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 想いを伝えた瞬間、ガバっとアランに抱きつかれる。

「…信じられない。…ほ、ほんとに?」

 アランがぎゅうぎゅうカイを抱きしめてくるので、カイも恐る恐るアランの背に背を回した。
 ふわりと全身をアランの匂いで包まれ、幸せな気分になる。

「…本当だ。俺も、ずっと君が好きだった」
「…こんなの幸せすぎる」
「俺も、君に救われたんだよ…。アランは俺のこと、よく見てくれて、すぐ気づいてくれる。それに、どれだけ救われたか」

 アランが顔をあげて目の前に美しい顔が近づく。

「俺は、君を好きだったから、裏切りたくなかったんだ」
「…カイにどんな過去があっても、俺は君を好きになったよ。ずっと俺を支えてくれてありがとう」

 アランがふわりと笑う。その顔面の美しさに、ウッとカイは眩しい顔をした。

 …発言も何もかもイケメン過ぎる…!

「ねぇ、これからも、俺とずっと一緒に居てくれる?」
「…いいのか?こんな俺で」
「カイがいい。カイだけがいれば、俺は他に何もいらない」

 するりと頬を撫でられ、ぐっと腰を引き寄せられる。アランとさらにくっつき、ドクドクと心臓の音が聞こえた。アランもドキドキしてくれているんだ、と思うと全身から火が出そうになる。

「…一生大切にする。だから、俺と付き合って下さい」
「…うん。俺も君をずっと大切にする」

 カイは、生きててよかったと心底思った。

 目の前のアランにへなっと笑いかける。

 すると、カイのへにょりとした笑顔を間近で受けたアランが、うぅ、と呻いて天を仰いだ。

「な、どうしたんだ?大丈夫か?」
「…あー、可愛すぎる、やばい、心臓何個あっても足んない」
「どこか痛むのか?」
「だ、大丈夫大丈夫、回復魔法唱えなくていいから!いや、そんなとこも可愛すぎるだろ…何なの、天使なの…」 

 何やらブツブツ言いながら悶えるアランを前に、カイはおろおろするしかなかった。

「…ほんと、好き」

 ボソリと耳元で言うのやめてくれ!

 カイはゾクっとしてわずかに身を震わせた。
 目を上げると、アランがあの熱の篭った目で見つめてきていた。そのまま綺麗な顔が近づき、あ、と思った時にはキスをされていた。
 ふにっと触れた唇は熱くて、熱を分けるようにカイの全身も熱くなる。
 しばらくして離れたアランが幸せそうに微笑むので、カイも泣きそうになった。

 それから、2人で寄り添って時を過ごした後、街に戻るために歩き出す。

 

 ふと、ゲームのことが頭に過ぎった。

 この世界は不思議だけど、たしかに今の俺にとっては現実だ。
 シナリオも何もかも違う。

 本当なら、勇者の恋人となるのはヒロインのはずで…。そうそう、確か、ゲームのおまけストーリーには、ゲームの登場キャラの誰かと恋人になる、恋愛要素もあったな。誰を選ぶかで、最後の恋人が変わる。まぁ、大体はヒロインを選ぶ人が多いんだが──




 ──あれ。俺がいつの間にか勇者の恋人になっているんだが…?




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