【BL】異世界転移したら猫獣人の国でした〜魔石食べたらチートになりました〜

アベンチュリン

文字の大きさ
上 下
9 / 53

帰還

しおりを挟む
 第一騎士団は北部にあるゾワーブの森での魔獣討伐を終え、馬で帰路についていた。先行隊から報告が入る。

「団長!先行隊より伝令です。我が国の民と思わしき負傷者を発見!指示を待つとのことです」

「わかった、すぐに向かうと伝えてくれ」

 ラファエル一行が、その場所に到着。部下が「団長ご到着です!」と発すると、騎士達の人だかりが受け入るように間を空ける。

 そこには、金色の毛並みの猫のような狐のような獣人がいた。尻尾はふさふさと主張するように揺れている。身体は随分と負傷している様子だ。

「私が連れていく」とラファエル自ら抱き上げ、一度部下に預け、馬に跨ると再び抱き抱える。

 馬はゆっくりと駆ける。

    ☆

 セオに似ているが、どこか甘さがないような匂いがする……。ふ、と目を覚まし仰ぎ見ると、頭上目の前に白虎の獣人がいる。
 その姿を見て、噂でよく聞く第一王子ラファエル様だとわかった。
 精悍な顔立ちで、瞳は碧眼。短髪の前髪は上げて、凛々しい眉を一層引き立てている、毛並みはシルバーに黒のメッシュが入っており、騎士服の上からでもわかるくらい体格も大きく逞しい。思わず見惚れてしまった。
 先程まで道端で倒れていたはずなのに、なぜ抱きかかえられて馬に乗っているんだろう……。

「あ、あの僕はどうして……」

「意識が戻りましたか、私は第一騎士団長ラファエルと申します。遠征の帰路、道すがらに気絶している貴方を見つけ保護致しました」

「そんな高貴なお方にご迷惑をおかけして申し訳ありません」
 
「民を守るのは騎士団の勤めです、どうかお気になさらずに。帝都に戻りましたら病院に行かれますか?」

「いえ、自宅に帰りたいと思います」

「承知しました、無事にご自宅までお送り致しますので、安心してお休みください」

「温かいお心遣い、恐悦至極でございます」

 お言葉に甘えて、少し休んだ。再び目を覚ますと、暮色に包まれた見慣れた景色が広がっていた。
 自宅の場所を伝え、到着すると壊れ物を扱うように、丁寧に馬から下ろしてもらう。

「それではお身体、大事にしてください」と声をかけ、手綱を引くと、馬が嘶いて駆けていった。
 終始、優しく紳士的な方だった。

 無事に帰って来れて安堵したせいか、また血流が活発になって頭がくらくらしてくる。

〈賢者様いますか?この具合の悪いのはどうにかできますか〉

〈おう!呼んだか。そうだなぁ、魔力耐性がないお前が急に大量の魔力を得たせいで、魔力返しが起きているようだ。…………恋人にどうにかして貰え……〉最後の方の言葉はもごもごと言う。

 恋人?……取り敢えず、鷹のアルフォードを口笛で呼びセオドールへの伝言を渡す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

異世界へ下宿屋と共にトリップしたようで。

やの有麻
BL
山に囲まれた小さな村で下宿屋を営んでる倉科 静。29歳で独身。 昨日泊めた外国人を玄関の前で見送り家の中へ入ると、疲労が溜まってたのか急に眠くなり玄関の前で倒れてしまった。そして気付いたら住み慣れた下宿屋と共に異世界へとトリップしてしまったらしい!・・・え?どーゆうこと? 前編・後編・あとがきの3話です。1話7~8千文字。0時に更新。 *ご都合主義で適当に書きました。実際にこんな村はありません。 *フィクションです。感想は受付ますが、法律が~国が~など現実を突き詰めないでください。あくまで私が描いた空想世界です。 *男性出産関連の表現がちょっと入ってます。苦手な方はオススメしません。

小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)

九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。 半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。 そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。 これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。 注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。 *ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)

獅子王と後宮の白虎

三国華子
BL
#2020男子後宮BL 参加作品 間違えて獅子王のハーレムに入ってしまった白虎のお話です。 オメガバースです。 受けがゴリマッチョから細マッチョに変化します。 ムーンライトノベルズ様にて先行公開しております。

恐怖症な王子は異世界から来た時雨に癒やされる

琴葉悠
BL
十六夜時雨は諸事情から橋の上から転落し、川に落ちた。 落ちた川から上がると見知らぬ場所にいて、そこで異世界に来た事を知らされる。 異世界人は良き知らせをもたらす事から王族が庇護する役割を担っており、時雨は庇護されることに。 そこで、検査すると、時雨はDomというダイナミクスの性の一つを持っていて──

三度目の人生は冷酷な獣人王子と結婚することになりましたが、なぜか溺愛されています

倉本縞
BL
エルガー王国の王子アンスフェルムは、これまで二回、獣人族の王子ラーディンに殺されかかっていた。そのたびに時をさかのぼって生き延びたが、三回目を最後に、その魔術も使えなくなってしまう。 今度こそ、ラーディンに殺されない平穏な人生を歩みたい。 そう思ったアンスフェルムは、いっそラーディンの伴侶になろうと、ラーディンの婚約者候補に名乗りを上げる。 ラーディンは野蛮で冷酷な獣人の王子と噂されていたが、婚約者候補となったアンスフェルムを大事にし、不器用な優しさを示してくれる。その姿に、アンスフェルムも徐々に警戒心を解いてゆく。 エルガー王国がラーディンたち獣人族を裏切る未来を知っているアンスフェルムは、なんとかそれを防ごうと努力するが……。

【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜

N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。 表紙絵 ⇨元素 様 X(@10loveeeyy) ※独自設定、ご都合主義です。 ※ハーレム要素を予定しています。

魔王様が子供化したので勇者の俺が責任持って育てたらいつの間にか溺愛されてるみたい

カミヤルイ
BL
顔だけが取り柄の勇者の血を引くジェイミーは、民衆を苦しめていると噂の魔王の討伐を指示され、嫌々家を出た。 ジェイミーの住む村には実害が無い為、噂だけだろうと思っていた魔王は実在し、ジェイミーは為すすべなく倒れそうになる。しかし絶体絶命の瞬間、雷が魔王の身体を貫き、目の前で倒れた。 それでも剣でとどめを刺せない気弱なジェイミーは、魔王の森に来る途中に買った怪しい薬を魔王に使う。 ……あれ?小さくなっちゃった!このまま放っておけないよ! そんなわけで、魔王様が子供化したので子育てスキル0の勇者が連れて帰って育てることになりました。 でも、いろいろありながらも成長していく魔王はなんだかジェイミーへの態度がおかしくて……。 時々シリアスですが、ふわふわんなご都合設定のお話です。 こちらは2021年に創作したものを掲載しています。 初めてのファンタジーで右往左往していたので、設定が甘いですが、ご容赦ください 素敵な表紙は漫画家さんのミミさんにお願いしました。 @Nd1KsPcwB6l90ko

処理中です...