが良い。
「うん。ここにする」
同意すると仕官も頷き、槍の穂先を少しだけ地面に突き刺した。
するとその周りの土が独りでに動き出し、すぐにぬいぐるみが優に入れる程の穴が出来上がる。
アウラはその中にぬいぐるみをそっと寝かせ、土に埋まっていくのをじっと見つめた。
「……いつか、故郷の土に帰れる日が来るといいですね」
ふと、仕官が呟くように言う。
「今、とあるバスターが、風の王国が元の姿に戻れるよう尽力していると聞きます。早く、その人の願いが叶うと良いですね」
私の事だ。……私じゃない、アリスの事。
「……うん」
一言返事をして黙っていると、違う場所に行っていたルクバットがやってきて、共に花を手向けて祈りを捧げ、二人は皆が待つバスター協会へと向かった。
「ここが、土の天地?」
四カ所設けられているエルタニンの出入口の一つ、白虎の門から入国したアウラは、瞳をきらきらと輝かせながら誰に問うでもなく声を弾ませた。
「ええ。五大国の中で唯一入国審査を必要とせず、かつ全ての物流が集まる世界の中心、世界を統べる天帝様が住まう国、です」
後ろから続いて入国してきたベイドがそう丁寧に説明するが、アウラはそちらに一切目を向けず、国の中を見回している。
「ここが……面白そうな所だね。ん~でも、なんだかこの辺は機械がいっぱいで、雷の帝国とそんなに変わらないね」
「それはここが西区域だからですよ。エルタニンは五つの区域に別れていて、各国の特色が現れているんです。ですから、東区域に行けば、風の王国に縁のある物が見られるはずですよ」
つまらなそうな顔をするアウラにシェアトがそう説明すると、アウラの顔は再び明るくなる。
「本当に?その東区域ってどう行けばいいの?」
「東区域は、ここをずっと真っ直ぐ、中央区域を抜けた先に、蒼龍の石像が見えれば、そこが東区域の入口です」
「わぁっ」
説明し終わるかどうかのうちに、アウラは指さされた方へと一人駆けて行く。
「あ、アウラ様!一人で行っては……」
シェアトの制止も虚しく、アウラの姿はあっと言う間に人混みの中へ紛れて消えてしまう。
「俺が付いていくよ!」
シェアトのすぐ横でルクバットが即座に動き、
「皆は先に協会に行っててー」
と、片手を振りつつ、アウラを追いかけていった。
「やれやれ。長旅の後だというのに、元気なお方だ」
「仕方ないですよ。今の彼女にとって、目に映る物全てが新鮮なんですから。それに、グルミウムの物は今の彼女には心の拠にもなると思いますし」
「ふん。心の拠、ね。だったらむしろ、あいつを行かせるべきじゃなかったかもな」
微笑ましく見送る二人とは違い、グラフィアスだけがそう皮肉そうに笑う。
「え?それ、どういう意味」
「……さあな」
グラフィアスはその質問には答えず、ただ黙ったまま二人を見送った。
†
まっすぐ、まっすぐ。
シェアトに言われたとおり、アウラは脇目もふらず、ただ前だけを見て直進していく。
走り抜ける両脇には、アウラが見たことのない物ばかりが所狭しと陳列されているが、今はただ、グルミウムに縁の物があるという、東区域を目指すのみ。
「……あ!」
しばらくの間走りつづけて軽く息が切れ始めた頃、露天商で作られていた一本道が無くなり、開けているのが見えた。
西区域の終わり、もしくは入口を指し示すかのように、その両脇には象徴的な物が建っている。
「これ、白虎かな?」
石像の為色は無く、実物を見た事も無いが、まず間違いないだろう。
見た目は虎そのものだが、やはり五大聖獣の一頭。
貫禄と威厳があり、今にも動き出しそうだ。
「蒼龍のもあるのかな?」
ここからでは見えないが、東区域の入口にあるであろう、蒼龍の石像を想像しながら再び進む。
今アウラがいる場所は中央区域、この国の心臓部だ。
中央区域に入る前から見えている巨大な塔を中心に、円形を描いている。
間違えて違う区域に入らないよう、出来るだけ真っ直ぐに進みながらその巨大な塔を見上げる。
「おっきいなー。ここに天帝様が住んでいるのかな?」
父から、この世界の神だと教わった存在。
いつかは会えるかもしれなかった人物で、今となってはどうしても会わなければいけない方。
そんな遥か遠い存在を思いながらも、今はまず目的地へと向かう。
……まただ。
塔の周りを半周するまでの間に、同じ軍服を着た人や、武器を携えた屈強な男達と何度もすれ違い、彼等が塔の中へと入っていくのが見える。
男達の中には色は違えど、アウラが持っているのと同じ紋章をぶら下げている者もいる。
バスター協会も、あそこにあるのかな?
「ん?……あ!」
あまりじろじろと見るのも失礼なので視線を元に戻すと、ふいに目的の物がアウラの視界に飛び込んできた。
喜びのあまり、そこまでの道のりを一気に駆け、目の前に立って一際大きな歓声をあげる。
「うわぁ……。蒼龍だ。かっこいいなぁ」
探していた東区域の入口両脇には思った通り、蒼龍をあしらった石像が、こちらを見下ろすように建っていた。
「ここが東くい、き……?」
この先にどんな世界が広がっているのか、期待に胸を膨らませてゆっくりと目線を下ろすと、そこには予想もしていない光景が広がっていた。
西区域や中央区域のそれとは全く異なり、夏もすぐそこだというのに、どんよりと淀んだ、重たい空気が流れている。
何だろう?この気持ち……。
今まで突然やってくる胸の痛みとはまた別の、何とも言えない胸の高鳴りがアウラを支配する。
不安とも、好奇心とも言えない震えが込み上げる中で、ゆっくりと歩を進める。
道並木には他区域と同じように店が並んでいるが、やはり何かが違う。
「……人が、いない」
何軒かを通り過ぎて、ようやくその正体に気付く。
西、中央と比べて、圧倒的に人の往来、店の数が少ないのだ。
人々の表情もどことなく暗く、淀みの原因を作り出しているようだ。
みんな、どうしたんだろう?
その理由が分からないまま道の往来をさ迷い歩いていると、
「アリス様?ボレアリス様じゃないですか?」
自分を、バスターの名前で呼ぶ声がした。
見るとそこには初老の男女がおり、喜びの笑みを浮かべてこちらに向かってくる。
「ああ、やっぱりそうだ。お久しぶりです、よくお帰りになられましたね」
「アリス様達のおかげで、また多くの仲間が帰ってこられました。本当に、ありがとうございます」
「え?あ、いえ……」
意味が分からないまま感謝され、つい返事をするアウラに、二人は更に付け加える。
「そろそろ埋葬が終わります。アリス様も向かわれるのでしたら、花をお分け致しましょう」
「まいそう……?」
「アリスー!」
渡されるままに花を受け取り、聞き慣れない単語を呟くと、またも自分を呼ぶ声がした。
後ろを振り向くと、息を切らしてやってくるルクバットの姿が見えた。
「やっと追いついた。アリス、走るの早すぎ」
他人がいるせいか、ルクバットはアウラの事をアリスと呼ぶ。
「ああ、ルクバット様もお久しぶりです」
「うん、久しぶり。おじさん達はもうお参りに行ったの?」
ルクバットが明るく聞くと、男性はにこやかに答える。
「ええ。新しい仲間を迎えにね」
「そうなんだ。じゃ、俺達も行こ、アリス」
ルクバットに手を引かれ、二人は更に奥へと向かう。
「ねえルクバット。お参りって?あの人達が、まいそうって行ってたけど、この先は何があるの?」
手を引かれたまま気になっていた事を尋ねると、ルクバットは一度立ち止まり、アウラから花束を受け取りながら答えた。
「この先にはね、お墓があるんだよ。グルミウムの人達の」
「……え?」
そのまま後を付いていくと、やがて湿った土の匂いと共に、目の前いっぱいに広がる墓所が見えてきた。
「ここは……」
「皆が眠る場所だよ」
「これ全部、グルミウムの人達なの?……こんなにたくさん……」
あまりの光景に言葉が続かないでいると、墓所内にいた仕官のうちの一人が近付いてきた。
「こんにちは。故人の確認に来られた方ですか?」
「ううん。俺達は、墓所参りに来ただけです」
手にする花を持ち上げて見せると、仕官は一つ頷き持ち場へと戻っていく。
その傍らには、沢山の遺品が並んでおり、その仕官はウサギのぬいぐるみの前に座り込んで何かをしていた。
気になったアウラは彼に近付き覗いてみると、絵を描いていた。
「それ、何をしているの?」
仕官は一度驚いたようにアウラを見、にこりと微笑んだ。
「身元が判明していない方の遺品を描いているんです。埋葬した後も、墓標に名前を刻めるように」
「すごい。そっくりだね」
「ありがとうございます。よし、これで最後かな?」
そう言って仕官はぬいぐるみを拾い上げて立ち上がる。
「あ、待って」
「はい?」
「それ、私にやらせて?」
そう頼んでみると、彼は何を言うでもなく、ぬいぐるみを手渡してくれた。
「どうぞ。僕がお手伝いしますね」
そう言って傍らに立てかけてあった短槍を手に、先を歩いていく。
後をついていくと仕官は少し小高い所で立ち止まり、まだ手を付けていない土が綺麗な場所を示した。
「この辺りはどうですか?ここなら見晴らしも風当たりも良いですし、同年代の方も近くにいます」
言われてちらりと辺りを見回す。
確かに見晴らしも、爽やかに吹く風も気持ちが良い。
「うん。ここにする」
同意すると仕官も頷き、槍の穂先を少しだけ地面に突き刺した。
するとその周りの土が独りでに動き出し、すぐにぬいぐるみが優に入れる程の穴が出来上がる。
アウラはその中にぬいぐるみをそっと寝かせ、土に埋まっていくのをじっと見つめた。
「……いつか、故郷の土に帰れる日が来るといいですね」
ふと、仕官が呟くように言う。
「今、とあるバスターが、風の王国が元の姿に戻れるよう尽力していると聞きます。早く、その人の願いが叶うと良いですね」
私の事だ。……私じゃない、アリスの事。
「……うん」
一言返事をして黙っていると、違う場所に行っていたルクバットがやってきて、共に花を手向けて祈りを捧げ、二人は皆が待つバスター協会へと向かった。
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