流星痕

サヤ

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転の流星

陽炎

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 全員で武器屋に向かったものの、結局は全員が全員買いたい物があるという事で自由行動とし、特に買う物のなかったボレアリスは一人先に集合場所で待つ事にした。
 場所は帝都の門前にしていたのだが、今日は石油やらエーテルの匂いが酷く、このままそこに留まっていると気分が悪くなりそうだったので、門兵に言伝を頼んで外に出る事にした。
 門をくぐったちょうどその時、ルクバットが駆けてくるのが見えたので、一緒に緩い坂道を下った先にある一本のもみの木の所まで歩いて行く。
「ねえ、次はどこの国に行くの?」
 ルクバットはボレアリスより少し先を、向かう先に対して背を向けて聞いてきた。
 正直なところ、雷の帝国カメロパダリスでの巡礼があまりにも早く終わった為、ボレアリス自身、はっきりとした目的地を決めていなかった。
「そうだね。土の天地エルタニンの巡礼は必然的に最後になるから、あとは風の王国グルミウム火の帝国ポエニーキスだけど……」
「じゃあ次は火の帝国ポエニーキスだね。ここから近いし」
 口ごもるボレアリスに対して、ルクバットは即答する。
「……そう、なるね」
 火の帝国ポエニーキスか。皇帝は今も変わらずあの男、フラームだな。あいつの顔だけは、忘れもしない!
 風の王国グルミウムが滅ぶきっかけとなった張本人。
 動く森で出会ったローマーの話によれば、彼は今も操獣の技を強化しているという。
 やつの目的が何なのかは分からないけど、私は、やつを目の前にしても、冷静でいられるんだろうか?
 フラームの愉悦に満ちた笑い声を思い出すだけでも、全身を熱い血が駆け巡る思いだが、次に彼と対峙する時はバスターボレアリスとして、冷静でいなければならない。
 悔しいが、皇帝フラームの許可無しでは、国を取り戻す事は出来ないのだから。
 そんな不安と苛立ちに抱えながら思案していると、不意にルクバットが本名で話し掛けてきた。
「大丈夫アウラ?もしかして、まだ怖い?」
「……え?」
「だって今、すごく悲しそうな顔をしてたから」
 ルクバットは、あの事件の事はほとんど覚えていない。
 それでもアウラがフラームに対してどのような怒りを抱えているかは理解している。
「大丈夫だよ。ただ、今から向かうとなると真夏になるから、シェアトとかが辛いだろうと思っただけさ」
 そう笑って言うと、
「……アウラ。俺には本当の事を言っても良いんだよ?」
 真剣な眼差しが返ってきた。
 知らない内に、随分と頼もしい存在になっている。
 そう気付けただけで嬉しかった。
「……前見て歩け。そのうち転ぶぞ。それと、呼び方に気をつけろ。誰かいる」
 ルクバットの言葉に返事はせず、もみの木付近に視線を向ける。
 樹齢数百年とある立派なもみの木に、もたれかかって座り込む一人の男。
 見るからに筋肉質な男の周りには何本もの酒瓶が転がっており、本人は眠っているのか、俯いたまま動かない。
 しかし二人が近付いていくと気配に気付いたようで、男はゆっくりと顔を上げた。
 その顔には、見覚えがあった。
「……あんたは」
「よぉ、久しぶりだな。おチビさん」
 褐色の肌に図太い声。
 使い込まれた狼牙棒を支えに立ち上がると、優にボレアリス達を見下ろす長躯。
 恰幅も良く、ボレアリスとルクバットが並んでちょうど同じくらいの幅になる。
 そして、彼の腰には紅蓮の腰布と、バスターの紋章、細身の節刀が携えられている。
 ボレアリスと同じ時期にバスター承認試験を受け、現在はスレイヤーとして活動している火の帝国ポエニーキスの男、レグルス。
 元々嫌いな人物ではあったが、先日の赤竜を操っていた件を境に、嫌悪すべき存在となった。
「聞いたぜ~?お前巡礼に出てるんだってな?無駄な努力をよくやるもんだわ。感心するぜ」
 下品に笑うレグルスは酒臭く、更に不快感が増す。
「……ルクバット、場所を変えよう」
「おいおいおい、ちょっと待てよ。俺はお前に用があってここにいたんだぞ?」
 ルクバットを連れて移動しようとすると、そう呼び止められて、仕方なく振り返る。
「私はお前に用は無い。手短に話せ」
「この間の礼がしたくてよ。それと、頑張ってるお嬢ちゃんにプレゼントを用意したんだ。ほれ、こいつだ」
 そう言ってレグルスは木陰に置いておいた革袋を手に取り、その口を広げた。
 そこから飛び出してきたのは鳥などではなく、一匹の紅く光り輝く者だった。
「ハァイ。初めまして」
 元気に飛びしてきたそれは、軽快にボレアリスやルクバットの顔周りを飛び回る。
 大きさは掌ほどで、背中には深い紅色の羽をもっており、動く度にその羽から赤い光が火の粉のように飛び散っている。
「何これ、シルフ?」
「いや。それにしては見えすぎる。それに色も違う」
「そいつはデジアルつってな。まあ、シルフの親戚みたいなもんだ」
 レグルスは残った酒を飲み干しながら言う。
 名前を呼ばれたデジアルは、ボレアリスの顔の前でにっこりと満面の笑みを浮かべる。
「よろしくね。アナタが、ボレアリス?」
「あ、ああ。……こいつを私にどうしろと?」
 困惑気味に聞くと、レグルスはニヤリと笑った。
「どうもしねーよ。お前はもう、終わりなんだからさ」
「え?」
 レグルスの言葉の真意を知る事なく、
「ふふ。
 妖精が微笑み、ボレアリスの唇に口づけをした瞬間から、世界は色を失った。


     †


 グラフィアスが城門へ向かうと、既にベイドとシェアトが集まっていた。
「あとはあの二人か」
「ううん。二人とも外に出てるみたいだから、グラフィアスが最後だよ」
「そうなのか?……ああ、この臭いのせいか。なら、俺達もさっさと出よう」
 シェアトの言葉を受け、今いる場所の現状を把握し、三人とも足早に城門をくぐる。
 二人が待っているもみの木は、下り坂をまっすぐ降りた先にある。
「おや?二人以外にも、誰かいますね」
「本当ですね。それに、何か光ってる?」
 もみの木付近にはボレアリスとルクバット、見覚えのある体格の良い男、そして赤く明滅する何かが二人の間を飛び交っている。
 何だ?あの赤いのは。それにあの人は……。
「―あっ!?」
 二人といるのは誰なのか。そんな事を考えながら歩いていると、シェアトが小さく悲鳴を上げた。
 ボレアリスが、何の前触れも無く倒れたのだ。
「アリス!?」
「急ぐぞ!」
 異常な状況に緊張が走り、一斉に駆け出す。
 あいつが倒れるなんて、一体何が?
 近くまで行くと、ルクバットの狼狽した声と、男の高笑いが聞こえてくる。
「アリス!しっかりして、アリス!」
「一体何があったんですか?」
「分かんないよ。急に倒れたんだ」
 三人がボレアリスの周りで混乱する中、グラフィアスだけが臨戦態勢で男の前に立つ。
「レグルスさん。やっぱりあんたか」
 その男は、父であるタウケティの戦友でありライバルだった、光の帝国ポエニーキスの元英雄の一人。
「こいつに一体何をしたんだ?……あれは」
 ふと、先程気になっていた赤い光の正体が目に映る。
 紅い羽の妖精……。
「それは、デジアル……。まさか、そいつにのか?」
 呆然と尋ねると、レグルスは悠然と笑う。
「へへ。流石にお前は知ってるか。そう、こいつは記憶を食料として生きる記憶の補食者デジアル。今じゃ絶滅種として、火の帝国ポエニーキスに保護されてるが、案外簡単に連れてこれるもんだな。どうよデジアル?久しぶりの飯の感想はよ?」
 感想を求められたデジアルは、舌なめずりをし、恍惚とした表情を浮かべ一言。
「……さいっこう」
 よほどの美味しさだったのか、デジアルは酔っ払っているかのようにふらふらとレグルスの元へ近付く。
「子供だから量は大した事は無いけど、味わい深い酷があって、クセになりそうな苦味、それを包む甘みはべったりと濃厚で、今まで食したどんな記憶にも勝る食料よ。一体どんな経験をしたら、こんな味が生み出せるのかしら?」
「へへ。そいつぁ良かったなぁ」
「アナタ、何の為にこんな事を?」
 状況を理解したシェアトが、目に涙を湛えて叫ぶ。
「決まってんだろ。そいつをぶっ潰すためよ」
「その為に記憶を奪う必要があるのか?これじゃ、こいつはもう、こいつじゃないんだぞ。あんたにプライドは無いのか?」
「知った事か。要は俺が、そいつに、勝ったという結果が残れば良いんだよ。プライドだなんだで死んでたら意味ねーだろが!」
 こいつ……!
 その一言は、ボレアリスに敗れ死んでいった父、タウケティへの侮辱でもあった。
「お前ら、帝都に戻ってろ」
 グラフィアスは大剣を抜き、静かにそう指示する。
「でも、相手はスレイヤーよ?グラフィアス一人じゃ……」
「お前らがいても邪魔なだけなんだよ!いいからさっさと行け!」
 シェアトの声を遮って叫ぶと、ベイドがシェアトの背中を押し、ボレアリスを背中に背負い連れて行ってくれた。
「なんだ。お前もついに葉っぱなんぞに飼い慣らされちまったか。親子共々、情けねーやつらだぜ」
 呆れたと言わんばかりに首を振り、狼牙棒を肩に担ぐレグルスに対して、グラフィアスは不敵に笑う。
「何言ってんだ。あいつは最初から俺の獲物なんだ。あんたにやる気は一切無い。人の物を横取りしようとしたあんたが悪いんだぜ?手加減はしないからな」
「面白ぇ。お手並み拝見といこうか。来いよ、ボウズ」
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