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賢者様②★
しおりを挟む これから戦闘だという時に、団員が見ている前で……キス!?
こんな美少女漫画みたいな展開……、いやいや、このまま全滅なんて嫌だ!
意を決してセオの元に駆け寄り、「戦闘前にごめんね」と告げて舌を絡めてディープキスをすると、セオは紺青色の瞳を見開きびっくりしている様子。
その光景を目の当たりにした団員の頬は赤らんでぽうっとしている。
暫くするとセオが構えていた剣に青黒い炎が纏う。
〈あとは団員に攻撃力と防御力を上げるバフ系魔法をかけりゃ良い〉
〈魔法で出来るならキスしなくても良かったじゃん……〉
〈わかってねぇなー、ステータス見てみろ!直接入れたほうが爆上がりなんだよ!〉
そうかもしれないけど……、納得いかない。
〈おい、頭を切り替えろ!〉
〈はい!!〉
「行きます、皆さん宜しくお願いします!」
囮作戦は馬術に優れた団員に同乗させてもらい、ワイバーン達が砂漠地帯で餌が少ないと見込んで、野営で残ったオーク肉の燻製干し肉を紐に結んで匂いで誘き寄せる。
オアシス全体に干し肉の匂いが行き渡るよう風上側からゆっくりと走り抜ける。
すると水飲みや水浴びをしていたワイバーン達が雄叫びをあげてこちらに向かってくる。
そこからは全速力で駆け抜け、岩場にいる仲間達の最後尾まで逃げ込んだ。
団員の皆は「シャーー」「ヴゥーー」と各々威嚇をしている。
ワイバーンが岩場まで着くと、前衛隊が斬り込む、ここでは無理をせず一撃二撃与えられれば上出来、後衛で仕留める算段だ。
後方から戦場を見ると、飛んで上空から攻撃しようとするワイバーン相手でも猫ならではの跳躍力を駆使して岩場に駆け上がりジャンプ攻撃での反撃や猫爪でワイバーンの躯体を駆け上がり目潰し攻撃をする猛者もいた。
生々しい戦場を目のあたりにして、胸焼けするような感覚を覚えた。
セオは後衛の要で、前衛が討ち損ねたワイバーンをほぼ一撃で仕留める。
迷いのない剣筋は青い炎で絵取られ、所作までもが絵になり見惚れてしまった。
そうして最後の一匹をセオが岩場から跳んで剣を振り下ろし射止め、団員は一斉に勝ち鬨を上げる。
「怪我のある方ー、重症者から教えてください」と歩きながら声をかけ治癒魔法を行なった、重症者はいなく怪我も軽い程度で安堵した。
少し休憩後、帰路に向かうことになった。
生きてて良かった……、心弛みしたらどうしても我慢出来なくなり、隣りにいたセオに。
「お願い。今すぐ猫型になって!」と懇願する。
きょとんとした顔になったが、すぐに猫型になってくれた。セオはどんな時も優しい。
気の済むまで撫でで猫吸いをした、この国で猫型を撫でる行為は求愛行動と見られる。視界に入って紅潮する団員もいたが気にしない。
人型でハグするより恥ずかしくない、普通に猫吸いしてるだけ……と自分に言い聞かせる。
戦闘で緊張していたのがわかったのか、猫型のセオは擦り寄って僕の指を舐めたり甘噛みしてくれて、気が休まった。
一行は帰路につく。
☆
保護していた愛猫ミルクの里親が見つかった。人種族の国ポースタルシャからの行商人の御者が飼いたいと申し出てくれたようだ。どんな人物なのか念のため会って直接手渡したくて、馬繋ぎ場に向かった。
ちょうど馬の手入れをしているところだった。声を掛けると、どこか父の雰囲気に似てる温和そうな紳士だった。確認するように。
「猫がお好きなんですね」と言うと。
「子供達が特に大好きで、家に二匹飼っていてもう一匹飼いたいと話をしていたんですよ」
人は嘘をついて動揺すると魔力の揺らぎが見られるが、この御者には見られなかった。馬の手入れも行き届いている、きっと動物好きなのだろう。
籠に入れて連れてきたミルクを蓋を開けて撫でてやると、頭を擦りつけて指先を舐めてくれた。お別れが来たことを察知したのだろうか。
ネルザンドで生きていくと決めたからには、もう普通の猫を飼うことはないだろう。最後に頭と耳の後ろを撫でて「幸せになるんだよ」と小声で伝えて蓋を閉じ御者へ渡した。
御者は蓋を開けて確認すると「ほう、本当に牛のような柄で可愛らしい、きっと子供達も喜びます」と口元を綻ばせた。
「この子を宜しくお願いします」と願いを込めて伝える。
☆
魔石省では設計付与課の仕事も順調で、今はアルノーさんの助手をやっている。加工課にいた実績があるので加工も出来て、魔力も増大にあるので都合が良いのだそう。
助手をしながら設計付与を詳しく教わったり、魔石の扱い方等も丁寧に教えてくれる。気になる魔石素材があれば採取にも行く。
休みの日はイースタンに出向いたりと忙しい日々を送っている。
こんな美少女漫画みたいな展開……、いやいや、このまま全滅なんて嫌だ!
意を決してセオの元に駆け寄り、「戦闘前にごめんね」と告げて舌を絡めてディープキスをすると、セオは紺青色の瞳を見開きびっくりしている様子。
その光景を目の当たりにした団員の頬は赤らんでぽうっとしている。
暫くするとセオが構えていた剣に青黒い炎が纏う。
〈あとは団員に攻撃力と防御力を上げるバフ系魔法をかけりゃ良い〉
〈魔法で出来るならキスしなくても良かったじゃん……〉
〈わかってねぇなー、ステータス見てみろ!直接入れたほうが爆上がりなんだよ!〉
そうかもしれないけど……、納得いかない。
〈おい、頭を切り替えろ!〉
〈はい!!〉
「行きます、皆さん宜しくお願いします!」
囮作戦は馬術に優れた団員に同乗させてもらい、ワイバーン達が砂漠地帯で餌が少ないと見込んで、野営で残ったオーク肉の燻製干し肉を紐に結んで匂いで誘き寄せる。
オアシス全体に干し肉の匂いが行き渡るよう風上側からゆっくりと走り抜ける。
すると水飲みや水浴びをしていたワイバーン達が雄叫びをあげてこちらに向かってくる。
そこからは全速力で駆け抜け、岩場にいる仲間達の最後尾まで逃げ込んだ。
団員の皆は「シャーー」「ヴゥーー」と各々威嚇をしている。
ワイバーンが岩場まで着くと、前衛隊が斬り込む、ここでは無理をせず一撃二撃与えられれば上出来、後衛で仕留める算段だ。
後方から戦場を見ると、飛んで上空から攻撃しようとするワイバーン相手でも猫ならではの跳躍力を駆使して岩場に駆け上がりジャンプ攻撃での反撃や猫爪でワイバーンの躯体を駆け上がり目潰し攻撃をする猛者もいた。
生々しい戦場を目のあたりにして、胸焼けするような感覚を覚えた。
セオは後衛の要で、前衛が討ち損ねたワイバーンをほぼ一撃で仕留める。
迷いのない剣筋は青い炎で絵取られ、所作までもが絵になり見惚れてしまった。
そうして最後の一匹をセオが岩場から跳んで剣を振り下ろし射止め、団員は一斉に勝ち鬨を上げる。
「怪我のある方ー、重症者から教えてください」と歩きながら声をかけ治癒魔法を行なった、重症者はいなく怪我も軽い程度で安堵した。
少し休憩後、帰路に向かうことになった。
生きてて良かった……、心弛みしたらどうしても我慢出来なくなり、隣りにいたセオに。
「お願い。今すぐ猫型になって!」と懇願する。
きょとんとした顔になったが、すぐに猫型になってくれた。セオはどんな時も優しい。
気の済むまで撫でで猫吸いをした、この国で猫型を撫でる行為は求愛行動と見られる。視界に入って紅潮する団員もいたが気にしない。
人型でハグするより恥ずかしくない、普通に猫吸いしてるだけ……と自分に言い聞かせる。
戦闘で緊張していたのがわかったのか、猫型のセオは擦り寄って僕の指を舐めたり甘噛みしてくれて、気が休まった。
一行は帰路につく。
☆
保護していた愛猫ミルクの里親が見つかった。人種族の国ポースタルシャからの行商人の御者が飼いたいと申し出てくれたようだ。どんな人物なのか念のため会って直接手渡したくて、馬繋ぎ場に向かった。
ちょうど馬の手入れをしているところだった。声を掛けると、どこか父の雰囲気に似てる温和そうな紳士だった。確認するように。
「猫がお好きなんですね」と言うと。
「子供達が特に大好きで、家に二匹飼っていてもう一匹飼いたいと話をしていたんですよ」
人は嘘をついて動揺すると魔力の揺らぎが見られるが、この御者には見られなかった。馬の手入れも行き届いている、きっと動物好きなのだろう。
籠に入れて連れてきたミルクを蓋を開けて撫でてやると、頭を擦りつけて指先を舐めてくれた。お別れが来たことを察知したのだろうか。
ネルザンドで生きていくと決めたからには、もう普通の猫を飼うことはないだろう。最後に頭と耳の後ろを撫でて「幸せになるんだよ」と小声で伝えて蓋を閉じ御者へ渡した。
御者は蓋を開けて確認すると「ほう、本当に牛のような柄で可愛らしい、きっと子供達も喜びます」と口元を綻ばせた。
「この子を宜しくお願いします」と願いを込めて伝える。
☆
魔石省では設計付与課の仕事も順調で、今はアルノーさんの助手をやっている。加工課にいた実績があるので加工も出来て、魔力も増大にあるので都合が良いのだそう。
助手をしながら設計付与を詳しく教わったり、魔石の扱い方等も丁寧に教えてくれる。気になる魔石素材があれば採取にも行く。
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