女神さまの尻ぬぐい

神殿生活

神託の日がきました

クーランが世話係になってから3か月
今日は神託を受ける日。

俺は1歳の誕生日を迎えた。

クーランに手をひかれて神殿の中の最奥
祈りの間にて。

「神子様、女神像の前にお座りください。」

クーランに促されて座る。

「女神さまに祈りをささげてください。」

昨日散々練習をさせられた祈りの言葉を頭の中で念じる。
その直後、俺の意識は神の世界へと呼ばれたらしい。


転生前に見た女神と、もう1人誰かがいた。

「異世界より転生されし者、大変申し訳ないことをした。
本来ならば、宰相を支える力として協力を仰ぐべき存在のそなたにあり得ない事態が起こった。
これからそれを説明させてもらいたい。」

女神ではない方の人がしゃべってる。
俺の身に何が起こったのか。


「そなたが生まれてくるのは本来もう少し後になるはずであった。
しかし、この女神の加護により魔力を多く持ったそなたの影響でダグマリーの出産が早まってしまったのだ。
ラウレオンが8歳の洗礼を受ける日に産気づき、そのまま陣痛に苦しむダグマリーを1人にできないとコンラットも家から出ることを渋った。

そして、ラウレオンのために神官が呼ばれた。自宅で洗礼を受けるために。
しかし、神官が到着した時にダグマリーの体力が限界を迎えつつあったのだ。
助産師が神官の助けを求めた時、廊下を歩いていた神官が応じた。」

(何が問題なんだろう？
この世界の常識がわからないから、話の流れがよくわからないな)

説明を聞きながらも、俺にはどこか他人事のように感じる。

「神官の役割は明確に決まっており、洗礼のための神官と回復魔法を使うための神官は、それぞれ別の者が担当することになっている。
それを無視して産室に入った神官は、生まれてきたそなたを抱き上げてしまったのだよ。

ヒウス王国では、8歳の時に1度だけ洗礼を受けることが出来る。
1人につき1度だけ。洗礼を受けることが出来る者の数は決まっているから、そなたに洗礼の加護が付いた時点でラウレオンは洗礼を受けることが出来なくなった。
洗礼を受けられない子供は社交界へ出ることが出来ない。
そのまま廃嫡となった。

そして…
生後間もないうちに洗礼を受けたものは、やはり社交界デビューができない。
魔力暴走の危険性があると言われ、魔力制御ができるようになるまで神殿で暮らすことになる。
その為、そなたも廃嫡された。」