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第弐部-Ⅲ:自覚
138.紫鷹 注がれる愛
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『僕は、しおうのものだから』
そう言った日向は、緩やかに生きることを始めた。
食事の時間には、ゆったりとではあるが自分でスプーンを握って食べたし、夜も昼も眠るのを頑なに拒むことは無くなった。
まだ大好きな図鑑を前にしてもぼうっとしているが、机の前に座って本を開いたり粘土をこねたりする。
庭に連れて行けば、青巫鳥(あおじ)を頭に乗せて草の中を転がった。
少しずつ、少しずつ、日向は俺と生きる道を歩み始めている。
なのになぜか、俺は責められた。
「紫鷹さんばかり、ずるいと思いますよ、」
「ずるいも何も、伴侶になると選んだのは、俺ですし、」
「お母様だって、日向さんが大事です。日向さんは半色乃宮(はしたいろのみや)に嫁いでくるのですから、私の日向さんでもいいのじゃなくて?」
「………僕、すみれこ、さま、の?」
母上がなぜか、水蛟(みずち)のようなことを言うのを、呆れて聞いた。
母上だけでなく、隣の晴海(はるみ)も後ろの水蛟も、何なら俺の護衛も侍従も、日向の護衛も、母上の侍女もみんな頷いているのが、意味がわからない。
そんな母上の膝に頭を乗せて髪を撫でられながら、日向はぼんやりと母上を見ていた。
日向のおやつの時間。
いつものように母上が来ると、日向はそれまで捏ねていた粘土を放り出して、自分から母上の膝を枕にした。
つい昨日までは、母上が来ても、ぼんやりするだけで、自分からは何もできなかった日向だ。
驚いて母上が尋ねると、どうやら眠かったらしく、俺のために昼寝をしないといけないのだと言う。
なら、俺のところに来ればいいものを。
なぜ母上の膝を枕にするのかは、意味がわからなかったが、日向はすぐにうとうとし出したし、母上は心底嬉しそうだったから、俺は何も言えなかった。
それから30分程寝た日向は、俺が母上に責められるところで目を覚ましたが、未だに俺のところに戻ってこないから、不満だった。
「……僕、しおうの、ちがう?」
「ほら、母上が変なことを言うから、日向が混乱するじゃないですか、」
日向の眉間に小さく皺が刻まれる。
まだ感情がうまく出てこなくて、すぐに混乱するのだから、余計なことを言わないでほしい。
日向も日向で、困るような場所にいないで、さっさと俺のところに戻ってくればいい。
だが、母上が膝の上の水色の頭を殊更優しく撫でるものだから、日向は眉間の皺を簡単に解いてしまう。
「しおうさんの日向さんで、構いませんよ。でも、私の日向さんにもなってほしいの。私がお母様で、日向さんは息子。私の息子の日向さんね、」
「………むすこは、何する?」
「そうねえ、母親の仕事は子どもを育てることだから、日向さんがご飯をよく食べてくれることが嬉しいかしら。」
それから、よく寝て、よく遊んで、よく学ぶことね、と母上は言う。こんな風に膝枕をして甘えることも大切ね、と俺を見て言うが、俺はしないぞ。
他には、母上にも日向の服を選ばせてほしいと、言った。日向の服は毎月、俺と水蛟が日向に似合うのはあれだこれだと言い合って選んでいるから、母上は不満だったらしい。そんなことを思っていたのかと、驚いた。
「それで、嬉しかったことや楽しかったことをお話ししてくれるのが、私の息子のすることかしら、」
「………うれしい、は、ない、」
「そう?じゃあ、しおうさんとどんなお話をしたのか、こっそり教えてくれるといいわね。しおうさんは、私にあまりお話しをしてくれないから、」
「………わかった、」
ああ、これで、俺と日向の会話が、母上に筒抜けになるのが決まった。
そもそも侍女も護衛も全部母上に報告するせいで、俺に秘密などあったものではないが、そこに隠し事ができない日向が加わったら、どうにもならない。
何てことを約束してくれたんだ、と思わないでもないが、日向を繋ぐしがらみが増えるのなら、今はいい。
日向は母上の息子だよ。
息子は母親を悲しませることはしちゃいけないし、母上より長く生きなきゃいけない。
俺はしないけど、そうやって母上の膝に甘えて、幸せな子どもになればいい。
「私だって、」
そう割り込んできた水蛟の声には、そうだよなあ、と笑った。
「殿下ばかりずるいと思います。日向様は私のお仕えする大事な方なのに、」
「あらあら、」
「………僕、みずちの?」
「ええ、日向様は私の大事な王子様ですよ。日向様がおられないと、私の毎日の喜びは9割も失われてしまうんですから、元気でいてもらわなければ困ります!」
水蛟が日向を好きなのは公然の事実だが、9割もか。大概だな。
日向の過保護な侍女が、日向のことに名乗りをあげない訳がないので、それには驚きはしない。
初めの頃こそ、過保護な侍女に呆れていたが、今は他の誰より日向の可愛さを分かり合える相手だ。日向の可愛い語彙集なるものを水蛟が作っているのを俺は知っているし、俺は毎月それを読むのを楽しみにもしている。
水蛟は確かに、日向がいないとダメだよ。
本人が言うように、水蛟の頭の中を覗けるなら、9割は日向なのだろう。
日向がいないと発狂して多分すごいことになる。
だから、日向は水蛟のためにも生きなきゃならん。
「日向、起きたなら、おやつ食べな。りんご、すりおろしてもらったから、」
言えば、母上の膝の上で頭を転がしていた日向は、ゆったりと起き上がる。
自分でソファに座って、水蛟の渡したタオルで手を拭き、スプーンを握った。
相変わらず、母上にピッタリとくっついて離れないのは悔しいが、おやつの時間は母上に譲る約束だから仕方ない。
日向がりんごを口に入れると、ちょうど萩花(はぎな)が部屋に入ってきて、日向を囲む席に加わった。
こぼしながらもちゃんと自分の口にスプーンを運ぶ日向を嬉しそうに眺めて、晴海に何の話題だったのかと尋ねる。
「そう言う話でしたら、私は日向様のものなので、日向様が居られないと困りますね、」
お前もか、萩花。
確かにお前は、日向がいないと失業確定だが、正直こういう会話に混じって来るとは思わなかった。
「そうよねえ、日向さんは萩花さんのご主人様だものねえ、」
「……僕?」
「母上、そう言う言い方は語弊があります。…日向は、萩花の主だろ。萩花は、お前を守るのが仕事だから、お前がいないと本気で困るの、」
「東(あずま)も、官兵(かんべ)も、畝見(うなみ)も困りますよ。最近、護衛は増えましたから、それだけじゃ済みません、」
にっこりと微笑む萩花を見て、日向はぽかんと口を開けた。
差し込みかけたスプーンからりんごがこぼれて、母上が、あらあら、と嬉しそうに日向の世話を焼く。
表情はあまり変わっていないが、混乱しているのだと思った。
困るよな、日向。
日向は自分のことをいらない、と思ったのに、日向がいなくなると困る人間が、こんなにもいる。
「草」もですよ、と晴海が言うと、日向はさらに困惑したのだろう。再び眉を寄せて、母上を見た。
俺を見ろよ、と嫉妬しながらも、母上が赤子をあやすように日向をゆるゆると解いていくから、かろうじて口を閉じる。
本音を言えば、日向を俺だけのものにしたい。
だが、俺以外のたくさんの人間にも愛されていることを、日向にわかってほしかった。
自分自身を愛せない日向を繋ぐのは、多分それだ。
日向がどれだけ自分を否定しようとも、日向を愛される存在にしてくれるたくさんの人間だ。
「ふふ、大変ね。日向さんは、しおうさんの伴侶で、私の息子で、水蛟さんの王子様。その上、萩花さんたちのご主人様ですって、」
「母上、主、です、」
「………いっぱい、」
「ええ、いっぱいねえ。でもきっと、もっとたくさんよ。」
「………たくさん、」
日向の汚れた口元を拭きながら、母上が日向の中にたくさんの人間を刷り込んでいく。
「日向さんには藤夜さんや亜白さんもいるでしょう?日向さんはお二人のお友達、」
「………ともだち、」
「料理長は毎日、日向さんの献立を考えるのが楽しいんですよ。日向さんが喜ぶ料理を作るのが、料理長の生きがいなんですって、」
「………生きがい、」
「騎士団は日向さんがきてから士気が上がったの。日向さんが見学来ると、嬉しくてみんなやる気がいっぱいになるんですって。日向さんは、騎士団の人気者ね、」
「………にんき、もの、」
「そうよ。日向さんは庭師のお弟子さんもやっているんでしょう?燵彩と灯草の生徒だし、学院の学生でもあるわね。最近は新しいお友達もできたと聞きましたよ、」
急にたくさんのしがらみが飛び込んできて、日向の混乱はピークに達したのだろう。
固まって動かなくなったのを、母上が抱きしめて肩を撫でる。
「少しずつでいいのよ。少しずつでいいから、私たちの日向さんにもなってくださいね、」
母上は、そう言ったけれど。
多分、日向はもう、なってるよな。
母上の愛も、水蛟の偏愛も、萩花の慈愛も十分に感じてきたから、とっくに縛られていると思う。
離宮中の者に愛されていることも。
日向が離宮にやってきたその日から少しずつ日向の中に染み込んで、一部になっていると、俺は思うよ。
母上の腕に抱かれた水色と視線が合った。
表情は乏しいのに、その瞳が困惑しているのがわかって、なぜだか嬉しくなる。
すぐには分からなくていい。
母上の言ったように、少しずつでいい。
日向の中の愛されているという自覚が、日向が自分を拒みたい気持ちを溶かしていくといい。
そう言った日向は、緩やかに生きることを始めた。
食事の時間には、ゆったりとではあるが自分でスプーンを握って食べたし、夜も昼も眠るのを頑なに拒むことは無くなった。
まだ大好きな図鑑を前にしてもぼうっとしているが、机の前に座って本を開いたり粘土をこねたりする。
庭に連れて行けば、青巫鳥(あおじ)を頭に乗せて草の中を転がった。
少しずつ、少しずつ、日向は俺と生きる道を歩み始めている。
なのになぜか、俺は責められた。
「紫鷹さんばかり、ずるいと思いますよ、」
「ずるいも何も、伴侶になると選んだのは、俺ですし、」
「お母様だって、日向さんが大事です。日向さんは半色乃宮(はしたいろのみや)に嫁いでくるのですから、私の日向さんでもいいのじゃなくて?」
「………僕、すみれこ、さま、の?」
母上がなぜか、水蛟(みずち)のようなことを言うのを、呆れて聞いた。
母上だけでなく、隣の晴海(はるみ)も後ろの水蛟も、何なら俺の護衛も侍従も、日向の護衛も、母上の侍女もみんな頷いているのが、意味がわからない。
そんな母上の膝に頭を乗せて髪を撫でられながら、日向はぼんやりと母上を見ていた。
日向のおやつの時間。
いつものように母上が来ると、日向はそれまで捏ねていた粘土を放り出して、自分から母上の膝を枕にした。
つい昨日までは、母上が来ても、ぼんやりするだけで、自分からは何もできなかった日向だ。
驚いて母上が尋ねると、どうやら眠かったらしく、俺のために昼寝をしないといけないのだと言う。
なら、俺のところに来ればいいものを。
なぜ母上の膝を枕にするのかは、意味がわからなかったが、日向はすぐにうとうとし出したし、母上は心底嬉しそうだったから、俺は何も言えなかった。
それから30分程寝た日向は、俺が母上に責められるところで目を覚ましたが、未だに俺のところに戻ってこないから、不満だった。
「……僕、しおうの、ちがう?」
「ほら、母上が変なことを言うから、日向が混乱するじゃないですか、」
日向の眉間に小さく皺が刻まれる。
まだ感情がうまく出てこなくて、すぐに混乱するのだから、余計なことを言わないでほしい。
日向も日向で、困るような場所にいないで、さっさと俺のところに戻ってくればいい。
だが、母上が膝の上の水色の頭を殊更優しく撫でるものだから、日向は眉間の皺を簡単に解いてしまう。
「しおうさんの日向さんで、構いませんよ。でも、私の日向さんにもなってほしいの。私がお母様で、日向さんは息子。私の息子の日向さんね、」
「………むすこは、何する?」
「そうねえ、母親の仕事は子どもを育てることだから、日向さんがご飯をよく食べてくれることが嬉しいかしら。」
それから、よく寝て、よく遊んで、よく学ぶことね、と母上は言う。こんな風に膝枕をして甘えることも大切ね、と俺を見て言うが、俺はしないぞ。
他には、母上にも日向の服を選ばせてほしいと、言った。日向の服は毎月、俺と水蛟が日向に似合うのはあれだこれだと言い合って選んでいるから、母上は不満だったらしい。そんなことを思っていたのかと、驚いた。
「それで、嬉しかったことや楽しかったことをお話ししてくれるのが、私の息子のすることかしら、」
「………うれしい、は、ない、」
「そう?じゃあ、しおうさんとどんなお話をしたのか、こっそり教えてくれるといいわね。しおうさんは、私にあまりお話しをしてくれないから、」
「………わかった、」
ああ、これで、俺と日向の会話が、母上に筒抜けになるのが決まった。
そもそも侍女も護衛も全部母上に報告するせいで、俺に秘密などあったものではないが、そこに隠し事ができない日向が加わったら、どうにもならない。
何てことを約束してくれたんだ、と思わないでもないが、日向を繋ぐしがらみが増えるのなら、今はいい。
日向は母上の息子だよ。
息子は母親を悲しませることはしちゃいけないし、母上より長く生きなきゃいけない。
俺はしないけど、そうやって母上の膝に甘えて、幸せな子どもになればいい。
「私だって、」
そう割り込んできた水蛟の声には、そうだよなあ、と笑った。
「殿下ばかりずるいと思います。日向様は私のお仕えする大事な方なのに、」
「あらあら、」
「………僕、みずちの?」
「ええ、日向様は私の大事な王子様ですよ。日向様がおられないと、私の毎日の喜びは9割も失われてしまうんですから、元気でいてもらわなければ困ります!」
水蛟が日向を好きなのは公然の事実だが、9割もか。大概だな。
日向の過保護な侍女が、日向のことに名乗りをあげない訳がないので、それには驚きはしない。
初めの頃こそ、過保護な侍女に呆れていたが、今は他の誰より日向の可愛さを分かり合える相手だ。日向の可愛い語彙集なるものを水蛟が作っているのを俺は知っているし、俺は毎月それを読むのを楽しみにもしている。
水蛟は確かに、日向がいないとダメだよ。
本人が言うように、水蛟の頭の中を覗けるなら、9割は日向なのだろう。
日向がいないと発狂して多分すごいことになる。
だから、日向は水蛟のためにも生きなきゃならん。
「日向、起きたなら、おやつ食べな。りんご、すりおろしてもらったから、」
言えば、母上の膝の上で頭を転がしていた日向は、ゆったりと起き上がる。
自分でソファに座って、水蛟の渡したタオルで手を拭き、スプーンを握った。
相変わらず、母上にピッタリとくっついて離れないのは悔しいが、おやつの時間は母上に譲る約束だから仕方ない。
日向がりんごを口に入れると、ちょうど萩花(はぎな)が部屋に入ってきて、日向を囲む席に加わった。
こぼしながらもちゃんと自分の口にスプーンを運ぶ日向を嬉しそうに眺めて、晴海に何の話題だったのかと尋ねる。
「そう言う話でしたら、私は日向様のものなので、日向様が居られないと困りますね、」
お前もか、萩花。
確かにお前は、日向がいないと失業確定だが、正直こういう会話に混じって来るとは思わなかった。
「そうよねえ、日向さんは萩花さんのご主人様だものねえ、」
「……僕?」
「母上、そう言う言い方は語弊があります。…日向は、萩花の主だろ。萩花は、お前を守るのが仕事だから、お前がいないと本気で困るの、」
「東(あずま)も、官兵(かんべ)も、畝見(うなみ)も困りますよ。最近、護衛は増えましたから、それだけじゃ済みません、」
にっこりと微笑む萩花を見て、日向はぽかんと口を開けた。
差し込みかけたスプーンからりんごがこぼれて、母上が、あらあら、と嬉しそうに日向の世話を焼く。
表情はあまり変わっていないが、混乱しているのだと思った。
困るよな、日向。
日向は自分のことをいらない、と思ったのに、日向がいなくなると困る人間が、こんなにもいる。
「草」もですよ、と晴海が言うと、日向はさらに困惑したのだろう。再び眉を寄せて、母上を見た。
俺を見ろよ、と嫉妬しながらも、母上が赤子をあやすように日向をゆるゆると解いていくから、かろうじて口を閉じる。
本音を言えば、日向を俺だけのものにしたい。
だが、俺以外のたくさんの人間にも愛されていることを、日向にわかってほしかった。
自分自身を愛せない日向を繋ぐのは、多分それだ。
日向がどれだけ自分を否定しようとも、日向を愛される存在にしてくれるたくさんの人間だ。
「ふふ、大変ね。日向さんは、しおうさんの伴侶で、私の息子で、水蛟さんの王子様。その上、萩花さんたちのご主人様ですって、」
「母上、主、です、」
「………いっぱい、」
「ええ、いっぱいねえ。でもきっと、もっとたくさんよ。」
「………たくさん、」
日向の汚れた口元を拭きながら、母上が日向の中にたくさんの人間を刷り込んでいく。
「日向さんには藤夜さんや亜白さんもいるでしょう?日向さんはお二人のお友達、」
「………ともだち、」
「料理長は毎日、日向さんの献立を考えるのが楽しいんですよ。日向さんが喜ぶ料理を作るのが、料理長の生きがいなんですって、」
「………生きがい、」
「騎士団は日向さんがきてから士気が上がったの。日向さんが見学来ると、嬉しくてみんなやる気がいっぱいになるんですって。日向さんは、騎士団の人気者ね、」
「………にんき、もの、」
「そうよ。日向さんは庭師のお弟子さんもやっているんでしょう?燵彩と灯草の生徒だし、学院の学生でもあるわね。最近は新しいお友達もできたと聞きましたよ、」
急にたくさんのしがらみが飛び込んできて、日向の混乱はピークに達したのだろう。
固まって動かなくなったのを、母上が抱きしめて肩を撫でる。
「少しずつでいいのよ。少しずつでいいから、私たちの日向さんにもなってくださいね、」
母上は、そう言ったけれど。
多分、日向はもう、なってるよな。
母上の愛も、水蛟の偏愛も、萩花の慈愛も十分に感じてきたから、とっくに縛られていると思う。
離宮中の者に愛されていることも。
日向が離宮にやってきたその日から少しずつ日向の中に染み込んで、一部になっていると、俺は思うよ。
母上の腕に抱かれた水色と視線が合った。
表情は乏しいのに、その瞳が困惑しているのがわかって、なぜだか嬉しくなる。
すぐには分からなくていい。
母上の言ったように、少しずつでいい。
日向の中の愛されているという自覚が、日向が自分を拒みたい気持ちを溶かしていくといい。
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