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猫又②
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しばらくお世話になるので、早起きをして朝食を用意する。これぞ日本の朝食!な献立だ。囲炉裏端でいただく。
「おめぇ日本からの転生者だろう?」
「え!何で、……あ……和食か……」
「俺も此処の生まれじゃねぇからな」
ぼそりと呟いて、それ以上は言及されなかった。
「師匠とお呼びして良いですか?」
「おう!好きに呼んでくれや」
師匠は食後のお茶を啜りながら話し出す。
「略奪のスキルには何が必要だと思う?」
「ん──、……技術とか?」
「必要なのは『人となり』だ。要は気に入られなきゃテイムも略奪もできねぇ。どんなに強力な魔力で無理矢理しても、長くて1年契約出来るかどうかだ。契約を破棄すると従魔は代償を支払う必要がある。代償を払ってでもお前にテイムされたいと思わせる技量が必要だ。 隷従の首輪って言うチートアイテムもあるが、ありゃ良くねぇ。いわば奴隷だ」
奴隷という言葉に、尻尾はピンと立ち、顔を歪めてしまった。
「とりあえず魔獣でも怪物でも妖精でもいい、100種テイムしてみろ。一種一種、性質も性格も全然違ぇからな。そうして己のカリスマ性を磨きあげりゃいい。おめぇの親父なんかは魔獣が好き過ぎて『この人なら大切にしてくれるかも』って魔獣から寄って来たぞ、アレも一種のカリスマだな」
父の様子が目に浮かんで、思わず口元がほころぶ。
「この辺りの山はアジア系の怪物しかいねぇから、他の場所に転移しても良いぞ。転移魔法は使えるか?何処に行ってもわかるように探知魔法もかけたからな」
「ありがとうございます、頑張ってみます」
☆
まずは近場の山中を散策する。
サササササッと草葉をすり抜ける音がして、見返ると人面の大きな土蜘蛛がいた。
気持ち悪かったが、すぐにテイムできた。下級魔獣は念話は出来ないのでそのままテイムできるが、中級以上は念話が出来るので交渉可能だ。
進んでいくと池があり、河童が水浴びをして岸に座り込んでいた。河童は中級だ、話しかけてみよう。
〈初めまして河童さん、唐突でごめんね。僕の従魔になって欲しいんだ〉と丁寧に懇願すると。
〈やーだよ〉と言い捨て、河童は池に飛び込んだ。
ハッハッハッと高笑いが聞こえて振り返ると、師匠が横腹をはたきながらキセルを咥え直して、一服吐き出す。
し、師匠が見てる。このまま諦めるわけにはいかない。
〈河童さ~ん!ゲームしない?〉池に向かって大きな声を出す。
〈何のゲーム?〉河童が水面から顔を出し訊く。
〈水鉄炮を遠くに飛ばしたほうが勝ちだよ!僕が勝ったら従魔になってくれる?〉
〈水鉄炮!?やるやる!……んー、万が一負けたらその時は従魔になるよ〉
水鉄炮のやり方を教えて勝負をする。1本、2本と負け続いて、……最後の5本目も負けた。
…………無理。河童の水かきは高性能過ぎた。涙目の僕を見た河童は。
〈なーんか、面白い奴だから従魔になってやってもいいよ〉フフンと鼻をならす河童。
〈ありがとう~〉と涙、鼻水を垂らしたまま河童に抱きつく。
〈わー!抱きつくなよ、なんか色々つくじゃんよぉー〉
一部始終眺めていた師匠が「おめぇは、お人好し過ぎるな。……なんで魔法をつかわなかった?」
「あっっ!そうか……」バツの悪そうな顔になる。
大きく溜め息をついた師匠は「おめーさんはよぉ、色気もカリスマ性もないが、人の良さだけは随一だ。
お前の武器は『泣き落とし』だな」
え!?それって武器になるの?
「まあ精進しろや」師匠は何処かに消えてしまった。
それから天狗のおじい様と力比べをしたり、神獣白澤様には従魔になるのは戦争が終わるまででいいのでと哀願した。
この山付近のアジア系魔獣は50種に届かず場所を変えて、やっと100種テイム出来た頃には一週間が過ぎていた。
「鑑定」師匠は低い声音で唱えて、難しい顔で確認する。
「ん……、おう!100種確認できたぞ、お疲れさん。これで修行はお終いだ」笑みを浮かべて僕の肩を叩く。
「師匠!一週間お世話になりました」
「おう!漢をあげて来いよ、ネルザンドを頼んだ。俺もこの場所で応戦するぜ」
出立の時、火打石で切り火を切り「ご武運を!」威勢の良い師匠の声が響いた。
そうして僕は茅葺き屋根を後にした。
「おめぇ日本からの転生者だろう?」
「え!何で、……あ……和食か……」
「俺も此処の生まれじゃねぇからな」
ぼそりと呟いて、それ以上は言及されなかった。
「師匠とお呼びして良いですか?」
「おう!好きに呼んでくれや」
師匠は食後のお茶を啜りながら話し出す。
「略奪のスキルには何が必要だと思う?」
「ん──、……技術とか?」
「必要なのは『人となり』だ。要は気に入られなきゃテイムも略奪もできねぇ。どんなに強力な魔力で無理矢理しても、長くて1年契約出来るかどうかだ。契約を破棄すると従魔は代償を支払う必要がある。代償を払ってでもお前にテイムされたいと思わせる技量が必要だ。 隷従の首輪って言うチートアイテムもあるが、ありゃ良くねぇ。いわば奴隷だ」
奴隷という言葉に、尻尾はピンと立ち、顔を歪めてしまった。
「とりあえず魔獣でも怪物でも妖精でもいい、100種テイムしてみろ。一種一種、性質も性格も全然違ぇからな。そうして己のカリスマ性を磨きあげりゃいい。おめぇの親父なんかは魔獣が好き過ぎて『この人なら大切にしてくれるかも』って魔獣から寄って来たぞ、アレも一種のカリスマだな」
父の様子が目に浮かんで、思わず口元がほころぶ。
「この辺りの山はアジア系の怪物しかいねぇから、他の場所に転移しても良いぞ。転移魔法は使えるか?何処に行ってもわかるように探知魔法もかけたからな」
「ありがとうございます、頑張ってみます」
☆
まずは近場の山中を散策する。
サササササッと草葉をすり抜ける音がして、見返ると人面の大きな土蜘蛛がいた。
気持ち悪かったが、すぐにテイムできた。下級魔獣は念話は出来ないのでそのままテイムできるが、中級以上は念話が出来るので交渉可能だ。
進んでいくと池があり、河童が水浴びをして岸に座り込んでいた。河童は中級だ、話しかけてみよう。
〈初めまして河童さん、唐突でごめんね。僕の従魔になって欲しいんだ〉と丁寧に懇願すると。
〈やーだよ〉と言い捨て、河童は池に飛び込んだ。
ハッハッハッと高笑いが聞こえて振り返ると、師匠が横腹をはたきながらキセルを咥え直して、一服吐き出す。
し、師匠が見てる。このまま諦めるわけにはいかない。
〈河童さ~ん!ゲームしない?〉池に向かって大きな声を出す。
〈何のゲーム?〉河童が水面から顔を出し訊く。
〈水鉄炮を遠くに飛ばしたほうが勝ちだよ!僕が勝ったら従魔になってくれる?〉
〈水鉄炮!?やるやる!……んー、万が一負けたらその時は従魔になるよ〉
水鉄炮のやり方を教えて勝負をする。1本、2本と負け続いて、……最後の5本目も負けた。
…………無理。河童の水かきは高性能過ぎた。涙目の僕を見た河童は。
〈なーんか、面白い奴だから従魔になってやってもいいよ〉フフンと鼻をならす河童。
〈ありがとう~〉と涙、鼻水を垂らしたまま河童に抱きつく。
〈わー!抱きつくなよ、なんか色々つくじゃんよぉー〉
一部始終眺めていた師匠が「おめぇは、お人好し過ぎるな。……なんで魔法をつかわなかった?」
「あっっ!そうか……」バツの悪そうな顔になる。
大きく溜め息をついた師匠は「おめーさんはよぉ、色気もカリスマ性もないが、人の良さだけは随一だ。
お前の武器は『泣き落とし』だな」
え!?それって武器になるの?
「まあ精進しろや」師匠は何処かに消えてしまった。
それから天狗のおじい様と力比べをしたり、神獣白澤様には従魔になるのは戦争が終わるまででいいのでと哀願した。
この山付近のアジア系魔獣は50種に届かず場所を変えて、やっと100種テイム出来た頃には一週間が過ぎていた。
「鑑定」師匠は低い声音で唱えて、難しい顔で確認する。
「ん……、おう!100種確認できたぞ、お疲れさん。これで修行はお終いだ」笑みを浮かべて僕の肩を叩く。
「師匠!一週間お世話になりました」
「おう!漢をあげて来いよ、ネルザンドを頼んだ。俺もこの場所で応戦するぜ」
出立の時、火打石で切り火を切り「ご武運を!」威勢の良い師匠の声が響いた。
そうして僕は茅葺き屋根を後にした。
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