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第弐部-Ⅳ:尼嶺

177.※日向 しおうの日向

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※R18


「しぉ、印、がほしい、」


怖くてお願いしたら、しおうはちょっとだけ困った。

ごめんね。
印をもらうは、寝る時だけの約束なのに、今はまだ夕方。
しおうと僕は番いだけど、まだ婚約も婚姻もすんでないから、せつどを持ってくださいって、いつも叱られる。

でも、うつぎとやまとは部屋を出て行ったから、今日はいいみたい。
しおうもうなずいて、僕の襟のボタンを外してくれた。

「日向、ばんざいな、」

上着を脱いだのに、僕はまだ肌着を着ててしおうは言う。
そうだ、夜は寝巻きだからすぐに印をくれるけど、今日はまだ夕方だから寝巻きじゃない。
お腹のそわそわが大きくなって、おぼろがまた僕を呼んだから、早く早くって焦った。

だから、ばんざいしてしおうが肌着を脱がせたら、しおうが触るより早く、しおうの首にちゅうってする。
ちゅうちゅう吸ってたら、しおうの匂いと味と気配が僕の中に飛び込んできて、おぼろの声を追い払ってくれた。

お風呂上がりだからかな。しおうの首がいつもより柔らかい。
僕はいつも上手に印がつけられないけど、今日はいいかもしれない。夢中で吸ってたら、しおうの首のとこに赤い印がついた。

「…ひな、た、がっつくな。俺の方が やばくなる、」
「しぉが、するは、ぃい、」
「そうだろう、けど、立場が逆だろ。交代な、」

見たら、しおうの紫色の目がうるうるしてて、可愛かった。
真っ赤になって、いつもより息も鼓動も早くて、余裕がないみたい。

その顔をずっと見ていたかった。
なのに、僕の目はまた変なものを見る。嫌だ。
もうかげろうは見たくない。僕が見たいはしおう。
触ってほしいのも、抱っこしてほしいのも、ちゅうをしてほしいのも、全部しおう。

「しぉ、お願い、」

早くほしくて言ったら、しおうの手がくしゃって僕の髪をつかんだ。その手がさわさわ頭を撫でた後、首から背中に降りてくる。印をつけるときにやるしおうの癖。この癖が僕は好き。

しおうのすべすべの肌と違って、僕の肌はざらざら。
おぼろともちづきとさくやとかげろうが、叩いたり、切ったり、焼いたり、投げたりしたから。ご飯が食べれなかったのも、しわしわの原因だって。僕はしおうと同い年なのに、しおうの肌みたいにきれいじゃない。

「日向、俺に集中して。尼嶺に連れてかれるな、」

きれいじゃないのにね。
しおうはいつも宝物みたいに大事になでるから、僕の目の前に出て来たかげろうがぼんやりした。

「痛かったら教えてな、」
「ぅん、」

しおうの顔が胸のところに沈んでいって、ちゅうってする。
最初はくっつくだけのちゅう。ちゅっちゅってしおうの唇が触れると、触れたところがだんだん熱くなって、ぽかぽかする。
僕の肌は鈍くて、自分で触ってもよくわからない。でも、しおうがちゅうをすると、びりびりしたりじんじんしたりするから不思議だった。ふわふわして、すぐにとろとろ。

「ん、ん、」
「日向、声は我慢しなくていい。大丈夫だから、聞かせて、」
「ん、かげ、ろ、がまだ、いる、」
「俺だけ見てな。怖いのは全部吐き出していいから、何も我慢するな、」
「いやだ、さわらない、あっちいって、しおうが、いい、僕は、しおうの、」

ちゅうって、胸のとこが強く吸われて背中がびりびりした。
しおうが印をくれた。しおうの印。
僕はしおうの。かげろうのおもちゃじゃない。

胸に3個、しおうが印をつけたらかげろうがどこかに行った。
もちづきが出てきて、僕のお腹をいじろうとしたけど、しおうがお腹に印をつけて追い払う。
背中も腕も赤い印でいっぱいになって、さくやは手を出せなくなった。

「足も、」
「……脱がせていいの、」
「おぼろが、壊す、」
「壊させないよ、」

僕をソファに転がしてズボンを脱がせたら、しおうは足にも印をくれた。
足の甲にも脛にも膝にも太ももにも付け根にもちゅうをして印をつける。
おぼろが壊した僕の足。傷だらけでガタガタで汚い。上手に歩くもできない役立たず。でもしおうが印をつけて、俺のだ、って言ったら、きれいに見えた。

震えはおさまらなかったけど、蔵が消えて、おぼろも見えなくなる。
そしたら急に息が楽になって、目から涙がボロボロあふれた。
その涙も、俺のだよ、って言ってしおうが全部なめる。僕の顔はべちゃべちゃになったけど、頭から足まで全部しおうのって誰にもわかる気がして、安心した。

ちゃんと、しおうの顔が見える。

しおう、僕のしおう。
僕がどんなに汚くても、怖がりでも、ダメでも、溺れるくらいの好きで包んでくれる。
僕もしおうがいい。しおうが一番好き。


「ちゅうが、ほしい、」
「俺も、」


紫色の目が嬉しそうに笑って、口づけが降ってくる。
息も口の中も熱くて、溶けそうだった。しおうと僕の唇がくっつくのに、本当に溶けてとろとろに混じったみたい。
このまま一緒になったらいいのに。
そうしたら、僕はもうしおうだけのものって、みんなにわかる。

汗をかいたからかな。ひのきの匂いが薄まって、しおうの匂いがする。すんすんしたら、しおうは笑って、そんなに好きか、って聞いた。大好き。
首のとこに僕がつけた赤い印があるね。僕はしおうのだけど、 しおうも僕の。

それから、


「しおう、」
「……ごめん、見逃して、」
「おちんちん、」
「言うな、って。そりゃ勃つよ、日向だもん、」


しおうのズボンのとこが硬くなっててびっくりしたら、しおうはトマトみたいに真っ赤になった。僕の上に被さって首のとこに顔を埋めて、真っ赤なのを隠そうとする。でも、耳が真っ赤。

「しおう、興奮?」
「そうだよ、お前が可愛くて、もう爆発しそう。頼むから、煽らないで、」
「僕、やる?」
「しばらくこうしてたら、落ち着くから……は?」

しおうの声が急に低くなって、ちょっとどきってした。
でも、男の人は興奮したら、おちんちんが勃つって、僕は知ってる。僕は、夢精しかしたことないから分からないけど、興奮した時に射精するのは気持ちがいいんだって。反対に、我慢するのはとても大変。

「しおうの、僕が、やる、」
「え、は、あ?は!?」
「出したら、きもちい、」
「そう、だけど、いや、だって、」
「わかる、口とお尻、でやる、かげろが、やった、」
「日向、」
「おちんちんを、いれたら、きもち、いいって、僕にいれた、やら、ないと、」
「しなくていい!」

大きな声に怒鳴られて、体が跳ねる。
そしたら、しおうの怒ったような泣きだしそうな顔が目の前にあって、またまちがえたってわかった。
しおうはかげろうじゃないのに、僕は何でかかげろうを思い出して、勝手に怖くなる。

「…僕、おかしい?」
「日向が昔のことを思い出すのは仕方ないから、おかしくない。…でも、尼嶺で嫌だったことはもうしなくていい。日向が嫌なことは何もしなくていいんだ、」

ぽろって、しおうの目から涙が落ちて、僕の頬を濡らす。
それが全部僕のためってわかるから、その涙がほしくてぺろぺろ舐めた。
ごめんね。わかるのにまた怖がりになって、しおうを泣かせる。でも、しおうが僕のために泣くがうれしくて、きれい。

「しおうは、嫌、じゃない、」
「日向、」
「好き同士は、まぐわう、って僕は知ってる。僕、しおうが、好き。しおうがいい。さわるのも、いれるのも、全部、しおうが、いい、」
「………っ、」

真っ赤になったり、真っ白になったり、苦しそうになったり、しおうの顔は色々変わった。
その間も涙がほろほろ落ちてきたから、全部舐めて僕のにする。

「……最後までは、しない、」
「何で、」
「今は、日向の体が弱りすぎてて、壊しそうで怖い、」
「僕のせい、」
「日向の怖がりは俺のせいでもあるから、一人で抱えるな。……でも、婚約が済んで、その時、日向が大丈夫だと思ったら、」

日向の全部を貰っていいか、

真っ赤な顔で、でも真剣な顔で、しおうが言った。

「しおうが、全部、もらう?」
「ほしい、日向を抱きたい。日向を全部俺のにしたい、」
「うん、あげる、」

全部、しおうにあげる。

そしたら、しおうはぎゅうって僕を強く抱きしめたから、ぱんぱんのお腹がちょっと苦しかった。
あとやっぱり、しおうのズボンのところが硬くて、僕はどうにかしたい。

だって、これは印。
しおうが僕を大好きで、興奮した印。

「手は、だめ?」
「……本気か、お前、白いのが怖いんじゃないの、」
「しおうは、いい、」
「見たことないくせに、」
「しおうは、全部いい、」
「…………………………じゃあ、俺のやり方でさせて。尼嶺のことは全部忘れて、」

いいよ、って言ったらしおうは一瞬すごい顔になったけど、ちょっと待ってな、って言って服を開く。
僕と違ってすべすべで、筋肉もあるカッコいい体。僕もいつかしおうみたいにお腹がこちこちになりたい。
ズボンから出て来たおちんちんは、大きくて、ちょっと怖かった。でも、しおうが恥ずかしそうな顔をするのを見たら可愛くて、もっと可愛い顔をさせたくなる。

ほとんど裸の僕が一枚だけつけてた下着を脱いだら、しおうの膝に向かい合って座った。
しおうのおちんちんと僕のをこすり合わせて、一緒に気持ち良くするんだって。僕は気持ちよくなるが分からないからいいのに、って思ったけど、しおうがやりたいって言うからそうした。

「怖くないか、」
「しおうの、さわりたい、」
「……本当に平気か、」
「しおうのは、いい、かっこいい、ね、」
「お前…、そういうとこだぞ、」

本当に俺のこと好きすぎるだろう、ってしおうが言うから、うん、って頷く。
しおうは真っ赤になって困ったけど、本当だよ。僕はしおうが好き。

しおうは諦めたみたいに笑って、僕のおでこにちゅうをしたら、しおうと僕のおちんちんを一緒にして大きな手で握る。

「あ、」
「痛いか、」
「痛く、ないけど、びりびり、する、」
「ん、ちゃんと感じるんだな。……日向の手もこっちに持って来れる?」
「ぅ、ん、」

しおうが僕のに触ったら、急に背中がびりびりして驚いた。
体の奥がぞわぞわして、頭から足の指の先まで、ぴんって張りつめた感じがする。見たら、へにゃへにゃだった僕のもだんだん固くなってた。

「しぉの、おっきい、」
「あんまり余裕ないから、煽んないで。こっち、集中して、」

はじめて触ったしおうの。
うんと熱くて、触った手も、重なった僕のも一緒に溶けそうな気がした。

どうしよう。ずっとびりびりが止まらない。
しおうの指が僕の指に絡まって、ちょっと動いただけで、背中がぶるぶるって震えた。怖い時の震えじゃない。ちゅうでとろとろになった時に似てる。でももっとはげしい。

「敏感なとこだから、やさしくな。それで、このまま擦ってみて、」
「あ、あ、ん、」
「日向、声は我慢しなくていい。聞きたい、お願い、」
「やぁ、なんか、へん、あ、」

しおうが手を動かしたら、びりびりもぶるぶるももっと大きくなって体中に広がった。
頭の中が熱くなったと思ったら、星がちかちかする。
座っていられなくてしおうの胸に倒れたら、しおうの大きな手が支えてくれた。でも、息を吸ったらしおうの匂いが飛びこんできて、体も頭ももっと熱くなる。

耳に、しおうのふーふーって息が聞こえた。
しおうも熱い?びりびりする?頭の中がちかちかして、僕で頭がいっぱいになる?
僕はもうしおうしか、わからない。他は何にもない。しおうだけ。

「あ、あ、でちゃ、う、しぉ、こぁ、い、」
「俺も…イキそう、出して、日向。お願い、」
「ぅあ、ん、ふ、あ、あっ、」

体中がびびびってなって、背中が反ったら、僕の先っぽから白いのが出た。
ちょっと遅れてしおうのも震えて僕のお腹にしおうの白いのが出る。

出たら急にびりびりがどっか行って、体中から力が抜けた。
しおうが抱きしめてくれたから膝から落ちなかったけど、しおうもはーはーって息が荒くて、ちょっとくったりしてる。
だからしばらく二人でぼんやりした。
ぼんやりすると、最近の僕は嫌なことばかり思い出すのに、今は頭の中はしおうだけ。

白いの出たね。
僕としおうの。
僕はあれが怖かったのに、不思議。
しおうのは平気。

だって、これは印。
しおうが、僕に興奮した印。
しおうが僕のって、印。

「僕、しおうの、」
「……そうだな、」
「しおうの日向、」
「うん、俺の日向だ、」
「しおうも?」
「うん、日向の紫鷹だよ、」

しおうはぎゅって僕を抱きしめた後、顎を引っ張って、ちゅうをくれた。
紫色の目が、宝石みたいにキラキラしてて、僕の頭を埋めていく。
しおうの匂い、しおうの味、しおうの気配、しおうの紫、しおうの白。全部全部僕の中にいっぱいに広がって、僕をしおうの日向にした。


僕が落ち着いたのを確かめたら、しおうは僕をタオルでくるんだ後、うつぎとやまとを呼ぶ。
2人はちょっと怖い顔になったけど、怒らないでお風呂の支度をしてくれた。
はじめて、しおうと2人でお風呂に入ったよ。

僕の好きなりんごのお風呂。

お風呂を出たら、しおうも僕もりんごの匂いになって、お揃いだった。
同じ匂いがするから、僕たちは一つ。
全部しおうと一緒になったみたいで、すごくすごく安心した。


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