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短毛種と長毛種

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あまりにも匠海タクミが不満だという雰囲気を駄々洩れにしていたためか
森の中から新たな生き物が出てきた。

『犬より猫の方がいいってずっとぼやいていたのは、君かな?』

声をかけてきたのは、見た目ノルウェージャンフォレストキャット
だけど大きさがちょっとアレな感じの猫ちゃん!

猫なのに、まさかの大型犬サイズ以上。
ボルゾイを2回りくらい大きくした感じ。


その隣にちょこんとお座りしているのが
ベンガル風のちっさい子。

ちっさいけど、匠海が知っている猫サイズ。

「うぉっ! 猫ちゃんいるんじゃん!!」

途端にテンション爆上がり!
早速猫に突撃しようとして、自分のバランスの悪さにこけそうになる。

(なんでこんなに走りにくいんだ?)

つんのめる匠海の襟首をシロが後ろから咥えて顔面ダイブは免れた。
改めて自分の手足を確認すると、大人の手足の大きさではなくなっていた。

「なんで⁉ なんで俺縮んでるんだ!!!!」


【それはお前が魔力の風を強く浴びたからだろう。
この世界には魔力があり、今お前の身体を魔力の風が守っている。
その魔力の風が切れるのが7日後。
その時に迎えが来て、お前は元の世界へ戻るのだ。】


「なんで風を受けたら縮むんだ?別にそのままでもよくないか?」

【そもそも、お前には魔力がない。
 魔力がないなかで守るために、お前の身体を一時的に変えてるんだ。
 御使いとして、こちらの世界の人間に保護されれば問題ないことだったのだろうが
 うまくいかなかったのだろう?】

「よくわからない…。 落ちてる途中は空とか見えてたけど
次に目が覚めたらシロの腹の上だったしな。」


【まぁ、そんなもんか。】

『ところで少年。その犬に世話をされたくなければ、我々と一緒にくるか?』

「えっ⁉猫ちゃんと一緒に行ってもいいの!!
 行く!行く!俺猫ちゃんと一緒がいいわ!」

『では、ついて来い』


と歩き始めて数分
すでに迷子の俺…


現在10歳の子どもくらいの大きさになっているっぽい俺の足では
到底大きなノルウェージャンフォレストキャットもどきに追いつけるわけがない。

ベンガル風の猫ちゃんも周りにいないみたいだし…
最初に会ったシロはご神木の根元から滅多に動くことはないそうだ。

(迷子になってしまったんだし、まぁ仕方ないよね。
 猫とかの方が嗅覚も鋭そうだし、そのうち見つけてくれるだろ。)

完全に開き直った俺は周囲の木や花、草、虫など
色々なものを観察しながら歩いていく。

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