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第11話 ほんしん
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「ここがお風呂よ」
ロミーナンスに手を握られ続け、振り回されたボクはもうヘトヘトになっていたが、彼女の部屋案内はまだ終わらなかった。
このお家広いし…部屋多すぎて覚えられないよ……。
頭の中がぐるぐるしていた。
「……ロミーナンス」
突然、コトニーが喋りだした。
「ん?なに」
ロミーナンスはくるっと振り返って彼を見る。
「そろそろ休憩しない?僕、ちょっと疲れちゃって」
彼の顔は確かに少し疲れているように見えた。
「えー?普段のあんたならそんなこと言わないじゃない」
不服そうにロミーナンスが言う。
「でも昨日は大変だったし、今日も早めに起きなきゃいけなかったし。疲れが完全にとれてないんだよね」
「…しょうがないわね」
彼女はため息混じりにそう言った。
「じゃ、部屋にでも戻ってお話しましょ!私、お菓子取ってくるわね!」
ロミーナンスはパッと開き直ってリビングの方に走っていった。
少年と二人。さっきまでロミーナンスが手を握って案内してくれたからただついて行くだけだったが、今は何も頼るものがない。
部屋ってどこだっけ…?
「こっち来て」
オドオドしているとコトニーが話しかけてきた。
彼の後ろにトコトコとついていった。
着いたのは子供部屋らしき部屋。真ん中にテーブルがあって、両側の壁にはベットが1つずつ置かれている。片方はシンプルな緑色、もう1つは可愛らしいピンク色だった。コトニーとロミーナンスのものだろうか。
「とりあえず、座って」
コトニーがニコッと笑って言った。
辺りをキョロキョロ見渡しながら正座する。テーブルを挟んで反対側にコトニーが座った。
「あ、全然緊張しなくて大丈夫だよ!正座ずっとしてるとつらくなっちゃうだろうし」
気遣ってくれる彼の言葉にハッとなる。確かにちょっと緊張してた。
少し楽な体制に座り直した。
すると、
「ごめんね、僕、止めに入れなくて」
しゅんとした顔で突然謝られた。
「…え?!なんで謝るの?!!」
「いや…ほら、彼女、ずっと喋ってたし何か疲れてそうだなって思ってたんだけど…すぐ言えなかったからさ」
彼女、とはロミーナンスのことだろう。
「いやいや!ボク、あんな風にリードされて家の中案内してもらったことなんてなかったから楽しかったよ!」
楽しかったのは本当だった。しかもあんな風にずっと手を握ってもらえて、少し心が安らいだのはいつぶりだったろうってぐらい、嬉しかった。
…ちょっと疲れてたのも事実だけど。
「…ふふ、そっか、楽しんでくれてたんだ」
あわてて言うボクを見て少年がふわっと笑う。
「それならよかった。ただロミーナンスだけが楽しい、じゃなくて」
「え?」
「久しぶりにあんなに生き生きとしてる彼女を見たからさ。きっと楽しいんだろうなって。でも彼女、ついつい喋りすぎちゃったり連れ回しすぎるところがあるから…」
苦笑しながらコトニーは言う。
「でもやっぱり、本心は嬉しいと思うんだ。今まで僕との二人だったし、女の子が、ようやく話せる人が来た!って。でもその人への対応の仕方が分からない。そんな彼女なりに考えたのが部屋案内なんだと思う。不器用なロミーナンスの、やっと話したい人に会えた喜びの伝え方」
彼はボクの目を見て話し続ける。
「疲れちゃうような部屋案内だったと思うけど最後まで付き合ってくれる君を見てさ。彼女が喜んでる理由がわかった気がした。それに、最近暗い様子ばっかりだったから、久々に明るい彼女が見れて僕も本当に嬉しかった。ありがとう。」
ボクは少しくすぐったい気持ちになって、照れるようにして顔を少し伏せ気味にした。
彼から出る言葉は、彼自身も楽しかったことを伝えてくるようだった。
「だから、君が来てくれて本当に嬉しい。改めてよろしくね、ナノ」
コトニーは笑って手を出してきた。
「…こちらこそ、よろしく!」
ボクも手を出して握手をした。なんだか今までこんなふうに年齢が近い子と関わったことがないから、なんだかとても新鮮で、ただただ嬉しく、まだ早いかもしれないけれど、ここに来て良かったと思った。
バァン!!
勢いよくドアが開いた。
「あ!ちょっと!何で二人で先に挨拶しちゃってるのよ~!」
お菓子を乗せたお盆をもったロミーナンスが握手しているボクとコトニーを見て言った。
不器用なりに喜びを伝えるために、お菓子を持ってきたりボクらを見て嫉妬したように言う言葉。
その言葉に怒りはない。ただ羨ましいって言ってる感じ。
本当は私が一番初めに挨拶したかった!なんて言ってるようにも聞こえる。
「…フッ……アハハハハ!!」
コトニーが笑い出す。同じことを思ったのかな。
「ちょ、なんで笑うのよ」
ムスッとした顔でロミーナンスが言う。ほら、やっぱり羨ましいって顔してる。
「…アハハ!」
「なんであんたまで笑い出すの?!」
ボクも耐えきれずに笑ってしまった。
ボクとコトニーの笑い声が部屋に響く。
何も気付かないロミーナンスはなんで笑ってるのー!って言って困惑してる。
…ボク、ここで楽しく生きていける気がする。
ロミーナンスに手を握られ続け、振り回されたボクはもうヘトヘトになっていたが、彼女の部屋案内はまだ終わらなかった。
このお家広いし…部屋多すぎて覚えられないよ……。
頭の中がぐるぐるしていた。
「……ロミーナンス」
突然、コトニーが喋りだした。
「ん?なに」
ロミーナンスはくるっと振り返って彼を見る。
「そろそろ休憩しない?僕、ちょっと疲れちゃって」
彼の顔は確かに少し疲れているように見えた。
「えー?普段のあんたならそんなこと言わないじゃない」
不服そうにロミーナンスが言う。
「でも昨日は大変だったし、今日も早めに起きなきゃいけなかったし。疲れが完全にとれてないんだよね」
「…しょうがないわね」
彼女はため息混じりにそう言った。
「じゃ、部屋にでも戻ってお話しましょ!私、お菓子取ってくるわね!」
ロミーナンスはパッと開き直ってリビングの方に走っていった。
少年と二人。さっきまでロミーナンスが手を握って案内してくれたからただついて行くだけだったが、今は何も頼るものがない。
部屋ってどこだっけ…?
「こっち来て」
オドオドしているとコトニーが話しかけてきた。
彼の後ろにトコトコとついていった。
着いたのは子供部屋らしき部屋。真ん中にテーブルがあって、両側の壁にはベットが1つずつ置かれている。片方はシンプルな緑色、もう1つは可愛らしいピンク色だった。コトニーとロミーナンスのものだろうか。
「とりあえず、座って」
コトニーがニコッと笑って言った。
辺りをキョロキョロ見渡しながら正座する。テーブルを挟んで反対側にコトニーが座った。
「あ、全然緊張しなくて大丈夫だよ!正座ずっとしてるとつらくなっちゃうだろうし」
気遣ってくれる彼の言葉にハッとなる。確かにちょっと緊張してた。
少し楽な体制に座り直した。
すると、
「ごめんね、僕、止めに入れなくて」
しゅんとした顔で突然謝られた。
「…え?!なんで謝るの?!!」
「いや…ほら、彼女、ずっと喋ってたし何か疲れてそうだなって思ってたんだけど…すぐ言えなかったからさ」
彼女、とはロミーナンスのことだろう。
「いやいや!ボク、あんな風にリードされて家の中案内してもらったことなんてなかったから楽しかったよ!」
楽しかったのは本当だった。しかもあんな風にずっと手を握ってもらえて、少し心が安らいだのはいつぶりだったろうってぐらい、嬉しかった。
…ちょっと疲れてたのも事実だけど。
「…ふふ、そっか、楽しんでくれてたんだ」
あわてて言うボクを見て少年がふわっと笑う。
「それならよかった。ただロミーナンスだけが楽しい、じゃなくて」
「え?」
「久しぶりにあんなに生き生きとしてる彼女を見たからさ。きっと楽しいんだろうなって。でも彼女、ついつい喋りすぎちゃったり連れ回しすぎるところがあるから…」
苦笑しながらコトニーは言う。
「でもやっぱり、本心は嬉しいと思うんだ。今まで僕との二人だったし、女の子が、ようやく話せる人が来た!って。でもその人への対応の仕方が分からない。そんな彼女なりに考えたのが部屋案内なんだと思う。不器用なロミーナンスの、やっと話したい人に会えた喜びの伝え方」
彼はボクの目を見て話し続ける。
「疲れちゃうような部屋案内だったと思うけど最後まで付き合ってくれる君を見てさ。彼女が喜んでる理由がわかった気がした。それに、最近暗い様子ばっかりだったから、久々に明るい彼女が見れて僕も本当に嬉しかった。ありがとう。」
ボクは少しくすぐったい気持ちになって、照れるようにして顔を少し伏せ気味にした。
彼から出る言葉は、彼自身も楽しかったことを伝えてくるようだった。
「だから、君が来てくれて本当に嬉しい。改めてよろしくね、ナノ」
コトニーは笑って手を出してきた。
「…こちらこそ、よろしく!」
ボクも手を出して握手をした。なんだか今までこんなふうに年齢が近い子と関わったことがないから、なんだかとても新鮮で、ただただ嬉しく、まだ早いかもしれないけれど、ここに来て良かったと思った。
バァン!!
勢いよくドアが開いた。
「あ!ちょっと!何で二人で先に挨拶しちゃってるのよ~!」
お菓子を乗せたお盆をもったロミーナンスが握手しているボクとコトニーを見て言った。
不器用なりに喜びを伝えるために、お菓子を持ってきたりボクらを見て嫉妬したように言う言葉。
その言葉に怒りはない。ただ羨ましいって言ってる感じ。
本当は私が一番初めに挨拶したかった!なんて言ってるようにも聞こえる。
「…フッ……アハハハハ!!」
コトニーが笑い出す。同じことを思ったのかな。
「ちょ、なんで笑うのよ」
ムスッとした顔でロミーナンスが言う。ほら、やっぱり羨ましいって顔してる。
「…アハハ!」
「なんであんたまで笑い出すの?!」
ボクも耐えきれずに笑ってしまった。
ボクとコトニーの笑い声が部屋に響く。
何も気付かないロミーナンスはなんで笑ってるのー!って言って困惑してる。
…ボク、ここで楽しく生きていける気がする。
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